未丈ヶ岳
- GPS
- 18:49
- 距離
- 26.3km
- 登り
- 2,536m
- 下り
- 2,542m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2024年01月の天気図 |
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アクセス |
写真
装備
個人装備 |
ブーツ:DYNAFIT TLT SPEEDFIT
スキー:BLIZZARD SPUR 159cm 146-125-130mm
ビンディング:G3 ZED12 (ブレーキ無し)
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共同装備 |
6.5mm 25m ロープ(未使用)
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感想
シルバーラインが閉ざされた冬、静寂の奥只見に両翼ひろげる名峰。黒又川を渡り、深淵に触れにいく。
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大湯から旧スキー場を登り尾根に取り付く。ハンパない藪と狭さに加えて雪はモナカ。キックターンの連続。ごっくんは「スノーシューが正解、騙された!」と言っていた。622まで出るとようやく落ち着いた。
ラッセルはグッグッと2度沈む感じがして捗らない。津久ノ岐山あたりは広く、標高800mとは思えない尾根だ。ちょっと整備すれば魚沼アルプスくらいの人気は出そうだ。1000mまであがると樹氷が美しい。夜明けだ。鼓が倉山は目の前だけれど、今日の目標は遥か遠い。寄り道せずに南へ。未丈ヶ岳が見えた。遠すぎて目を疑う。
駒や荒沢岳を見ながら進む。926から黒又川へ向けて降りる。明らかにモナカだ。帰りのことを考えて、登り返し用のトレースをつけながらシール滑降がベストだが、滑れる誘惑に負けてシールオフ。ひどい雪を気合いで滑る。
泣沢の水量なら埋まっているだろうと、降りていくと沢床が見えた。ちっとも埋まってない。現実が受け止められず、下流側へ無理やりトラバースをかけるも、スノーブリッジは無い。斜面も急で、どうしようもない。
泣沢を渡るのは諦め、黒又川に行ってから判断だ。空荷になりツボ足ラッセルで落ち着けるところまで登り返す。板を外すと腰まで沈む。安定した場所まで行ったらシール。少し歩くと広い台地があった。ここに泊まりたい。黒又川を覗くと辛うじて浅い場所がある。あそこなら渡れそうだ。当初の予定の登山道尾根を諦め、四十峠から回り込む計画に修正する。予定不調和こそ山の醍醐味。これをやりに来てるんだ。
そうと決まったら渡渉だ。黒又川は橋で渡ることしか頭に無かったので、ネオプレン靴下は2人とも持参していない。覚悟を決めて裸足になって黒又川を横断する。冷たすぎて声が出ない。晴れ予報なのに雪も舞ってきた。
目の前にある急登を登り、尾根を目指す。細かい起伏があり、ジグを何度も切る。いつの間にか雪も止み、1050mあたりで素晴らしいブナ林が出迎えてくれた。モナカから新雪に変わるが、日射の影響で重い。けれど、我々はもう山頂まで行くことしか頭に無い。無心でラッセルして1192まで来たら、天国のような尾根になる。裏三山も輝く。絶景に見惚れて進まない。
朝、あんなに遠く見えていた山頂が、今は近く見える。気持ちの問題もあるが、実際に近い。行ける。大鳥、毛猛、村杉を見ながらの稜線歩き。会津朝日も顔を見せる。赤柴沢に飛び込みたい誘惑を振り切り、前へ前へ。
振り返ると、歩いてきた尾根に一本のトレースが続いていた。もう止まらない。行こう。1500mあたりから硬い斜面になり、クトーをつけて登っていくと、山頂看板が見えた。
ついにきた。冬の未丈。毛猛と村杉が目の前。南会津の山々も見える。ごっくんも相当な南会津フリークで、会津朝日岳〜丸山岳のあらゆるところに足跡を残している。我々には馴染みの顔ぶれ。たくさんの思い出がある。
歩いて来た尾根は滑走に不向き。沢は割れていて論外。登り返しの少ない登山道尾根を滑ることにした。果たして橋は渡れるのか。考えても無駄。出たとこ勝負。
シールオフして越後駒ヶ岳に向かって飛び込む。上の方はまさかのパウダー。ぐんぐん高度を落として、あっという間に松の木ダオまで滑った。ご褒美だった。ここから登り返して、また滑る。尾根は意外と広い。下の方はこれぞ越後という重い雪で泣きそうだった。なんとか滑り降りて黒又川に戻ってきた。
橋を見ると、雪の量が多い。シールもツボも危険すぎる。渡るならスコップを出して除雪するしかないが、どれだけ時間がかかるやら。要するに渡りたくない。渡渉しかない。水頭沢、黒又川と二回渡渉をして尾根に取り付くことにする。
なんとか尾根末端から降りれたので渡渉準備をしていたら、足場が崩壊して沢にドボン。左足がびしょ濡れ。横着してそのまま行こうとしたら滑って、右足もびしょ濡れ。もう知ったことか。ブーツのままバシャバシャ渡渉して対岸へ。黒又川の渡渉も、開き直ってブーツのまま行く。足がキンキン。ごっくんはもちろんブーツを脱いで、裸足で悶絶していた。
浸水したブーツと靴下の水を絞ったら登り返し。仕事はまだまだある。朝、トレースを付けずに自由に滑ったせいで、当然ラッセル。途中まで頑張るも、後半力尽きて、最後はごっくんが稜線まで引っ張ってくれた。稜線に出て振り返れば、山々が赤く染まっていく。言葉がない。
990mまで登り、来た道を戻るか、湯の沢側に行くか相談する。ここはやはり、出たとこ勝負だ。
さあ残業だ。月齢はいいのに、月の出が遅く新月のように暗い。小さなアップダウンがあるし、とにかく暗いのでずっとシールで、ヒールのロック・フリーを繰り返して進んでいく。クラックに落ちたり、藪に追突しながらも、慎重に尾根を見極めながら下っていく。
尾根末端まできたら、本日4度目の渡渉。ゴールは近いので、もう2人ともブーツのまま気にせずジャブジャブいく。林道に登り返すところは雪がたんまり。空荷ラッセルして、最後はスコップで切り崩してルートを作る。やることが多すぎる。林道にあがれば、ようやくあとは歩くだけ。 雪は硬く、沈まない。片斜面にもなっていない。サクサク進んで栃尾又温泉に。凍った車道で転んだりしながら、大湯に戻った。激浪の18時間50分だった。
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都合上、日帰りだった。次があるなら絶対に泊まりだ。やはり山には長く居たい。滑りたい場所も増え、知見も深まった。地形図だけではわからないことも、実際に行けばわかる。
冬の未丈ヶ岳。登頂記録はあるのだろうか。ともかく素晴らしかった。一緒に行ってくれたごっくんありがとう。
南会津フリーク・ごっくんのブログはこちら
https://odatoumi.blogspot.com/
コメント
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お疲れ様でした。
今度は駆け抜けないで、samさんのように未丈の周りをあちこち巡りたいです
文章も楽しく読ませて頂いています。
いつか中澤さんと山行きたいです...
ありがとうございます!どこか機会があれば
また夏に魚沼方面でいくつか行きたい沢あるのでお声がけさせて頂くかもしれません
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