記録ID: 592925
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積雪期ピークハント/縦走
鳥海山
鳥海山(湯ノ台〜鳳来山〜外輪山〜新山〜月山森〜宮様コース)
2015年02月21日(土) 〜
2015年02月22日(日)


体力度
6
1〜2泊以上が適当
- GPS
- 29:06
- 距離
- 25.6km
- 登り
- 2,285m
- 下り
- 2,271m
コースタイム
1日目
- 山行
- 7:38
- 休憩
- 2:12
- 合計
- 9:50
距離 14.7km
登り 1,859m
下り 1,089m
天候 | 21日:終日快晴 22日:朝方曇り、のち快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
家族旅行村まで除雪されてます。 鳥海イヌワシみらい館手前の除雪スペースに駐車しました。 3台程度は駐車可。 尚、升田から大台野までの道も除雪されているので、 宮様コース往復なら大台野からの入山がオススメです。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●開拓登山口〜鳳来山〜滝ノ小屋 滝ノ小屋まで特に難所は無いが、鳳来山を越えた先が急登。 上部の傾斜が特に急で、雪はクラストしているのでアイゼンが必要な状態。 横堂付近には雪庇が発達してるので踏み抜きにも注意。 ●滝ノ小屋〜外輪山(伏拝岳) 伏拝岳へ続く尾根型を辿って外輪山へ登った。 外輪山に登るルートは多数あるが、最短距離で登れるので、このルートを選んだ。 昨年11月に訪れた時は雪が少なくまだ利用できない状態だったが、今はもう適期。 雪は良く締まっていたので踏み抜きは少なく、歩きやすかった。 進路上には竹竿が立っており目印にはなるが、ホワイトアウトする危険があるので 天候は慎重に選ぶべき。 広大な斜面の登りが続き、序盤の傾斜は緩いが後半になって傾斜が上がってくる。 アイスバーンの箇所は無かったが、滝ノ小屋より上は全域クラストしている状態 なので、スキーやスノーシューだと厳しそう。 途中、2名のスキーヤーの方と擦れ違ったが、二人ともスキーは小屋にデポし、 アイゼンとピッケルを使用していた。 外輪山斜面は氷で覆われ危険な状態になる場合もあるが、今回は全域雪で氷無し。 視界も良かったので、特に危険な場面は無かった。 尚、聞いた話ではあるが・・・ スキーで外輪山へ登る際は、このルートでは無く、傾斜が緩い文殊岳側から 登る事が多いらしい。 大回りになるので歩く距離は長くなるが、等高線図を見る限りでは、 確かに体力的には楽になりそうなルート。 次回、外輪山へ登る際は、こちらのルートも試してみたいところである。 ●外輪山(伏拝岳〜七高山) 強風域なので風の強い日は注意だが、今回は風が弱く、特に困難は無かった。 雪は硬くクラストしているが、急な登下降は無いのでアイゼンさえあれば 問題は無かった。 (風の強い日はピッケルも必要になるが・・・) ●外輪山〜新山 外輪山から新山への下降は、今回山行での一番の難所。 新山方面へ下る全ての夏道は雪で覆われ利用できない状態なので、 七高山手前に出来たスノーブリッジを渡って新山へ向かう。 今年は雪が少なくスノーブリッジが低い為、どこからブリッジへ降りるか、 が問題になる。 スノーブリッジへの下降路は、様々なルート取りが考えられるが、 今回、自分が利用した下降ルートを写真に載せてみたので参考までに。 現時点、最も安全にブリッジへ下れるのはこのルートかと思う。 アイゼン、ピッケルがあればロープ無しでも行けるルート、だとは思うが・・・ 外輪山の内壁側、要は崖側をトラバースしてブリッジに降りるので高度感があり、 傾斜は急で足場は狭く、滑落危険を伴う。 雪付きが悪く、岩雪ミックスルートになってる箇所もあるので、 ミックスルートに慣れていない人は、ブリッジへ降りるのは止めた方が良い。 今回は雪の状態が良かったので問題なく下れたが、鳥海山の環境は厳しく、 場合によっては足場が凍結する事が有り得る。 もしそのような状況になったら、かなり危険な下降になるのは確実で、 その時はロープを設置するか、それが出来なければ新山は諦めるべきだろう。 スノーブリッジまで下れば、あとは新山まで難所無し。 山頂周辺には大岩が幾つかあり、どれが新山山頂か迷うところだが、 どの岩山も楽に登れるので、とりあえず全部登ってみれば良いんじゃないかな? ●滝ノ小屋 今回の宿。 夏は営業小屋だが、冬期は無人で宿泊料金:400円 神棚前の料金箱に納める。 2階建の広い小屋で、大人数でも快適に過ごせるだろう。 とても良い山小屋だけど、トイレが無い事だけが唯一の欠点。 ドアは3重構造だが外ドアの建付けが悪く、風が吹くと開いて 雪が室内に入り込んでしまう。 チェーンがあるので、それでしっかりドアを固定してから外出するように。 快晴の週末なので大勢の方が訪れると思いきや、意外に利用者は少なく、 この日の泊まりは、私とスキーヤーの方1名の二人だけだった。 ●滝ノ小屋〜月山森 月山森までは広々とした地形なので、視界が悪い日は道迷いに注意。 道さえ迷わなければ特に危険なし。 ●滝ノ小屋〜湯ノ台(宮様コース) 滝ノ小屋からの下山で利用。 鳳来山コースに比べると傾斜は緩く、山スキー向き。 高松宮殿下が鳥海山に山スキーに訪れた際に開拓された由緒あるコースらしい。 地図には記載されていないコースだが、所々で林が開けて眺望は良く、 ピンクリボンも多めに付いているので、道は判りやすい。 升田から大台野まで除雪されているので、宮様コース利用者は湯ノ台では無く、 皆さん大台野から入山していた。 一方、私の場合は湯ノ台から入山しているので、湯ノ台へ帰るには 草津川を渡渉しなければならない。 過去にこのコースを利用した際は、大台野から湯ノ台へ続く車道を歩き、 橋を渡って湯ノ台へ帰ったが、今回はショートカットを図る為、 もっと上流側で草津川を渡渉してみた。 以前、鳥海山で会ったスキーヤーの方に教えて頂いた渡渉点で、 残雪期は川のスノーブリッジが無くなり渡りにくくなるが、2月であれば大抵は ブリッジは残っており、水に濡れずに渡れる状態との事。 実際、今回行った際はスノーブリッジが出来ており、楽に渡れる状態ではあった。 だが、沢の両岸は切り立っており、左岸側は特に問題ないが右岸側の傾斜が急で 渡渉後、沢を脱出するのに苦労する。 渡渉点の下流側は雪崩の巣のような状態なので、そちらへは進めず、 比較的安全そうな上流側へと進み、登れそうな場所を選んで沢を出た。 登れそうな場所、とは言っても傾斜は充分にきつく、 ピッケルのフォロー無しでは登れない位の斜度だった 沢を脱出すれば、あとは楽。 尾根状の地形を下っていけば、やがて家族旅行村へと抜けられた。 |
写真
きつい傾斜の登りが続く。
大部分がクラストしており、スキーで登るのは無理っぽい。
途中、スキーヤーの方と二人擦れ違ったが、二人ともスキーは小屋にデポし、アイゼンとピッケルで歩いていた。
大部分がクラストしており、スキーで登るのは無理っぽい。
途中、スキーヤーの方と二人擦れ違ったが、二人ともスキーは小屋にデポし、アイゼンとピッケルで歩いていた。
撮影機器:
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
ゲイター
バラクラバ
ゴーグル
着替え
靴
ザック
サブザック
アイゼン
スノーシューピッケル
スコップ
行動食
調理用食材
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
日焼け止め
保険証
携帯
時計
タオル
ナイフ
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
ロープ(50m)
ハーネス
カラビナ
スリング
|
---|---|
備考 | ロープは外輪山から新山への下降用。 前回は30m持参だったけど、 長さが足りなくなるかも・・・? と思い、 今回は50mを持参した。 必須という程ではなかったが、 スノーブリッジが利用できない場合に備えての物。 今回は充分な高さのスノーブリッジが出来ていたので使用しなかったが、 今後、 融雪が進みブリッジが低くなったら必要になるかも。 |
感想
新山の頂きに立った時、時は夕刻。
この日の天気は穏やかで、冬の鳥海山と思えないほどに温かく、空は無風。
じっとしていても寒さは感じなかった。
外輪山までの長いアプローチ、そして、最大の難所と言うべき外輪山の下降。
新山に至る道は、決して楽ではなかったが、その努力は報われた。
山頂から広がる白銀の世界は絶景で、日没が迫まっていたが、
その光景から目を離せない。
少し視点を飛ばせば、真っ白な千蛇谷。
そして、その向こうには、夕日で輝く海が見えた。
鳥海山、その名の由来は不明であるが、
鳥の視点で海を眺める山、だから鳥海山と呼ぶ。
とある作家が、そんな事を言っていた。
なるほど、確かにこれは鳥の視点。
外輪山を登る途中でイヌワシを見かけたが、きっと彼の視点はこんな感じなのだろう。
こんなにも素晴らしい光景を日々眺められるとは、羨ましい。
次に生まれ変わるなら、イヌワシになりたいものである。
そんな事を思いつつ、このまま日没までその光景を眺めたくなった。
だが、荒れる兆候は無いとは言え、ここは冬の鳥海山。
あまりの陽気で忘れそうになるが、再びそれ思い出し新山を後にする。
斜陽に照らされる外輪山斜面を急ぎ足で下り、今夜の宿、滝ノ小屋へと帰った。
晴天はこの日だけでなく、翌日も続いた。
THE DAY.
最高の日。
まさに、そう言いたくなるような素晴らしい二日間だった。
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コメント
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こんばんは。
ヤマレコ拝見しました。
山形側はずいぶんクラストしていますね。
中島台側はクラストもシュカブラも無く、新雪パウダーでスキに最適でした。
山頂は、ツボ足のトレースの方で、スキーのトレースの方は(自分のトレース)山頂では無いです。
ちなみに自分は、北側ピークの方が眺めがよくお気に入りです。
今度の土日は八幡平。遊んでばかりで困ったものです。
北側のピークにスキーのトレースが続いていたので、最初はそちらが新山かと思いましたが、なるほど、そういう訳でしたか
確かに、北側の方が視界が開けた感じがして見晴らしが良いですね。
山形側、ずいぶんとクラストしており、あまりスキーに適した雪ではないようでした。
しかし、そのような環境にも関わらず、七高山でお会いした方は颯爽と斜面を滑走して去って行きました。
私はスキーについては素人ですが、denki398さんの会友の方、かなりの腕前とお見受けしました。
今週末は、八幡平ですか。
そちらも今の時期、良さそうですね〜
遊んでばかり、良いではないですか(笑)
雪山が楽しめるのは、今の時期だけ。
遊んでおかなければ勿体ないです^^b
良いお天気でしたね
鳥の視点で眺める景色は、写真も素晴らしいですが、実際に見るのとは違いますよね。
私は諸事情により(汗)2月を棒に振ってしまいましたので、そろそろ雪と戯れたいと思っています。
もう一度どっかり降らないかな〜
晴天の鳥海山、素晴らしい景色でした。
私の写真技術では充分にその素晴らしさは伝わらないと思いますので、
実際に御覧頂きたい光景です
今年の2月は、どういう訳か、週末の天気が良いですね。
私にとっては嬉しい限りですが、Springさんの方は何かとお忙しいようで
3月になってから大雪になる事もあるかと思いますので、これからの時期に期待。
ぜひ、雪と戯れて下さいませ
先日はあまりお話できず、残念でした
このシーズンの鳥海山は、私には想像の世界で、syasyuさんやLuskeさんのレコが楽しみです
今回も素晴らしい風景を見せていただき、自分も疑似体験ができるようでうれしいです。
ありがとう
先日はお世話になりました。
あまり御話しできませんでしたが、次回はyonejiyさんと
ゆっくり山談義をしたいものです。
泉ヶ岳の岳山珈琲、私はまだ行った事がありませんが、気になってるお店です。
今度、泉ヶ岳に行った時は寄ってみたいと思ってますので、
そこでyonejiyさんにお会いできたら嬉しいです。
冬の鳥海山はなかなか難しく、気軽に行ける山域ではありませんが、
楽しんで頂けたようで嬉しく思います。
残雪期にも訪れてみたいと思いますので、また御覧頂ければ幸いです
日曜、雁戸山から見えていて、2月に行くのを避けていた山ってどこだろう?と予想していましたが鳥海山でしたか
外輪山から新山への下降怖そうですね・・・
しかしあそこにスノーブリッジができるんですね、初めて知りました
鳥海山からの眺め最高ですね!海が近くに見えるのがまた良い!
去年は結局、鳥海山の山頂まで登れてないので今年は登って置きたいですね〜
深い雪と晴天率の悪さから、2月の鳥海山はこれまで避けておりましたが、
この週末なら確実に行ける、と思い挑戦してみました。
鳥海山は、スキーの山という印象ですが、この湯ノ台からのコースはなかなか登山的で
面白いです。
長い行程の先見待ちかまえる外輪山の下降は、最後のクライマックスに相応しい難所と思います。
それを越えて辿りついた新山からの眺めは最高でした
朝日連峰も候補として考えたのですが、こちらは幾ら晴天に恵まれたとは言え、この時期に登頂出来る自信はありませぬ^^;
朝日連峰は3月になったら登山対象として考えようかと思ってます
厳冬期の晴天での鳥海山。
ほんとに言葉にならないほどすばらしい景観ですね。
そして、そこから海が見えるなんて。
自分では行けなくてもこうした写真がみれただけで満足です
最初スノーブリッジの意味がわからなかったのですが、夏に伺った時に夏道からショートカットして山頂にむかったあの雪の残っているところにできるんですね。写真またゆっくり拝見します。
最高の2日でしたね
あと、相方のお父さんから冬に鳥海に至るルートを説明されたことがあるのですが、おそらくここなのだろうなと思いました。決して楽なアプローチではないですね
やはり、鳥海山と言えば海^^b
新山で眺める輝く海は感動的でした。
ブリッジの名残は夏でも残ってますので、去年metaさんが訪れた時も残ってましたね。
今年は雪が少なく、例年に比べてブリッジが低いそうですが、それでも見応え充分。
何故、毎年あそこにブリッジが出来るのか?
見る度にいつも不思議に思います。
自然は面白いですね
冬の鳥海山は、楽ではありませんが、私はこのルート大好きです。
たぶん、新山を目指す上で最も厳しいルートだと思いますが、
登山的な魅力にあふれ、拠点となる滝ノ小屋はとても快適。
また残雪期にでも訪れたいです
今年の冬の週末は天気が良いことが多いですね。
Luskeさんもどこかの山だろうって思ってました。
昨年の11月に続いて鳥海山ありがとうございます。
冬に新山への立派なスノーブリッジができるって初めて知りました。
レコ見ているだけでも楽しいです。
3月も安定した天気であればいいですね。
ほんと、今年の週末は天気が良いですね
去年は、毎週のように天気予報見てはがっかりしてたものですが(笑)
特に、先週は奇跡的な好天でした。
冬の鳥海山、一日晴れるだけでも滅多に無いのに、
それが二日間、それも土日に続いてくれるとは・・・
おそらく、10年に一度、くらいの頻度かと思います。
その二日間に立ち会えた私は、実に幸運でした。
「日頃の行いと天気は関係無いんだ」と思いました
いつの間にやら2月も終わりですね。
3月も好天の週末が訪れる事を期待したいです
まさに、THE DAY.
後で振り返っても今年の登山ランキングでかなり上位に
くるコンディションではないでしょうか。
それにしても雪が少ないですね。
まだ2月なのに岩肌が見えるとは・・・。
昨年はスノーブリッジを渡れなかったので今年こそはと思って
いますが、急がねば渡れなくなりそうですね
いつもですとこの時期は雪崩の事もレコで触れてくれていたり
していますが、今回は何事もなかったのでしょうか?
そのあたりも少し気になっていたりしています。
今回の鳥海山、たぶん、今季一番のTHE DAYになりそうです
ちなみに、2位は岩手山、3位が雁戸山、が現時点での順位です。
雪の少なさは驚きでしたね〜
途中で何名かスキーヤーの方々に会いましたが、
皆さん、今年は雪が少ない、と口々に仰ってました。
雪が少ない方が登山は楽、ではありますが・・・
鳥海山の場合はスノーブリッジがありますので、少なすぎるのも困りものですね。
今後、積もるかもしれませんが、このままブリッジが低くなってしまったら残雪期は苦労しそうです。
今回は雪の少なさもあり、あまり雪崩の危険は感じませんでした。
最後の渡渉は沢沿いなので、そこは流石に雪崩注意ですが、
外輪山に亀裂は無く、新山から千蛇谷を眺めてみましたが、雪崩の痕跡は全くありませんでした。
これから残雪期にかけて危険が増すと思いますが、現時点では特に問題無さそうに思いました。
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