カムイエクウチカウシ山
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- GPS
- 17:43
- 距離
- 30.3km
- 登り
- 1,769m
- 下り
- 1,762m
コースタイム
天候 | 晴れときどき曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
ゲートから七ノ沢出合までの林道は帯広レンタサイクル「とかっちゃ」で自転車を借りると多少短縮できる SoftBankは札内川ヒュッテは勿論札内村中心部より先圏外 |
コース状況/ 危険箇所等 |
三俣付近から雪渓が現れるが、避けて通れるので軽アイゼン不使用 八ノ沢カール上部に傾斜の強い雪渓あり。距離は短く避けてもいけるがルーファイしっかり。雪渓を通過しないショートカットもある |
その他周辺情報 | 札内川ヒュッテ…とてもきれい ビバーク適地 八ノ沢出合…適地らしい所は分からなかったが寝心地無視すればいくらでもありそう 八ノ沢カール…どこでも 日高稜線…稜線上がりきった所と山頂直下 下山後…帯広市街地の天然温泉たぬきの湯1時まで。遅くまでやってる日帰り入浴はここだけかも。石鹸やソープ類はないので入浴券とともに買うか持ち込みで |
写真
感想
当初は八ノ沢出合で幕営し翌日山頂ピストンするオーソドックスな1泊2日の行程で計画していた
7日、北海道入りするとそれまでの晴天予報が一変、元台風4号が低気圧となって9日午後から連日の雨予報に。札幌、帯広で最終準備をして札内川ヒュッテ泊。先着3人組はもう寝る所だったのであまり話せなかったが、去年はカムエク日帰り、明日はコイカク経由1839峰へ向かうとのことで相当の強者チームと見受けられる。今シーズンのカムエクレポがヤマレコ、YAMAP含め前週1件のみと情報が乏しかったので勇気を頂く。
カムエク最大の懸念であるヒグマ対策として、ソロで八ノ沢出合やカール上での幕営は絶対避けたい。かといって天気予報的に入山者は期待できない。諸々鑑みてヘッデン覚悟で早朝出発からの日帰り凸の決断をした。
8日4時、Co500mヒュッテ発。3人組はヒュッテから数分で1839方面へ別れ急に心細くなる。七ノ沢出合でチャリデポして入渓。始めはるんるんで浅瀬をチャプチャプ進んでいくがやはりCo700m八ノ沢出合までとにかく長い。出合からは岩が出始め、渡渉レベルが1段階上がる。
Co1000m三俣で沢靴から登山靴へ履き替える。あとから考えるとこの先カールまで沢靴のままでよかったかも。個人的核心部はここから。滝と化した沢を概ね左岸沿いに進んでいくが急傾斜、脆い足場、乏しい踏み跡、わずかなピンクテープ、申し訳程度のおたすけロープなど本格的なバリエーションルートが牙を剥く。刈払いなど勿論されてなく、途中で鬱陶しい藪もどきを避けようとナメ岩をよじ登ってしまい、草付きを掴みながら10〜20mほど無理やりトラバースして踏み跡へ復帰したがかなり危なかった。他にもボロいロープを掴まざるを得ないへつり、滝上部から右岸へのトラバースポイントなど、一発退場ポイントやルーファイ要素が多く時間と体力がゴリゴリ削られた。沢音が小さくなり振り返ると、遥か下に八ノ沢出合が見え多少は苦労が報われた。
Co1500m八ノ沢カールで大休憩したかったがガスが多く、また匂いのある食べ物も取り出したくないので手を叩いたり奇声を発しながらカウンタースプレーを手に持ち、ヒグマに全神経を集中、福岡大ワンゲルレリーフに手を合わせて足早に上へ逃げる。カールから一瞬晴れ間が覗き、日高の稜線から伸びるカムエク山頂を見た時は神々しささえ感じた。同時にあと500mも上がるのかと気が滅入る。稜線直下にいやらしい雪渓があるがギリつぼ足可。足跡機能をよく見るとショートカットがあり、雪渓がなかったので下りに使用した。
Co1700m日高主稜線に着くと視界が回復、ビバーク適地にてようやく大休憩。日高連峰はとにかく圧巻の一言。全てはこの景色のため。カムエクと反対側のピラミッド峰も威圧感がすごい。はるか遠方には3年前に登った日高連峰主峰幌尻岳。これだけのスケールに自分以外誰もいないと思うと万感の思いだ。冷凍チャーハンも塩梅良く温まり一気食いした。が既に体力は消耗しており、稜線上に下向きに生えたハイマツによって尽く跳ね返される。ラッセルばりにマジで進まない。さらに稜線はかなりの痩せ尾根で足運びも慎重。そんな時に足が攣り、慌てて芍薬甘草湯と塩飴を摂取。
残り標高差300m、食料の入った匂い充満ザックは常に持ち歩くつもりだったが、どうにもならないのでザックとストックをデポ、両手でハイマツを掻き分けて最後の力を振り絞る。本当の最後、山頂手前100mだけハイマツが消え人為的ビクトリーロードを歩いて山頂着。
山頂の感想は忘れた。ここまでの行程が全てだ。写真だけ撮って滞在3分で下山開始。体力ゲージのない状態でのカール〜三俣の下りは相当に危険で怖くて全くCTを巻けない。ポツポツと弱い雨粒も降ってきて滑りやすく、四つ足下りや草掴みなど握力もかなり使った。
三俣で最後の給水濾過をする。ちょろちょろ過ぎてイラ。よっぽどエキノコックスがぶ飲みしてやろうかと思った。ここで最大のやらかしに気付く。ヘッデンがない。日帰りを決めてから再確認したはずのヘッドライトが見当たらない。日没無光即ち死というのは登山の王道方程式。暗闇のヒグマリスクも拍車をかける。ぞっと身の毛がよだつ。とにかく陽が出てるうちに少しでも沢を降りなければ。カウンタースプレーとナイフをセットし直し、沢靴に履き替えて渡渉ポイント全無視で降りていった。八ノ沢出合あたりで日没を迎えたが、偶然の半月が沢床を照らしてくれ、8時すぎまで肉眼ですすみ、そこからは予備のミニランタンとスマホで照らしながら駐車場についた。
車に着いて初めて分かったのは、足の痛みや出血、傷付いたヘルメット、そして運転席に丁寧に置かれたヘッドライトだった
前提としてマイナールートはCTがシビアである点、過去レポのいずれも超健脚者揃いである点、バリルートへの単独行、ヒグマ生息地の夜行動、装備の確認不足など反省点はいくつもある。今回、ヒグマは遠方2頭のみで済んだことや月明かりなど含め幸運が重なったことを肝に銘じて早く次の山に行きたい
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