蔵王 猿倉〜中丸山〜熊野岳〜井戸沢ボウル〜ライザスキー場


- GPS
- 08:05
- 距離
- 21.0km
- 登り
- 1,310m
- 下り
- 1,317m
コースタイム
- 山行
- 6:36
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 8:06
天候 | 曇り時々小雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
スペースは2〜3台程度。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●猿倉〜中丸山〜熊野岳 県道53号から尾根に取り付く事になるが、尾根末端は密藪の急斜面なので正面から取り付こうとするとかなり苦労させられる。 ここは一旦巻いて北側へ回ると林道のような道が通っているので、その道を辿る事で容易に尾根上に上れる。 尾根に上った後も道は続いているが、標高1000m付近から道は尾根を外れて別方向に向かうので、適当な所で道を外れて尾根型に従って進む。 幅広の尾根で、目印は無し。 仙人沢側へ誘導されやすいので常にルートを確認しながら進む。 中丸山を過ぎてコルを越えた先で尾根は狭まり、両側が切れ落ちたヤセ尾根になる。 尾根幅はそれなりにあるので注意して進めば滑落する事はないが、強風時は危険。 また、ヤセ尾根上には深い穴が点在しており踏み抜きには注意を要する。 熊野岳周辺はオープンバーンが広がっており、地形的な掴みどころが何もない。 視界の良い日であれば問題ないが、視界不良時は道迷いの恐れあり。 ●熊野岳〜馬の背〜刈田岳 熊野岳同様、地形的な掴みどころが無く視界不良時は迷いやすい。 目印となるポールが等間隔に立っているので視界不良時は見逃さぬよう。 強風域なので低温注意。 ●井戸沢ボウル(滑走) 井戸沢源頭部のボウル状地形。 刈田岳周辺では一番人気の滑走ルートだが、前日に降った雨のせいか斜面全域に残雪期のような縦溝が出来ている。 今後の降雪で改善されると思うが、現時点での斜面状態はあまり良くない。 ●刈田岳〜ライザスキー場 ゲレンデトップまで広大な雪原地形が続き、視界が悪い時は迷いやすい。 等間隔にポールが立っているので、視界不良の時はポール通りに進んだ方が良い。 尚、この時期の蔵王と言えば、樹氷で有名だが・・・ 残念ながら、先週末の異常高温ですっかり溶けてしまっていた。 ガスで視界が悪かったので熊野岳周辺の状況は確認できなかったが、中丸山周辺、刈田岳周辺、刈田岳〜ライザスキー場間等の標高の低い場所の樹氷は全て溶け落ちている。 まだ1月中旬なので、これから再生する可能性もあるかもしれないが、例年のような見事な樹氷は期待でき無さそうである。 |
写真
感想
春のような暖かい日が続いた先週末。
土曜には標高の高い場所でも雨が降り、その翌日となる日曜日は再び冷え込むという、なんとも酷な気象変動により雪質悪化は確実。
当初の予定ではふかふかパウダーの某山を予定していたが、パウダースノーは全滅しているであろうこの状況を前にして、プラン変更せざるを得なくなった。
山の雪はガチガチに凍った悪雪である事が想定される。
なので、安全に滑走できるルートは限られてしまい、山スキーの計画に困ってしまう。
何とも悩ましい雪質状況だ。
だが、そんな雪質だからこそ行けるルートもある。
例えば、ロングルート。
深い雪により厳冬期は困難なルートであっても、今の沈まない雪質であれば達成可能だろう。
そう考えた私は、今回、残雪期用に検討していた一つのロングルートを試みる事にした。
蔵王の熊野岳から西へ向かって続く尾根がある。
ライザスキー場から明瞭に見える中丸山を前衛とする尾根である。
便宜上、中丸山尾根と呼ぶことにするが、昔々その尾根は蔵王ダム下りと並ぶ人気の滑走ルートだったらしい。
古くから山スキーで使われていた尾根らしいが、アプローチの長さから今では殆ど記録を見ないクラシカルルート。
去年、下見を兼ねて中丸山まで偵察した事があったが、今回は終点の熊野岳まで登り詰めてみようと思い立った。
本来であれば、このルートはライザスキー場から熊野岳へ登り、熊野岳から中丸山へ向かって滑走するのが山スキーとしては正道である。
だが、今回は雪質の悪さと視界不良が懸念されたので、逆回り。
滑走難度が高くルート判断も難しいと思われる中丸山尾根は登行で利用し、熊野岳へ登頂後はライザスキー場へ滑走するという計画にした。
熊野岳からライザスキー場への滑走であれば、緩斜面が殆どで雪崩の危険も無い。
どれほど雪質が悪くなろうとも、安全に滑り降りられる確信があった。
かくして山行スタート。
県道53号猿倉付近から中丸山尾根に取り付いて、熊野岳を目指す。
県道を乗り越えて、雪の上に足を踏み入れた瞬間、「あ、これはやっぱりダメだな。」
という確信が脳裏をよぎる。
予想通り山の雪はガチガチに固まっており、快適な滑走は望めない状態であった。
だが、今回の主題は滑走では無く、中丸山尾根の登行。
この硬い雪ではラッセルにはならず、登行においては有利に作用する。
途中、幾つか急斜面があり、シールだけでは登れないのでクトーを使用する場面はあったが、コンター上げは順調に進み、当初計画では熊野岳まで5時間以上かかると試算していたところを1時間前倒しで登頂。
時間に余裕が出来たのですぐにライザスキー場へは降りず、刈田岳へ寄り道して井戸沢ボウルの滑走を楽しんでから下山した。
最後、坊平から猿倉へ滑走する際、雪質が硬雪から湿り雪に変わってしまったのでストップスノーに悩まされる事となったが、全体的にストレスを感じるような場面は少なく、今回の悪雪でも楽しめる良い滑走コースを選択したと思う。
中丸山尾根は滑走では無く登行で利用する形とはなったが、実際にその地形を目にすることが出来たのは大きな収穫であった。
ここを滑ったら楽しいだろうな、と思えるようなポイントが幾つもあり、いつかこの尾根を滑走する事を想像すると胸が弾む。
嫌らしいポイントも幾つかあるので、雪質と天候に恵まれた時を狙って滑走するつもりであるが、今はそのチャンスを静かに待つとしよう。
本来の望みとは異なる形であったが、念願だった中丸山尾根の全容を目にすることは叶った。
「今回は、良い悪雪に恵まれた。」
皮肉では無く本心で、そう思う。
コメント
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先日はお疲れ様でした。
アニキの尊敬出来る所はこうゆう所だと思いました。
条件が悪くてもそれに合ったルートや場所を選び、そして有意義に過ごして帰ってくる。
これは普段から地形図を眺めたり、滑走ルートの研究をしてる賜物ですね。
フィールドは違いますが、私も沢登りでは同じようにその時の条件や環境を考慮して入る沢を決めます。雨天や増水、メンバーなど。それはもう胃が痛くなるくらい悩む時もあります笑。もちろん失敗もありますし。
前から思ってましたが、私は勝手にアニキとは何か通じるモノがあるんだよなぁと密かに思っています笑😁
高温が続きましたが、冬はまだまだこれからです。
素敵なシーズンになるよう願っています。
こちらこそ、新年会ではお世話様でした
翌日はmooreeさん以上に悪酔いしてた気がするが、無事下山したよ
自然条件は中々思い通りにならないものなので、それに合わせて上手く付き合うしかないよね。
mooreeさんも、色んな条件・環境に合わせた沢計画を持ってるようで、いつも感心させられます。
やはり自然相手なので難しいところがあり、毎回上手く行く訳では無いけれども今回のように思った通りに事が進むと極めて愉快。
達成感も半端なく、今回の中丸山尾根周回は達成感という意味では今季一番の山行となりました。
今回は大規模融雪により山の積雪にストップがかかったけど、スキーシーズンはまだ序盤が終わったばかり。
私の中でのスキーシーズンは9月までなので、まだまだ先は長いです(笑)
来週は再び寒波がやってくるので期待できそうだ〜
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