記録ID: 3546877
全員に公開
沢登り
日高山脈
日程 | 2021年09月20日(月) ~ 2021年09月22日(水) |
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メンバー | |
天候 | ほぼ晴れ |
アクセス |
利用交通機関
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地図/標高グラフ


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コースタイム [注]
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歩行時間
到着時刻通過点の地名出発時刻
今回は初めての単独沢。敢えて下調べはあまりせず、自分の力でやってみようという気持ちで臨んだ。
.船蹈輓啼察船櫂鵐船蹈軅遏c1290テン場=C1
チロロ林道を千呂露川沿いに一時間ほど歩いて取水施設で入渓。沢の両岸を赤や黄色に彩る草木が美しい。単独であるがゆえに、踏み出す一歩一歩は自然と普段より慎重になる。
途中めぼしい釜や淵を見つけては魚影に目を凝らし、二回ほど竿を出した。尺サイズの岩魚が寄ってくるのが見えて興奮するも、いまいち食いが悪い。先はまだ長いので早めに切り上げて進むこととする。
c924までは何もない単調な河原だった。かなりいいペースで進んでいたので、ここで本腰を据えて釣ることにする。T井から朝もらったコーンを針につけ、水面に投げ入れたその瞬間、竿に重みが走る。まさに電光石火だった。興奮を抑えつつ投げ入れるとまた食った。そんな調子で5分ほどで4匹釣れてしまった。やはり日高の岩魚は他の沢に比べてかなり食い意地が張っているようだ。一匹リリースし三匹をフキの葉に包み、行動再開。
その後テンバまでは5mほどのFを三回ほど右岸から巻いたが、どれも容易でほとんど河原だった。退屈な遡行を色づいた木々が慰めてくれる。c1290につくと、突如目の前に1967峰が姿を見せる。天を突くようなその雄大さと色づいた斜面の美しさに思わず声が出た。と同時に、この景色を分かち合える仲間がいないことを実感し、寂しく思った。
単独の夜は長い。水の流れる音と焚火の爆ぜる音を聞きながら夜がゆっくりと更けていく。一人の孤独と不安を感じながら、一人だからこそ感じることができる時間の流れと移り行く景色に、深く感動していた。薪が白い灰になり火の勢いも収まるころ、シュラフに潜って眠った。
C1〜1967峰〜北戸蔦別・戸蔦別〜幌尻の肩〜七つ沼カール上稜線=C2
4時に起床し、ラーメンをすすり、ツェルトから出るとあたりは仄かに明るくなっていた。テン場に一礼し、水の冷たさに足をしびれさせながら1967峰に向って出発。c1350二股は右をとった。途中で水を汲み、一気に稜線へ。夏道に出ると、とりあえず沢セクションは完遂できたことにかなり安心した。1967峰から見える赤や黄色に染まった日高連山にはただただ圧倒された。夏道の歩きやすさに感謝しながらサクサク進むと、意外と北戸蔦別は近い。北戸蔦別から戸蔦別に行く途中、去年泊ったCカールが見えた。いろんな思い出が蘇り、なんだか懐かしい仲間に会えた気がして嬉しかった。あの時から僕は強くなれたんだろうかとふと思った。
戸蔦別から幌尻岳に向うが、水の残量が気になった。原因は想定より気温が上がって汗をかいたことと、1週間前の情報と違って七つ沼が涸れていたことだが、いずれにせよ自分の想定の甘さに起因するものだろう。幌尻の肩について、やる気もかなりあったし、時間も体力も余裕があった。水もギリギリ足りそうだったが、初単独行で攻めた判断ができるほど自分は強くないと言い聞かせて泣く泣く引き返した。
翌日は微風&濃霧予報だったので、七つ沼カール上稜線に泊まることにした。テン場からはすべてが見えた。幌尻、ナメワッカ、エサオマン、札内、カチポロ、神威…遠くに見えるのはカムエクだろうか。本当なら、今年の春・夏にあの稜線を歩いて頂に立ち、沢筋を超えてここまでやってくるはずだった。叶わなかった熱い挑戦と夏の日々を思うと、胸が熱くなった。なんだかツェルトを張るのがバカバカしくて、そのまま夕日に染まる日高の稜線を見つめながら、シュラフに入ってゆっくりと眠りに落ちる。
夜、あまりの明るさに目が覚めた。もう夜が明けたのかと思ったら、七つ沼カールの上に、大きな満月が浮かんでいた。そういえば、ラジオで今日は中秋の名月と言っていた。あまりの美しさにカメラに手を伸ばしかけたが、これはカメラに収めるものではないと思って、ただ目に焼き付けていた。日高の稜線で、たった一人でシュラフにくるまれ、凍えながら目の前に浮かぶ満月と月明かりに照らされた山々を見て、これが一生のうちで一番印象に残る中秋の名月になるんだろうなと思った。
C2〜戸蔦別・北戸蔦別〜ヌカビラ岳〜取水施設〜登山口
5時に起きると、もう朝が来ていた。。日高は誰が見ていなくとも毎日こうやって美しい朝を迎えているんだと思うと深く感動した。
テン場に一礼して出発。帰りの稜線は今回の山行の事を反芻しながら、ヌカビラ岳からの登山道は去年のことを思い出しながらゆっくり歩いた。人には一回も会わなかった。下山して、迎えに来てくれたY澤を見た時はなんだかひどくホッとした。
.船蹈輓啼察船櫂鵐船蹈軅遏c1290テン場=C1
チロロ林道を千呂露川沿いに一時間ほど歩いて取水施設で入渓。沢の両岸を赤や黄色に彩る草木が美しい。単独であるがゆえに、踏み出す一歩一歩は自然と普段より慎重になる。
途中めぼしい釜や淵を見つけては魚影に目を凝らし、二回ほど竿を出した。尺サイズの岩魚が寄ってくるのが見えて興奮するも、いまいち食いが悪い。先はまだ長いので早めに切り上げて進むこととする。
c924までは何もない単調な河原だった。かなりいいペースで進んでいたので、ここで本腰を据えて釣ることにする。T井から朝もらったコーンを針につけ、水面に投げ入れたその瞬間、竿に重みが走る。まさに電光石火だった。興奮を抑えつつ投げ入れるとまた食った。そんな調子で5分ほどで4匹釣れてしまった。やはり日高の岩魚は他の沢に比べてかなり食い意地が張っているようだ。一匹リリースし三匹をフキの葉に包み、行動再開。
その後テンバまでは5mほどのFを三回ほど右岸から巻いたが、どれも容易でほとんど河原だった。退屈な遡行を色づいた木々が慰めてくれる。c1290につくと、突如目の前に1967峰が姿を見せる。天を突くようなその雄大さと色づいた斜面の美しさに思わず声が出た。と同時に、この景色を分かち合える仲間がいないことを実感し、寂しく思った。
単独の夜は長い。水の流れる音と焚火の爆ぜる音を聞きながら夜がゆっくりと更けていく。一人の孤独と不安を感じながら、一人だからこそ感じることができる時間の流れと移り行く景色に、深く感動していた。薪が白い灰になり火の勢いも収まるころ、シュラフに潜って眠った。
C1〜1967峰〜北戸蔦別・戸蔦別〜幌尻の肩〜七つ沼カール上稜線=C2
4時に起床し、ラーメンをすすり、ツェルトから出るとあたりは仄かに明るくなっていた。テン場に一礼し、水の冷たさに足をしびれさせながら1967峰に向って出発。c1350二股は右をとった。途中で水を汲み、一気に稜線へ。夏道に出ると、とりあえず沢セクションは完遂できたことにかなり安心した。1967峰から見える赤や黄色に染まった日高連山にはただただ圧倒された。夏道の歩きやすさに感謝しながらサクサク進むと、意外と北戸蔦別は近い。北戸蔦別から戸蔦別に行く途中、去年泊ったCカールが見えた。いろんな思い出が蘇り、なんだか懐かしい仲間に会えた気がして嬉しかった。あの時から僕は強くなれたんだろうかとふと思った。
戸蔦別から幌尻岳に向うが、水の残量が気になった。原因は想定より気温が上がって汗をかいたことと、1週間前の情報と違って七つ沼が涸れていたことだが、いずれにせよ自分の想定の甘さに起因するものだろう。幌尻の肩について、やる気もかなりあったし、時間も体力も余裕があった。水もギリギリ足りそうだったが、初単独行で攻めた判断ができるほど自分は強くないと言い聞かせて泣く泣く引き返した。
翌日は微風&濃霧予報だったので、七つ沼カール上稜線に泊まることにした。テン場からはすべてが見えた。幌尻、ナメワッカ、エサオマン、札内、カチポロ、神威…遠くに見えるのはカムエクだろうか。本当なら、今年の春・夏にあの稜線を歩いて頂に立ち、沢筋を超えてここまでやってくるはずだった。叶わなかった熱い挑戦と夏の日々を思うと、胸が熱くなった。なんだかツェルトを張るのがバカバカしくて、そのまま夕日に染まる日高の稜線を見つめながら、シュラフに入ってゆっくりと眠りに落ちる。
夜、あまりの明るさに目が覚めた。もう夜が明けたのかと思ったら、七つ沼カールの上に、大きな満月が浮かんでいた。そういえば、ラジオで今日は中秋の名月と言っていた。あまりの美しさにカメラに手を伸ばしかけたが、これはカメラに収めるものではないと思って、ただ目に焼き付けていた。日高の稜線で、たった一人でシュラフにくるまれ、凍えながら目の前に浮かぶ満月と月明かりに照らされた山々を見て、これが一生のうちで一番印象に残る中秋の名月になるんだろうなと思った。
C2〜戸蔦別・北戸蔦別〜ヌカビラ岳〜取水施設〜登山口
5時に起きると、もう朝が来ていた。。日高は誰が見ていなくとも毎日こうやって美しい朝を迎えているんだと思うと深く感動した。
テン場に一礼して出発。帰りの稜線は今回の山行の事を反芻しながら、ヌカビラ岳からの登山道は去年のことを思い出しながらゆっくり歩いた。人には一回も会わなかった。下山して、迎えに来てくれたY澤を見た時はなんだかひどくホッとした。
過去天気図(気象庁) |
2021年09月の天気図 [pdf] |
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写真
撮影機材:
感想/記録
by kome1010
緊急事態宣言に伴って、僕たちの夏は挑戦のチャンスも与えられないまま終わってしまった。宙ぶらりんになった気持ちをどこにもっていったらいいかわからず、熱い山行をしている他人の記録を読みながら、部屋で悶々としていた。そんな中、この気持ちに整理をつけて、秋と冬に向っていくにはやはり一度日高に行くほかないと思って、今回の単独行を決意した。
沢のレベルは簡単なもので日数もたった3日と、見る人が見れば大した山行ではないだろう。だが、初めて一人で沢に入り感じたことや得たことはかなり多かった。何より、自分の中で夏を終わらせることができた。
今回の山行で特に印象深く感じたのは、普段の仲間の存在の大きさだった。何を言うわけでなくても誰かが傍らにいてくれるということはかなり心強いものなんだと感じた。1967を捉えた時、焚火をしながら夜が更けていく時、日高の山々を一望した時、満月を見たとき、それを強く感じた。一緒に山に行ってくれる仲間がいることは当たり前ではないんだなと思った。
最後に、送迎してくれたT井とY澤、僕のわがままに付き合ってくれてありがとう。感謝しています。
沢のレベルは簡単なもので日数もたった3日と、見る人が見れば大した山行ではないだろう。だが、初めて一人で沢に入り感じたことや得たことはかなり多かった。何より、自分の中で夏を終わらせることができた。
今回の山行で特に印象深く感じたのは、普段の仲間の存在の大きさだった。何を言うわけでなくても誰かが傍らにいてくれるということはかなり心強いものなんだと感じた。1967を捉えた時、焚火をしながら夜が更けていく時、日高の山々を一望した時、満月を見たとき、それを強く感じた。一緒に山に行ってくれる仲間がいることは当たり前ではないんだなと思った。
最後に、送迎してくれたT井とY澤、僕のわがままに付き合ってくれてありがとう。感謝しています。
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