藪を泳ぐ 深南部 黒法師岳〜バラ谷ノ頭


- GPS
- --:--
- 距離
- 24.5km
- 登り
- 2,184m
- 下り
- 2,175m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
水窪ダムから先はダートの林道。ゲート前に数台停められる程度のスペースがあります。頑張って5台いけるかどうか・・・。 水窪ダムにトイレ、自販機、公衆電話があります。この辺りは奥地なので携帯の電波などは入りません。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山ポストはゲート脇に。 <ゲート〜黒法師岳登山口> 林道歩き6、5キロです。0,5キロ毎に標識があります。行きはあとちょっとだ頑張ろう!ってなるけど帰りはまだこんなにあるの??って現実的な数字を見て絶望的な距離のように思います。やはり長い。 途中滝や紅葉が綺麗で元気なら飽きもこないでしょう。 <黒法師岳登山口〜稜線(等高尾根)分岐> 等高尾根と呼ばれる尾根を登ります。 地形図を見ると分かると思いますが尾根のトップをひたすら直登です。 急登。一般登山道としては薄めの踏み跡ですがテープ等のマーキングはそこそこあるし、尾根のトップを歩くので間違える事はないと思います。普段山と高原地図などの分かりやすいルートしか歩いた事ない人は少し先のルートまで意識して歩くと良いと思います。 平らになるのはヤレヤレ平辺りだけ。鎌薙や丸盆が良く見えるようになって来て弁当転がしを過ぎれば稜線に出ます。 危険個所はあまりないですが、細い尾根を歩くところ、足元が崩れやすいところなどが所々あります。 <稜線(等高尾根)分岐〜黒法師岳> 稜線に出るとすぐに分岐指標があります。 左に行けば丸盆山、右に行けば黒法師岳です。 笹の中を歩きます。足首から膝、深いところでも太腿程度の藪です。 表面は笹に覆われていても足元は踏み跡がるのでルートは分かると思います。 分からなくなってもどこかしらにテープがありますのでそこに向かえば足元の笹が薄いところがあるはずです。 黒法師岳直下は崩落している斜面の脇を通りますのであまり崩れているところに寄り過ぎないように。足元が若干崩れやすいです。 展望はあまりない樹林の山頂ですが、頭上は以前よりも少し木が刈られて明るくなったように思います。×印の変種の一等三角点があります。 <黒法師岳〜バラ谷の頭> 笹に覆われた素晴らしい場所です。別天地! 黒法師岳の直下は急。急で足元が見えなくてぬかるんでいるところなどもあり何度か転びそうになりました。 笹は腰ぐらいから深いところは173cmの自分の背丈を越えるところまで。 山頂からの斜面が藪が濃いです。 平坦なところは鹿道が縦横無尽に広がる笹原。 この辺りは膝ぐらいの深さなのでどこでも問題なく歩けます。が、調子に乗ると藪に覆われた倒木に脛をぶつけたりします。 バラ谷の頭までの登りも少し急です。 バラ谷の頭への取りつきのあたりで少し細い尾根に乗りますがそこに“水”の標識があり、下に下ると水場があります(結構下ります)。 バラ谷の頭は国土地理院の地形図上は最南の2000m以上のピーク眺望も良いです。少し奥に歩くと本邦最南の2000mの指標があります。 |
その他周辺情報 | 水窪ダムにトイレ、自販機、公衆電話あり。 結構な奥地なので下山後もある程度の距離を移動しないとお店や温泉などには辿り着けない?? |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
ロープ8mm×20m 昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
ナイフ
カメラ
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感想
南アルプス深南部。
手つかずの自然や魅力的な山々の連なる奥深く静かな山域。
この地に以前訪れたのはいつだろう?
標高がそれほど高くないので夏は暑く、冬は下界から完全に隔離されてしまうような地域でアクセスも決して良くない。
子供の頃はよく遊んだ場所だったのにここ数年は行こう行こうと思いつつ足を踏み入れていなかった。
先日知人がこの辺りの山を登りたいという話で、足が無かったのでちょっとしたきっかけで自分が送ってあげることになった。近々登ろうとしていた所に登山口までは行ったのに登らなかったので、もううずうずしてて次の休みはココ!って決めていた。
水窪ダムで前日の夜仮眠をとる。気温2℃。冬季用の寝袋にくるまっていると少し暑いぐらいだけど良く眠れる。
で、気付いたら明るくなってる!マジか!
薄暗いうちに林道を歩き始める予定だったけど既に6時半・・・。
飛び起きて登山口へ向かう。
ダートの道を走りゲート前に到着。前日水窪ダムに停まっていたもう一台の車が停めてあって、出発の準備をしている。(結局自分が先行し、この方は自分よりも手前で引き返し先に下りたようなのでこの日は朝イチ以外誰にも会いませんでした)
出発遅くなっちゃいましたねぇなんて挨拶を交わし、すぐに届を出して出発。
林道歩きは6,5キロと長丁場だが、行きはウォーミングアップにもなるし、滝や紅葉が綺麗だしルンルン歩き♪
一時間程で登山口に到着し、等高尾根を登り始める。
急だ。
一応入山者数は少ないとは言え黒法師岳や丸盆岳は深南部でも人気の山。
ルートも歩き慣れている人ならちょっとキツめの一般登山道だと思えばいいだろう。
(ただ、普段整備された登山道しか歩いてない人は少し慎重に)
お天気はすこぶる良い。
朝は少し冷えたが晴天の秋の陽気で歩いている間は少し汗ばむぐらい。
急な登りでぐんぐん標高をあげて行く。
一旦傾斜が緩まり、広い尾根にでるとそこがヤレヤレ平。
水を飲み、行動食をつまんで一息。
ここは明るい森で気持ちいい。
ガサガサという音と共に鹿やカモシカがたまに斜面を走り抜けて行く。
登りが緩いのはこの辺りだけ。再び急登りの連続です。
先月はまともに歩いたのは富士山登った一回だけ。
少し鈍った体にこの辺りの急な山はなかなか堪えます。
1700mぐらいから笹が出て来て森の雰囲気ががらりと変わる。
急登は相変わらずだけど、丸盆岳や鎌薙が綺麗に見えて来てテンションが上がります。稜線まであと少し。
稜線に出たとたんに視界が開けます。
北側にはすぐ近くに丸盆山や鎌薙、池口岳、加々森、鶏冠などの深南部の山々もバッチリ。中アや御嶽も。
当初は丸盆岳にも下山時に体力に余裕があったら寄る予定でしたが体力と言うより筋力的に厳しそう。普段は弱い膝を筋力でカバーしていますが、肝心な山用の筋力がしばらく山に登ってないと衰えてしまうのです。
今日は丸盆方面はやめておこう。
という訳で笹の繁る稜線を黒法師岳を目指して歩きます。
この辺りは足首〜膝程度の藪。少し深いところでも太腿〜腰程度。
笹に覆われて足元は見えなくとも踏まれてはいるので道は分かります。
稜線の先にグワっと登る黒法師岳が。
笹の稜線を歩き、少しガレた急登を登りきれば黒法師岳山頂。
直下のガレが少し足元が弱くズルっと滑りそうでしたのでこの辺りは注意ですね。
朝の気温で足元が少し凍っていたり霜柱が多く足を置くと崩れました。
下山時は霜柱が融けて少しベチャベチャになってました。
黒法師岳の山頂は樹林の中。
以前はかなり鬱蒼としたイメージでしたが、上の方を少し刈り取ってくれたのかな?
それとも枯れた?少し明るい感じになっていました。
ココの三角点はとても珍しい変種の一等三角点。
普通は+印ですがここは×になっています。
三角点マニアにはたまらない??
少し休んで今日最も行きたいと思っている場所バラ谷の頭へ。
黒法師岳の山頂からは笹薮に覆われた激下りです。
藪は腰〜胸ぐらい。
深いところでは背丈を超すところもあります。
笹の生えているところは足元がとても滑りやすく、加えて結構なの急斜面なので何度も何度も滑って転びそうになり、笹に掴まりながら下りました。
笹薮漕ぎは両手で平泳ぎをするように笹を掻き分けて笹の上を歩いて進むのでまるで藪の中を泳いでいるよう。笹を泳ぐと言われますがまさにその表現がぴったりです。
一旦下りきるとなだらかな笹原。
縦横無尽に鹿道の走るこの素敵な場所を好きなように歩きまわれるのです。
風が吹いて笹が波打つように揺れる様の美しい事!
この辺りの笹は膝から深いところも太腿程度。
山の中の別天地。現実離れした素晴らしい世界が広がります。
笹原の中に立ち枯れの深南部らしい風景♪
最後にもう一度急な登りを頑張ってバラ谷の頭に到着。
こちらは見晴らしの良い山頂です。
大の字になって真っ青な空を眺めて一休み。
この少し先に本邦最南の2000m地点があるのでそこでお昼を食べ、もう一度バラ谷の頭に戻ってきてコーヒータイム。
妻が作ったスィートポテトを食べながらぼけーっと贅沢な時間過ごしました。
下山するのが嫌になってしまう程素敵な場所ですが、惜しみながらも引き返します。
水場の確認をして(バラ谷から下ったコルのところに水マークがあり、そこから結構下に下ると水が流れています)再び笹原を歩き、黒法師岳の急登を笹に掴まって登ります。
さっきまでいたバラ谷の頭の周りをかなり低い高度でヘリが旋回して、山頂付近でもホバリングしてましたがなんかあったのかな?一時間ぐらいぐるぐるしてました。
少なくとも踏み跡や山頂の形跡からして今日は自分以外にこっち側から歩いてあの辺りに行った登山者はいないと思います。
黒法師岳で一息ついて後は下るだけです。
等高尾根の急な下りは弱った膝にダメージを与えてきましたが、暗くなる前に下れば良いのでのんびり下山。
下山中は猿の群れと数頭の鹿に出会いました。
1500mから下ぐらいは紅葉が綺麗でした。
ようやく登山口まで戻り、最後の林道歩きですが、登りの時以上に長く感じるんですよねぇ〜・・・。
行きはあと〇キロだ頑張ろう!ってなるけど帰りはまだ〇キロもあんのかよ・・・って(笑)ただ、林道は紅葉と滝で癒しがあるので頑張れました。
深南部の山はやはり素晴らしい。
元々静かで豊かな自然に恵まれた山が好きですが、特にこういった奥の奥の深くて険しい山に入ると山は標高やネームバリューだけじゃないよなって思います。
今回訪れたバラ谷以外にも黒バラ平、鹿の平、黒沢山や丸盆山なんかも現実離れした素晴らしい場所が広がります。アクセスや登山行程は結構手強い部分もありますがそれを補って余る程の魅力が詰まった山域です。
まだ、もうしばらくは下の方の紅葉も楽しめそうですよ〜
こんちわ
新穂高の林道歩きを思いますね
行きはよいよい帰りは・・怖いです
南アルプス最南端ってところでしょうか?
なにかヘリが気になりますね
お疲れ様でした
でわでわ
林道はホント長くって・・・もうちょっと奥まで入れるといいんですけどねぇ
深南部は南アルプスの中でも最も奥深く静かな場所です。
ヘリ・・事故などが無かった事を願います。
ではでは
素晴らしいですね〜(山じゃなくて奥さん)
スイートポテトを作ってくれるなんて!
ヤレヤレ平とか弁当転がしって笑っちゃいました。
私なら林道の往復だけで十分かも。でも素敵な写真と文章
見せていただき 想像して楽しくなりました。ありがとう!
いやいや素晴らしいのは山
妻は自分のおやつの余りを分けてくれただけです
林道歩きがもうちょっと短いといいんだけど、紅葉がいい感じで飽きずに歩けました。
深南部良いところです。
アクセスに難はありますが是非行ってみて欲しい場所です
同じ所でご飯たべてました★
私は麻布山経由で登ってバラ谷ノ頭まで歩きました。ご飯は最南2000Mの所で8時ごろにたべてましたよ
凄く天気が良かったですよね!気温も丁度よかったです。
違うルートでまたこの山域に入りたいと思います。
楽しかったなぁ〜!
ashinuさんこんにちは
レコも拝見しました。
ってか出発も到着も早っ!
ashinuさんが出発の頃はまだ水窪ダムで寝てましたし、山頂にいる頃ようやく登山口に着いた頃でした(笑)
深南部はホント静かで素敵ですよねぇ〜遠方からの方はなかなかこれない場所ですので地元の利を生かして楽しんじゃいましょう
南アルプス深南部、何とも言えない雰囲気ですね〜
初心者ですが、いつかはこんな所も歩いてみたいなと思いました。
素敵な写真の数々ですね、雰囲気が伝わります。
有難うございました。
深南部は数少ない原始の森が残された場所だと思います。
入山者も少なく静かで良い場所。
アルプスの喧騒に嫌気がさして山が好きな人しか入って行かない場所です。
険しいところや難しいところもありますが、この辺りまでならちゃんと下調べして計画立てて時間をかければ大丈夫だと思います。
夏は暑いし蛭が出るので秋がいいですよ〜
こんばんは。
春に登りたくて水窪へ行きましたが、ゲート前の土砂崩れに断念した山です。
ここは、雨が1滴も降らない好天気で日が長い時を狙っています。
もちろん、三角点は見たいので5月過ぎですね。
ヒルがでない梅雨前なので登る期間が短い・・・
自分への気合がないと登れない山です。
休みと天気とやる気をそろえるのは難しいです。
さらりと登れるmamepyon さんが羨ましい。
日が短い秋に登るなんてとんでもないことです。
いい眺め!帰りたくない気持ちわかります。
こんにちは
この辺りの山は林道の状況も含め、なかなか手強い山が多いですね。
晴れた日にあの笹原の景色は素晴らしいです
適期はnann_puu さんの狙ってる梅雨前とまだ日が短くなる前の初秋ぐらいでしょうかね。
夏はヒルもそうだけど蒸し暑くてダウンしそうです
今の時期は天気が比較的安定してるのと涼しいので歩きやすかったです。
距離と標高差はあるけど、林道は暗くても問題なく歩けるので意外と日が短くても平気かも。
さらりと見せかけて結構足にきてて、翌々日が休みで他の山に登ろうとしてましたが休養に充てました
場所がよく特定できないけど、
素晴らしい場所であることは伝わりました。
まさに藪を泳ぐ。
登山の本質ですね。
標高が山ではない。
俺は谷川岳主脈を歩くとそれを感じます。
深南部、俺はいつ歩けるだろ…
自分の山登りの原点は富士山と南アルプス。
この新南部は南アルプスの最も深いところで日本有数の原生林の森。
唯一の原生林環境保全地域で手つかずの自然が残されている場所です。
黒法師岳はこの辺りでは人気で月に何人かは登られている方もいるようですが、もっと奥に入って行けば一切人の気配を感じる事はない場所になります。
完全に山の中に自分一人。
ディープサウス。
多くの山好きが最後に行きつく場所とも言われています。
いつか是非
またまた凄い所と、凄い距離ですね!
膝が調子良かったらどれだけ歩けるんですか(^ム^)
しかし南アルプスは深いですね〜
連休があまり取れないので、敬遠気味ですが行きたいなぁ
こんにちは
膝が良くてまだ元気いっぱいだった頃はどこまででも、いくらでも歩ける感じでした
ユーラシア大陸横断。
トルコまで歩いて行きましたからね〜ww
南アルプスは大きくて深くていいですよ〜
アクセスだけがちょっとアレですが
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