北アルプス縦走／日本海・親不知海岸　海抜０ｍ～栂海新道～朝日岳～白馬岳～旭岳～清水岳～祖母谷温泉

記録ID: 4115

全員に公開

無雪期ピークハント／縦走

白馬・鹿島槍・五竜

北アルプス縦走／日本海・親不知海岸　海抜０ｍ～栂海新道～朝日岳～白馬岳～旭岳～清水岳～祖母谷温泉

2009年09月19日(土) ～ 2009年09月23日(水)

コージその他1人

コースタイム

9/19　
5:25親不知駅5:30-親不知・道の駅【ピアパーク】・海岸海抜０m 6:05-
6:55栂海新道登山口7:15-(ロスタイム）分岐8:03-9:10入道山（425m）-
9:22二本松峠-9:45車道10:00-10:40尻高山(677m)10:55-11:40坂田峠11:50-
12:45９２５ｍ地点13:00-13:13９００ｍ地点-13:40１０２０ｍ地点13:50-
14:25山姥平(1165m)14:35-14:55鳥鳥居杉方面の道と合流-15:20白鳥小屋15:40-
17:05登山道１２００ｍ地点でビバーク-17:25テント設営完了

9/20
5:00起床-6:50出発-7:00下駒ケ岳(1241m)-7:40菊石山(1209m)7:50-
8:05水場入口-8:35１２９１ｍピーク8:50-9:50分岐10:20-
10:30犬ケ岳(1593m)10:40-11:15北又ノ水場入口-11:55サワガニ山(1612m)12:10-
13:30黒岩山(1624m)13:50-13:55中俣新道分岐-14:30黒岩平(テント禁止)14:45-
15:30アヤメ平２０００ｍ地点でビバーク

9/21
4:00起床-5:30出発-6:20長栂山(2267m)6:35-6:55照葉ノ池(（テント禁止）-
7:15吹上のコル-7:50朝日岳8:10-9:00水平道分岐9:15-
9:35小桜ケ原-9:40常水（水場）9:50-10:15元テント場10:30-
12:45雪倉岳(2611m)13:15-13:40雪倉避難小屋(2405m)13:50-
14:55２５１０ｍピーク15:10-15:45２６９６ｍピーク15:50-
16:05三国境（２７５１ｍ）16:20-17:10白馬岳ピーク17:20-
17:40村営頂上宿舎テント受付

9/22
4:40起床-6:35出発-6:55白馬分岐-7.05分岐-7:10２７２６ｍピーク－
7:14登山道戻り-7:22旭岳分岐-7:50旭岳ピ－ク8:00-
8:50旭岳西側登り口－9:15旭岳ピーク9:20－-9:40登山道戻り9:50-
10:00２７３３ｍピーク-11:35清水岳直下11:53-
11:56清水岳ピーク(２６５３ｍ）-猫又山へハイマツ漕ぎ～断念
12:50清水岳三角点-清水岳直下13:10-
13:55紅葉ビューポイントで休憩（２３１０ｍ）14:05-
15:10不帰岳避難小屋

9/23
5:10起床-6:30出発-7:30１８６０ｍ地点7:40-8:33１５４０ｍ地点8:45-
9:50１２９５ｍ地点10:00-11:03白馬岳登山口入口-11:20祖母谷温泉11:50-
12:20ゲート・名剣温泉前-12:30欅平駅13:10=15:01宇奈月駅=15:38新魚津駅

天候	9/19：小雨 9/20:快晴 9/21:晴れのち曇り 9/22:小雨一時曇り 9/23:小雨のち曇り
過去天気図（気象庁）	2009年09月の天気図
ファイル	非公開 4115.xls 計画書（更新時刻：2010/07/28 08:54）

感想

コージ

海抜０ｍから白馬岳～秘湯祖母谷温泉へマイナールートを辿る

コース：親不知駅～栂海新道～白馬岳～清水岳～祖母谷温泉～欅平駅
日程：前夜発９／１９～２３　　　　

【１日目：９／１９曇一時雨　親不知～下駒手前小ピーク】
シルバーウィークと言うだけあって、いつもガラガラの急行能登は超満席。糸魚川で鈍行に乗り換え無人駅の親不知で下車5:23。5:32大型車の多い国道を登山口へ向かう。
天候は曇、日本海は灰色に静まり返っている。道の駅で海水を触り高度計を０ｍに合わせる。入念にトイレを済ませる同行者、レースのスタート前のような儀式6:06出発。親不知子知らずの伝説の碑を過ぎ栂海新道登山口に到着6:54。
身支度整え記念撮影し、いよいよ第一ステージスタート。双方とも５日分の食料、液体燃料等２６ｋｇの装備を担ぎ、水平距離約４０ｋｍ、累積標高差＋約４９００ｍ、－約２０００ｍの白馬岳山頂を目指す。３日目には到着しなければならない。途中２泊をどこにするか、水をどこで得るかも勝敗を分ける楽しいゲームだ。名づけて「三日ボッカ」。身体がどこまでもつか、まさに耐久ボッカだ。
7:15出発してすぐ地形図の表記に惑わされタイムロス。標高が低いから蒸し暑く、しかも低山帯とは思えない急峻な地形と小刻みなアップダウン。たちまち全身から汗が噴出し、びちょ濡れとなる。１日目は白鳥山までの全行程が核心といえる。途中10分ほど休憩し、9:10入道山(425m）
10:42尻高山までくると一息つける。自然林の樹木たちがやさしく迎えてくれる。ひと頑張りしたと思っても、標高はまだ６７７．４ｍ。しばし休憩10:57出発。
坂田峠へ向かうと中高年男女のパーティーとすれ違う。賑やかなオバサン、先日このあたりで熊が出たと騒ぎ立てる。そういえば、マーキング臭がする。あわてて熊鈴装着。
11:40坂田峠。ここまではタクシーで入れるが、駅から駅へ、こだわりの徒歩旅行。先は長いというのに、すでに汗まみれ体力消耗しているが、これでいいのだ。これがおいらの生き様よ。11:50出発。
白鳥山までは急登の連続と、ぬかるみに足を取られる悪路が続く。熊ションマーキング臭が濃厚だ。登山道中央に、巨大熊糞発見！こんなデカイの見たことない、敵は大物だ。手を打ち笛吹く自分、鈴打ち鳴らす同行者、まるで巡礼御一行。
山頂直下の急登はきつい。同行者が、激しい発汗により電解質バランスが崩れたのか脚筋のあちこちが痙攣し始める。ピキピキッときたらストレッチでうまくかわさないと、硬直させてしまうとしばらく行動不能、痛みが残る。自分相当にも疲れて、休憩が10分ほど入る。
山頂到着15:20。白鳥小屋(避難小屋)は一ツ橋大学ＷＶ８名で賑わっている。上高地から入って１３泊目だそうだ。学生はいいなー。若者が山に来るのは嬉しい、学校の遠足で山のすばらしさをもっとアピールすればなぁ、と思うんだが。
狭い山頂だがテント２張り可能か、キジ場と銘打ったトイレもある。水はシキ割で取れたが細く、天候によっては涸れるかもしれない。泊まりたいところだが、先へ進んでおかないと後がきつくなる。霧で展望もなく15:40山頂を立ち去る。
予定では、ビバークは黄蓮山だったが、睡眠不足の自分と筋肉痙攣の同行者は、17:05下駒岳手前小ピーク1200mで力尽きた。やせ尾根でスペースは登山道しかないが、いいよねーっ緊急事態ということで。テント内は真ん中が低くなっていたが、爆睡すればどこでも天国。

【２日目：９／２０快晴　下駒手前小ピーク～アヤメ平】
5:00起床、標高が１２００ｍと低くシュラフなしでも暑いくらいだ。荷造りしようとすると、同行者、今度は手指が痙攣してなかなか進まない。スポーツドリンクに塩、行動食にカボチャの種で対策する。しかし、前日の疲れが残っている。一晩寝て回復する若者とは違う、この先疲労が蓄積していくことを考えると気が重い。6:50出発。7:00下駒岳、山頂というより稜線上のピーク、7:40菊石山、渋いが休憩、7:50出発。
三日ボッカ２日目、登りの先頭は自分、同行者は遅れず着いてくる。下りで先頭交代ということにした。核心は長栂山へ向けての長い登り、アップダウンを加え標高差６００ｍを登る。幕営予定地は長栂山だが、果たして行き着けるか。
やせ尾根、崩壊地で展望はよく明るい朝陽が心地よいが暑い。大汗かきそうだ。犬ヶ岳への登りにかかると樹林帯に入り、木の根の張り出した段差が続く。
9:50犬ヶ岳山頂直下の栂海山荘着。無人小屋だと思ったが管理人がいた。さわがに山岳会専用スペースで30分ほど休憩させてもらい腹ごしらえした。
10:30犬ヶ岳山頂着。快晴で展望良好。日本海が近くに見える、あんなに歩いたのに。南を見れば剣岳、そしてゴールの白馬はまだ遠く、その手前に第二ステージで踏破予定の旭岳が大きく見える。山頂は急峻な岩場でハングしているように見える。同行者は、日本百高山残り３座のひとつなので是非山頂を踏みたいというが登れるのだろうか。風景撮影後10:40出発。
ここからは低木帯のやせ尾根となり展望がよい。鞍部からサワガニ山までは急登で体力消耗。暑い。11:50サワガニ山１６１２．３ｍ、展望良い。団体に占拠され12:10発、先を急ぐ。
黒岩山まではだらだらと細かいアップダウンで意外と体力消耗する。同行者の筋肉の痙攣は治まってきたが、まだ油断ならない。疲労は徐々に蓄積している。
13:30黒岩山1624m食事休憩13:50出発。その先すぐ、中俣新道が分岐していた。その先黒岩平から朝日岳こそ栂海新道のクライマックス。高層湿原が広がり、美しい風景は地上の天国、極楽じゃ～！
夏ならお花畑、今や山はすっかり秋、快晴の陽光に錦秋の輝きが映える。低木の赤や黄色、真紅の草紅葉、綿状のチングルマ、そして哀しいほど蒼い空、おおっと息を呑み何もかも忘れさせる自然がここにある。今日生きていて、ここへ来ることができてよかった～。しばし撮影タイム。
歩き出せば風景は変わるが、それはそれでまたいい。14:30水場。テント２張りほどの極上の平面があり、植生復活の養生網が敷いてある。脇にベンチとテーブルが２セット。そして幕営禁止の立て札。２組様幕営どうぞ、と言っているようなものだ。若者２名が大きなザックを置いてレギュラーコーヒーなど入れて待機中だ。まだ夕方まで時間がありすぎるぞ、君たち。おじさん、おばさんは給水したら先を急ぐからね、バイバーイ。14:45発。
長栂山に近づくと傾斜は急になってくる。標高２０００ｍを越えた。木道と木段が続くので足運びは楽だが、給水して重くなったのと疲労の蓄積で全身がゴワゴワになっている。乳酸満タン、グリコーゲン欠乏だ。
太陽も西に傾いてる。先頭の自分との距離が開かないよう同行者が頑張るのだが、力が入らないらしい。そろそろ液体燃料補給したい。ふと左を見ると、窪地に池塘があり周囲に砂礫の平面が広がっている。下界には一面の雲海で景色もいい。小山の向こうなら道から見えない。ピンポーン！15:30幕営決定。今は枯野のアヤメ平2000m地点だ。
しかし、ここぞと思ったところに既に一張り、しかたないので２等地に幕営。とはいえ完全平面で寝心地最高だ。夜は満天の星空、快適キャンプだ。

【３日目：９／２１晴のち曇　アヤメ平～白馬岳】
4:00起床はどっこいしょ、全身パンプ状態。5:30出発。
本日の核心は雪倉岳の登りとゴール白馬手前三国境の登りだ。とくに雪倉の登りでのペース配分が難しい。ここは登りに弱い同行者が先頭を行くことにした。
6:20長栂山2267m、地図では、道は山頂の東を巻いているが、実際の道はほぼ山頂直下西側を通っている。前方に朝日岳が大きく見える。立派な山だ。逆光の長栂山頂を撮影し6:30出発。
7:50朝日岳山頂。白馬が近づいてきたが、その前に緩やかな山頂の雪倉岳が大きく広がり行く手を遮る。越えなければならない障碍だ。遠望に行先のルートを確認し8:10発。
朝日から一気に４００ｍ下り、雪倉まで６００ｍ登る。栂海新道は朝日までで、その先は違う山域なのだ。鞍部の低さがそれを物語っている。
9:40常水（水場）。この日も暑く、午前中の早い時期に行動用の水をかなり飲んでしまったので鞍部で給水する。これから一番たいへんなところというのに、重くなってしまった。ここには沢が２本流れており、めったに涸れない。水はまずかったが。
このあたりも高層湿原で景色がよい。疲れも癒される。赤男山を巻いて鞍部に立つと、いよいよ雪倉の長大な登りが始まる。休憩し体調を整え覚悟を決める。
同行者が先頭となり、マイペースで行ってもらう、ここでいっぱいになったら、どうせ最後の登りでペースダウンだ、
呼吸の状態で長時間続行可能な体脂肪燃焼速度がわかる。現役時代のように高負荷トレーニングをしていないので最大酸素摂取量低下とともに、体脂肪燃焼速度上限閾値も低下している。幸い段差のない道なので一定のリズムで足を運べばよい。ナメクジのようにジワジワと進む。
草木のないガレの単調な登りが続く。山頂らしきものが見えているが、なかなか近づかない。太陽が照り付け、砂漠を行進する難民の気分になってきた。
歩いていればいつか辿り着く。「どこまでも行こう、道が続くかぎり・・・」ン十年前のコマーシャルソングが頭の中を巡る。
スローペースに抑えられ、疲れてしまい、頻繁に休憩要請。12:45ようやく雪倉山頂2611mに到着し休憩をとり、13:15先頭交代し出発する。
避難小屋までの下り、到着時間を逆算し、ハイペースで飛ばす。下りなら同行者も着いてこれる。避難小屋で10分トイレ休憩。その先登りに転じても速いペースを維持。離されないよう同行者は頑張るが距離が開いていく。適当なところで休憩を入れて、おい着かせる。
休憩サインを出すと、同行者はザックを投げ出すと地面にひっくり返る。一瞬暗闇の中に意識が沈む。復活して立ち上がる。気分は人間に戻っている。そうだ、希望を抱け！頑張ったご褒美はビールだ、冷たくておいしいビールのために頑張ろう！
稜線に乗るとゴールはもうすぐ。もう無感覚に惰性で動いている。感情移入する気力も、きついと感じる感覚もない。ほんとうにぶっ壊れるまで動く機械のように、動いているから動き続けている。
ふと前方を見ると人がいっぱいいる。標識が立っている。見覚えのある山頂だ。ああ着いたんだ、もう登らなくていい、力が抜けていく。ザックを放り出し、その場にへたり込もうとする同行者を呼ぶ。思いっきり嬉しそうに笑う。そうだ！達成したんだ、17:10白馬山頂到着。海抜０ｍから2932mまで三日ボッカを達成したんだ！
大きなザックを担ぎ、山頂標識のところで記念撮影し、17:20テン場へ出発。ビールだ！
17:40白馬岳頂上宿舎に行ってみると、ご褒美の缶ビールは売り切れ。売店に生ビールがあるかと聞くと、２杯分ぎりぎりで在庫切れとなり、なんとかありつくことができた。その後来たおじさんたちはビールにあぶれた。
重い装備でこのコースを登るのは、計画段階で自分にとって体力の限界に挑戦するものと分かっていた。果たしてできるのか、単独だったら、おそらく夜間行動の到着となっていたと思う。きつかったからこそ達成感はすばらしい。生ビールは極上の味がした。
テン場は満杯でいい場所がなかったが、疲れた身体を横にすると気持ちよく、すぐに深い眠りに落ちていった。

【４日目：９／２２小雨一時曇　白馬岳～旭岳ピストン～清水岳～猫又山偵察～不動岳避難小屋】
4:40起床、6:30出発。朝から雨。でも下り方向に転じたので気分は軽い。本日より第二ステージ、未踏の百高山・旭岳登頂と猫又山・猫ノ踊場ハイマツやぶこぎ、そして秘湯祖母谷温泉へ下山だ。
清水岳から猫又山は無雪期の記録がネット上見当たらない。かなり前に行った人がいるらしいという記述はあったが、おそらく藪がひどいのだろう。今回偵察のみで終わるかもしれない、くらいの軽い気持ちだ。まして、その先の猫ノ踊場まで行き着けることは期待していない。おまけのオプションだ。
6:55祖母谷温泉方面へ分岐。旭岳への踏跡と間違えへんなピークに乗り15分ほどタイムロス。もともと道がないので霧の日はわかり難い。気を入れなおし、未踏の百高山旭岳をつぶしにかかる。計画では最も傾斜の緩そうな南西尾根を詰める予定だったが、7:20南東尾根にケルンがあり踏跡があるので行ってみる。公式登山道ではないので悪路だがましなほうだ。稜線に出ると晴れていれば展望がよさそうだが、残念ながら視界はすべて乳白色。
7:50これ以上高いところはなさそうだ、というところに詰め上げる。その先に岩が続いているが危険な感じがするので、そこを山頂ということにして引き返すことにする。でも、なんか腑に落ちない。たしかに三角点もないピークだが、手製の山名札くらいあってもいい。
引き返しながら、右に分岐する南西尾根の分岐を探したが見つからないうちに、取り付き点を過ぎ、白馬方向へ少し戻ってしまった。登りと下りでは距離感が違う。
8:35元のケルンへ戻り、清水岳への登山道をすこし行くと、8:50岩に赤いペンキで旭岳と書いてあるのを発見。これが当初予定していた南西尾根だ。今一度行ってみないと後悔する。ザックをデポし空身で行く。踏跡は不明瞭で初っ端から岩場っぽいが、傾斜は緩く南東尾根より登りやすい。滑落の危険のないルートをとり、先ほどピークと妥協した地点に到着すると、なんとそこが南東尾根との分岐だった。その先も岩の西側を巻いて行けば空身ならどうということもない。9:15山頂らしきところに着いた。山名札かと思われるものがあるが、文字はきえている。こういう人々から見捨てられた空間が大好きだ。
これで同行者は、日本百高山９８座目をゲットという。つぎの渋そうな清水岳と猫ノ踊場へ向かうため9:25下山。
11:35清水岳直下に到着。山頂への道や案内などない。休憩しサブザックに行動用装備だけ詰めて宿泊装備はデポ。
清水岳はほんとに渋くて、のっぺりしていてどこがピークか分からないし、まったく登高意欲をそそられない、山ヤから無視された存在だ。だからこそ遊びたくなる。11:55北のピークから方位確認し猫又山方向へハイマツをこいで下降開始。背丈を越えるハイマツは、下るときは乗っかって踏みつけていけばいいが、登るときはそのフレキシブルな枝を掴み身体を持ち上げ足場を定めて、という動作を繰り返すのだが、フレキシブルなのでしっかりバランスが保てずよろめきコケる。コケるとなかなか起き上がれず、時間はどんどん経過し、体力消耗は激しい。
深入りすると戻れなくなり、永久に発見されぬままハイマツの養分と成り果てる可能性があるので戻る。元の出発点の円形に地面が露出した地点に向かったつもりが、ハイマツの下をもがきながら、25年前に雪山滑落でほぼ同年齢で亡くなった人の遭難慰霊碑をヤブの下に、自分が偶然見つけてしまった。状況からしてもう何十年も誰にも気づかれずにいたもの、自分が「呼ばれた」と思うとゾッとした。
せめて周りを刈り払ってあげたかったが。
次は南側へ三角点を探しに行く。ありそうなところになく、よく見ると奥に別のピークがあり踏跡もある。12:50清水岳三角点と文字の消えかけた手製の山名札を発見。さびれた不遇の山だ。

13:10遊びは終わりにして、不動岳避難小屋に向かう。途中、13:55紅葉ビューポイントで10分休憩した。
15:10不動岳避難小屋到着。宿泊可能だがトイレは使用不可となっている。小屋の中に濡れたものを干し、宴会が始まる。テントのほうが暖かいので小屋前に幕営し、ねぐらはそっちにする。
明日は下山、温泉に浸かり酒盛りでもしながら帰るだけなので気が楽だ。残った酒全部飲んじゃえみたいな勢いで大いに盛り上がった。気がつくと、そのまんま小屋で寝ていた。

【５日目：９／２３　小雨のち曇　不動岳避難小屋～祖母谷温泉～欅平駅】
5:10起床。目覚めると、まだ酒が残っている。とりあえずラーメンで温まり、水分を取ってアルコールを抜く。
6:30出発。ここからの下山道は、あまり歩かれていないので足場が悪い。とくに下部は小沢を何本も渡渉するトラバース道で、道幅は狭くときには足を置くのがやっとというところもある。そういうところは慎重に進んだ。すべて順調だった。
あと１時間くらいで道路に出るというところで、突然、ザレに乗ったのか勢いよく足が滑ったと思った瞬間、身体が右を下にして横倒しになり、右手の上に身体とザックの重量の衝撃がかかり、腕に怪我をしてしまう。
11:20祖母谷温泉到着。素晴らしい秘湯だが、ゆったり楽しむ時間的余裕がないのが残念。13:10のトロッコ電車に乗りたいので落石危険通行禁止の道を駅へ急ぐ。駅について目当ての便の切符を買い、ひと安心、キリンラガーロング缶でお疲れの乾杯。
13:10トロッコ電車乗車。登山者は全員４号車に乗せられた。

栂海新道三日ボッカで、個人的にきつかった地点は、①１日目午後：白鳥山までの長い登り②３日目：雪倉岳までの長い登り。

若い皆さんには、日本海・親不知海岸から、水平距離約４０ｋｍ、累積標高差＋約４９００ｍ、－約２０００ｍの白馬岳山頂をまで、ぜひ３日ボッカ２５ｋｇにチャレンジしていただきたい。きっと生涯、記憶に残る山行になりますよ。