氷ノ山〜鉢伏山周回☆天の川を眺めに秋風の吹く稜線に
- GPS
- 08:20
- 距離
- 19.5km
- 登り
- 1,360m
- 下り
- 1,373m
コースタイム
- 山行
- 2:49
- 休憩
- 0:02
- 合計
- 2:51
- 山行
- 4:33
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 4:58
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
二日目は朝10時の下山時点で第二駐車場まで満車 |
コース状況/ 危険箇所等 |
良好に整備された一般登山道 特に危険箇所なし |
その他周辺情報 | 下山後は万灯の湯に http://www.mandonoyu.com 八鹿の道の駅に隣接して天女の湯もあり http://www.togayama-tennyo.jp/onsen/ |
写真
感想
この週末は本来であれば群馬への出張の予定だったので、出張のついでに久しぶりに谷川連峰に出かけることを楽しみにしていたのだが、群馬県も緊急事態宣言の対象地域に含まれることになり、出張は直前でキャンセルとなる。代わりに泊まりがけでの山行を考える。家内が爽快な草稜を歩きたいと云うので氷ノ山から鉢伏山への周回を計画することにした。
扇ノ山の山頂の避難小屋も非常に魅力的なのだが、登山口までの運転が長いという理由で家内から反対される。
春日JCTで北近畿自動車道に入り損ねたため、福知山から9号線を西進することとなり、予定よりも時間がかかって八鹿に到着する。道の駅に到着すると平日であるにも関わらず駐車場には以外と車が多い。
道の駅でゆっくりとランチをとったあとで、土産物の売り場を覗くと、最後の一つのすずこの水煮があったので迷わず買い物籠に入れる。ここは朝倉山椒と呼ばれる山椒が特産品らしく、山椒を使ったものがいろいろとある。すずこに合わせるべく、ゆず胡椒ならぬ山椒も入手する。
国道9号線からハチ高原のスキー場に向かう県道に入り、道の両側に山が迫るようになると山間の道の両側には昭和の雰囲気の漂う民宿街が忽然と現れる。次々と現れる民宿街を過ぎて、左側の氷ノ山国際スキー場に向かうリフトと広大な駐車場が現れると、スキー場に向かう林道となり谷奥には整然とした棚田が目に入る。
それまではかなり気温が高かったが、登山口となる福定の親水公園にたどり着くと谷間のせいだろうか、少し涼しさが感じられる。驚いたことに駐車場は満車に近いほどに車が停められており、他府県ナンバーの車も多い。
林道を歩き始めると、続々と上から降ってこられる登山者の方々とすれ違う。スキー場にたどり着くと、自動販売機には有難いことに電源が入っている。持参した水分の量に不安があったので早速、爽健美茶を一本購入する。ジュース類は売れ切れのものが多いのは登山者が購入するからだろう。自動販売機の裏にある温度計は27℃を表示していた。
登山道に入ると最初は植林の斜面を登ってゆく。東尾根に合流すると小さな避難小屋がある。
東尾根からは自然林となり、樹林の中に広々とした登山道が続く。稜線の上から差し込む斜陽がブナの樹林を黄金色の透明な光で満たしてゆく。
緩やかな尾根を登ってゆくと、女性四人のパーティーにすれ違う。下山の時間が遅いように思われたが、十分に明るいうちに登山口にたどり着くことは出来るだろう。すれ違いざまに「テン泊ですか?」と聞かれたので「山頂の小屋で」とお答えする。
登山道が尾根道から斜面をトラバースするようになると、沢音が聞こてくるようになり、一ノ谷の水場が現れるので、小滝の下で水を汲む。水場を見下ろすようにブナの大樹が聳えていた。斜面をトラバースする登山道沿いには緑の地衣類を纏った見事なブナの大樹が次々と現れる。ブナの木々の枝ぶりが均整のとれた佇まいに感嘆することになる。
笹原の中を流れる水の音が聞こえると、まもなく二つ目の水場が現れる。岩の下から滾々と湧き出す水は非常に冷たく、美味しく感じられる。先ほどの水場で汲んだ水を捨てて新たに水を汲みなおす。笹原の広がる尾根をトラバース気味に進むと小さな沢を通過したところで、三つ目の水場があり、ここでも湧き水が斜面から流れ出していたが、ここは通過することになる。
神大ヒュッテを通り過ぎると尾根には樹木は少なくなり、一面に熊笹が広がる草原を進むようになる。道の両側には背丈を越えるような熊笹が密生するようになるが、登山道の周囲は広く刈払いがされている。日中は真上から照りつけられとかなり暑そうだが、有難いことに山の陰だ。山の陰のせいだろうか、笹原の上を通り過ぎる風がますます涼しく感じられる。
所々に杉の木立があるが、勿論、植林されたものではなく、もともと生えていた杉なのだろう。杉の樹林の中で紅い葉が目立つ。気の早いナナカマドの葉が紅葉しているようだ。
山頂が近づくにつれ、空気はますます透明感を増してゆく。あたりには蜻蛉が多く見られるようになる。慌ただしく飛び交うアキアカネが過ぎ行く夏への哀切を物語っているようだ。
山頂の手前では地図では古生沼と記されているが、おそらく沼は干上がってしまったのだろう。沼地の代わりに湿地が広がっている。西日本で唯一の高原性湿地らしい。湿地に生える草に混じるベージュ色が秋の気配を感じさせる。
山頂にたどり着くとテントが二つ張られており、若い男性がおられた。避難小屋の中には誰もおらず我々で独占させて頂く。小屋の中に入るとむっとした空気が籠っている。小屋の温度計は23℃を表示していたが、小屋の窓を開けて換気をするうちにすぐにも21℃まで気温は低下する。
この氷ノ山は鳥取県側の若桜から三ノ丸を経由して登った時以来なのだが、その時は雨に濡れたサンカヨウが目的だったので、この好展望の山頂はガスの中であった。しかし肝心の雨は降らずに下山路で出遭ったサンカヨウの花びらは白いままであった。ちなみにサンカヨウの花びらは雨が降り始めてすぐに半透明になるわけではないらしい。
この日は文句なしの360度の好展望が広がっている。西の空には雲が広がっている。どうやら夕陽を眺めることは期待できなさそうだ。まずはビールで乾杯すると、早速、夕食に取り掛かる。最初はすずこにゆず山椒と同じく道の駅で手に入れてきた八鹿豚の燻製ハムの味噌漬けを合わせる。このハムも美味であった。次いで、万願寺唐辛子と舞茸、ベーコンをオリーブオイルで蒸し焼きに料理する。
西の空に広がる雲の下がオレンジ色に明るく輝いている。雲の下から溢れる薄明光線が西の山を
やがて雲の下から夕日が顔を出し、窓から差し込む夕陽が小屋の中を明るく照らす。しかし、夕日はすぐにも西の空にかかる雲の彼方へと沈んでゆく。残照を眺めうちに鴨肉とキノコのバター・リゾットが出来あがり、赤ワインを合わせる。
食事を終えると小屋の外は急速に暗くなっていく。先ほどまで上空を広く覆っていた雲が消え、満天の星空が広がっている。頭上にわずかに雲が残っているのかと思ったが、夜空に目を凝らすとそれは天の川であることに気がついた。前回、白山の小桜平でも綺麗な天の川が見えていたのだが、家内は天の川を見そびれたので、今回は天の川を見ることが出来るのを楽しみにしていたのだった。空気の透明感のせいもあるのかもしれないが、標高1500mの高さでも白山に十分に匹敵する美しい夜空が見えるのだった。
夜中にふと目が醒めると東の空から赤い月が昇ってくるところだった。早速、月の出の写真を撮ろうとカメラを取り出すが、カードが書き込み禁止の状態になっている。おそらく昨日に撮った天の川の写真のうちいずれかのファイルに破損が生じたのだろう。今回はこういう事態が生じる可能性が脳裏をかすめ、出発間際にもう一枚、予備のSDカードを持ってきたお陰で写真を撮ることが出来る。
月の出を眺める機会は少なく、最近の記憶を思い返してみると、霊仙山や南アルプスの茶臼小屋など、専ら山の上に泊まる時だ。日の出と同じように昇ったばかりの月は赤く見えるということを再認識する。月が出たあとは夜空の星々は急に数が少なくなり、天の川も見えなくなっていた。
夜中に風の音で再び目が醒める。外はかなりの強風が吹いているようだ。窓の外をみるといつしか空には広く雲が広がっていた。
4時半に起床し、窓を開けるとまもなく東の空がオレンジ色に染まってゆく。上空の天気の移り変わりは目まぐるしい。夜半に広がっていた雲はすっかりなくなり、快晴の空が広がっているようだ。
出発の準備を整えて小屋の外に出る。テントの方も。「風は大丈夫でしたか?」と聞くと「風が強くて、夜はほとんど眠れませんでした」とのことであり、なんともお気の毒だ。とはいえ、小屋の中に寝ていた家内も風の音であまり眠れなかったらしい。
テントの男性と話しているうちに鳥取県側から霧が昇ってきたかと思うと、瞬く間に山頂一帯はガスに包まれる。山頂でのご来光は諦めて、テントの男性にご挨拶して出発する。
こしき岩と呼ばれる大きな岩を巻くと、尾根からは急に霧が晴れて、あたりの展望が広がる。振り返ると山頂の上の方はすっかり晴れて、山頂の避難小屋がいるではないか。もう少し辛抱強くご来光のタイミングまで待っておけば良かったと思うが後の祭りである。
尾根の先ではこれから向かう稜線が朝陽を浴びて黄金色に輝いている。稜線を先に進むととすぐにも氷ノ山の肩から眩い光を放つ朝陽が視界に入る。
トレラン・スタイルの男性と出遭うので「どちらからですか?」とお伺いすると、なんとハチ北高原を朝の4時40分に出発されたとのこと。
登山路は氷ノ山越にかけての樹林の中へと入ってゆく。山の陰のせいでまだ朝陽の届かない樹林の中はなんとも清々しい空気が漂っている。次々とブナの大樹が現れ、美しい樹林の中を歩く悦びを再認識させてくれる。
赤倉頭にかけてわずかに登り返すと、尾根筋には笹原が広がるようになり、背後に再び大きく氷ノ山のシルエットが広がる。朝陽を浴びる笹原から東側に好展望を眺めながら、なだらかな稜線を進む。
大平頭(おおなるがしら)から樹林の中を下降してゆくと後ろから熊鈴の音が聞こえ、トレランの単独行の男性が追い抜いていった。
やがて忽然と視界が開けると、鉢伏山にかけて緑のベルベットのようなススキの原が広がっているのが目に入る。陽射しを浴びるススキの穂がそよ風に揺られてはキラキラと柔らかなベージュ色の輝きを放っている。
ススキの原を歩き始めると強い陽射しを受けることになるが、なだらかな稜線には涼しいそよ風が吹いているのが有難い。この稜線は日中は暑さが心配されるので、なるべく朝の早いうちに鉢伏山までたどり着きたい思っていたのだった。そよ風に感じる透明感は紛れもなく秋のものだろう。
小代越の鞍部にかけて稜線を緩やかに下ってゆくと小さな子供を背負った母親を含む家族連れとすれ違う。子供が父親に「どこまで行くの?」と聞く無邪気な声が背後から風に乗って聞こえてきた。
スキー場を通過すると再び樹林の中に入ると、やはり木陰の涼しさが嬉しい。わずかな登りで鉢伏山の山頂にたどり着く。山頂には氷ノ山の避難小屋に似た小屋があるが、こちらはスキー場関連のものらしい。山頂はハチ高原からだけでなく、ハチ北側からもリフトが上ってきており、リフトが物物しい雰囲気ではあるが、ひと気のない山頂で涼風に吹かれながらしばしば360度の好展望を楽しむ。
鉢伏山から東尾根を下ると、気がつくと薄い色合いのヒョウモンチョウが飛んでいる。鉢伏山に生息するというウスイロヒョウモンチョウモドキだろうか。望遠レンズを装着すれば写真を撮る機会もあったのかもしれないが、残念ながら広角の単焦点レンズでは蝶の写真を撮るべくもなかった。
尾根道はすぐにも舗装林道と合流する。舗装路を降り始めると氷ノ山越の手前で出遭ったトレランの男性が坂道を登ってくる。まもなく右手に分岐するゲレンデへの林道があるので、林道を歩いてゲレンデに入ると、ゲレンデを下降する。ゲレンデの中には所々に浅い溝があり、気がつかずに溝に足が嵌ってしまうと足を取られて転びそうになるので要注意だ。
ゲレンデの下部の民宿街からは鉢伏に再び舗装路を下るつもりでいたが、樹林の中を通る近道があることに気がつく。案内標も何もないのでこの道を下る人はあまりいないのだろうか。植林の中を下るとすぐにも広い林道に出る。
林道の脇では季節外れの紫陽花が青い花を咲かせていたが、美しい色合いの秋紫陽花も数多く見られる。以前、花屋から高原の寒暖の差が大きいところでは美しい秋紫陽花の花が出来るという話を聞いたことをふと思い出す。
鉢伏の旅館街に下ると古い旅館の一つで解体工事が行われていた。ここもかつては相当な賑わいを見せていたのだろうが、今や客足も少ないのだろう。旅館を解体する作業員以外には人の気配の感じられない旅館街から階段を降りて大きな体育館に至ると「魚つかみ」の案内板に導かれて八木川沿いの林道に降り立つ。
対岸には行きに眺めた棚田が再び目に入る。あとは親水公園まではわずかに600mほどの登りだ。しかしアスファルトから立ち昇る熱のせいか、急に暑く感じられるようになる。まだこの時間だから暑さはマシなのだろうが、午後は相当に暑くなりそうだ。
親水公園の駐車場に戻ると満車状態であり、林道を挟んだ第二駐車場も満車であった。流石に人気の山だ。わずかに空きがあるのは既に下山された方がおられるからだろう。
下山後は万灯の湯に立ち寄るが、11時に開いたばかりであり、広々とした浴場には他には一人の入浴客がいるばかりであった。温泉から外に出ると空には雲が広がっており、蒸し暑く感じられる。季節が急に夏に舞い戻った感じだった。
もう秋の気配が感じられますね
天の川 何年も見ていません😢
夕食がおいしそうです
京都でも空気の澄んだ秋の夜には天の川は見ることが出来るのではないかと思うのですが、そのうちtryしてみたいと思います。
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