ヒルの居ぬ間に皆子山・峰床山・芦火谷川渓谷
- GPS
- 09:02
- 距離
- 23.8km
- 登り
- 1,634m
- 下り
- 1,630m
コースタイム
天候 | 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2023年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
R367の旧道は足尾谷橋以南は通行止になっており駐車スペースはわりとある |
コース状況/ 危険箇所等 |
皆子山(ツボクリ谷ルート):テープも豊富で迷うことはまずない。易しく楽しいバリエーションルート。靴を濡らさずに行くのはやや骨が折れるかも? 芦火谷川渓谷:谷が北西に屈曲するとこくらいから連瀑帯が始まる。いずれも巻けるが結構手強かった。「ゴルジュ」はさすがに盛ってるが「渓谷」くらいには呼んでもいいだろう。 尾越〜峰床山〜八丁平〜中村:普通の登山道。 |
写真
感想
京都府は北山の最高峰・皆子山は以前からツボクリ谷というルートが楽しそうで興味はあったのだが、何故かなかなか行く機会を得られずにいた。そろそろ雪山シーズン明け1発目ということで行ってみるか〜と地図を眺めていたら、ツボクリ谷で分岐する本流の「芦火谷川」は上流に集落があり林道も通っているにもかかわらず、何故かこの部分だけ道が途切れている。こういうところを見ると俄然興味が湧いてきて行きたくなり、さらに少し上に目をやるとこちらも気になっていた八丁平湿原が横たわっている。かくしてこれらすべてを一度にこなしてしまう贅沢詰め込みすぎ山行計画が爆誕した。一度皆子山を登って降りる謎の行程である。下山してからトレースを見てみると完全に異常者の行動記録で笑ってしまった。
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眺めの行程に備えて早い(当社比)出発で、快晴の下8時半に足尾谷橋をスタートする。林道を歩き発電所を越えると山道になってくる。徒渉をしないといけないところもポツポツ出てくるが、今日は最初から下半身だけ沢装備にしてきているのでじゃばじゃば水中を進む(たぶんこっちの方が楽……)。廃ボットン便所と廃小屋を眺めたりしつつツボクリ谷出合に到着。
「まずは」左に折れて皆子山を目指す。初っぱなの連瀑帯に突っ込んでみたら意外に美形な滝を拝めて早速得した気分になりつつ新緑の谷を進む。この時期の谷はどうしてこうも美しいんだろうか。新緑にはまだ早いものの満たされた気分に包まれるには十分である。たまに小滝が出てくるのでホイホイと越え、50分ほどでトチの大木が立つ二俣広場に到着した。道はここで左の谷に入るが、ここをあえて直進。次の三俣を真ん中、その次を左にとると進行方向に見えてくるのは3段15〜20mくらい?の大滝。ちょっとの寄り道でこの見事な滝を拝めるのはなかなか価値があると思う。頑張れば直登もできそうだが今日は寒いし一発目だからなどと言い訳をしつつ右岸を巻く。その上はもう詰めの様相で、やがて水も涸れ最高に美しい源頭を進み稜線に出る。皆子谷の源頭はこの上ない絶景だった。そして皆子山頂を踏むが、稜線上は爆風がヘリの音かと思うくらいの強風となって吹き付けているので穏やかな南東斜面に退避して休憩とした。
さて皆子山に登るだけならここから東尾根で下山しても良いだろうが今日はここからが本番である。強風吹き荒れる北西斜面をツボクリ谷に向かってカサカサと下り、20分ほどでトチの木の広場へ到着。ツボクリ谷を引き続き下り、芦火谷川の分岐まで帰ってきた。
「次は」ここから芦火谷川の本流を遡る。地形図的にはそこまで急傾斜でもなく、上流に集落もあり下流は安曇川というこの川沿いに道がない(地形図では途中で途切れている)のは結構疑問だったので完全に好奇心からの突撃である。ネットを漁っていると釣り人がここを越えたという記録が1件だけヒットした。それを読むには読んだが、結局滝が何個かあるらしいこと、まあでもそこまでの大滝ではないだろうし、越せないことはないのだろう程度の認識しか持っていない。序盤に巨岩にお出迎えされたりするがしばらくはわりと凡流が続く。上流から流されてきたのであろう木製の工作物なども点在していた。
Co560くらい、谷が北西へ折れる地点から両岸が迫ってくる。何か出そうだなと思いながら進んでいくと明るく光が差し込む谷の屈曲点に広い釜が現れ、そこで向きを120°ほど変えて流れ込む2条の滝が姿を現した。さらにその上には3条の滝もかかっていた。なかなか立派な滝である。この滝は釜を回り込み左岸側から巻いたが、泥っぽい壁で結構滑る巻きだった。なお、地形図にある道の痕跡は全く見当たらなかった。
ここからしばらく滝が点在する。次の小釜を従えた小滝を超えて2段の滝が出現。これは右岸からまとめて巻いたが、ここには一区間だけ、獣道と呼ぶにはあまりに明瞭なトレースがついており、やはり前人未踏の地というわけではないのだろう。その後も両岸迫った谷の中を進んでいく。いかんせん事前情報がほぼないので次に何が来るのか楽しみが半分、不安が半分といった感じで進んでいく。
両岸が一層険しくなったところに現れたのは広場のような大釜を従えたくの字状の2段滝。水量がけっこうあるので迫力もそれなりである。そして両岸結構険しく巻きはたやすくはなさそう。泳いで左岸側にとりつけば容易に登れそうだが、今日は寒いので泳ぎたくはない。そういうわけで右岸側からの巻きにかかるが、岩はもろいし泥は滑るしで結構きわどい巻きだった。しかしこの巻きの途中で見つけてしまう、自然にできそうにはとても見えない切り株を……やはり人の手は入っているのだろう。
右岸からきわどい巻きをこなすとすぐにまた釜を従えた2段滝の姿が。右岸はこの先でかなり険しいルンゼになっており右岸巻き継続で越すのは難しそう。さてどうしたものかと眺めていると左岸側に小さなバンドがありそうなので取り付いてみる。取り付いてみれば狭く小さなバンドではあったが安定はしていて無事に越すことができたが、結構険しいなあという印象。いやはやナメてかかっていたがなかなか手強い峡谷だ。
しかしこの2連2段滝を越えると一気に平流になる。優しい春の日射しが差し込む美しい平流をしばらく進むと顕著な二俣に到達、そこから林道へはい登り芦火谷川の小冒険は終了となった。なかなか手強かったし楽しかった。
そこから先は一般登山道の道である(というかしばらくは林道だし)。少し進んだところの建物で沢装備を脱ぎ、一般登山者に変身して進む。峰床山への登りをもくもくと進み、まだ見ぬ八丁平への期待を寄せながら進む。峰床山の山頂に着くと初めて京都北山の折り重なるような峰々が一望され、ああ峰床山まで来てよかったなあと思える眺めであった。しかし気温が割と低く、稜線は爆風なので長時間止まっていると寒いため10分そこらでそそくさと退散する。
上部こそ暗いが下部は広く開けて明るいクラガリ谷を進む。しばらくすると八丁平の木道に到達する。湿原地帯はもっと中心部のほうらしく、正直よくわからないなという感じであった。しかし下流の方向に回り込むと手つかずの地面をうねうねと蛇行しながら流れる美しい小川に目を奪われるのだった。正直この時期でこれだけ美しいなと思えるのなら、紅葉の時期はいかほどにやあらんという感じである。冬で雪原になった姿も綺麗だろうし、夏〜秋くらいの時期にはトンボの楽園になってそうである。また、今回は随所でサクラの花びらが地面や水面に貯まっているのを見かけたが、3月末くらいに来たら花見登山もできたのかもしれない。この八丁平というところ、是非4シーズンすべて一度訪れてみたいと思えるところであった(まあ、梅雨の時期にはヒル天国になってそうだが)。
美しい八丁平に別れを告げ中村乗越からは薄暗い林の中を通る。江賀谷に降りたってすぐは道がやや不明瞭だがじきに出現する。江賀谷の道自体は特筆すべきものも別になかったように思う。谷自体は綺麗なほうかな?まあ今日はもうただの帰路なので、粛々と進む。林道に出て、そこからR367中村まで2キロか3キロ、R367に出てから足尾谷橋まで4キロくらい、最後に合計6.7キロを歩かされてバイクの下にたどり着いたときには足が棒だった。日帰りで9時間24キロはまあそれなりに歩いたといえるんじゃないだろうか。
皆子山は沢筋の悪魔、ヒルの大量生息地帯として有名だが気温の低さからか時期からか全く被害に会わなかった。この時期が最適なシーズンか?
あと今回会った人は皆子山山頂で単独1人と2人PT×1、峰床山への道中で山菜採り2人組×1、八丁平で植物観察中?の1人だけだった。人が少なくて静かなのもこの山域の魅力かな。
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☆皆子山ツボクリ谷ルート、素晴らしい初級バリエーションルートだと思う。芦火谷川渓谷は意外と手強かったので、1時間程度で楽しめる沢登り風ということで悪くないと思った。ただここだけのために遠くから来るほどではないかなあとは思う。八丁平はもう次の雪山シーズンでの訪問先として優先度が急上昇中です。
あと、どうでもいいけど「芦火谷川」が「あしびたにがわ」なら「足尾谷」も「あしおたに」ではなく「あしびたに」なんだろうか。「あしび」というと植物の「アセビ」が連想されるが、谷の中にあまりアセビはなかったような。語源が地味に気になってしまう、おそらく正解の情報はもうどこにもないのだろうが……
※後日追記:「新道足尾谷橋」バス停のローマ字ルビが「Ashibitanibashi」だったので読みはあしびたにばしで確定のよう。上流で「あしびたにがわ」のものがなぜ下流で「あしびたに」にランクダウンするのか、不思議である……
おまけ:https://www.yamareco.com/modules/diary/333709-detail-298150
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