谷川岳 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁 変形チムニー


- GPS
- 14:59
- 距離
- 6.5km
- 登り
- 1,862m
- 下り
- 989m
コースタイム
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
無雪期の谷川岳登攀は5年ぶり。
Sちゃんも変形チムニーは未登とのことだったので、2人でシーズン登り初め。
●アプローチ
一ノ倉沢の出合に雪はなく、入ってすぐに巻き道へ入る。
途中から雪渓が残っていた為、雪が現れてからテールリッジまでは雪通しで行けた。
●変形チムニー
衝立岩中央稜の取付で装備を整え、ザックをデポ。
「おや?変チの取付に人がいる?」と思いながら取付きに向かうと先行3パーティ。
奇数ピッチ:Sちゃんリード
偶数ピッチ:yachimayuリード
1ピッチ目、濡れ気味で何となく嫌な感じ。残置支点まで。
2ピッチ目、チムニーの下までのトラバースだが、濡れていて、しかもプロテクションが全く取れない。最初、間違えてディレッティシマに引き込まれ降りるはめに。
草を束ねて、心の安定剤的にプロテクションを取る。
3ピッチ目、濡れたチムニー。服もビショビショに。抜け口は右から出た。
4ピッチ目、支点の上が崩れていたので、一旦左から回り込んで少し上がって、中央カンテの顕著なフレーク下までトラバース。プロテクションは取れない。
5ピッチ目、フレークの上まで。
6ピッチ目、直上しようとしたところ、ハーケンが吹っ飛んだ。左のルンゼから回り込むと楽。
7ピッチ目、垂壁〜コーナークラック〜四畳半テラス
8ピッチ目、草付きのスラブ
この段階で14:50。もう1ピッチ前だったら同ルート下降できたのだが。
あと2ピッチ。
2人で相談し、17:00懸垂開始なら下山可能とし、登攀継続を決める。
9ピッチ目、コルまで草付き、終了点には懸垂用の残置あり。ここまでは順調。
10ピッチ目、トラバースを試みるも失敗。濡れていて崩壊&落石多数にメンタルやられ、戻るはめに。
9ピッチ目終了点から対岸のルンゼに降りて下降することにする
●下降点が見つからない!
9ピッチ目終了点から空中懸垂でルンゼに降りる(40m程)。
行くべき方向(南稜終了点)は分かっているのに、笹が深く進めない。
岩沿いのトラバースを試みたり、谷側を探ってみたりするも60mロープいっぱいまで伸ばしても思ったような場所に行けない。
タイムリミットは17:00懸垂開始としていたが、この段階で18:30。
まだ明るく視界はあるが、下降点探し&懸垂下降と下山を考えるとすでに遅く。
今夜〜明日の天気、現在の状況&持ち物、二人のコンディションからビバークを決定。
そうと決まれば、視界がきくうちに寝床のセッティング。
懸垂支点を補強して各々セルフをとり、乾いたゆるい斜面に座ってビバーク。
●下降点探し
明るくなるのを待って、再度笹ヤブに突っ込み、下降点探し。
踏み跡を探すことを諦め、自身の記憶にある「6ルンゼ」の場所を目指して進む。
直線距離で60mロープいっぱいまで伸ばした先に人工物(南稜終了点)が見えた。
後から考えると、
空中懸垂(40mほど)〜ルンゼ基部に腐ったスリングの懸垂支点
〜烏帽子岩の対岸の岩場沿いに8m程下る(前半スラブ〜後半笹ヤブ)
(ここからは深い笹ヤブ、途中までは谷側に降りる踏み跡があったが、途中で消える)
〜そこからは一旦岩壁とは離れ、谷側をトラバース
〜丸い岩めがけてトラバースし、丸い岩の手前で岩壁側に戻る形で数m登る(ここまでで50mほど)
〜お立ち台のような岩の上に出る(笹ヤブを脱出し、空中懸垂降りた場所から見える)
〜丸い岩沿い(谷を見下ろし左手側)から下り、右手の岩沿いにトラバース
〜南稜終了点
昨日は懸垂の形で降りてロープを笹や木にスタックさせたので、リード&フォローで。
出だしの下降が悪く懸垂したほうがよいので、フォロー確保は1本で。1本はフォローが懸垂に使用。
南稜終了点からは、左上に5m程移動すれば6ルンゼ下降点。
●下降〜下山
懸垂下降5回で南稜テラスへ(30m、50m、50m(笹ヤブの下まで)、30m(南稜1ピッチ目終了点まで)、テラスまで)
南稜を登る方に聞いた話。
・変形チムニーの4ピッチ目は昨年崩れた(II級じゃないよね?!と思った)。
・一昨年から変形チムニーブームなのか渋滞気味とのこと。
<感想>
濡れ濡れだわ、岩剥がれるわ、脆くてプロテクション取れないわ。
これぞ、ザ・谷川。
何度かは草付きプロテクション。
(こういう時「沢屋なめんな」と心の中で思う。最近、沢行っていないのにw)
一応想定の範囲内で装備していたが、まさかのビバーク。
月明りで明るく、東尾根方向がよく見える。
天候も良く寒い地方出身の二人で助かったが、風が吹くと寒く朝方は染み出しでしっとりしていた。
(パートナーがSちゃんだったから、2人でくっついて暖を取ったり出来た)
先週三ツ峠でお会いした方が凹状岩壁を登られていて、壁のこちらからご挨拶。
翌日南稜を登って来た方に、その方々が当方らが降りて来ないのを心配されていたと伺った。
ご心配おかけし、すみません。無事に下山しています。
とにもかくにも、4年前の宿題がようやく回収出来た。
パートナーがSちゃんで本当に良かった。
ありがとう! またよろしくです!
<反省点>
身体がまだアルパイン慣れしておらず、ピッチ毎に時間をかけすぎた。
「どうせ変チなんて誰も登っていないだろう」とゆっくり出発したら、まさかの先行3パーティー(1パーティーはディレッティシマへ)。
下降点探しだが、落ち着いて考えれば、きっとここまで迷わなかったと思う。
6ルンゼ下降の経験があっただけに、少し甘かったと反省。
抜けた時間が想定よりかなり押していて、これから暗くなることを考えた際の焦りもあったのかもしれない。メンタル弱いなぁ。
また、ここまでかかる予定ではなかったので、持ち物とか色々反省点あり。
(食料&水分は足りた。持ちすぎだった?!)
<装備>
60mダブルロープ
カム&ナッツ 1セット
アタックザック1つにし、フォローが背負う
雪渓はチェーンアイゼンで。
コメント
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なぜ最近変チブームなんでしょうか?(笑)昨年同時期も混んでました・・・私達は先頭で取付いて中央カンテ合流部へも中央カンテ組より先に着いたので最後まで先頭で登れてストレスレスでした!!
yachimayuさんたちは南稜フランケ1P目から登ったんですねー。変チ1P目終了点の写真、南稜フランケ1P目終了点ですよー(笑)2P目チムニー下までのトラバース大変だったでしょう!!10ピッチ目のトラバースも嫌ですよねー。私も初見の時にトラバースをリードしましたがそこが一番の核心でした。後日、今そこから登ってる人は少ないと聞いてその後は烏帽子岩の肩から懸垂で下りてます。
ビバーク大変でしたね。お疲れさまでした。
また何処かでお会いしそうですねー。(今回はニアミスでしたが・・・)そのときはよろしくお願いします。
なんと、yama_poundさんもあの日変形チムニーだったのですね。
流石、早いです!
そして・・・、あちゃー、間違えていましたか。南稜フランケだったとは。
(南稜フランケ登ったことあるのに、気付かなかったです orz。反省。。。)
「自分、変チの1、2ピッチ目でこんなに手こずるレベルなんて...」と内心凹んでいました(苦笑)。
最後のトラバース、本当に悪かったです。あそこを早く見切りつけて懸垂すべきでした。
色々、勘も鈍っていますね(^^;;; 出直しです!
今季もどこかでお会い出来るといいですね。
こちらこそ、よろしくお願いします!
先々週末、三つ峠でお会いし、先週末は凹状岩壁を登りながら変チを登るお二人とコールし合ったものです。
我々もゆっくり取付いた上に、予想以上に時間がかかり、取付きに戻った時は薄暗くなりかけていました。そこにはザックが二つ置いたままであり、南稜方面には人影、ヘッデンの光が見えなかったので、心配しました。yachimayuさんなら、暗くても6ルンゼ〜南稜を下降できるだろうと思い、怪我していなければいいが、、、と思いながら下山しました。何事もなくてよかったです。
どんな状況でも安全に帰ってくる、それがアルパインだと思っています。無事で何よりでした。
烏帽子岩の肩から懸垂下降した場合、あまり下らずに、木の辺りから素直に笹薮をトラバースしていくと、懸垂岩から懸垂下降してきた時のちょっとした広場に出ます。そこから踏み跡を辿ると南稜の終了点に下りることができます。
三つ峠では大変お世話になりました。
谷川岳、そして壁の中でも、見知った方を認識できると心強くなりました。
そして、この度はご心配をおかけし、申し訳ありませんでした。
翌日、出合で幕営していた方々が南稜を登られてきて、taku-and-ogyaさん達が心配されていましたよ、と伝えてくれたのですが、無事の下山を伝える術が無く。
このようにコンタクトを取って頂き、大変感謝しています。
下降路については、またいつかちゃんとした所を辿ってみたいと思います。
三つ峠の時にも思いましたが、そのお考えに大変共感する部分があり、またどこかでお会い出来たらと思っておりました。
どこかの山でお会い出来ましたら、よろしくお願い致します。
10ピッチ目のルンゼの登り&トラバースは最後の核心ですね。
烏帽子岩の肩にはこれまでに10回行きましたが、懸垂下降したのは1回だけで、あとはすべて核心部を突破しました。懸垂岩まで完登したいという気持ちだけですね。
修行僧の修行のようなところですね。
9ピッチ目から空中懸垂し、そのままルンゼの底を対岸にある頼りない木まで降ります。そこから傾斜の落ちた笹薮を素直にトラバースすると、上で言った広場に出ます。10年前は木からフィックスロープがありました(現在は不明)。
南稜終了点を直接目指すと、傾斜がきつく危険だと思います(行ったことがありませんが、傾斜がきついと思います)。
詳しく教えて頂き、ありがとうございます。
今週再度行ってみて、南稜終了点を目指して降り過ぎたことが分かりました。
また機会があって、コンディションが許すようでしたら、トラバースにチャレンジしてみたいと思います。
週末の谷川岳、お疲れ様でした!
この度は、ご心配の連絡を頂けたこと、嬉しくそして有難く思っております。
下山をお伝え出来なかったこと、申し訳ありませんでした。
このような山を続けていると、同じルート、同じ山域でよくお会いする方もでき、正式に名乗り合わなくても何と言いますか、仲間意識というかそういうものが芽生える感覚を思い出しました。
初心に返り、精進したいと思います。
また、どこかの山でお会いできるとよいですね。
その時は、よろしくお願い致します!
6Pのアクシデントを横からみていたので、もしかしたらあの時に怪我をされていて、それが上部パートで悪化してトラブルになっているのでは?と心配していました。
御無事で本当になによりでした。落ち着いてビバークの判断をされ、無事に下山されたのは流石です。
当方まだまだ初心者ですが、これからアルパイン&沢を頑張ろうと思っています。またどこかでお会いする機会があるかもしれませんが、その際はどうぞ宜しくお願い致します。
凹状岩壁、お疲れ様でした。
そして、ご心配おかけしましたっ!
懸垂で降りて行かれる際に手を振って下さったのが、ちゃんと見えていました。
下山してご挨拶できれば良かったのですが、残念です。
谷川岳は好きな山のひとつで、よく行くお山です。
また、どこかでお会いできましたら、よろしくお願いします!
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