Chamonix - Zermatt(HR&TDC)
- GPS
- 70:02
- 距離
- 312km
- 登り
- 22,124m
- 下り
- 21,558m
コースタイム
03:15 L'Arveyron Open House
04:45 La Flegere
05:45 Lac Blanc
07:00 Tre-le-Champ
09:30 Col-des-Balme
10:30 Trient
08/07 14時間, 66km, D+4,500m
03:00 Trient
06:00 Fenetre d'Arpette
07:30 Champex
08:15 Orsieres
11:00 Mont Blure
13:00 Bourg St.Pierre
16:00 Great St.Bernard
17:00 St.Rhemy
08/08 12時間, 59km, D+4,000m
03:50 St.Rhemy
07:00 Col de Champillon
10:40 Fenetre de Durand
12:20 Cabane de Chanrion
15:00 Mouvoisin
15:50 Fionnay
08/09 12時間, 47km, D+3,000m
03:30 Fionnay
06:20 Col de Louvie
07:40 Col de Prefleuri
11:00 Col de Riedematten
12:00 Arolla
15:10 Evolene
08/10 7時間, 28km, D+2,300m
03:20 Evolene
05:50 Col de Tsate
08:40 Col de Sorebois
10:20 Zinal
08/11 10時間, 43km, D+3,500m
03:00 Zinal
05:40 Forcletta
06:40 Gruben
08:40 AugstbordPass
11:00 St.Niklaus
12:50 Grachen
08/12 7時間, 35km, D+2,000m
03:00 Grachen
05:15 2,700通行止め
08:00 Randa
08:50 Tasch
10:00 Zermatt
天候 | 毎日毎日快晴無風 |
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過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
飛行機
17:00 NRT発 EY871 飛行時間12h 23:45 AUH着 乗り換え待ち3h 02:50 AUH発 EY51 飛行時間7h 07:40 GVA着 simカードと食料調達 10:00 GVA-Chamonix(バス, SwissTours) 11:40 Chamonix -- 08/15(Sun) 11:25 GVA発 EY52 飛行時間6h 19:35 AUH着 乗り換え待ち2.5h 22:10 AUH発 EY878 飛行時間10h 13:00 NRT着 |
コース状況/ 危険箇所等 |
MoiryとDixで小屋に寄ると氷河歩きがあるはず。 僕は両方寄らなかったので、この旅で氷河の上を歩くことは一度も無かった Grachen - Europawegが永久通行止めだったことが唯一の調査不足だった。 |
その他周辺情報 | 宿情報は写真の最後に記載 装備情報も写真の最後に記載 |
写真
感想
2019年のキリマンジャロから2年半。普通の会社員が海外へ行くのは難しい状況が続いていた。2022年に入って状況は良くなった。スイスの入国制限が撤廃されたのを機に5月にチケットを取った。ピークハントかロングトレイルか。どちらをやるか直前まで悩んだがロングトレイルにした。4,000m超えのピークハントをやるならそれ以外の不安要素は全て潰して山に集中したい。海外旅行の経験が少ないので経験を積む必要がある。夏のヨーロッパアルプスの気候や山の雰囲気や位置関係の調査と下見、スイスのバス鉄道利用体験、外国人とのコミュニケーション。まずは安全な夏のロングトレイルを楽しみながらこれらを鍛えていくことにした。ということで今回はアルプス西の端Chamonixから東の端のZermattをつなぐ"Haute Route"をやる。Haute Routeは3~4月にスキーで駆け抜ける方法が一般的だが歩いても行ける。いつかはスキーでやりたいので、その下見も兼ねている。スキーだと街から街へのロードや雪切れ区間はバスを使う。歩いても行けるがブーツ歩きやブーツ担ぎはキツい。無雪期に歩いた方が美しいGPSトラックが描ける(重要)。これはログヲタクの僕にとって魅力的だった。
#色々書いたが結局のところ「大変な山に大変な思いをして登る」よりも「ほどほどのハイキングを腹八分目で駆け抜ける。快適なベッドと食事とシャワーで毎日リフレッシュ。下界の観光も楽しみたい」というのが本心かも。氷河の山は大変そうだからなあー。本心でやりたいかどうかは今のところわからない。高所登山はロングトレイルに飽きてから考えよう。
結画的にこの選択は正解だった。今年のヨーロッパは猛暑で氷河が溶けて、広がったクレバスに落ちたり落石による事故が多発。Mont Blanc周辺あ非常に危険なため山小屋は閉鎖。ガイドも中止となっている。ガイド協会の「それでも登りたければ葬式代と遺体回収費用の200万円を用意してから行くがよい」という公式メッセージがシビれる。今後は日本の夏休みである8月にピークを狙うのは難しいかもしれない。4~5月にスキーでMont Blanc頂上滑降するというのは結構やられているので狙うならGWの方が良さそうだ。
■0日目 8/4(木)-8/5(金)
はんどんで仕事を切り上げて成田空港へ向かう。帰国翌日の休み明け出勤からいきなり出張になった。もしも僕がトラブルで帰国できなかった時のために休み前には本気で仕込みをした。おかげで今週は仕事が忙しくて山のことを考える余裕はなかった。ガラガラの成田空港に着いたら外貨両替えして出国手続きへ。eチケットとパスポートをスキャンして手荷物検査をして5分で完了。預け荷物が無いと早い。何も聞かれなかった。あっけないものだ。UAEアブダビで乗り継いで日本を出てからスイスまで20時間。機内では十分すぎる時間があるので今回のルートをしっかり頭に叩き込んでおいた。機内食は4回でる。残さず食べると腹を壊すので、美味しいものを少しだけよく噛んで(超重要)食べよう。半分は残した方が良い。ノイズ対策にSONYの高級イヤホンWF-1000 XM4を買って大正解。もう手放せない。
時刻は朝の8時。入国も簡単でパスポートを見せて終了。何も聞かれず。Chamonix行きのバスまで2時間あるので空港でsimカードを買った。スイスの大手プロバイダの"Sunrise"のGeneva空港店が9時まで開かないので待ち切れずによくわからんsimカード(Lebara)を買ってしまった。これは失敗だった。スイスでしか使えない。フランスのChamonixやイタリアに入ると使えない。Sunriseにしておけばよかった。イタリア、フランスではホテルのWi-Fiに頼る事になった。
Geneva空港からバス100分でChamonix到着。気温は32度と暑いが空気がカラッとしている。夏の北海道みたい。太陽が眩しい。空が青い。モンブラン山群の氷河が白くまぶしい。ああ、来てよかった。今日は街から3km離れた宿まで歩くだけ。街の中心部のアウトドアショップを見たり、スーパーで明日の行動食を買ったり。林道をトコトコ歩いて明日の登山口を確認したら宿にチェックイン。長距離フライトと時差の疲れがあるので17時には寝た。今回泊まった宿、L'Arveyron Open Houseはリーズナブル。建物も新しくベッドも綺麗でとても居心地が良かった。また利用したい。
■1日目 8/6(土)
02:30にスッキリ目が覚めた。ふかふかのベッドでぐっすり眠って元気いっぱい。まずはスキー場トップのレストハウス"La Flegere"まで900mの登り。連戦での脚の負担を減らすために今シーズン初のポール投入。四輪駆動で身体をぐいぐい押し上げていく。この感覚は久しぶりだ。1時間ちょいで登り完了。早すぎた。真っ暗だ。おかげでChamonixの夜景がよく見える。反対側には闇に浮かぶ白いMont BlancとトゲトゲギザギザのAiguille du Midi. そこから更に400m登ってLac Blancへ。ここの湖面に映る山が美しいらしい。標高は2,400mまで上がったが夏の北アルプスと同じくらいで涼しい。湖のそばでパンと水を食べながら明るくなるのを待った。東の空が明るくなってきた。山々が朱く染まる。これはっ!!これは素晴らしいな!!日本からはるばる丸一日かけて来た甲斐があった。絶景をしばらく楽しんだら先へ進もう。下り基調の尾根を軽快に飛ばしてゆく。途中、大きなツノを持った二頭のアイベックスに出会った。もしゃもしゃ草を食べている。こちらに気づいても無視。手で触れるくらい近づいてもガン無視。強者の余裕か。写真を撮らせてもらったらTre-le-Champの街まで700mの下り。Haute Routeに限らずアルプスに数あるロングトレイルは大体こんな感じ。1,000m登って1,000m下るを繰り返す。登りと下りがハッキリしている。下りでポールを使わない僕は換装が少なくて相性が良い。
今日初めての登山者、というかランナーの男性とスライドした。挨拶は"Bonjour"だった。その後続々と登ってくるので元気よく挨拶する。最初はちょっと恥ずかしかったが、すぐに慣れた。Tre-le-Champに着いたらお次はBalme峠まで900mの登り。再びポールを展開してガシガシ行く。すっかり朝だが西面は山陰なので涼しい。天気が良すぎる。振り返るとさっきまで歩いていた尾根がよく見える。標高を上げると牧場に出た。牛つかいの男性が愛犬と連携して牛たちを移動させていた。日本離れした景色だ。これがアルプスの少女ハイジの世界か(僕は世界名作劇場ハイジ世代ではないので実は観たことがない)。Balmeのピークを踏んだら今日はもう登らなくてよい。本日の宿泊地Trientの街へ900m落ちてゆく。Trient-Balmeは人気のハイキングコースでかなりの人が登っていた。Bonjour祭りだ。家事を終えたらそのままTシャツ短パンで出てきたような奥様が結構いる。日本では絶対に見ない光景だ。日本で登山というとしっかり準備をして厳しい登りを山頂まで頑張る堅苦しいイメージが強い。ここにはそれが無い。涼しい森をおしゃべりしながら歩いて、景色の良いところで山を眺めながらサンドイッチやお茶を食べて、昼寝して帰る。そんなハイキングが広く浸透している。素晴らしいことだ。
Trientの村に着いた。時刻は10:30. 早すぎた。もう一つ峠を越えられるがTrientに宿をとってあるので今日はここまで。初めてのアルプス、初日なのでほどほどにしておこう。明日からはもう少し行けそうだ。宿のチェックインまでだいぶ時間があるので日陰のベンチでパンを食べながら明日以降の計画を立てる。明日以降の宿は取っていないのでルートは自由だ。天気はしばらく安定している。最短でHaute Routeをやると4~5日で終わってしまう。なので途中で進路を南のイタリア側に切って名峰Grand Combinを巡るTDC(Tour de Combin)を組み込むことにした。ちょうどいい場所にある評判の良い宿(Hotel Suisse)が取れなかったが、少し奥のホテルが取れた。明日はこの旅で一番長い一日になることが確定した。やるしかない。Hotel Suisseはレビューを見る限りかなり良さそうなのでいつか必ず行きたい。
宿にチェックインしたら夕食まで明日のルート確認をしていた。すると男性に声をかけられた。日本語で。ええっ。そんなに日本人っぽかったかなあ。この旅で出会った最初で最後の日本人だった。定年退職を機に1ヶ月の休みを取ってアルプスの山を満喫しているそうだ。20代の頃はフランスの大学に通ったりスイスで山岳ガイドをしたり、有名な登山家をスイスアルプスやエベレストに案内したりと、とんでもなくスゴい方だった。いろいろな話を聞かせてもらった。夕食はここバレー地方の伝統料理、トマトが溶け込んだチーズをじゃがいもにかけて食べるラクレット。おいしー。これはお芋のピザだな(感想が雑)。明日は長い1日になるのでしっかり食べて早めに寝た。
■2日目 8/7(日)
3時起床。朝からしっかりパンを食べて出発。気合は充分。やってやる。まずはFenetre d'Arpette(2665m)まで1,300mの登り。満天の星空。ピリッと冷たく心地よい空気。高度を上げれば遠くに未知の山々のシルエット。最高だ。最高の夜だ。夜の行動は山の景色が見えないから登山の楽しさをスポイルしているという人がいる。僕はそうは思わない。夜だろうが、霧だろうが、雨だろうが山は山だ。そこで何をどう楽しむか、いかに楽しいことを拾うかは本人の気の持ちよう次第。僕は自然の中で体を動かしてイイ汗をかければ大体は100点満点。いつも言っているが幸福と感じるセンサが敏感であればあるほど、不快と感じるセンサは鈍感であるほど人生は楽しい。
川沿いをひたすら登る。途中、幕無し、寝袋一枚で寝ている二人組を見つけた。カウボーイキャンプというやつか。蚊の多い日本じゃ厳しいスタイルだ。そういえばアルプスには蚊がいない。水場の近くでも。素晴らしいね。2,665mの峠付近でヘッドライトから解放された。予定通り。8月のアルプスの日の出は6:20くらい。と言っても東には山が連なっているのでご来光時間はだいぶ先になる。僕は大体600~700m/hで高度を上げる。なので峠到着06:00から逆算して宿の出発時刻を決めている。日本では山と高原地図のコースタイム基準で計画を立てているが海外ではそれが使えないので自分の水平垂直移動速度から計画を立てると良い。日頃から山の記録を書いて自分の速度を知っていると行動計画の精度が上がる。
ArpetteからLac de Champexまで1,100m落ちてゆく。得意の巨岩帯だ。軽快に飛ばしてゆく。早朝から登ってくる人はみんなランナーだ。アルプスで出会ったランナーはみんな決まってSalomonのレースベストなんだよなあ。そんなに良いのだろうか(国内製品だから愛着があるとか? いや、日本でもよく見るか)。帰ったら調べてみよう。Champexの街に着いたら朝の6時半なのにパン屋が営業していた。日曜日は休みの店が多いと何かで読んだがそんなことはなかった。土日は閉店が早くなるが、朝はパン屋もスーパーも開いてる。サンドイッチをいくつか買った。水鏡のように美しいChampex湖を眺めながら食べた。至福のひとときだった。Champexから更に400m落としてOrsiersの街に出た。駅前にスーパーがあった。スイスの国民的炭酸飲料"Rivella"を飲んでリフレッシュ。このRivellaはスイス滞在中の10日間で5Lは飲むことになる。さあここからCol de Milleまで1,400m上げる。まだまだこれからだ。
牧場の斜面をひたすら登る。Mille峠の登りはひたすら牧草地。牛や車が通れるほど広いので登山道というか林道である。途中、電動MTBのムッシュが僕を抜いていった。この先たくさんの電動MTBを見ることになる。流行っているのだろうか。はじめは木陰だったが気付けば森林限界を抜けて太陽サンサン。あちいんだけど!!アゴから汗をボタボタ垂らし、息を切らせて脚を前へ。きっつー。上の方に2人のレディランナーが見える。無様な登りは見せられない。2人を追い越して最高地点へ。360度のパノラマ。山しかない。少し雲が出てきてイイ感じ。そこから少し下るとMille小屋。スープでも頼んでみるかな?と思いきや従業員ランチ休憩中につき食堂は休み。仕方ないので外でパンかじって休む。途中でかわいい女の子に声をかけられたがフランス語は全くわからん。挨拶とお礼しかわからんがジェスチャーだけでもコミュニケーショ意外といける。そりゃそうだ。人類が誕生してから言語が発明されるまで人々は普通に暮らしてきた。言語というツールは割と最近発明された近代的なツールなのだ。無くても意思疎通に問題は無い。
せっかく稼いだ高度を1,000m落としてBourge-Saint-Pierreの街へ。暑い暑い、とにかく暑い!!下っているのに暑い。ブールサンピエールの街はイタリアとの国境沿いにある。キリスト教の影響を深く受けているようで街のあちこちにそれらしいオブジェクトがある。石造りの建物が多くて素敵だ。街の噴水でしっかり水を汲んだら本日最後の登りはスイス-イタリア国境のGreat St.Bernard峠まで800m. 登って下ってまた登る。こういう行程を想定しての"ふったる2"や"無限羊蹄"。訓練の成果を生かすのは今この瞬間だ。行くぞ。気付けば空は雲の面積が増えて南側には真っ黒な雨雲が。突然の雨。雨?いやこれは雹だ。BB弾ほどの雹がバチバチ身体に当たる。いてえええ。たまらず樹の下に隠れてカッパを着た。一時的なものなのか?待っていたら止むのか?わからないので先へ進む。幸い30分ほどで雹から解放されてカッパを脱いだ。登っても登っても峠が見えない。さすがにここまで10時間以上飛ばしてきたので疲れてきた。まだかまだか。チョコレートを口に入れて士気を上げた。一本道なので地図は見ない。見ても早くは着かない。上からセントバーナード犬を連れた女性が降りてきた。ワンコと一緒に聖地巡礼だろうか。峠はもうすぐだと教えてくれた。力を振り絞って峠へ。はぁ着いた。今日はもう登らなくていいです。門をくぐってあっけなくイタリア上陸。数年前、純道民だった僕は本州でクルマに乗り県境を跨いでナビが"長野県です"と喋った時に「こんなカジュアルに越境しちゃっていいの!?」と感じたものだ。今では徒歩で国を超えている。Great St.Bernardはクルマで来れる観光地で人がいっぱい。あずましくないのでさっさと宿に向かって落ちていこう。途中、学生のブラスバンドがAvengersのテーマを演奏していた。これには滾ったね。いくつになってもスーパーヒーローになりたい。
ホテルのあるSt.Rhemyの町まで900mのダウンヒル。脚は踏ん張りが効かなくなってきたが頑張ろう。小雨が降ってきたので急ぐ。St.Rhemyの街並みはとても素晴らしく、世界名作劇場で見たような光景にうっとりした。雨は勢いを増してきたのでホテルまで走った。受付を済ませてシャワーを浴びて窓の外を見るとバケツをひっくり返したような土砂降りになっていた。雹も混じっている。あんなのに打たれたらひとたまりもない。あれは行動不能レベルの雨だ。危なかった。アルプスも日本の山と同じように午後から夕方にかけては猛烈な夕立の可能性がある。行動はなるべく早く切り上げよう。
この日泊まったHotel des Alpsは今回の旅で一番高かった(朝食込み100CHF, 夕食60CHF)。ご主人がとても親切。部屋のベッドはふかふか。イタリア山岳エリアの伝統的な素晴らしい食事。全てがパーフェクトだった。クタクタに疲れたこの日に、この素晴らしい宿を取って大正解。ここで食べたSachertorteは今回の旅で食べたものの中で最も美味しくて涙が出そうだった(あとで調べたらザッハトルテはイタリアのケーキではなくドイツのケーキだった。まあいい)。「ブルボン チョコパイ期間限定ザッハトルテ風味」とかじゃなくて、ちゃんとしたSachertorteは初めて食べたかも。甘味と苦味と酸味の絶妙なコラボレーションで疲れた身体に染み渡る一品だった。日本に帰ったらケーキ屋巡りしてまた食べよう。食事のメニューがイタリア語だったので全く読めなかった。英語メニューは用意していないらしい。僕の後から来た3組もみんな「メニュー読めねんだけど」と言って主人に説明を受けていた。スイスフランスでもそうだったが頑なに英語メニューを置かないのは母国語の誇りだろうか。聞けば英語で教えてくれるがオペレーションを円滑にするために英語メニューも用意すれば良いのに。まあご主人の丁寧な説明を受けるのもまたよし、それも文化か。僕は道中のフランス語、イタリア語、ドイツ語はGoogleTransration先生に助けてもらって突破している。良い時代です。しかし現地の言葉を勉強したら今後の欧州旅行がもっと楽しくなること間違いなし。やるならフランス語かなあ。次に来るまでに食事のメニューくらいは読めた方が楽しいだろう。
明日は夜明け前に出ることを主人に伝えると今日のうちに朝食を食堂に準備してくれた(このとき、持っていったパンが明日の生命線となる)。Grazzie!! とにかくこのホテルは素晴らしかったので必ず再訪したい。雨は勢いを増しているが明日にはちゃんと止むのだろうか。長い一日だった。
■3日目 8/8(月)
アラームが鳴る前に2時半起床。身体がこの生活に慣れつつある。雨は上がって空には満天の星。毎日毎日天気が良すぎて不安になってくる。半袖短パンで外に出ると寒い。イタリア側は空気が違うな。上着を着て走り出す。最初の登りはChampillon峠まで標高差900mだが細かいアップダウンがあり距離も15~20kmはある。今日の目的地は宿が取れたFionnayの町だが、そこまで何km, 何m登るのかわからない。やるしかない。まずは林道を飛ばして峠を目指す。ここは有名な"Tor des Geants"のコースなので標識やマーキングは多くて歩きやすい。それにしても寒いな。2,700m付近は寒さのピークでこの旅で初めてカッパズボンとフリースを着た。Champillon峠に着くと向こう側は太陽ギラギラ。あちい。日が当たるとこんなに暑いか。これがイタリアのSoleね。峠のすぐそこに小屋が見える。小屋泊した人たちが登ってきた。挨拶は"Bongiorno"に変わっていた。イタリアの山の挨拶は"ciao"だと思っていたが、"ciao"と言う人は誰もいなかった。数人のイタリア人とスライドして僕は正しいボンジョルノを習得した。
峠をガツンと下ったら牧草地をひたすら水平移動してゆく。幕別の酪農やってるばあちゃんちのにおいと同じだ。牛が近いよー。暴れ出すことはないとは思うが牛は大きいから近寄ってくると普通に怖い。牧草地を走って走って走りまくる。名峰、Grand Combinが見る角度によってカタチを変えて楽しませてくれる。良いルートだ。寄り道してよかった。牧草地の最低地点に来たら再び峠。Fenetre de Durandまで800mの登り。この峠を越えるとイタリアを出て再びスイスに入る。峠の登りは太陽がジリジリ肌を焼いてマジでキツかった。もう日焼け値はカンストしてると思っていたがまだだったようだ。日焼け止めを持ってくるんだったなあ。この登りの後半で糖質切れを感じた。脂質代謝で動けるように心拍数を抑えて登るようにしているが慣れない地、慣れない食べ物で連戦しているとじわじわと消費に対して補給が追いつかなくなる。峠の途中で一休み。昨晩ホテルのご主人が用意してくれたパンとクッキーとハチミツをゆっくり味わって食べた。よし、復活。
せいやっと登りを始末したらスイス側から登ってくる人たちがたくさん。挨拶をすると"Bonjour"と返ってきた。短いイタリア区間だった。せっかく覚えた"Bongiorno"はあまり使えなくて残念だった。峠を越えたら下る下る。下った後の登り返しが目の前に見えているのに下りまくる。これはつらい。遠くにMouvoisin湖が碧く輝く。ミネラル豊富だからあんな色になるのだろうか。川まで下りてきたら本日最後の登り、Col de Tsoffeiretまで500mの登り。途中にステキな山小屋Chanrion小屋があったので寄っていく。厨房で「これ誰も頼んでないって言ってるんだけど、どーすんの?」みたいなやり取りがあったので「じゃ、それ僕が食べます」と言ったら喜ばれた(安くはならない). 細切りのじゃがいもとチーズとハムのカタマリ。すごいボリュームだったが時間をかけて完食。もー動けません。ということでしばらく日陰で横になる。氷河を蓄えて真っ白に輝くGrand Combinを眺めながら昼寝をした。素晴らしいひとときだった。あれはいつか登りたいな。
さあ今日の目的地Fionnayまで距離は15kmほど。下り基調なのでもう大丈夫。ダム湖のフチに作られたトレイルはかなりスレスレを通る。岩をくり抜いたトンネルもあったりして黒部の下の廊下のようだ。MouvoisinダムからChanrion小屋の区間も人気のハイキングコースのようで、ここもまたMille峠のように家事の途中で出てきたようなご婦人たちが楽しそうに歩いていた。どっしりした欧米系マダムなのにみんな歩くのが結構速くて驚く。欧米のコースタイムは日本に比べて早めに設定されているのも納得。子供の頃からハイキングに親しんでいるからだろう。
Mouvoisinダムまで来たら林のキャンプ場の隙間を縫ってFionnayの街まであと少し。ここは灼熱デスロードを覚悟していたが森の中にしっかりハイキングコースが並行していて助かった。ようやく最終目的地Fionnayに到着。事前に調べたところスーパーやレストランは無さそうだったが一店だけ営業していた。ラザニアを注文した。すごいボリュームの鮭とチーズだ。昨日今日とかなり脚の筋肉を使ってきたので動物性タンパク質は嬉しい。宿の主人は20時まで農作業をしているようだ。入り口に電話番号が貼ってあったので電話して鍵の番号を聞いた。勝手に入って使ってくれとのこと。自由だなー。めっちゃ広いドミトリーに僕一人だけ。広々と使わせてもらって快適だった。2日目, 3日目はかなり飛ばしてきたが明日以降は宿の位置関係からほどほどの行程になりそうだ。山はほどほどが良い。
■4日目 8/9(火)
TDCを終えてここから先はHaute Routeへ復帰。再びマッターホルンのお膝元Zermattを目指して東へ。まずはCol de Louvie(2,991m)まで8km, 1,500mの登り。これは"一羊蹄"だな。説明しよう。"一羊蹄"とは水平8km, 垂直1,550mを移動することである。体調万全で普通に登れば約2時間。このように基準となる"距離と標高差と時間"を何かひとつ持っていればあらゆる山で応用が効き計画が立てやすくなるのだ。"一藻岩"とかね。Louvie峠に着くと計算通りヘッドライトから解放される。西の空に浮かぶGrand Combinに別れを告げた。パンをかじって水を飲んで一休みしたら次の峠へ向かう。巨岩帯に入る。氷河が近い。溶けて湖になっている。ここからはHaute Routeのハイライト、氷河の旅となる。静かだ。誰もいない。太陽は今日もギラギラ。空は青い。元気に咲く名前のわからない高山植物たち。息を吸って岩にポールを突いて脚を前に出す。幸せだ。ここに来て本当に良かった。日本に帰ったら身体を鍛えてお金を稼いで、また来年もスイスに来よう。仕事がんばろ。
2,987m Col de Prafleuriを越えるとすぐそこに小屋が見える。山小屋のスープは美味いと聞いていたのでそろそろ試してみようと入ってみると食堂はマダと断られた。今までならここで引いていたが「お願いします!どうしてもスープが飲みたいんです!!」と粘ってみると「小屋泊の朝食の残りを温め直すから少し待ちな」と受理された。言ってみるもんだ。待っている間、小屋のお姉さんに自分がどこから来て、どこへ向かっているのか説明すると応援にエナジージェルをもらった。ありがとうございます。このジェルは今日の後半で活躍することになる。温かいスープとパンは冷えた体に染み渡った。うめえー!!!元気になったら峠をもう一つ越えると巨大な湖、Lac des Dixとご対面。でぃすこデカイ。湖のフチまで下りたら湖岸の作業道を6kmほど走る。水平のように見えてじわじわ登っている。脚にくる。氷河の真上の崖に立っているDix小屋に寄っていくか迷ったが今日の行程も楽ではないので寄り道せず。次回の楽しみに取っておくことにした。エキサイティングな垂直三段梯子を登り切ると2,919m Col de Riedemattenへ。今日はどうも疲れると思ったらずっと標高2,900m付近で活動していたからか。峠を越えたらArollaの街まで1,000m下る。本当はここにあるステキな宿に泊まりたかったが予約が取れず。宿が取れたEvoleneの街まで更に20km走る。先は長い。Arollaの街に下りると目の前を歩いている登山者がレストランに入って行ったので僕もついつい吸い込まれてしまった。彼らが地元の山屋かどうかわからないが、もし地元の山屋の行きつけの店ということなら安心だろう。
フランス語メニューに翻訳噛ませてハムとチーズのオムレツを注文した。仕草の一つ一つが超絶丁寧な超絶イケメンウエイターの対応に癒されつつ食事を楽しんだ。うめー!!今日は豪遊してるなあ。まあたまにしか来れない外国だから。値段は気にしない。満腹になったらEvoleneまで細かいアップダウンがある高所トレイルに入る。東の斜面なので日当たりがよくて暑い。途中のLac Blueはオンネトーのように透き通った碧色の見事な湖だった。暑いから飛び込みたい気分だが先を急ごう。Les Hauderesの街に下りたらここから先はァ!怒りのォ!Death Roadです!でも4kmだから頑張ろう。アスファルトはチンチンに熱くて靴の中の足裏の皮膚まで熱が伝わってくる。こういう熱いロードは靴底の凸が消しゴムのように減るので勘弁してほしい。灼熱Fury Roadを耐えたらEvoleneの街に到着。今日から優しくなると思いきや今日もタフな50kmコースだった。宿のチェックインを済ませたら夕飯まで時間があるので街を散歩した。ここEvoleneは古い木造の建物が多くてステキだ。スイスの白川郷?もしもArollaの宿が取れていたらEvoleneの素晴らしさを知ることはなかっただろう。神様の巡り合わせに感謝。明日こそ優しめの行程になるはず。次の街Zinalまで峠は二つだ。
■5日目 8/10(水)
今日も夜明け前から"一羊蹄"。ただし距離が10km以上あるので3時間かかるかも。なので早めの3時出発。素敵なEvoleneの街を出たら牧場を突き抜けてCol du Tsateを目指す。延々と登る。延々と登る。峠で明るくなったら延々と下る。もう毎日毎日この繰り返しだ。峠を降りたところは標高2,350mのダム湖Lac de Moiry. ここまでクルマで来れる。車中泊キャンパーがみんな車内で寝ていた。湖を眼下に眺めながら高所トラバース道へ。ずっと西面の日陰にいるので寒い。しばらく歩いていると今日も牛が通路を塞いでいる。急に暴れ出さないか心配しながら近くを通させてもらう。しばらく歩くとエーデルワイスがわんさか咲いていた。ここまで何度かエーデルワイスの葉は見たが花は一度も見なかったので猛暑の今年はもう終わってしまったのかと思った。ヨーロッパのエーデルワイスも雪倉岳周辺に咲くウスユキソウも同じに見えた。日陰の峠をジグザグ登ると本日最後の登りSolebois到着。ここまで全く日差しが当たらずひんやりだったので身体も冷え切っていた。寒かった。
広大なスキー場の東斜面を下り始めると今度は暑い。こんなに暑いと寒いを繰り返していたら身体がおかしくならないか心配だ。Zinalは大きな街なのでスーパーがあるだろう。補給ができるのでスキー場のレストハウスの日陰に入って行動食を全部食べた。下る下る。1,300mぶっ続けで下る。標高を落とすと気温は急上昇。暑い。もう許してくださいってくらい下ってようやくZinal到着。今日はここまで。このスキー場は夏でもリフトが動いていてSorebois峠までのお手軽ハイキングやMTBダウンヒル、パラグライダーなど多くの人が山遊びを楽しんでいた。町全体もそれを歓迎する雰囲気で良い場所だった。3日後の8/13に下界の都市SierreからZinalまで30km, D+2,200mを走る伝統あるヒルクライムラン"Sierre-Zinal"が開催される。今日はあちこちでレースの準備をしていて賑やかだった。5連覇中のキリアン先生に6連覇の期待が高まっていたが今年の優勝は男女ともにケニアの選手。後でライブを観たが凄かった。上田瑠偉さんも来ていたそうだ。宿のチェックインを済ませたらスーパーで明日の行動食を買い、レストランでパンとチーズとハムのカタマリを食べて燃料補給。さらに糖質多めの間食(おやつ)も買って時間をかけてたくさん食べた。17時には寝た。健康的な毎日だ。Zinalもまた山や自然が好きな人間にとっては素晴らしい街だった。ここに1週間滞在して毎日ハイキングやスキーを楽しむ。そんな生活をしてみたい。
■6日目 8/11(木)
今日は峠2つ。まずはForcretta峠までD+1,300m. 距離がやたら長いので3時間かかるだろうか。昨日はたくさん食べて寝たし3,000m付近の酸素濃度にも慣れてきた。この生活も6日目となる。筋肉はほどよい破壊と再生を繰り返して強く、無駄な脂肪は削ぎ落とされ、この身体は水とハムとチーズを燃料に峠を越えるマシンになっていた。Forcretta峠は予定より早い2時間で突破した。峠でテン泊していた人に挨拶をすると"Morgen"と返ってきた。Zinalはフランス語圏だったがForcretta峠を境にドイツ語圏になるようだ。看板はドイツ語表記だし山の名前もここから先はMontはHornに、BlancがWeissに、NoirはSchwarzになる。Forcretta峠からは名峰Weisshornがよく見えた。日本語で"白山". 東の氷河が赤く染まって美しかった。登頂意欲を掻き立てられる。Weisshornはいつか登りたい。
Forcretta峠から1,000m一気に下ってGrubenの街へ。ここは静かな田舎町。次の峠AugstbordPassの入り口にあるHotel Schwarzhornは評価の高いホテルなので泊まってみたかったが今回は計画上組み込めず。建物の佇まいは見事なものだった。いつか泊まりに来よう。AugstbordPassまで1,100m登る。西斜面はまだ日陰。日の当たる前に上まで行ってしまえ。いけいけドンドンだ。以前静岡から親不知まで歩いた時にも書いたが、山は西から東に向かった方が楽だ。暑い登りは日陰で涼しく、乾いた明るい日向が下りになる。逆光が眩しいことがデメリットだがサングラスと帽子があれば問題ない。静岡-親不知をもう一度やろうとは思わないが、もしまたやるなら次は親不知スタートでやるだろう。
AugstbordPassから次の街St.Niklausまで1,800mの下り。この旅最大の下りだ。下りても下りても着きませーん。距離も長い。ところどころで座ってパンを食べて休みながら標高を落としてゆく。街には北海道で言う俺たちのセイコーマート、スイスでは俺たちのMigros(ミグロ)があったのでしっかり補給していく。ああ、Migrosのパンやハムは最高さ。手早く補給を済ませたら本日最後の登り、宿のあるGrachenまで500m. 太陽はすっかり高い。Fury Roadです。心を無にして灼熱のアスファルトを登っていく。St.Niklausの宿が取れたらこんな事にはならなかったが、Grachenもまた味のある建物が多い素敵な街だった。登ってきて良かった。宿のチェックインまで3時間もあるので日陰のベンチで寝た。この日陰で寝るという行為、僕以外にもご近所の方とかも結構やっている。外で昼寝は気持ち良い。日本だと湿度が高いし虫が寄ってくるが、この辺はそれがないので素晴らしい。宿は"勝手に入って好きなベッドで寝ろ"という受付不在の無人スタイル。この旅で一番安い20CHFだった。ベッドとシャワーがあれば十分だ。毎日このくらいの宿が良い。
■7日目 8/12(金)
今日でZermattに着く。長いようで短い7日間だった。今日は2,000mの登りだが距離が40km近くある(はずだった)ので最終日も楽ではない。まずばGrachenの街を出て1,100m登る。高所トラバース道Europawegへ。ここでちょうど明るくなるように計算してきた。お楽しみのトラバースに入るとなんと通行止め。その場で調べると2020年に修復不可能なほど大きく崩れたため永久通行止めが決定したようだ。調査不足だったなあ。1,000m下って崩落区間を迂回して再び1,000m登り返せば予定のルートに復帰できるが、ここまで来たら谷からZermattまで走ってもそんな変わらんだろう。谷ルートはロードではなく西の山側にトレイルがあるので退屈しない。ラストは林道ジョグで締めることにした。
谷は遅くまで日が当たらないので走っていても寒い。気温は12度だった。いやいや寒すぎでしょ。氷河が溶けた川が近いので下界の方が冷気が溜まるのだろう。それにしたって寒い。3,000mより寒いぞ。Tascheの街でようやく太陽の光を浴びた。ちょうど俺たちのMigrosがあったので焼きたてのクロワッサンとパン・オ・ショコラを買って日向のベンチで食べた。うんまい。元気が出たらZermattまて残り6km. 陽が高くなり、すっかり暑くなった林道を走ってZermatt到着。マッターホルンがどーんと現れるが急に出てきてもあまり感動は無かった。ここまでずっと見えなかったからなあ。マッターホルンよりも長く見ていたGrand CombinやWeisshorn, 近づいては離れてゆく名峰たちの方が印象に残っている。
ZermattはChamonixよりも賑やかで落ち着かない。様々な国の人たちがマッターホルンを近くで見ようと、この地に訪れていた。ロープウェーに乗れば見れるが今はいいかな。Chamonixでも乗らなかった。マッターホルンもモンブランも、いつか登りに行く時に乗るかもしれないから。料金、高いし。聖地mont-bell Zermatt店で何か買って行こうかと思ったが別に買うものは無かった。今思えばステッカーでも買ってMacbookに貼れば良かったかもしれない。また来ればいいか。今回は職場へのおみやげさえ買っていない。スイスの定番土産はチョコレートだが溶けるし。
旅はこれで終わり。今回、時間の関係で通らなかった場所がいくつかある。Dix小屋、Moiry小屋、Hotel Weisshorn. 崩壊していない部分のEuropawegと大吊り橋。泊まりたかった宿はGrand St.Bernardのホスピスで修道士体験、St.RhemyのHotel Suisse, GrubenのHotel Schwarzhorn. そしてSt.Niklausから更に東、Tour Monte Rosa(TMR)も気になる。まだまだ行きたいところが沢山あるので来年の夏もまたスイスに来よう。次は公共交通機関を使ってオイシイとこ取りをしてもいいな。来てよかった。心の底からそう思う。
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