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Yamareco

記録ID: 62881
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
富士・御坂

富士山 (富士宮口)

2010年05月03日(月) [日帰り]
 - 拍手
GPS
08:27
距離
6.5km
登り
1,385m
下り
1,348m

コースタイム

 5:15 富士宮口 新五合目
 5:33 六合目
 6:23 新七合目
 7:00 元祖七合目
 7:50 八合目
 8:34 九合目
10:01 浅間大社奥宮(10:30出発)
10:45 剣ヶ峯(11:05出発)
11:10 浅間大社奥宮(11:30出発)
11:43 九合目
11:58 八合目
12:20 元祖七合目(10分休憩)
12:45 七合目(10分休憩)
13:26 六合目
13:42 富士宮口 新五合目


天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2010年05月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
1.登山口まで
 富士山スカイラインの開通は毎年4月下旬。今年は4月26日に一度開通したものの路面凍結の恐れから29日に再び閉鎖となりました。翌日には閉鎖がとかれましたが、当面、夜間(17時〜翌朝8時まで)は通行止の模様です。ゲートがあるのでこの時間帯は入れません。開通時期は年によって異なりますので、事前に富士宮市のホームページなどで確認した方が良いと思います。
 路面状況ですが、積雪や凍結箇所などはなく、通行に支障ありませんでした。おそらく開通後は普通タイヤで大丈夫だと思います。なお、ゴールデンウィーク中の新五合目駐車場は非常に混雑します。ただ、多くは16時を過ぎるころには下りていきますので、車中泊を考えている場合は、下の方に車を止めておいて夕方に新五合目まで上ってくれば問題なく駐車できると思います。車中とはいえ、夜はかなり冷えますので防寒には気をつけて下さい。
 新五合目には売店や食堂、トイレがあります。
 
2.登山道
 ※ 私が登ったときは天候にかなり恵まれていました。この日は、前日まで残っていた寒気も抜け、高気圧の影響下で関東地方は穏やかに晴れました。強風で恐れられる富士山ですが、風も午前中はそよ風といっていいくらいの微風でした。以下の登山道の様子(特に雪の状態)は天候によって大きく変わってくると思いますのであくまで参考程度に考えてください。

 この季節、積雪のため登山道は通行禁止となっています。しかし登山禁止というわけではなく、登山する人は登山計画書を富士宮警察署に提出することになっています。
 新五合目からすでに積雪があります。最初は沢状の地形を大きくトラバースするようにして六合目へ。ここまではあっという間。雲海荘、宝永山荘の脇を抜けていよいよ富士山の斜面にとりつきます。少なくともここからはピッケル・アイゼン必須です。
 登山道ですが、夏道が見えるようなところはなく一面の雪斜面と化しています。夏道ならばジグザクと登るところですが、この季節は上部の山小屋などを目印にして直登することになります。晴れていれば、六合目からは八合目の小屋が、八合目からは頂上が見通せます。八合目あたりまでは、トレースや滑降跡が残っていました。
 雪の状態ですが、登り始めは気温が低いこともあって固く締まっていました。といってもアイゼンの歯がたたない程ではありません。八合目の鳥居を過ぎたあたりから、固い表層とフワフワの下層からなるモナカ状の雪面とアイゼンの歯がかかる程度の固い雪面のミックスになります。モナカ状の雪面では滑落のリスクは低下するものの、固い表層を踏み抜いて進むことになるので非常に疲れます。モナカ状の雪面には足跡が残りますが、固い雪面にはアイゼンの爪跡も残りません。途切れ途切れにトレースが山頂まで続く感じなので、濃いガスに巻かれた場合は注意が必要です。
 九合目、特に九合五勺を過ぎてからはさらに急勾配になります。ところどころ青氷も見えています。(下山時にも怖いところです) かなりキツイところですが、ここを登りきれば半分以上雪に埋まった浅間大社奥宮の鳥居が出迎えてくれます。
 浅間大社奥宮から富士山最高点の剣ヶ峯まではわずかな登り。左右急斜面の狭い尾根で強風時や雪の状態によっては危険だと思います。

3.山小屋
 この時期、全ての山小屋が閉鎖されています。だた、各合目毎に設置されているので、目印や休憩ポイントにはなると思います。特に遮るもののない富士山において風除けになってくれる存在はありがたい。
 

予約できる山小屋
八合目池田館
新五合目から山頂
2010年05月04日 22:57撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 22:57
新五合目から山頂
五合目付近の残雪
2010年05月04日 22:58撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 22:58
五合目付近の残雪
六合目小屋から本格的な登りが始まる
2010年05月04日 22:59撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 22:59
六合目小屋から本格的な登りが始まる
朝日に照らされる雪斜面
2010年05月04日 23:00撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:00
朝日に照らされる雪斜面
新七合目 御来光山荘
2010年05月04日 23:01撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:01
新七合目 御来光山荘
ひたすら直登
2010年05月04日 23:01撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:01
ひたすら直登
先行するスキーヤー
2010年05月04日 23:02撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:02
先行するスキーヤー
結構急傾斜
2010年05月04日 23:03撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:03
結構急傾斜
元祖七合目 山口山荘
2010年05月04日 23:04撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:04
元祖七合目 山口山荘
八合目 池田館と救護所
2010年05月04日 23:05撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:05
八合目 池田館と救護所
八合目の鳥居
2010年05月04日 23:07撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:07
八合目の鳥居
結構登ってきた
2010年05月04日 23:07撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:07
結構登ってきた
九合目 万年雪山荘
九合五勺 胸突山荘は完全に雪の中
2010年05月04日 23:08撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:08
九合目 万年雪山荘
九合五勺 胸突山荘は完全に雪の中
山頂へ最後の急登
2010年05月04日 23:12撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:12
山頂へ最後の急登
富士宮口山頂の鳥居
頂上富士館は雪の下
2010年05月04日 23:13撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:13
富士宮口山頂の鳥居
頂上富士館は雪の下
剣ヶ峯を望む
2010年05月04日 23:15撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:15
剣ヶ峯を望む
噴火口
2010年05月04日 23:16撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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噴火口
剣ヶ峯へと続く尾根(馬ノ背)
2010年05月04日 23:17撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:17
剣ヶ峯へと続く尾根(馬ノ背)
レーダードーム基部
2010年05月04日 23:19撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:19
レーダードーム基部
日本最高峰 富士剣ヶ峰の石碑
2010年05月04日 23:19撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:19
日本最高峰 富士剣ヶ峰の石碑
火口壁
2010年05月04日 23:21撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:21
火口壁
山頂から愛鷹山、伊豆半島
2010年05月04日 23:22撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:22
山頂から愛鷹山、伊豆半島
南アルプス遠望
2010年05月04日 23:24撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:24
南アルプス遠望
九合目付近から山頂を振り返って
2010年05月04日 23:26撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:26
九合目付近から山頂を振り返って
ひたすら下る
2010年05月04日 23:27撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:27
ひたすら下る
六合目 宝永山荘
2010年05月04日 23:28撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:28
六合目 宝永山荘
新五合目へ斜面をトラバース
2010年05月04日 23:28撮影 by  E-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.
5/4 23:28
新五合目へ斜面をトラバース
撮影機器:

感想

 富士山。日本一と言われるとやはり一度は登ってみたい。でも、年間30万人が登るという例の混雑ぶりを聞くとどうにも躊躇してしまう。実際に富士山が混雑するのは山開きをする7、8月の2ヶ月だけなので、これを外せばいいのですが、そうなると登山の難易度が一気にあがる。そんなジレンマを抱えて登れずにいた富士山ですが、今年のゴールデンウィークについに挑戦してみることにしました。
 そうなるといつにもまして気になるのが天気。都合の良いことに期間中はずっと晴れの予報で、中でも5月3日は一番よさそう。剣ヶ峯まで一番距離が短いことと、南斜面で雪も緩みやすいということから富士宮口を登山口に決め、前日の5月2日に車で新五合目を目指しました。
 各地の渋滞につかまりながら辿りついた富士山スカイラインも車で大混雑。運良く空いたスペースになんとか駐車することができました。しかし、当たり前ですがあれほど大勢いた人も、スカイラインが閉鎖される17時前にはいなくなり、一気に静かになります。駐車場には車が4台ほど。混雑しない時期を選んで来たとはいうものの、思いのほか寂しい登山になりそうです。
 次の日は4時半起床。日の出は過ぎ周囲はだいぶ明るくなっています。空を見ると、はるか上に薄雲が広がっていますがまずまずの天気。何より風がほとんど吹いていないのが最高です。準備を整え出発したのは5時15分。少し緊張しながら歩き始めました。
 最初は大きな沢状の地形をトラバースするようなかたちで六合目を目指します。登山道には雪がたっぷり残っており、アイゼンは初めから着用。雪はほど良く締まっていて、アイゼンが気持ちよく効きます。あっという間に六合目の小屋に到着。ここから本格的な登りが始まります。
 目の前に広がっているのは、遮るものの無い一面の雪斜面。ところどころ夏道にそって張られたロープが見え隠れしていますが、そんなものは無視してひたすら直登です。
 上を見上げると、山頂に向かってぽつんぽつんと小屋が並んでいるのが確認できます。六合目からだと3つ。一番上に見えるのは八合目の小屋ということになります。下から見ると結構近い気がするんですけどねえ。
 元祖七合目までは快調。ほとんど休憩なしで到着。ここで先行していたスキーヤーに追いつきました。小屋にはもう一人の男性。昨日はここでビバークとのこと。だいぶ山慣れされているご様子でした。
 登り始めて2時間半で八合目まで到着。ここまで来るとようやく山頂が見えてきます。でも富士山は登り5時間かかるというので、時間からするとまだまだ半分。
 八合目の先、半分埋まった鳥居の脇をすり抜けて、次に見える九合目の小屋を目指します。この辺りから雪面の様子が変わり、表層が固く中はフワフワのいわゆるモナカ状の雪面とアイゼンの歯がかかる程度に固い雪面が交互に現れるようになります。このモナカ状の雪面はかなりやっかい。表層をズボズボと踏み抜くようにして進むことになるので、非常に体力が要ります。まあ、固い斜面でつまづいて滑落するよりはずっといいですが。ようやく九合目まで到着した時にはくたくたになっていました。
 さて、九合目から先は頂上の凹になっている鞍部を目指して、とにかく直登すればいいのですが、頂上直下が最後の試練とばかりに急傾斜。下から見ても急さがわかるので精神的にも辛くなります。空気の薄さのせいなのか、スタミナ不足なのかとにかくだるい。少し登っては立ち止まって息を整える。そんな亀の歩みですこしずつ頂上を目指します。
 九合五勺からの登りは本当にキツイ。ときおり、山頂の雪庇から氷や雪の塊が転がり落ちてくるのでこれもおっかない。こんな危険地帯は早々に脱出したいところですが体は言うことを聞きません。結局、九合目からたっぷり1時間半かけて、ようやく頂上に到着。疲れた〜、でも気分は最高。
 頂上の天候も穏やかそのもの。風は微風。雪を壁にして直接風が当たらないようにすれば、太陽の温かさすら感じます。しばしの休憩のあと、剣ヶ峯へ。初めて見る噴火口はなかなかの迫力。剣ヶ峯の「日本最高所」の石碑は雪に埋もれて頭しか出ていませんでした。展望もすばらしく、特に屏風のように並んだ南アルプスの山々がとても美しい。抜けるような青空を飛ぶ飛行機が近い。なんだ、富士山って登ってもいい山じゃん。
 しばらく眺めを楽しんだあと下山。下りはやっぱり緊張しますね。元祖七合目から下の雪はすっかり緩んでいました。


 下山後、新五合目の登山口で警備員さんに声をかけられました。
「スニーカーで登っている人がいるって連絡があったんだけど、下りてくるとき見なかった?」
「いや気づきませんでしたけど」
「うーん、どっかに滑べり落ちたのかなあ」
「えー!」
 たぶんそんな人はいなかったように思いますが、時々無謀な人が現れるようです。さすが富士山。


ホームページ「旅の道標」もよろしくお願いします
http://aralagi.travel-way.net/


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