記録ID: 59226
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
道東・知床
日程 | 2010年03月21日(日) 〜 2010年03月22日(月) |
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メンバー | , |
天候 | 一日目:966mbの低気圧が北海道を通過で暴風 二日目:冬型で、1000m以上はガス風雪 |
アクセス |
利用交通機関
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地図/標高グラフ


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コースタイム [注]
一日目:車デポ美里別林道と留辺蘂足寄線の分岐(15:00)→・768北のコルCo730(16:00)でイグルー泊(製作に70分)
二日目:イグルー(7:10)→ペンケポンピリベッシリ沢から・1368北のコル(9:30)→クマネシリ岳東の絶壁下でシーデポ(11:30)→クマネシリ岳山頂(12:10-20)→シーデポ(12:50)→・1368北のコル(14:00)→イグルー(15:00-20)→車デポ(15:50)
二日目:イグルー(7:10)→ペンケポンピリベッシリ沢から・1368北のコル(9:30)→クマネシリ岳東の絶壁下でシーデポ(11:30)→クマネシリ岳山頂(12:10-20)→シーデポ(12:50)→・1368北のコル(14:00)→イグルー(15:00-20)→車デポ(15:50)
コース状況/ 危険箇所等 | 一般にはお勧めできない好きな人向けルート ギアナ高地からのスキー滑降は最高に楽しい。 ギアナ高地をスキーで歩くのは地味に楽しい。 クマネシリ岳東岩壁はノーザイルぎりぎりの70m |
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過去天気図(気象庁) |
2010年03月の天気図 |
写真
撮影機材:
感想/記録
by イグルスキー米山
クマネシリはアイヌ語で長い竿の意味らしい。この山、地図で見ると幅200ー500m、長さ10キロ以上の細長いテーブルマウンテンで、縁はほとんど絶壁に囲まれている。5年前、西隣の西クマネシリ(通称オッパイ山)から眺め、そのギアナ高地から西縁の尖った山頂を目指す計画を夢想した。今回は三連休の中日に強烈低気圧が来るので、3日山行を1+2日参考に分け、冬型でも天気がましな道東という事で突入。
前日、積丹の鉞山を登って、札幌から道東道を一路東へぶっ飛ばす。驚きの夢の道路だ。帯広まで今は2時間半だって。
ペンケポンピリベッシリ沢を倒木を使って渡渉。沢沿いに行くつもりだったが、一本北の、コルへ上がる沢に入った。コルで4時になったのでイグルーを作る。ざらざら崩れる、イグルーには一番不向きな雪質で、なかなか長細いブロックがとれず、苦労して70分かけて作る。積雪も30センチほどなので掘り下げも無し。今夜は低気圧通過。日本中が強風で騒いでいる。樹林帯の中でも、風で折れた小枝や大枝がどんどん落ちてくる。イグルーの近くのトドマツが、バキバキ言うと思っていたら、やっぱり折れた。太さ50センチ、年輪を数えたら100年近くはある。丈は15mほどか。強い風に森中が踊っている。強風の中、焚き火を敢行。はじめメタに着火するのに苦労したがごうごう燃えてあったまる。風は8時には嘘のように収まってしまった。あのタンネももう少し辛抱すれば長生きできたろうにな。焚き火、三日月、葡萄酒、カレー雑炊。
スキーで出発。一晩パウダースノウが降り積もり、脛までの軽いラッセル。延々登るルートはギアナ高地の1368北の最低コルから東に延びる尾根。これ以外の尾根はすべて台地直下が急になっている。この尾根だけが、サイトーが地図を見て嗅ぎ当てた唯一の弱点。ここも結構な急斜面でジグザグでラッセルする。サイトーがいつものようにバリバリ登って来ないので様子を聞くと、テレマークスキーはかかとが半分しか上がらんので大股でのラッセル、沈んだ時の足の引き抜きが山スキーのように自由にできず、はかどらないんだそうである。なるほどなあ。
期待マンマンのロストワールド、ギアナ高地たる稜線には、濃いタンネの森、風の強い西の縁沿いは太く低く育った古株のダケカンバが、リンゴ畑のよう。登りの尾根にはブル道があったがこのテーブルの上は派手な伐採の跡が無い。無人の聖域の香りがプンプンする。中生代の巨大生き物はいないか〜?鹿やクマの足跡も激しい風雪のため不明。自分のトレースもすぐ消えてしまう。
風雪はなかなかおさまらん。今日は道東、冬型でましな天気のはずだが。マイナス8度くらいで視界は500mより先利かない。そんな中2時間もスキーで北西に向って漫遊していると、白い闇の中にボ〜ッと黒い三角の壁が見えてきて嫌な予感。ここまで来てこんなのが出るなんて!
スキーをデポしてアイゼンピッケルで、壁に取りつく。藪をつかんでだましだまし登る。高度差70m、常識的にはザイルを出すところ。帰りは特に無いと怖いと思うよ、常識的には。
壁を抜けると細くない雪稜、それを抜けると最高点。風雪ガスで何も見えないが、観望して空想して実行した計画の貫徹は誇りだ。壁の下りは登り以上に蹴り込んで終える。帰りはシールを外してタンネの森を戻る。行きの半分時間でコルまで。ここから東尾根のスキー滑降は、傾斜とパウダーとその量がちょうどよく、楽しい滑降になった。結構入っているブル道が、良い斜面になっていて、歓声の下り。サイトーのテレマークスキーもこの場面では持ってきてよかったというところ。天場に下がるころは青空も見え、日もあたってきた。パッキングしてペンケポンピリベッシリ沢へと下る。
最寄りの温泉、芽登温泉に浸かる。古くからある山奥の一軒宿でお湯はぬるりん系の源泉掛け流し。お好みでアツアツ湯船もある。足寄から帯広へ向かう途上で夕焼けの空になった。十勝平野のポプラ並木が延々通り過ぎてゆく。
クマネシリをテーブルマウンテン側から登ろうという趣向はあまり無かろうし、山頂下の壁を見たらノーザイルで誰も行かないだろうから、たぶん初登だろうと思う。
前日、積丹の鉞山を登って、札幌から道東道を一路東へぶっ飛ばす。驚きの夢の道路だ。帯広まで今は2時間半だって。
ペンケポンピリベッシリ沢を倒木を使って渡渉。沢沿いに行くつもりだったが、一本北の、コルへ上がる沢に入った。コルで4時になったのでイグルーを作る。ざらざら崩れる、イグルーには一番不向きな雪質で、なかなか長細いブロックがとれず、苦労して70分かけて作る。積雪も30センチほどなので掘り下げも無し。今夜は低気圧通過。日本中が強風で騒いでいる。樹林帯の中でも、風で折れた小枝や大枝がどんどん落ちてくる。イグルーの近くのトドマツが、バキバキ言うと思っていたら、やっぱり折れた。太さ50センチ、年輪を数えたら100年近くはある。丈は15mほどか。強い風に森中が踊っている。強風の中、焚き火を敢行。はじめメタに着火するのに苦労したがごうごう燃えてあったまる。風は8時には嘘のように収まってしまった。あのタンネももう少し辛抱すれば長生きできたろうにな。焚き火、三日月、葡萄酒、カレー雑炊。
スキーで出発。一晩パウダースノウが降り積もり、脛までの軽いラッセル。延々登るルートはギアナ高地の1368北の最低コルから東に延びる尾根。これ以外の尾根はすべて台地直下が急になっている。この尾根だけが、サイトーが地図を見て嗅ぎ当てた唯一の弱点。ここも結構な急斜面でジグザグでラッセルする。サイトーがいつものようにバリバリ登って来ないので様子を聞くと、テレマークスキーはかかとが半分しか上がらんので大股でのラッセル、沈んだ時の足の引き抜きが山スキーのように自由にできず、はかどらないんだそうである。なるほどなあ。
期待マンマンのロストワールド、ギアナ高地たる稜線には、濃いタンネの森、風の強い西の縁沿いは太く低く育った古株のダケカンバが、リンゴ畑のよう。登りの尾根にはブル道があったがこのテーブルの上は派手な伐採の跡が無い。無人の聖域の香りがプンプンする。中生代の巨大生き物はいないか〜?鹿やクマの足跡も激しい風雪のため不明。自分のトレースもすぐ消えてしまう。
風雪はなかなかおさまらん。今日は道東、冬型でましな天気のはずだが。マイナス8度くらいで視界は500mより先利かない。そんな中2時間もスキーで北西に向って漫遊していると、白い闇の中にボ〜ッと黒い三角の壁が見えてきて嫌な予感。ここまで来てこんなのが出るなんて!
スキーをデポしてアイゼンピッケルで、壁に取りつく。藪をつかんでだましだまし登る。高度差70m、常識的にはザイルを出すところ。帰りは特に無いと怖いと思うよ、常識的には。
壁を抜けると細くない雪稜、それを抜けると最高点。風雪ガスで何も見えないが、観望して空想して実行した計画の貫徹は誇りだ。壁の下りは登り以上に蹴り込んで終える。帰りはシールを外してタンネの森を戻る。行きの半分時間でコルまで。ここから東尾根のスキー滑降は、傾斜とパウダーとその量がちょうどよく、楽しい滑降になった。結構入っているブル道が、良い斜面になっていて、歓声の下り。サイトーのテレマークスキーもこの場面では持ってきてよかったというところ。天場に下がるころは青空も見え、日もあたってきた。パッキングしてペンケポンピリベッシリ沢へと下る。
最寄りの温泉、芽登温泉に浸かる。古くからある山奥の一軒宿でお湯はぬるりん系の源泉掛け流し。お好みでアツアツ湯船もある。足寄から帯広へ向かう途上で夕焼けの空になった。十勝平野のポプラ並木が延々通り過ぎてゆく。
クマネシリをテーブルマウンテン側から登ろうという趣向はあまり無かろうし、山頂下の壁を見たらノーザイルで誰も行かないだろうから、たぶん初登だろうと思う。
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コメント
この記録に関連する登山ルート
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この記録で登った山/行った場所
- クマネシリ岳 (1586m)
ご無沙汰しております。
素晴らしいです!
このクマネシリの台地からアタック
ずっと暖めていたものでした・・・
さすがはyoneyamaさん!
目の付け所が違いますね。
芽登から林道をラッセルして末端から
考えていましたが
なかなかふんぎりがつかず
時が過ぎていきました。
滝本幸夫さんの「北の山」に
クマネシリは置戸から入るべきであると
書かれていたのを読んでから憧れでした。
ありっ、petegariさんもたくらんでいらしたんですか。
同じ趣向の人がいると嬉しいですね。
芽登温泉から尾根末端の方が男らしいんですけど、林道12キロ、尾根に上がってからも同じくらいの水平距離がありますね!これは、戻るより西クマネシリに抜けた方が良さそう・・。でも3日あれば・・・などと、楽しい妄想がまた始まってきました。
北の山、うちにもあったので読んでみよう。
でも、無理だよなー
なんか、私の心境のような山ですねぇ。
北海道のカンバの木には
カバノアナタケ、あるとか?
sakusakuさんこんにちは
心境は無人の大木林?そういうときは焚き火に限りますよ。
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