西穂高岳(西穂沢)
- GPS
- 09:35
- 距離
- 18.3km
- 登り
- 2,028m
- 下り
- 2,033m
コースタイム
天候 | 快晴無風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年03月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
前日に降雪10〜15センチ。期待以上の吹き溜まりパウダー。やったね。水平移動が比較的少なく効率的なスロープ。この北面は温存狙いで厳冬期も使えそう。その時は西尾根アプローチですね。
ここ最近まとまった降雪はなく、エリアによってはザラメシーズンに突入している始末である。がしかし、3日前の時点で北面パウダーが残存しているという情報。加えて前日の適度な降雪である。降雪時の風がやや強い予報であったが、当日は快晴無風のアルパイン日和。これは行くしかあるまい。
アプローチの選択は小鍋谷と西尾根の2つがある。西尾根は雪崩のリスクを回避できるが、ほぼ担ぎのアルパイン。日射のある日が続いていたこともあり、積雪の安定しているであろう小鍋谷にした。前日の適度な降雪が幸いし、トップまで100メートルを切った2800超までシールで登れるほど抜群の状態だった。
しらかば平駅からの林道をたどり、1700辺りで小鍋谷の左岸から沢底に侵入を開始する。雪の下には道があるのだろうか、明瞭なトラバースポイントだった。堰提は一定の積雪深に達していれば中央突破できる仕組み。板を外し、塀をよじ登る要領で乗り越えた。左右からも巻けなくもないかなという感じ。めんどくさそう。
順調に標高を上げていく。沢の中はデブリで荒れているということはない。途中、右岸から抜け出さなければならない。過去の記録を見ても1950が適当のように思われる。ただ、ここは急峻なルンゼ状の地形。今回は登り始めだけ、板を外してキックステップでこなした。
頂上まで続く巨大な沢地形が姿を現すと、下部にはデブリの溜まり場になっていた。左右に避けながら、どの地点を最終目標に詰めていくか考えていた。クライマーズライト気味に早めに独標から続く稜線の夏道に乗り上げるのか。頂上直下をダイレクトに詰めるのか。雪の張り付き方と沢の幅の広さから登りやすそうなクライマーズレフト気味に頂上直下付近を目指すことにした。
あわよくば西穂沢のドロップポイントに乗り上げることができればという思惑。スキーをデポすれば、頂上から第二岩峰への下降リスクをいくらか減らせる。しかし、頂上直下は、下から見上げるといくつかの岩稜によってあみだくじのようになっていた。もちろんGPSで確認するのだが、目論見とは異なるダイレクトルンゼに侵入していた。まあ最短で到達できたので良しとしよう。
シール登行の調子がよい時あるあるだが、アイゼンへの換装が遅れ気味。少し際どいとこで荷物が滑り落ちないように気を配らなければならなくなる。最後の45度超の雪壁をクリアし、極狭の山頂へ。すで2人いたのでまあ狭い。360度切れ落ちていてけっこう怖い。西穂沢を這いつくばったり、カメラを頭上高く掲げたりして覗き込む。うーむ。よく分からない。
全面フラットにパウダーではなさそうな感じ。風で飛ばされたのかも。小鍋谷を戻るにしても登る分には良かったが、パウダーはせいぜい10センチで下地はやや硬い。北面のがましだろうと腹をくくる。
ここからわずか50メートルのクライムダウンがしびれる。有り体に言えば、ひとつミスれば命が危ない。ミックス帯だが、ピッケルは刺さるしホールドも多いので一つ一つの動作を確認すれば難しいことはない。ただ、そのピッケルやホールドに全体重を預ける回数がそれなりにある。ノドもカラカラだ。
ドロップポイント付近も平らな場所がなく、スキーやバックパックが落ちていかないように気を使う。狭いルンゼがスタート地点。少し雪庇が張り出しているが、脇から難なく入れた。入ってみて驚いたが、信じられないくらいにバッフバフ。パウダーにぶっ刺した板を慎重に履く。斜度はかなりある。しかも狭い。柔らかくなければジャンプターンも厳しかっただろう。
雪質を確かめながらルンゼの出口まで到達する。すると、破断面のような15〜20センチの段差があった。ここから少し硬くなる。一部スラブ化して落ちたのかもしれない。落胆しかけたが、スキーヤーズレフト寄りに目をやるとバッフバフがあるではないか!バッフバフは少デブリや硬い面に紛れて現れるので、丁寧に面を選びながら期待以上の、自分にとって今季ラストになるであろう柔らか雪を存分に堪能した。
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