【厳冬期】常念岳 東尾根
- GPS
- 13:52
- 距離
- 22.9km
- 登り
- 2,217m
- 下り
- 2,218m
コースタイム
- 山行
- 12:45
- 休憩
- 1:07
- 合計
- 13:52
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
暖かい日が続きかなり雪が解けた後で1日だけ寒気が入った翌日だったため、序盤は氷化していたが、森林限界先はアイゼンがスパスパ決まる良い雪質 |
その他周辺情報 | ほりでーゆ-四季の郷- 駐車場から徒歩圏内の温浴施設 |
写真
感想
直近3ヶ月がなかなか忙しくちゃんとした山行ができなかった。
漸く時間ができたタイミングで天気よし雪質よしの見込みとなったため、リハビリがてら技術力よりも体力が要求される常念か北岳を学生時代からの友人Y氏に提案したところ、日帰りで行ける方ということで、常念岳が今回の目的地となった。
常念岳は数年前松本へ引っ越してきた際に初めて登った山であり(その際もY氏と一緒に行ったのだ)、その後三股からアタック×1、常念蝶ヶ岳周回×2と計4度も登頂しているが、冬期は初めてなので大変気合いが入る。
ついては金曜日の終業後に直接現地入りし、車中泊して1時に出発することとした。
長距離山行の時はシャリバテで動けなくなりがちだが、かといって普段から朝食は食べてないので登山前にカロリー摂取は難しい。
前日夜にガッツリ食べるしかないのではという結論になり、スープカレーのライス大盛を食べて備えたが後ほどこれが誤りだったと気づかされることになる。
21時時点で駐車スペースには一番乗りだった。車内をフルフラットにしたり寝袋の準備をしたりしていると2台来た。1時に出発するタイミングではほぼ満車だった。
Y氏とは昨年春の白馬三山縦走以来だったので、積もる話に花を咲かせているうちにあっけなく林道を突破。
明るめのヘッドライトをつけていれば入山点の看板を見落とすこともないだろう。
雪量は少ないが序盤から地面が凍てついていたため、斜度が出てきた段階で早々にアイゼンを出すことにする。
アイゼンには大別してビンディングとストラップの2種類あるが、我々が学生時代に買わされたのはモンベルのカジタックスであり、前者だった。
これはプラスチック性の兼用靴(登山靴兼スキーブーツとして使用できる)を普段使いとしていたため、テンションを掛けて強固に固定できるビンディングがチョイスされたものと思う。
時は流れ社会人になって自由に使えるお金を得た私は、装備軽量化の一貫として兼用靴から冬用登山靴に乗り換えた。
そして、冬用登山靴とビンディングアイゼンの相性は最悪であった。
かかとにかなりの圧力が掛かるため靴が変形し、歩く度にかかとに擦れるのである。
これは登山用品店で靴を試着しただけでは気づけない事態であった。
登山靴×ビンディングアイゼンを初めて試した八ヶ岳の天狗岳で激しい靴擦れに見舞われ(靴擦れといっても表皮が擦りむけるのではなく、打ち身による内出血が症状としては近い)、三週間治らなかった。
その後、靴下を二重にしたりテーピングしたりガムテを貼ったりクッションを入れてみたりと試行錯誤したが、いずれも防御を貫通して靴擦れを起こすか、別の部位で靴擦れを起こすという結果に終わったため、今回はAmazonの5000円程度のストラップアイゼンを新たに購入し、持ってきていた。
そういうわけで「このアイゼンの新品やねん」と話ながら隣を見ると、Y氏が真新しい登山靴に学生時代からのビンディングアイゼンを装着していた。
おい待て、その組み合わせは…。
どうやら新たにスポルティバの靴を購入し、今回初めて使用するらしい。
私の靴はローバーだったので、メーカーが違えば大丈夫だろうと自分に言い聞かせて登山を再開する。
そして30分後、そこには痛そうにかかとをさするY氏の姿があった。
とりあえず私が靴連れを起こした際に購入したテープがザックに残っていたので渡す。
靴下も2足持参していたようなので二重にする。
その程度で回避できないことは身をもって体感済みだか、Y氏はこれで大丈夫!と前向きなので、行けるところまで頑張ってもらう。
Y氏は私の3倍くらい体力があり、いつもは必死に着いていくのだが、今回ばかりは私が先行して待つ、あるいは意図的にペースを落とすという形で登る。
この結果、長いナァと思いながらも、体力的にはそれほど辛いと感じることなく樹林帯を突破することができた。
なお、23時出発の先行者が1名いたが、2155峰の幕営地先でトレースがなくなり引き返してきた。
確かに水平移動する箇所でややラッセルを強いられたが、再び斜度が出てくると足場もかなり固さが出てきて歩きやすくなった。
さて、Y氏の靴擦れは順調に悪化し、一方で私は昨晩の夕食をキャパ以上に食べたことで胃腸が弱り果て、吐き気と戦っていた。
空が橙色に変調していく中でいっこうに樹林帯から抜けられず、焦りと痛みと吐き気と戦いながら歩みを進めた。
すると標高2200あたりで急に視界が開け、モルゲン直前の真っ白な前常念岳が姿を現した。
そしてその5分後、完璧な日の出を迎えることができた。ギリギリセーフ。
Y氏は日の出まで頑張って引き返そうかななどと弱気な発言ばかりしていたが、太陽に釣られて脳内麻薬が分泌されたのか急に元気になった。
逆に私は日の出に間に合った安堵から緊張の糸が切れ、明確にバテはじめた。
ボーナスタイムであるはずの稜線歩きはただただ辛いだけの水平移動距離稼ぎに、岩場は辛いだけの標高稼ぎに成り下がった。
後続の1名にも抜かされたが、おかげでルーファイはかなり楽になった。どうもありがとうございました。
前常念までは偽ピークが何度もあり精神的にもかなり参ったが、前常念から常念は見た目以上にコースタイムが短く、なんだか最後にご褒美をもらった感じがした。
登山開始後約9時間で登頂。
山頂は常念にしては風が弱く過ごしやすかったので40分間も滞在した。
ランチに食べたアルファ米からは今回初使用となるサーモス山専ボトル由来と思われるプラスチック臭がした。
下山においては体重がつま先にかかり、かかとへの圧が下がるため、Y氏は水を得た魚のように高速で去っていった。
一方私はこれまたAmazonで買って今回がデビュー戦となっていた中国製ストックのスノーバケットが遂に2本とも失われ、苛立ちを募らせながらえっちらおっちら下山した。
気温が高く太陽も燦々と照りつけていたので、雪がぐずっていないか心配していたが、12時前後ではまだ固さを維持しており、ピッケルに持ち帰るまでもなくアイゼン×ストックで下りきることができた。
常念から樹林帯までは標高差800mしかないのに本当に長い。
樹林帯はデータ上長いのは分かっているんだけど、それでも長い。
無心で下っていたので当時の記憶はほとんどないが、(天候的に今日を超えるコンディションも無いだろうし)常念岳はもう来なくていいかなという思いだけは、ずっと頭の中をぐるぐるしていた。
行きはあっというまだった林道も一人で黙々と歩いていると本当に長いし、蛇足感に満ち溢れえいる。
なんとか駐車場に辿り着いたら、30分前にY氏から「先にほりでーゆに行ってきます。30分ぐらいで出ます」とのLINEが。
30分で上がるってことはもうそろそろやん。
私が入ってる時間ないやん。笑
帰ってお家のお風呂に入りました😇
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