平ノ松山〜石滝山〜県境稜線〜大薊山 夢仙人大橋から周回


- GPS
- 15:18
- 距離
- 17.1km
- 登り
- 1,830m
- 下り
- 1,822m
コースタイム
天候 | 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
登山道の無いルートです。ただ、登り始めの尾根と下ってきた尾根共に、下部の方には明瞭な踏み跡がありました。 |
写真
装備
個人装備 |
スパイク長靴。
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感想
焼石岳と栗駒山の間の山域(栃ヶ森山塊とか桑原山塊というらしい)へ、昨年初めて足を踏み入れた。その際の東山から、栗駒方面に折り重なるように連なる様々な山々に興味を引かれた。色々ルートを考えたが、国道342号の冬季通行止めという縛りがあり、時期はどうしてもGWまで待たねばならない。岩手との県境稜線に辿りつくまでの尾根は藪漕ぎが多くなるだろうが、比較的登り易いと思われる平ノ松山登頂を最低目標とし、核心部は石滝山への急登と考え、早起きして出かけた。下山にとる大薊山から西に伸びる尾根は、細いし長いから、時間と体力を十分に残しておく必要があるだろう。尚、今回の登りのルートは、2015年のtooleさんの大薊山レコに私がコメントを入れていたもの。
結果、今回は反省点の多い山歩きとなった。初めて滑落を経験したこと。仰向けに、頭を下にして滑り落ちた。細い木にぶつかり、その後で止まった。ヘルメットをしていて幸い怪我はなかったが、気が緩んでいたのが原因だ。P1,008を越え、うるさかった工事現場の音も聞こえなくなり、藪から解放されて、これから残雪の尾根歩きだ!などと浮かれた矢先の出来事だった。
岩手との県境稜線に雪がほとんど付いていなかったことも読み誤り。下りではさほどでもないが、少し登りになると、大幅に時間を費やした。特に大薊山への登りでは、背丈を大きく超える、親指程の太さのネマガリダケが覆いかぶさり、足元も竹で滑り、悪戦苦闘。暑さも加わってヘロヘロ状態となった。雪の多い山域の県境稜線だから、いくらか残雪があるだろうという読みは甘かった。平ノ松山に立った時はまだ朝だったので周回に向かったが、下山したのは結局日没となった。
大薊山から西に伸びる尾根は所々で細く、神経を集中して通過した。暗くなる前に、P1,075を越えたいと思っていた。手前まで難所の続くP1,075を越えれば、後はほとんど明瞭な尾根の下り、藪も次第に薄くなり、下部では踏み跡も出てくるだろう。多少暗くなっても、工事現場の音も聞こえて光も見えてくるだろう・・そう自分に言い聞かせて、体力消耗で歩けなくなる事態は避けようと、焦らず慎重に進んだ。ビバーク装備は持っているが、翌日に朝一で仕事があるから、今日中に下山するという意志は持っていた。
これほどの長い時間・距離の藪漕ぎ登山は初めてだった。1,100m前後の標高ながら、存分に山歩きの醍醐味と大展望を味わうことができた。成瀬ダムが完成したら、今回の尾根に取り付くこと自体が困難になり、秋田側から登ることは至難の業となる。様々な意味で、自分には忘れられない山歩きとなると思う。
コメント
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しかも、スパ長ですか
滑落のコメントの場面では、ドキリとしましたが、ヘルメットをされていたのはさすがです。
ご無事で安心しました。
ネマガリダケはただでさえ厄介なのに、濡れていると滑りまくって体力消耗ですよね。
3mもの大雪庇は、スパ長を蹴り込んで下りられたのですね。写真に蹴り込みのあとが見えました。いや〜すごい。
ダムができると幻のルートになるのですか。
その前にこのルートを歩くことができて、満足感・達成感もひとしおだと思います。
ゆっくり休んでください。
と言おうと思ったら、翌日仕事だったんですね。さぞ筋肉痛だったことでしょうね
kamadamパワーに脱帽です。
レコを読み終わって、kamadamさんが夢仙人に思えてきました。
本当の「藪のプロ」、ネマガリダケのタケノコを採って生計を立てる人たちの大変さを身をもって体験しました
nyororoさんよくご存じのように、たとえば左手を前に出してかき分けても、全部左に寄る訳ではなくて、右に寄っていて重くて動かせないのもある。それで跨いで前に行こうとしても、今度はザックに刺したピッケルが前かがみなので引っかかったり・・・
でも一番嫌なのはツタですね。nyororoさんのナタ作戦、いつか実行してみます
ヘルメットをしていたのは、実は藪漕ぎ対策なのですよ。
滑落して止まった所からは、さらに下へ30mぐらい雪の急斜面が続いていて、そこも滑っていたら本当にアウトでした。止まって怪我が無いことを確認した後で考えたのは、ココヘリ発信機をザックに入れていて、仰向けの状態で意識を失ったら発見してくれるのだろうか?ということです。以前、ザックに覆いかぶさるようにして倒れていた人を受信できなかったという事例があったということなので・・
いずれにせよ、どんな実力者でも事故を起こすことがあります(私が実力者ということではもちろんなく)。
人間なので気が緩むということはありますが、そんな時こそ気を付けなければという事例だと、反省しています。
スパ長はいろんな状況で適応でき、重宝しますね
あけぼのから日没までの長いミックスルートの周回、本当にお疲れ様でした。
渡渉、雪渓、藪、岩稜等のオールミックスルートのスパ長登攀は、それぞれに高い技術と豊富な経験を持つ超人的パワーのkamadam さんならではものですね。トラブルは付きものですが、今回怪我なく終わって良かったですね。
東成瀬のこの山塊(栃ケ森と呼ばれるのですか。)は小生もかって上東山山頂からロマンを感じながら眺めた記憶があります。まぼろしの秘峰となる前に踏破出来て最高でした。今回も内容濃密なレコを存分に楽しく拝見させていただきました。
しかし山域としては、tonkaraさん好みの要素がたくさん入っているのではないでしょうか。
この山域の沢は険しいので、尾根に取り付くには末端からということになりますが、ダム湖ができてしまうと水没してしまうでしょう。ボートで接岸するなどするしかなくなります。
尾根の下部にはしっかりした踏み跡がありましたので、タケノコ採りなどで人は入っていると思いますが、渓流釣りの人たち共々、楽しみが消滅してしまうことになるでしょう。
今回の山々へ岩手側から登ることは可能でしょうが、秋田側から尾根を辿るのは、まさにまぼろしとなるかもしれませんね。そうなる前に、もう一度ぐらい平ノ松山へは登っておきたいと思っています。tonkaraさんにもお薦めいたします。
岩手側から入って石滝山から平ノ松山へ向かうとなると、懸垂下降が必要かと思います。
コメントありがとうございました。
お久しぶりです、お怪我無く幸いでしたね!
桑原山塊は残雪期でなければ登るのが困難な場所で
道路開通に合わせると残雪も期待できず、藪漕ぎが強いられ大変な苦労だと思います
しかしながらこんな周回ルート、よく思いつき実行させましたね
相変わらず凄いです!
自分も成瀬ダム工事が冬季も行われていることを知っていたので、通行許可を申し出ましたが
工事関係者以外は通行不可とのことで許可を頂けませんでした
(数年前に大薊山、狐狼化山を道路開通後に登った時も結構な藪漕ぎをして登りました)
今年は山に登る機会が少ないので、kamadamさんの刺激的なレコを興奮して見ております!
前回の前森山〜虎毛山もいつか自分も歩いてみたいです
お仕事お忙しいようですね。morizaemonさんもどこか登っておられるだろうな・・と思っていましたが。
ダム工事は冬も行われているのですか。では当然除雪もしているし、道路沿いが雪崩にやられないように管理しているということですね。登山愛好者も通してくれないかなあ
実は昨年栗駒山の麓を散策して帰る際、今回の山行のために駐車スペースや入山口を確認しておきました。今回下山して沢を渡渉した後は、暗くてヘッデン使用となりましたが、昨秋下見をしていたので不安は無かったです。
この山域の地図を眺めて、ルートをあれこれ考えるのは楽しいですね。本当は北ノ俣沢の中流まで残雪期に入ることができれば、いろんな尾根を歩けそうなのですが、激流なのでちょっと無理。今回の尾根を選択するしかありませんでした。
またmorizaemonさんのレコを楽しみにしております
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