空木岳


- GPS
- 56:00
- 距離
- 16.0km
- 登り
- 2,323m
- 下り
- 1,979m
コースタイム
倉本からの林道と登山道が交差する最終地点(13:10/15:00)中八丁峠(15:20/15:45)伊奈川徒渉点(16:30/16:40)四合目・金沢土場(16:40/18:05)五合目(18:10/18:45)六合目 テント泊
8月13日
六合目(4:50/5:45)七合目(5:45/7:15)八合目(7:15/9:10)木曽殿越(10:45/12:40)空木岳(13:15/15:30)摺鉢窪避難小屋 泊
8月14日
摺鉢窪避難小屋(5:45/6:55)南駒ヶ岳(7:40/9:50)2411mピーク(9:50/12:40)ニワトリ小屋橋(14:50/16:10)伊奈川ダム
天候 | 二日目雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年08月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
中八丁峠まではそんなに道はよくないものの、刈り払いの痕があった。1、2箇所崩れているところあり。 大桑村恋路の湯(野尻駅から徒歩40分くらい?) |
写真
感想
8月12日
朝から家を出る。電車の中で、地図を忘れてきたことが発覚。俺のバカバカバカー!!でも2.5万図と磁石は持ってきていた。ラリーとババが持ってきてくれているからまあそれでいけるか。
特急列車がバリ混みで凹んだ。塩尻で乗り換えて倉本駅へ。塩尻からけっこうかかる。
倉本からの空木岳を登ってみたいとずっと思っていて、今回それが叶うのでうれしかった。しかし、今時倉本から延々登る人は随分減っているようで、今年出版されたヤマケイの新しいガイドブックにはもう倉本からのコースはもう載っていなくて、整備されていないので入山するな、というようなことが書いてあった。さて道はどうなっているだろう?倉本駅からは、林道をショートカットしながらの登山道がイザルボテ下まである(もしくはあった?)ようなのだが、今回は見かねたラリー父が林道終点まで送ってくれるということで、時間を稼ぐことができた。
倉本駅でみんなと合流。ラリー父の運転で林道をゆく。ところどころに昔からの登山道の道標がある。15分かそこら行ったあたりで、馬の背との標識があり、ここで車を降ろしてもらい、みんなで記念撮影。
ラリー父を見送り、登り始める。13時。いきなりきつい登りだ。しかしありがたいことに笹を払ったあとがある。「いざるぼて」という古い看板がある。かわいい。どういう意味なんだろう?だいたいにおいてこの道は巻き道であった。道幅も狭くて歩きにくい。巻き道は楽だけど嫌いだー!!途中崩壊している箇所もあった。それから、はしごが一カ所。難なく通過。中八丁峠にちょうど15時着で、しばし休憩をとる。
ここからは下りである。支稜をこうして越えていくのも味があるなぁ。次第に沢の音が聞こえてくる。道端から水が湧きだしている。ほどなく伊奈川の徒渉点である。古い橋梁の台が残っている。台風の後で増水が心配だったが、全然大したことなかった。ここで、ロープワークの練習と称して、ロープを使って徒渉してみる。僕も実際にやるのは初めて。水が冷たかった。
ここから林道に出て、金沢土場まで下る。そこから今度はしばらく上り。水を汲む。ウサギ平には5時半くらい。普通の人はここまで林道を来てから登る。五合目まで、きつい登りだった。五合目は少し眺望がある。ここで18時。ちょうどテントを2張くらい張れるスペースがあったので、ここで張るかどうしようか、という話になったが、みんな体力的にも大丈夫だし、明日のことを考えて少しでも距離を稼いでおきたいということで、六合目までもう少し歩くことにする。
暮れかけた尾根沿いの巻き道。途中ガレを巻いているところと、倒れかけの木がある。最後にがーっと北沢まで下って六合目。もう薄暗い。渋い吊り橋がある。幕営できる場所があるか少し心配だったのだが、沢を渡ったところになんとか見つける。
着いたのが遅いから夜も遅くなってしまう。急いで夕食を作って食う。みんなうんこをしようとするが、出たり出なかったり。21時ごろ寝床に入る。
8月13日
3時起床。天気は曇り。今日は天気が崩れるとの予報だったので残念だが、頑張って上まで登るぞ、という気分。朝食を済ませ、4時50分出発。しばらくつづら折れを登る。やがてデコランプがいらなくなる。僕はところどころでドーピングと称してサプリを飲む。ひとり、下りてきた人とすれ違う。「しばらくこんな感じですよー」と言っていた。七合目に5時45分。登りのほうは少しゆるくなってくる。雨が降ってきた。みんな合羽を着る。仙人の泉という水場がある。七合目、八合目、と確実に、そんなにバテないで登っていった。
八合目7時15分。まもなく義仲が木曽越えをした時に飲んだという、義仲の力水がある。こんな主稜線の近くに水場があるなんて、いいねぇ〜。夏場は涸れることがあるという前情報だったが、たくさん湧いていた。
間もなく霧の中に木曽殿山荘の壁が見えてきて、木曽殿越だ。9時10分。かなり強い風が吹いている。木曽殿山荘にとりあえず入る。休憩は30分300円だということで、自炊スペースを借りてラーメンを作る。コーヒーを頼んだらインスタントだったのでがっかりした。ラリーは絵葉書を買っていた。僕がトイレに行っている間に、ラリーは小屋のおじさんに「この天候の主稜線は樹林帯とは違うから甘く見るな。」と言われたようで、それを聞いてぼくもすごく不安になった。とりあえず進退を相談したが、少し歩いてみて、無理なようなら戻る、ということにした。しかしラリーはかなり不安なようで、僕も不安だった。が、小屋を出る時おばさんに「戻って来るかもしれません」と言ったら、「大丈夫よ〜このくらい。若いんだし単独行じゃないし(笑)!」と言われて、なんじゃそりゃ(笑)、という感じ。しかし、主稜線を歩き始めると、ほんとに木曽側からものすごい風。煽られてよろめく程。さすがにこれはちょっと、、、と思ったが、道はぐいぐい登ってゆく。細かくて強い雨が降っている。腕や顔にあたって痛いほどだ。木曽側を向くと顔が痛いので、伊那側をなるべく向くようにして歩いた。もう、なんというか、思考が停止してしまいそう。後続の二人にどうしよう、と打診すると、「大丈夫」という、意外と心強い意見であった。僕ははっきり言って小屋のおばさんの発言と、この時点での二人の大丈夫発言がなければ怖くて戻っていたと思う。あとから考えて、たしかに稜線漫歩でもなんでもないけど大丈夫ではあったのだが、自分で断固とした判断ができなかったのは、まだまだ経験が足りないなぁ、と思った。うーむ。
空木岳まで1時間半の行程で、途中で風雨は少し弱くなったものの、なかなかの修行のような時間だった。僕、ババ、ラリーの順で歩いたが、いつものように僕のすぐ後をババがついてきて、少し遅れてラリー、という感じであった。ラリーは所々で地面に突っ伏すようにして休憩をしていて、これは他人からみたらめちゃくちゃバテているように見えるよね、と笑っていた。だんだんナチュラル・ハイになってくる。もはや山と自分しかここにいない境地。この尾根はニセピークが多いということだったが、第一ピークを通過して、まだかまだか、という感じであった。あまりにも眼鏡が曇るので、とってしまった。そのほうがまだ見える。巨岩が至る所にゴロゴロ転がっており、晴れていたら絶景だったろうと思うのだが、はっきり言ってガスでほとんど何も見えなかった。しかし本当に風が強かった。よじ登るような箇所がひとつあった。体力的にも精神的にもまあ大丈夫だったが、早く山頂に着きたかった。一人、単独行の若い男性とすれ違う。ああ、俺今度からスパッツをちゃんと着けよう。
12:40空木岳山頂。もちろん何も見えない。ラリーはすごく寒がっていた。濡れて気持ちが悪い。もう、俺ラグジャーは卒業する。それと、グローブを買う。そう堅く誓った。
ラリーは余程寒かったらしく、池山尾根の小屋に下りてラーメンを食べたかったみたいなのだが、摺鉢窪まで2時間ほどの行程なので、行くぞ、と言って出発。比較的なだらかな尾根を歩く。
赤梛岳手前で休憩。山頂にははっきりした標識がなくて、これが赤梛岳か?だといいな。みたいな感じだったが、これを越えるとすぐ摺鉢窪避難小屋への標識があり、みんな歓喜する。摺鉢窪に入った途端、雨も風も止み、静まり返って、花が至るところに咲き乱れ、虫が花の蜜を吸ったりしていて、まるで別世界のようで笑ってしまった。下りる道は急でゴロゴロの石が転がっていて歩きにくい。以前来たときもそうだったが、すぐのはずの小屋まで遠い。霧で先が見えなかったので、まだかまだかと歩いた。15:30ようやく小屋着。ドアを開けると誰もいなかった。濡れた服を脱いで、小屋いっぱいに干した。夕食はフォー。天気はまた悪くなってきたようで、風雨が小屋に打ちつける音を聞きながら眠る。
8月14日
3時半起床。二人は眠っているようなので起こすのをためらった。昨日とは打って変わって青天。小屋の外に出て日の出を見る。百間ナギの際まで行ってみる。南アルプスが見える。
少しゆっくりめに朝食をとり、5時45分出発。なかなか尾根まで登るのは大変だ。ゆっくり行く。稜線上に出ると、南駒ヶ岳のほうが切れたって眺めがよかった。
6時55分南駒ヶ岳着。もう日がのぼってきて、日射しが強い。恵那山、御岳、そして空木岳と、反対側の越百山のほうまでよく見える。
駒峰ヒュッテから来たという初老の男性が後続でやって来て、北海道の遭難事故のことなどを話す。ゆっくりして、7時40分発。岩のゴロゴロ転がっている尾根を下り始める。やがて岩が途切れてハイマツ帯の優しい尾根になる。2004年に来た時の記憶では岩しか覚えていないが、ハイマツの中の細い尾根は楽しい。小さなコブを越えてゆく。途中で登ってきた人に会う。満面の笑顔で道を譲ってくれた。あの人もきっとナチュラル・ハイになってたんだろうな。やがて樹林帯に入る。もうひたすら下るばかりだ。いろいろとお喋りをしながらいく。2411m地点で進路が変わり、またひたすら下りる。僕は少しへたれて来たが、二人は元気だ。最後の方は先頭を替わってもらった。昼を過ぎる。ほとんど沢筋まで下って、下山口は今か今かとなる。一カ所、割と新しく谷が崩れたところがある。ほどなくニワトリ小屋橋。12時40分。河原に下りて昼食とする。ババの用意してくれたミネストローネとマカロニがめちゃくちゃうまかった。しかもドリップコーヒー。最高―――。ゆっくりして、14時50分林道を歩き始める。伊奈川ダムに16時10分着。携帯の電波は通じないので、ダムの電話でタクシーを呼んでもらえないだろうか?と思ったらとても快く呼んでくれた。タクシーで大桑村の恋路の湯へ。ラリーが途中で車に酔ってしまったが、しばらく座敷で酔いを覚ましながら、セクシュアリティのことなどを三人で話す。風呂を浴びて、野尻駅までの道をフロントの人に聞いて、地図をもらう。それぞれ実家までの最終列車に丁度よい時間だった。40分くらい、街灯も少ない夜の田舎道を歩く。ハードボイルド。荷物も重いけれど、山道に比べたら楽勝。でも絶対怪しい集団。ちょうどお盆で送り火を焚いている家があった。花火をしている家族がいて、道を訊ねる。野尻駅に、わりとギリギリで到着。先に来た中津川行きの列車に乗る二人を見送って、僕も塩尻行に乗って帰った。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する