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Yamareco

記録ID: 441166
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沢登り
日光・那須・筑波

足尾銅山から中禅寺湖へ 丹平治沢遡行

2014年05月04日(日) 〜 2014年05月05日(月)
 - 拍手
GPS
--:--
距離
19.1km
登り
1,491m
下り
864m

コースタイム

5月4日(日)
わたらせ渓谷鐵道間藤駅10:45ー11:20足尾砂防ダムー12:10入渓点12:30―13:203段25m13:30ー15:25雪渓末端ー(途中10分休憩)ー18:05幕営地(標高1920m付近)

5月5日(月)
幕営地4:45ー5:25 1954m小ピークー7:30千手ヶ浜ー8:45竜頭の滝バス停
天候 5月4日:快晴のち曇り
5月5日:曇りのち小雨
過去天気図(気象庁) 2014年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
コース状況/
危険箇所等
丹平治沢:後半は雪渓に覆われていたので様相不明。前半は、平凡な個所は多いものの、滝は顕著で見ごたえがあります。ただし、諸事情であまり気持ちの良い遡行ではありませんでした。

エスケープ尾根:急登ですが、基本的にロープ使わずに登れるレベルです。ただし、下部〜中間部は鉱毒の影響かほとんど全ての岩が動くほど脆く、常に緊張を強いられます。上部も相変わらず急ですが、草原状なので少なくとも危険はほとんどありません。”明瞭な獣道”もありました。ただし、熊がうろついていたので、別の危険があるかも。

幕営地〜大平山〜千手ヶ浜〜竜頭の滝バス停:
幕営地〜1954ピーク先までは、ごく薄い笹薮です。地図が読めれば誰でも通過できます。1954ピーク先からは登山道があるはずですが、標高1800m付近までは一面雪に覆われていました。50cm−1mほど積もっていたと思われます。また、標高を下げても時折積雪があり、下るのに苦労しました。(←冬季用登山靴なら何ともないレベルですが、今回トレランシューズだったもので(笑)) 千手ヶ浜から先は、ハイキングコースです。入渓以来、初めて人に会いました。

観光列車
木製の改札(重要有形文化財らしい)
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木製の改札(重要有形文化財らしい)
本日最初の滝(笑)
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本日最初の滝(笑)
沿線にはこんなレストランも
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沿線にはこんなレストランも
間藤(まとう)駅に到着〜
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間藤(まとう)駅に到着〜
かつての面影
精錬所跡
荒涼とした山肌
緑化事業進行中
シマヘビ
松木渓谷右岸の岩壁
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松木渓谷右岸の岩壁
入渓点の橋
最初の小滝
8m滝(左の乾いた壁を登る)
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8m滝(左の乾いた壁を登る)
15m幅広滝(左巻き)
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15m幅広滝(左巻き)
光る飛沫
高巻き途中から
高巻き終了点
平凡な河原
先が若干ゴルジュっぽい
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先が若干ゴルジュっぽい
証拠写真
巻きの岩場(安定して登りやすい)
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巻きの岩場(安定して登りやすい)
右のCSの裏から登る
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右のCSの裏から登る
ザックはロープで引き上げる
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ザックはロープで引き上げる
倒木が多くなってきた・・・
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倒木が多くなってきた・・・
沢を埋める雪渓
エスケープ尾根(鉱毒のせいか写っている全ての岩が動く)
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エスケープ尾根(鉱毒のせいか写っている全ての岩が動く)
だんだん展望が出てくる
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だんだん展望が出てくる
振り返るとこんな感じ
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振り返るとこんな感じ
草原状になってきた
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草原状になってきた
尾根に到着♪
精錬所周辺が見える
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精錬所周辺が見える
標高1920m付近
本日はここまで
ごく薄い笹薮
時折残雪も
むむ、ガスってきた。
むむ、ガスってきた。
1954m標高点付近
北面に入ると一気に積雪増大
北面に入ると一気に積雪増大
コンパスで角度を切ってガンガン進む
コンパスで角度を切ってガンガン進む
黒檜岳への分岐
標高1700m付近
ここは下るのに手こずった
ここは下るのに手こずった
湖面が見えた〜
最後の最後まですんなりとはいかない
最後の最後まですんなりとはいかない
雪渓の左岸を下降した
雪渓の左岸を下降した
中禅寺湖!!
湖畔をのんびり歩く
湖畔をのんびり歩く
ルリビタキ?
竜頭の滝バス停到着
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竜頭の滝バス停到着

感想

ジャンルは一応沢登りとしていますが、沢・藪・雪・夏道すべてミックスされたジャンル不明の山行になりました。
足尾から中禅寺湖に抜ける一般登山道はないため、沢を使って二つの山域を繋いでみようというコンセプトです。

いろんな要素満載の山行ですが、最も印象に残ったのは未だに残る足尾銅山の鉱毒の影響でした。

19世紀末に亜硫酸ガスと銅の製錬による廃棄物により深刻な環境被害をもたらし、1000人以上の死者を出したとも言われている足尾銅山。今回の山行では21世紀になった現在でもその影響が色濃く残る現実を見て、公害の恐ろしさを目の当たりにした気がします。

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5月4日(日)
雲一つない快晴である。
意気揚々と始発列車に乗り込んだが、3つ目の駅でメットを忘れてたことに気付き引き返す。
いきなり1時間のロスを作ってしまったが、気付くのが東武動物公園駅とかだったら山行そのものを中止せざるを得ないのだからまぁいいか。

東武線を乗り継ぎ、わたらせ渓谷鐵道相老駅へ。
駅には、一昨年4月1日にお目見えしたベルギーの国旗を縦にしたようなカラーの「トロッコわっしー号」が停車しており、せっかくなので写真を撮っておく・・・というように(特に電車が好きというわけではない)自分が書くためには、帰宅後にわたらせ渓谷鐵道株式会社のHPを調べる必要があった。

全く予備知識無しの状態だったが、わ鐵(このように略すらしい)に乗るのははなかなか面白い。
車窓には桜の並木や渓谷沿いの新緑など風光明媚と形容しても特に異議は出ないと思われる景色が続き、特段のみどころがあれば早歩き程度の運行速度に落として車内放送でその歴史などを説明してくれるのだ。

有形文化財に登録されているらしい木製の改札がある駅や、昭文社の地図の解像度では直角に表現するしかない急カーブや、登攀していたとしたらザイルが列車と接触するのではないかと思われるほど線路の近くにある滝などを眺めていたら、ほどなくターミナルである間藤駅に到着。

暑い!
ほとんど観光客ばかりで登山客は皆無に近い。

ここからはしばらく車道歩き。松木川の対岸にあるかつての鉱山関連施設を眺めながら進んでいく。
前方の山肌は、鉱山からの排煙の影響か、ほとんど緑が見られない。

一般車用のゲートがある銅親水公園あたりから特に荒涼とした風景となる。
これがアメリカ西部の山岳地帯なら自然なのかもしれないが、日本であれば当然森林限界下である高度にもかかわらず、周囲どこを見渡しても非生物的な岩肌が露出している。核弾頭を搭載したミサイルが青梅市あたりに着弾したとすると、もしかしたら奥多摩もこういうふうになるのかもしれない。

緑化事業も進行中のようで、確かに下部には若干の緑が見られる。
しかし、山全体を緑が覆うようになるのはいつの事だろうか・・・

・・・なんてことを考えながら歩いていると、入渓点にかかる橋に到着。
途中で何人かとすれ違ったが、登山客より釣師の割合が多いようだ。

入渓準備。

最初の小滝を越えると、8mほどの赤茶けた滝が出てくる。
直登は厳しいので、左の乾いた壁から登る。ザックが重いので慎重に。

これを登り終えると、すぐに15mほどの幅広滝が出現。
登攀する気は起きず、左のガレから巻く。
途中から沢に向かってトラバースをかけるが、アスファルトのような黒い岩はフリクションが非常に良く効いた。

これを過ぎると一旦平凡に。

しばらく行くとゴルジュっぽい岩壁が現れ、3段25m滝がかかる。
かなり頑張れば下部は右壁を登れそうだが(残置あり)、上部の様子は不明。
セルフタイマーで写真を撮ってから右から巻くことにする。
この巻きも、岩は非常に安定しており、快適に登ることが出来た。

岩は快適だが、沢については所々汚れ(※)が目立ち、迂回に努める。
※比喩表現です。現実がどのような状態であったかは、皆さまの豊かなご想像にお任せします。

続いて現れた6m滝。

ここまで巻いてばかりで少々味気ないので、CSのある右ルンゼ状をトライしてみる。
ザックを持ったままだと厳しいので、まずは空身で登り、後でザックを引き上げる方式に。
最初、CSの裏に出来た穴を利用して登るが、ザックをこの穴を通して引き上げることは出来ないことに気付き、ロープを張りなおしたりして、思いのほか時間がかかった。

この先少し進むと倒木が増える。

さらに進むと雪渓が現れる。念のため近くまで行ってみるが、雪渓の末端が大変汚れており(※)、これ以上の遡行は”物理的”及び”生理的”に無理と判断し、左の尾根からエスケープすることにする。水は”枝沢”から2.5リットルほど汲んでおく。
※引き続き比喩表現です。

地形図で見る限り、この尾根は急峻ではあるが、顕著な岩場はなさそうだ。

さて、この尾根、下部は比較的マシだったのだが、途中からやたらと岩が脆くなる。
ほとんどすべての岩が動くといっても良いほどだ。
傾斜はさほどではないが、足元も非常に軟弱なザレで、一度滑り出したら止まりそうにないので常に緊張を強いられる。

これはおそらくは鉱山の存在が影響しているのだろう。
亜硫酸ガスが直接地盤を痛めたのか、木が枯れて間接的にボロボロの地盤になったのか分からないが、現状では森林が育ちそうもない。グロテスクな形に根を張った枯れかけの灌木が僅かに生育しているのみだ。

通常であれば問題なく通過できるような斜度の箇所がかなり怖く、一度空身で登り、ロープを張ってからザックを背負って登り返した部分もある。

上から見る限り、沢の方は上部まで雪渓に埋め尽くされている。

標高1700mあたりで、ようやく草地になり、安定度が格段に良くなる。ふ〜〜〜っ。
・・・と安心していると、右手の斜面で落石が発生したようだ。

そちらに目を凝らすと 熊 がいる。。勘弁してくれ(;_;)

幸い距離があったので、ハーケン類をガチャガチャ言わせて予めこちらの存在を知らせたところ、一旦は遠くにいったようだが、この後も何回か姿を見かけた。だんだん精神的に疲れてくる。

陽が傾きかけたころ、ようやく稜線上(標高)に到着。
おそらくは獣道と思われるが、踏み跡っぽくなっている部分が結構あった。

大平山への分岐まで行くと、南東に延びる尾根上に、景色の良い幕営適地発見(写真参照)。
夜行性のクマが数100m下をうろちょろしていたことを考えると少々不安であるが、本日はここで泊まることにする。
標高2000m近いだけあり行動を止めるとすぐに寒くなる。

笹を支点にしてツェルトを張り、ご飯を炊き、チーズ風味のハッシュドビーフとたけのこの旨煮を食べて就寝。
夜は風が強く、バタバタというツェルトの音で何回も目が覚めた。


5月5日(月)
4時前起床。睡眠不足。
朝は氷点下まで冷え込み、外で干しておいた沢足袋が凍結していた。
インスタントのうどんをかきこむように食べる。

空はグレー一色。

登山道のつけられた1954標高点先までは藪漕ぎ。
といってもこの時期なので、いかにもやる気のない膝〜腰丈の笹が生えているだけだ。コンパスを使ってガンガン進んでいく。
地形図で見ると大平山から先は地形がのっぺりしており現在地把握が難しいかと思われたが、途中でガスってきたにもかかわらず意外と問題なく通過できた。

さて、「ようやく登山道だー」と思って1954m標高点の先まで行くと、向かう方向は北面のため一面の雪原・・・。
これでは、登山道があっても無くても一緒だ・・・orz

積雪は50cmから深いところで1mに達している模様。

幸い雪は締まっておりラッセルにはならなかったので、コンパスで角度を切って再びガンガン進んでいく。
時々プレートがあり、発見すると安心する。

結局、標高1700m地点あたりまで完全な雪道。
一度見事に踏み抜き、足を捻りそうになった。

登山道が現れてからも、断続的に積雪が現れ、標高1600m付近では下るのにかなり苦労した。
#ちなみに、アイゼン&ピッケルがあれば何の問題も無いレベルです。

ようやく中禅寺湖に辿りつくかと思われたころ、登山道を横切る雪渓出現。
まったく最後の最後まですんなりとはいかせてくれないな・・・

雪渓上に踏み跡はあったが、それなりの規模がありいつ崩落するか分からないので、雪渓の左岸の斜面をくだり、水が現れたところで渡渉して、あとは雑木林の中を適当に下っていった。

念願の中禅寺湖着。湖岸で記念撮影。

あとは、湖岸につけられた登山道をのんびりと歩いて、竜頭の滝バス停へ向かう。
ここまできて、ようやく2人の登山者に会った。

群青色のルリビタキのような鳥など普段は見かけないような鳥がたくさんいたので、バードウォッチャーにとってみれば垂涎もののエリアなのかもしれない。

竜頭の滝バス停から日光駅へ向かう途中で雨が降り出した。
ここまでもってくれて良かった。

わたらせ渓谷鐵道の駅よりも遥かに大勢の観光客でにぎわう日光駅で揚げゆば饅頭などを食べ、職場へのお土産なども購入してから帰途についた。

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