記録ID: 5597754
全員に公開
沢登り
東海
【奥美濃】漆谷南又から三等・鴨
2023年06月10日(土) [日帰り]
岐阜県
hillwanderer
- GPS
- --:--
- 距離
- 13.3km
- 登り
- 1,510m
- 下り
- 1,508m
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日帰り
- 山行
- 12:20
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 12:20
6:00
140分
本郷望郷広場
8:20
50分
P809m（漆谷南又への下降点）
9:10
100分
漆谷南又に降り立つ
10:50
200分
標高620m二俣
14:10
20分
稜線へ（三等・鴨の少し北側）
18:20
本郷望郷広場
| 天候 | 曇り時々晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2023年06月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
【漆谷南又】 ・ 下流部は滝がほとんどなく，穏やかな沢歩きに終始するが，標高620m二俣（△1212.3m（三等・鴨）の三角点の南側に突き上げる枝谷を分ける二俣）より上部はガラリと渓相が変化し，深くすぼまった廊下状の谷に小滝が連続して，沢登り的にも存分に楽しめる。特に標高620m二俣のすぐ上で現れるゴルジュは深くえぐられた岩盤に最大5mほどの滝が5〜6個ほど連続し，中央突破するにしても高巻くにしてもなかなか苦労させられる（今回は2個目の滝がホールドが薄くて登れず高巻いたが，予想以上に高く巻かされた）。また，620m二俣の右俣出合にかかる15m滝はなかなかの美滝で，山深い秘境的ロケーションも相まって，一見の価値がある。 ・ 今回は△1212.3m（三等・鴨）のわずかに北側に突き上げる本流を遡ったが，詰めは稜線間際まで比較的はっきりした沢形が続き，藪漕ぎは最低限にできる。ただ，稜線に乗ったとたんに濃い笹薮に捕まる。 【漆谷左岸尾根】 ・ 白谷右岸尾根と言ったほうが通りがいいだろうか。今年3月に徳山ダムから能郷白山へ登った際に辿った「ゴンニョ尾根」である。正規の登山道のない藪尾根であり，△1212.3m（三等・鴨）付近から上部は濃い笹藪に包まれているが，同三角点とP1037mの間の急登部の途中で藪がはっきりとうすくなり，それより下部はほとんど藪漕ぎに苦労することはない。 |
写真
漆谷の下部は徳山ダム湖に沈んでいて直接入渓できないので，漆谷左岸尾根からアプローチ。本郷望郷広場から道を少し戻ったところにあるいつものアルミハシゴから取りつく。
漆谷の下部は徳山ダム湖に沈んでいて直接入渓できないので，漆谷左岸尾根からアプローチ。本郷望郷広場から道を少し戻ったところにあるいつものアルミハシゴから取りつく。
今回の山行の目的は漆谷南又の620m二俣より上部の遡行なので，漆谷の下流部を省略するためにP809の小ピークから北西に派生している小尾根で漆谷に下降する。かなり急斜面だが，獣の足跡があるため降りられるだろうと判断。
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今回の山行の目的は漆谷南又の620m二俣より上部の遡行なので，漆谷の下流部を省略するためにP809の小ピークから北西に派生している小尾根で漆谷に下降する。かなり急斜面だが，獣の足跡があるため降りられるだろうと判断。
眼下に漆谷南又が見えてきた。尾根末端は急崖になっており直接降りられないため，左手の小さな沢に一旦下ってから漆谷に降りていく。
約半年ぶりの漆谷。前回来たときは12月で，完全に冬枯れの状態だったので，やっぱり緑に包まれた谷は全然印象が違う。
漆谷の下流部はほとんど滝がない。梅雨時の緑を眺めながら，散歩気分でゆったり遡っていく。
これは標高530m左岸枝谷の出合にある美しい段瀑。この谷の枝谷は，出合が滝になっていることが多い。
そしてこれは標高570m付近二俣の左俣の出合にある滝。昨年，漆谷を周回した際に，南又から北又に乗り越す際に越えた滝だ。下から見える部分は15mくらいだが，この上にもさらにナメ滝が連なっており，全長は30mくらいはありそう。
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そしてこれは標高570m付近二俣の左俣の出合にある滝。昨年，漆谷を周回した際に，南又から北又に乗り越す際に越えた滝だ。下から見える部分は15mくらいだが，この上にもさらにナメ滝が連なっており，全長は30mくらいはありそう。
今回は前回入らなかった本流沿いを遡行するのが目的なので，この二俣の右俣を進む。すると，ここまで滝らしい滝がなかった漆谷南又の本流にも滝が現れ始める。全長30mほどの優美なナメ滝。
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今回は前回入らなかった本流沿いを遡行するのが目的なので，この二俣の右俣を進む。すると，ここまで滝らしい滝がなかった漆谷南又の本流にも滝が現れ始める。全長30mほどの優美なナメ滝。
周囲にも目に見えて大木が増え始める。山仕事の村人たちもあまり入り込まなかった奥地に入りつつあるのだろう。写真はカツラの大木。
そして，目の前にひときわ大きな滝が突然現れる。標高620m付近二俣の右俣出合に掛かる15m滝だ。（手前の滝は，本流に掛かる5m滝）
この高い岩壁に掛かる15m滝はとても美しく，枝谷の滝とは思えない堂々たる姿をしている。
この滝が掛かる枝谷は△1212.3m（三等・鴨）の南側に直接突き上げている。この奥がどうなっているのかとても気になるが，この枝谷を探るのはまたの機会にしよう。
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この滝が掛かる枝谷は△1212.3m（三等・鴨）の南側に直接突き上げている。この奥がどうなっているのかとても気になるが，この枝谷を探るのはまたの機会にしよう。
さて，15m滝をゆっくりと眺めたあと，本流を先に進む。すると，両岸が岩壁となって急激に立ち上がり，険悪なゴルジュに。その中に小滝が連続して掛かっている様子。前回訪問時はこの入り口だけ眺めて引き返したので，ここからは初めて入る空間となる。
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さて，15m滝をゆっくりと眺めたあと，本流を先に進む。すると，両岸が岩壁となって急激に立ち上がり，険悪なゴルジュに。その中に小滝が連続して掛かっている様子。前回訪問時はこの入り口だけ眺めて引き返したので，ここからは初めて入る空間となる。
そして次の滝…。これも3mほどだが，あいにくホールドが薄くツルツルで，簡単に登れそうにない滝だ。残念だが，右岸から巻きに入る。
巻きに入ったものの，漏斗のようにすぼまった急斜面の泥壁で，下向きに生えた灌木だけが頼りの腕力登攀となった。腕の力が尽きないうちに何とか安全地帯まで這い上がったが，上流側を見ると同じような急崖が続いており，すぐに谷に戻れそうにない。仕方なく急斜面の高巻きを継続する。
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巻きに入ったものの，漏斗のようにすぼまった急斜面の泥壁で，下向きに生えた灌木だけが頼りの腕力登攀となった。腕の力が尽きないうちに何とか安全地帯まで這い上がったが，上流側を見ると同じような急崖が続いており，すぐに谷に戻れそうにない。仕方なく急斜面の高巻きを継続する。
巻きながら谷底を観察したが，切り立ったゴルジュの中には最大5mほどの滝が5〜6個詰まっているようだ。穏やかな下流の様子からは想像できないような地形の険しさ。
巻きながら谷底を観察したが，切り立ったゴルジュの中には最大5mほどの滝が5〜6個詰まっているようだ。穏やかな下流の様子からは想像できないような地形の険しさ。
ようやく若干傾斜が緩んだポイントを見つけ，慎重に谷に戻ると，ちょうどゴルジュが終わった地点だった。下流側を見やった瞬間，想像以上に凄まじい谷のえぐれぶりに，ちょっとギョッとしてしまった。
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ようやく若干傾斜が緩んだポイントを見つけ，慎重に谷に戻ると，ちょうどゴルジュが終わった地点だった。下流側を見やった瞬間，想像以上に凄まじい谷のえぐれぶりに，ちょっとギョッとしてしまった。
ゴルジュ出口の滝（5mくらい）の落ち口から，ゴルジュ内部を見下ろす。瀑水は深く落ち込んだ暗い谷底にどうどうと吸い込まれていく。その先は，激流が岩盤を穿ったクネクネ水路になっているようだ。
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ゴルジュ出口の滝（5mくらい）の落ち口から，ゴルジュ内部を見下ろす。瀑水は深く落ち込んだ暗い谷底にどうどうと吸い込まれていく。その先は，激流が岩盤を穿ったクネクネ水路になっているようだ。
もし2個目の滝を何とか登ってゴルジュに突っ込んだとしても，この最後の核心部で行き詰った可能性が高い。高巻いて正解だったかもしれない。
下流部の様子からは穏やかさしか感じない漆谷の奥に，こんな険悪な地形が隠されていたなんて…。まさかまさかのゴルジュであった。
さて，ゴルジュを越えたあと本流を進むが，少し両岸の傾斜は緩むものの，谷底は相変わらず小滝が連続。
そして周囲の樹林はいよいよ深く，原生的な雰囲気に。おそらく人の手が入っていないのでは？ 見上げるようなサワグルミ。
巨大なトチノキが多い。こんなトチノキの巨木の森に出会うのは，小茂津谷や根洞谷の下マキ以来かもしれない。
そして右岸斜面に，ひときわ目立つトチノキの巨木を発見。枝の一本一本が，普通のトチノキくらいある。
ちょっと厳しい滝があったので，高巻きながら先を眺めると，両岸が狭まった中に滝が連続して，ちょっとギョッとする眺め。これ，行けるのか？ ここまで来てバックは勘弁。
ちょっと厳しい滝があったので，高巻きながら先を眺めると，両岸が狭まった中に滝が連続して，ちょっとギョッとする眺め。これ，行けるのか？ ここまで来てバックは勘弁。
でも，近づいてみると意外と簡単に行ける。ここは右手の大岩の影に登れる箇所があって楽に通過。
そしてこれ，不思議な光景。標高910m付近の左岸側から，大量の湧水が滝のように流れ出していた。本流の水量の8割くらいはこの湧水がまかなっているようで，この地点を過ぎると谷の水量が急激に減ってしまった。
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そしてこれ，不思議な光景。標高910m付近の左岸側から，大量の湧水が滝のように流れ出していた。本流の水量の8割くらいはこの湧水がまかなっているようで，この地点を過ぎると谷の水量が急激に減ってしまった。
最後の910m二俣を右に入ると，谷は急激に水枯れ。巨大な倒木を何本もくぐりつつ，稜線を目指す。
そして，ついに濃い笹薮に突入。しかし，足元には稜線間際まで沢形が続いてくれたので，藪漕ぎは最低限に抑えることができ，助かった。
漆谷左岸尾根に乗った。予想通りの濃厚な笹薮だが，磯倉周辺の頑強なタケヤブほどではなく，掻き分ければ通してくれるので，まだマシなほう。
△1212.3m，三等・鴨の三角点に到達。三角点の周りは若干藪がうすくなっており，すぐに見つかった。今年3月に来たときには，深い雪の下で，見ることができなかった三角点だ。やっとお会いできましたねぇ。
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△1212.3m，三等・鴨の三角点に到達。三角点の周りは若干藪がうすくなっており，すぐに見つかった。今年3月に来たときには，深い雪の下で，見ることができなかった三角点だ。やっとお会いできましたねぇ。
三等・鴨の周囲の様子。今年3月に能郷白山まで行った時に通過した場所ではあるのだが，その時はもちろん一面の深い積雪だったので，見覚えがあるようなないような，なんとも不思議な感覚だ。
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三等・鴨の周囲の様子。今年3月に能郷白山まで行った時に通過した場所ではあるのだが，その時はもちろん一面の深い積雪だったので，見覚えがあるようなないような，なんとも不思議な感覚だ。
さて，下山。というか，かなり時間が押してしまっている…。とにかく，早くこの密な藪から抜けないと。地図とコンパスを慎重ににらみつつ，藪をかき分け複雑な尾根を辿る。
さて，下山。というか，かなり時間が押してしまっている…。とにかく，早くこの密な藪から抜けないと。地図とコンパスを慎重ににらみつつ，藪をかき分け複雑な尾根を辿る。
今年3月に来たときにも感じたが，鴨の周辺のブナの森は素晴らしい。時間に余裕がなく必死に笹を漕ぎつつも，時々手を休めて周囲の森に見入ってしまう。
鴨からP1037mへの下りでは，尾根が広くなって尾根の続きがわかりにくく，ルートファインディングに不安が出てくる。んー，こっちで合ってると思うけど…。
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鴨からP1037mへの下りでは，尾根が広くなって尾根の続きがわかりにくく，ルートファインディングに不安が出てくる。んー，こっちで合ってると思うけど…。
あっ，この大岩，今年の3月にも見たぞ！ この大岩のおかげで，自分の進路に自信を取り戻すことができ，助かった。
P1037mに向けて斜面を下っていくと，途中ではっきりと藪が薄くなり，歩きやすくなった。どうやら，激藪地帯は抜けたようだ。視界も良好になってルートファインディングも格段に容易になり，一安心。これで無事下山できそうだ。
P1037mに向けて斜面を下っていくと，途中ではっきりと藪が薄くなり，歩きやすくなった。どうやら，激藪地帯は抜けたようだ。視界も良好になってルートファインディングも格段に容易になり，一安心。これで無事下山できそうだ。
今年3月に来たとき，池があるかもと思っていたP1037mの窪地は，残念ながら池というほどではないが，ヌタ場のようになっていた。ここが本当に三等・鴨の三角点の名前の由来になった「鴨のいた池」ならば，昔は満々と水を湛えていたのだろうか。
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今年3月に来たとき，池があるかもと思っていたP1037mの窪地は，残念ながら池というほどではないが，ヌタ場のようになっていた。ここが本当に三等・鴨の三角点の名前の由来になった「鴨のいた池」ならば，昔は満々と水を湛えていたのだろうか。
装備
| 備考 | ・フェルトソール沢足袋使用。この山域の沢はぬめりが強いので，フェルトのほうがいいと思う。 ・40mロープ携行。使用場面はなかったが，620m二俣より上部は谷が険しくなるため，携行したほうが無難。 |
|---|
感想
漆谷は，徳山ダムの完成によってダム湖に閉ざされてしまった，徳山の気になる谷の一つ。昨年12月初旬の沢納めの際に訪れたのだが，その時は南又と北又の周回を主眼にしていたのと，完全にお散歩気分だったこともあり下降器・ハーネスはおろか，まともなロープさえ持っていなかったため，南又の620m二俣より上流が意外にも険しそうだぞ，ということを遠目に確認しただけで，それ以上は本流を進まなかった。今回は，その時に進まなかった「その先」にどんな谷が続いているのか，確かめるための山行。
結果，昨年12月の山行時に引き返した滝の向こうには，予想以上に深く穿たれたゴルジュが潜んでいた。詰まっている滝は最大でも5m程度で大したことはないのだが，岩盤の鋭角的な彫り込み具合はなかなか凄まじく，温和そのものの漆谷下流部をルンルン気分で遡ってきた者がこのゴルジュにぶつかった暁には，ギョッとさせられること請け合いである。ゴルジュを越えた先も登れる小滝が階段のように連なり，実に楽しい沢登りとなった。上流に行けば行くほど傾斜が増して険しくなっていくのはどの谷も多かれ少なかれ同じとはいえ，漆谷は620m二俣を境に世界が一変する感じで，その変化がひときわ鮮やかで面白い。そして源頭部にはトチノキとサワグルミの見上げるような巨木の森も広がっていた。徳山ダムができる前は比較的人里に近い谷だったはずなのに，林道も敷かれずここまでの自然が残されているのは，やはりその険しさのゆえだろうか。
今年3月の訪問時には雪の下で見ることができなかった，徳山の秘境三角点の一つ「三等・鴨」の標石にも対面できたし，よい山行になりました。
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私もソコいこおもてましてんw
漆谷、気になりますよね〜。ちゅきさんなら、やっぱりアプローチはカヤックでしょうか？
源頭部の森がとにかく綺麗で、秘境感ありました。
北又も、上の方は結構険しくて滝が続いてたので、気になってます。
すぐさま620右俣に行きそうな勢いですね〜
もう行ってたりして（笑）
超人にあやかりたいです
もんり
こんにちは！ すみません，今週は野伏ヶ岳のお沢に行ってしまいました
実はこの620右俣，昨年12月に行ったときに出合の滝を途中まで高巻き（試登）してまして，なかなかに苦労させられそうな印象でした。
この上にも滝が続いてたら，楽しいだろうな〜と想像してます。
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