【越後三山】水無川真沢祓川&北沢遡行
- GPS
- 22:55
- 距離
- 22.0km
- 登り
- 2,473m
- 下り
- 2,510m
コースタイム
- 山行
- 10:06
- 休憩
- 1:08
- 合計
- 11:14
- 山行
- 9:20
- 休憩
- 2:49
- 合計
- 12:09
天候 | 1日目 晴れのち霧雨、2日目 晴れのち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2023年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
2年前頃までは光岩砂防堰堤あたりまで普通車で入れたが、道路が荒れてしまい、越後三山森林公園から先は車では入れない。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
遡行図及び記録参照 |
その他周辺情報 | 【他の記録】 真沢、北沢ともに記録多数だが、御月山沢出合ゴルジュを突破した記録は未見。 白龍の滝を登攀した記録は少ないが、下記の物がある。 ・その空の下で(2006):http://sonosoranoshitade.web.fc2.com/page063.htm ・山やへの扉(2012): http://blog.livedoor.jp/toshizo1211/archives/52562475.html ・渓谷登攀(2015) 【地名】 水無川流域の沢名は登山大系と越後三山・只見修正図(=渓谷遡行資料)で異なるが、登山大系のものの方が正しそうである。 |
写真
装備
備考 | ・ラバーソール適 |
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感想
【計画の経緯】
このメンバーで3週連続で行く予定をしていたが、狙っていた不動川も五十沢川本流も遡行できてしまったので、残った3週目でどこへ行こうかと悩んだ。白龍ノ滝という難物がある水無川真沢が頭に浮かぶも、真沢だけだと1.5日で終わるようなので、もっと何かできないかと考えた結果、祓川大滝の上から戻って、北沢も遡行するという計画を思いつく。天気予報が微妙でぎりぎりまで悩んだが、とりあえず行ってみることに。
【記録】
●1日目
○アプローチ
越後三山森林公園に到着し、上流へ向かうも、舗装が切れたところで藪が濃くなり、車はここまで。わずか2年前まではもう1kmくらい先まで入れたのに。まあまあ長いアプローチをこなして八海第2号砂防堰堤から入渓するが、ここまでの各所の水量は見たこともないほど少なく、伏流しているところも多い。今季は新潟方面での渇水が取り沙汰されていたが、まさに、という感じであった。
長い凡流を経て暗峡に至るが、水が少ないからなのか埋まったからなのか、ここも浅い。へつることもなく歩いて突破。さらに凡流を進んでいくとやっと小滝が出始め、容易に越えると、通常左岸から巻かれる御月山沢出合ゴルジュとなる。
○御月山沢出合ゴルジュ
ゴルジュ最初の8m滝は、確かに登れなさそうだが、せっかくなので記念受験しようと、泳いで取り付いてみる。上流に雪渓があるようで水は冷たい。記念受験のつもりだったが意外にホールド・スタンスが繋がっていて、突破のめどがたったので、荷上げしてハーケンも打ち、後続に上がって来てもらおうとするが、ここでS田が拒否。一人だけ高巻くと言う。それは危ないのでやめて欲しいと伝えるも拒否。そこまで言うなら勝手にしろ。
ということでkumassiyだけフォローし、左壁を落ち口の1.5m程度上まで登った後、打ったハーケンでA0して落ち口へ。続けて釜を持った2m小滝が出てきて、相変わらず水は冷たく、kumassiyは絶叫しながら泳いでいく。その後は幸いにして泳ぐ箇所はなく、5m滝を越えるとズタズタ雪渓に行く手を阻まれて、右岸から巻くこととする。岩壁ではあるが意外にもバンドが繋がっていて、1回だけお助け紐を出したもののスムーズに巻け、ありがたい。時々、左岸上部を巻いているS田が見えたが、進みは良くなかった。
雪渓のすぐ上流にある10m滝、3m滝もまとめて巻き、沢床に降り立つと、まだゴルジュは続いている。2段7m滝は泳がないと取り付けないし、取り付いても登れるか微妙な上、容易に小さく巻けるので巻き。続く6m滝も容易に巻けるが、巻いてばかりいても仕方ないのでtamoshimaのみ泳いで登攀。これは割とムーヴが必要で面白い滝だった。
これで御月山沢出合ゴルジュは終了。雪渓のため完全解明とはならなかったが、皆が大高巻きしているゴルジュを概ね登攀できたので嬉しい。しかし、高巻いていたS田の姿はない。ゴルジュ突破がスムーズだったので巻きの方が時間がかかっているだけかと思い、しばし待つが、全然来ない。もしかして先に行っているのかと次のゴルジュの始まりまで行ってみるが、そこにもいない。戻ってさらに待つも、姿も見えないし、笛に対する吹き返しもない。もしや事故っているのではないかと不安になって、少し下流に戻って見に行くと、漸くS田の姿が見えた。これで安心だが、相変わらず手間取っている。そこからさらに数十分かかって、漸く巻き終えてきた。結局、80分程度も待たされた。S田曰く、小さ目に巻こうとしたら何度も岩に阻まれたとのこと。ここで、tamoshimaとS田は沢に対する取り組み方が異なり、相容れないことが露呈したので、今後は袂を分かつことにした。端的に言うと、渓谷探検を志向するか、渓谷観光で満足するかの違いである。
○真沢・北沢の二俣まで
さて、先ほどもS田を探して見に行ったゴルジュだが、ついでに偵察しておいた。1つ目の2段3m滝は容易で、次の7m滝は頑張れば登れそうだと思っていたので、先行したtamoshimaが荷物を降ろしてフリーソロ。一度失敗して釜に落ちたが、入念に岩を磨いてから、バランシーなムーヴで突破。この滝も殆ど登られていないだろう。後続はゴボウ。次の10m滝は明らかに登れないので左から小さく巻くと、関門の滝。
関門の滝は左から快適にフリーソロし、その後も快適な滝が次々と続く。やはり、水無川は素晴らしい。二俣は噂通りに絶景で、暫し休憩。
○真沢遡行
幣ノ滝も噂通りの快適さで、とても良い。この後多少ゴーロが続くが、それを過ぎると今度は24m滝。これも見た目よりは快適で、直登。そこから少しで、難関とされる白龍ノ滝。全員がリードを希望していたのでじゃんけんし、tamoshimaは最初に負け、kumassiyが勝利、S田が2番目。大西さんと同じ左壁を登ることとし、kumassiyからリード。ロープが半分程度出たところでテラスに至り、どう登るか悩む様子だったので、一旦ピッチを切ってもらう。フォロー後、2ピッチ目はじゃんけんで2番だったS田。大西さんも登ったという薄くかぶったクラックを最初に越え、ロープはゆっくり伸びていき、半分を少し超えたところでビレイ解除。フォローしてみると、最初のクラックは沢らしからぬパワー系で、その後のルンゼ状は沢らしい泥臭い登攀だった。その後は滝の傾斜も緩むので、滑らないよう気を付けてフリーソロし、白龍ノ滝は終了。この滝は、水線から離れたところを登るという点では滝登りの魅力に欠けるが、登攀の内容としては特徴があり、登る価値はあると感じた。
ナメ滝群を越えていくと幕営適地があり、まだ時間は早いが、ガスが濃くなってきてこれ以上遡行しても面白くないので、ここで幕営。
●2日目
○真沢祓川遡行〜真沢下降
昨晩は超ガスっていたが、朝にはすっかり晴れていて嬉しい。幕営地から少し遡ると祓川出合。見上げる祓川大滝は、確かにかなりの大きさだ。下部は傾斜も緩く登りやすいが、上部は多少立ってきたので、一応kumassiyにはロープを出して登攀。大きいのに快適に登れて良い滝である。その後、小滝を2つ登って源頭の様相になったのを見届け、下降開始。
祓川大滝は、落ち口にちょうど良い木があり、これに捨縄をして50m懸垂下降。あとはクライムダウン。白龍ノ滝は定石の巻きルートを逆に辿って下り、24m滝は多少手間取ったが左岸巻き。ゴーロを経て最後は幣ノ滝。これも立木に捨縄し、50m懸垂下降してからクライムダウン。大体、想定通りの時間に二俣に戻ってこられた。予想通り、下りやすい沢で良かった。
○北沢遡行
北沢に入ると、こちらも快適な滝が続くわ続くわ。水線を直登したり、スラブを小さく高巻いて落ち口に至ったりと、繰り返していると開放感が消え、ゴルジュ状になる。少しだけ泳いで1m滝を越えると北沢右俣の出合。右俣というのにはショボすぎる気もするが。
本流はゴルジュ状の中に小滝が連続しており、いずれも水線か小巻で突破してゆく。すると比較的大きい9m滝が出てきて、バランシーに登攀。続く3段20m滝は、激シャワーの中に立派なガバがあり爽快。最後に小悪い3m滝を登って少しだけ泳ぐと、ゴルジュ終了。
急に平凡な河原が続き、途中に1つだけ7m滝はあるが、中だるみ。側壁が高くなってくると雪渓が出てくるが、前情報通りにかなり崩壊が進んでいて、労せず通過。この辺り、側壁はかなり立派だが中はゴーロなので、典型的なゴロジュで、評価は人により分かれるところだろう。
楽に詰めることを目指して1520、1620は左へ進むと、また側壁が立ってきて、15m滝が出現。意味もないような下の方に残置ハーケンがあるが、ロープを出すべしという先人からの示唆と解釈し、これまでリードしていないtamoshimaがリード。RFが難しめの滝だったが特に問題はなく登り、さらに滝をいくつか登っていくと、ナメが続く源頭の様相。S田が幸せそうだったが、癒しのナメはそれほど続かず終わり、左岸からの顕著な湧水を境に水涸れ。越後駒の名渓水無川の水源と言うことで記念にこの湧水を飲んで汲んで、右岸のクボから詰めに入る。このクボが大当たりで、藪もなく急斜面もなく楽に登山道へ出られた。
あとは登山道なので、皆好き勝手なことをする。S田はガスっていても山頂へ行きたいとのことで、山頂へ往復してから下る。tamoshimaはさっさと下って一眠りしておこうと思い、先に下る。kumassiyは膝をかばいつつゆっくり下りたいということで、のんびり下る。
極楽尾根は、相変わらずどこが極楽なのかと問い詰めたくなる面倒な登山道で、随分疲れたが、車に戻っても蚊が非常に多く、結局のんびりのkumassiyが戻ってくるまで、一睡もできないのであった。
【感想・総評】
新日本百名谷にも選ばれ、名渓として知られる真沢と北沢であるが、途中まで共通なのがいまいちだと思っていた。しかし、今回のようなルートで両方まとめて辿れば、効率よくこの2本を楽しめるため、非常にお薦めである。1泊2日の場合はある程度の遡下行速度を求められるが、2泊3日で行くなら万人向けとして良い内容だろう。
今回の遡行は、どちらもメジャーな沢ではあったが、御月山沢出合ゴルジュの突破(未完)、関門の滝下流ゴルジュの突破、白龍ノ滝左壁の登攀、1泊2日で真沢と北沢の両方を遡行、という挑戦性に満ちた遡行となり、非常に充実した。幾度となく遡行されている沢であっても、このように工夫の仕方次第で新しいことができる沢登りは、本当に面白いと改めて感じる。
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