厳冬期の厳しさ 強風の八ヶ岳


- GPS
- --:--
- 距離
- 18.7km
- 登り
- 1,838m
- 下り
- 1,839m
コースタイム
天候 | 晴れ。今期一番の冷え込みで稜線は強風 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
駐車場500円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
<美濃戸口〜美濃戸> 車で入る場合は四駆やチェーン装着車が良いと思う。 美濃戸口に車を置く&公共交通機関の場合は林道歩き。 雪の林道をひたすら歩く。凍結が酷い時は軽アイゼンやチェーンベルト等があると良いと思う」。 林道をショートカットするような感じで道が付いているが、ヘアピンを直登するところ以外は林道歩いた方が歩きやすくて速いと思う。 <美濃戸〜行者小屋> 八ヶ岳は一年を通して入山者が多い山域だと思うので一般ルートを歩く分にはわかりにくいところなどは殆どないと思う。 この日もトレースはしっかり付いていた。 降雪直後などでトレースが消えていても所々にマーキングはしてあるのでそれらをしっかりと辿れば問題なし。 行者まではアイゼン等は使用しなかったがこの辺りは個々の判断で。 <行者小屋〜文三郎尾根> テント場の奥の方から取り付く。 トレースがあるので問題ないが無い場合は入り口の場所をしっかりと確認すれば後印があるので辿れば良い。 少しの間薄い樹林を歩き、阿弥陀への分岐を過ぎるとぐわっと登り始める。 樹林帯を抜けると急になる。 階段や鎖はほぼ出ていないがそれ程広くない尾根を登るのでここが階段があったところだと言う事は分かると思う。細い尾根や切れ落ちたところなどは多少あるので注意。中岳分岐で稜線に出たところで強風に煽られ身動きできず撤退。 分岐5mぐらい前までは強風だけど歩けそうかと思ったが分岐を過ぎ稜線に出たら風の強さが全く違った。当日この尾根を歩いていた方は皆撤退していた。 先に下山してた朝一で通過した方が赤岳の南面に入れば風は多少治まるとの事。 <行者小屋〜地蔵尾根> 樹林帯はトレース明瞭。 上に行くにつれサラサラの雪&風で少しトレースは消えるがルート自体はしっかりと見て歩けば分かる。 樹林を抜けると傾斜は急になり場所によっては膝ぐらいまで潜る。 岩がゴツゴツ出始め、雪の急な斜面を登りきるとナイフリッジ。 核心部は5〜10mぐらいだが、細いリッジ、小さな雪庇が出ているところを歩く。 厳冬期にも何度も歩いているが今回はかなり切れていて片足分ぐらいの幅で両端は切れ落ちている。風で雪が舞いあがる中の通過だったが緊張を強いられた。 ここまでは何パーティーか上がってい入ていたが全員撤退。 下山時は登った時の自分のトレースも風で無くなっていた。 夕方風が納まり始めてからハーネス付けたガイドさん風の方が率いるパーテーが行けたかどうか? 稜線は相変わらず風が強かったが展望荘の方曰くせいぜい15〜20m弱と言ったところ。展望荘より上は地吹雪があったが、ここは冬はいつもこんな感じだろう。 山頂直下は風強く、急で雪が飛んでいるところも多く斜面がテカっているがアイゼン歩行がちゃんとできれば問題はない。 |
その他周辺情報 | 温泉は近くに多数。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
ゲイター
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
カメラ
ヘルメット
目出し帽
予備手袋
アイゼン
ピッケル
スリング120×2
カラビナ×3
20mロープ。
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感想
雪山に登りたい!
厳冬期もあと少し。
今シーズンは車の問題もありいつも以上にこの時期の山行が少なく、雪山に行きたい熱が上がっていました。何とか時間に都合をつけ1日の夜仕事を終えた後帰宅して荷物をまとめて出発。
行き先は冬の八ヶ岳。
厳冬期に毎年数回、何度も歩いているし、今回は下山後所用があるのであまり遅い下山はできない為、縦走やバリエーションは避けノーマルルートから赤岳のピストンを計画しました。
天気予報は晴れ。しかし、シーズン最強と言われる寒気が入ってきて冬型も強く晴れても気温は低く風も強い。寒いのも、強風もあってこその厳冬期。
無理はしないけどそれも楽しまないとね。
実家で使っていないオンボロ軽トラ(なんとこのコスタッドレス履いてるんです)を借りているのでそれを走らせ美濃戸口へ。今季一番の冷え込みだそうで朝の気温はー15℃。まだ暗い時間の八ヶ岳山荘で支度を済ませ、ヘッデン付けて出発。
道中は月が綺麗でしたがこの時間は月が沈み星が綺麗♪
林道を黙々と歩きます。
30分程で美濃戸に到着。
以前makasioさんに会ったのはこんな冷えた朝の南沢だったな。なんて思いながら南沢を行きます。っていうか気温は低くて風なんて全くないし無も一つない空。結構いいんじゃない?トレースもバッチリで歩きやすい真っ白な南沢を抜け、極寒の行者小屋へ。−25℃。
テント泊や鉱泉方面から来る前日組が準備して出発して行きます。
軽食を摂り、アイゼンを履き、目出し帽にヘルメット、冬の装備を整え出発します。
行者小屋までは風なんて全くなかったのに行き先を見ると阿弥陀や中岳、赤岳の稜線は雪煙が上がっています。やっぱ風は強いのかぁ・・・。
先行者を追い抜き、樹林帯を抜けると徐々に風が出て来ます。
文三郎尾根はルート自体は雪で階段何かが埋もれているので中途半端に出てる状態よりも歩きやすく、振り返ると急だなぁと思う事もあるけどそれ程危険な感じはありません。
下山して来る方が何名かいますが、分岐のところの風がヤバいと口を揃えて言います。皆さんそこで引き返している様子。尾根を歩いてる時は風強くても岩の裏側まで入っちゃえば平気だろうと思っていましたが、中岳との分岐に出た途端もの凄い風!
ここまですっと風は吹いてたけどほんの数メートル手前の風とは訳が違う。
分岐の指標に抱き着いてみたら鯉のぼりみたいに両足が浮きました(笑)
少し停滞したり引き返して風の様子を見ましたが、収まる気配が無いので残念ながらここで引き返す事にします。同じ時間帯に登っていた自分以外の方も全員引き返してました。
行者小屋に到着。
まだ午前中・・・。
天気予報は昼過ぎからは風が少しずつ弱まる予報。個人的にもそう判断して入山しましたのでもうちょっと経てば風が納まらないとしてももう少しは穏やかになるんじゃないか?
行くか。
文三郎がダメなら地蔵で登ります。
一旦下山してもう一回登るって言うのは体力的な部分はもちろん気力の面で弱ってしまうものですが、まだまだ足は元気だし空も青い。萎えてる場合じゃないでしょ。
って言ってもそれ程ハイペースではきついのでゆっくりゆっくり慎重に歩きます。
歩きやすい樹林を抜け、数年前に雪が崩れて滑落した現場を通り過ぎ、徐々に急な登りになって行きます。風でトレースは消されていて時折雪煙に巻かれます。
一名先行してた方を追い抜いてトップが入れ替わり、核心部に近付きます。
地蔵尾根の名物ナイフリッジ。
今日はキレっキレです(・o・)
片足置けるか置けないかぐらいの幅で両端はスパッと切れていて、雪が柔かい。状態は決して良くない。こりゃぁ怖いぞ。
ここまでも風でトレースは消えてたりあってもうっすらだったけどここからは完全になし。
風が弱まるタイミングを見計らって慎重に慎重に足を踏み出して進みます。
こういうところは技術、体力以外の何かが必要ですね。
何とか核心部を抜け、その後も気の抜けない岩場を登ります。
ボクがナイフリッジ通過するのを見てた方は引き返す決断をしたようです。
地蔵の頭からはポケットに入れてたカメラ、携帯が停止・・・。
強風&地吹雪ですが、冬のこの辺りはだいたいこんな感じ。
山頂までは強風にさらされますが飛ばされないように歩けば難しくはありません。
文三郎方面に下りたかったけど、さっきの風を考えるともしダメだった場合もう一回戻ってるのは厳しいと思い地蔵を下る事にしました。
展望荘で少し休憩させてもらい、自身の冷えた体とカメラと携帯を温めて復活させ下山開始。
ナイフリッジは下りだと更に下が見えちゃうから怖かったけど、さっき通ったっていう自信からか精神的にはちょっと楽でした。
ちょうどここで2パーティーが登って来てたので上の事情をお伝えしましたが、ナイフリッジ見て撤退する事にしたようです。まだまだ風も強かったし。
上では富士山も南アルプスも綺麗だったけど写真が撮れなかったので、この辺りでのんびり景色を眺めたり写真を撮ったりしてから下りました。
行者小屋でようやく緊張感から解放され、休憩して食事タイム。
が・・・ガスが寒冷地用じゃなかったからなかなかお湯が沸かずラーメンは諦めて簡単な食べ物と、暖かい飲み物を摂って先程地蔵尾根で会った方達が下りてきたのでおしゃべりしながら過ごしました。
本当は下山後3時までに銀行に行ったりとか用事がったんだけど、間に合わないし振込だけならもっと遅くても大丈夫だし結構のんびりしました。
この後は急がずともサクサク歩けるところなので最後の雪景色を楽しみながら歩きました。美濃戸についた時はさすがにちょっと疲れも出て来て、最期の林道歩きではガラスの膝が少し痛みました。
八ヶ岳山荘で駐車場代を事後に払い、コーヒーとカレーを頂いて車に戻りました。
しかし!
駐車場の雪がフカフカで車がスタックしてしまい、脱出には山荘の方に手を貸してもらいました。ここが一番疲れたかも・・・。
帰路の温泉に浸かった後は休憩所で仮眠。二日ぶりの睡眠(2時間ぐらい?)で元気になったので、相棒のぺんたと軽トラで自宅まで戻りました。
八ヶ岳の一般ルートなら厳冬期も何度も歩いてるしもっと楽々登れると思っていましたが、条件によって全く別の山のようになるもんだなぁと今回冬山の厳しさを再認識しました。
とは言え誰も上がってこれない稜線は当然貸切で景色は独り占め。
強風と電子機器の機能停止で写真には残せませんでしたが富士山や大好きな南アルプスも透き通った青空の向こうに綺麗に見えていました。
今日は初心者風の方は見かけませんでしたが、装備を一揃えしたからヤツへって言う方をよく見かけるけどこんな状況に遭遇したらどうするんだろ?
見てるだけで 心配してつかれちゃいました。ご無事で何より。
秋に行ったことはあるけど 冬山はこわいですね〜。
でも感動や達成感があるのでしょうね。
ぺんたくん
冬も何度も登っている八ヶ岳(って言うか最近富士山と八ヶ岳は雪のある時期しか登ってない)なので少しぐらいの風や雪ならどうって事ないと思ってましたが、そう甘くはなかったです。引き返して行った方達の判断は間違ってないと思います。
稜線上は誰もいない世界だったので満足感はありました
ぺんたは寒いの平気なんだけど軽いから風には弱いのですよ〜
mamepyonさん、さすがでございます・・ね(^^;
強風のナイフリッジですか
ご無事でなにより・・っていうよりよくぞ登り返せたものです(拍手
>最期の林道歩きではガラスの膝が少し痛みました・・
あのね・・ガラスひざで登り返せないって(^^;
少し痛みました・・それは世間では「金属疲労」といいます(キッパリ
パワー余ってますね
でわでわ
地蔵のリッジはハーネス付けたパーティーやアルパイン経験者も躊躇してました
雪山は同じルートでもタイミングによって雰囲気も難易度も全然違いますね。
アックスがもう一本あれば確保取ってもうちょっと楽な気分で通過できたと思うんだけど、今回は度胸一発!って感じでキレキレのリッジを通過しました。
あぁ〜怖かった
両膝靭帯断裂してからはその昔元気に歩きまわってた頃みたいにはいかなくなっちゃいました。故障してるトコはいかんともしがたいものがありますが体力が有り余ってるうちは何とかカバーできるかなと思ってます
ではでは
うわ〜
行きましたね赤岳!
この時期はちょっと自分には厳しいかな(^_^;)
距離もレベル的にも。
行者小屋は梅雨の合間に行ったのでポカポカでしたが。
−25ですか!
軽トラ写真今度載せて下さい。
興味津々(^o^)丿
富士山と八ヶ岳は人が多いのでしばらく雪の時期にしか登ってない感じです
赤岳は南ヤツの中では比較的登りやすいし勝手も分かってるので気象条件が多少悪くても平気だと思って登ってきましたが、ちょっと甘かった。
風がとにかく強かったです。
条件良ければ人も多く入ってますし、天狗とかから一歩ステップアップするのには良いと思いますよ
今度軽トラ写真乗せますよ(^_^)/
お疲れ様です!
一度下った後で、もう一度登り返す。このメンタル的なしんどさ…
それをこの条件、この場所で実行するとは。さすがです♪
確かに「とりあえず揃った初心者」が向かう場所として載っていたりしますが、
自分は色んなレコを見て「まだまだこんなとこいけない!」と思っています(汗)
しかしその睡眠時間でこの山行をするといった時点で脱帽ですww
nosterさんこんにちは
時間が早かったからリトライしましたがやっぱり疲れました
条件の良い日は人も多いですし営業小屋もあり、難しいはずの雪山の敷居を下げてくれていると思いますが、やはり初心者が気軽に来るところではないと思います。
知り合いがこの翌日に八ヶ岳でアイゼンの付け方を聞かれたそうです。
びっくり
最低限の準備ぐらいはしてこないといけないですね。
厳しい条件だったようですネ。鯉のぼり!
俺も前回硫黄岳から赤岳に行ったとき、風の狂暴さに、
改めて厳しい山だと思いました。
興味本意で来るところではありません。
それでも行けちゃうマメさんはさすが♪
文三郎がだめなら地蔵でのぼります。マメさんらしい。笑
お疲れ様でした。
南沢でまた、会いましょうー。
軽トラではやはりキツそうですね…
厳冬期には毎年登ってる八ヶ岳だけど、風に関しては今回が一番酷かった
無謀ではなくイケると判断したから進んだけどこの風なら引き返すのが正解だったのかもしれません。行者まではたくさんいた登山者も全員撤退しちゃってどんどん寂しい雰囲気になっていくし某山荘ではこんな気象条件で・・・ってさんざん嫌味言われちゃったし
軽トラも慣れて来て運転自体は楽しいんだけど、何せ足が延ばせないのと居住スペースが全然ないのがちょっとキツイ。この距離が限界かなぁ・・・。
初めて会ったあの静かで真っ白な南沢は忘れません。
すっごく綺麗だった。
またあんな場所で会いたいですね
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