古道葛川越~烏谷山~武奈ヶ岳~西南稜
- GPS
- 06:34
- 距離
- 14.3km
- 登り
- 1,428m
- 下り
- 1,414m
コースタイム
- 山行
- 5:46
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 6:34
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
葛川越の古道は踏み跡が薄く、所々分かりにくい箇所あり (詳細は感想にて) |
写真
感想
日曜日は天気が良くないらしいが、土曜日は朝から雲ひとつない青空が広がっている。久しぶりに比良の山々に出かけることにする。山行記録を振り返ってみると、2月の上旬に降雪の後で武奈ヶ岳と釣瓶岳と訪れた山行以来であることに気が付く。
朝は家内が家事を済ませてからの遅い出発となる。坊村の市民センターに10時過ぎに到着すると、当然ながら駐車場はかなり埋まっている。駐車場の奥のテントでは以前は漬物などを売っていたが、ドリップ・コーヒーを提供しているようだ。横断歩道を渡ったところにある法圓寺の裏手から植林の斜面に取り付いて、明王谷林道の長いカーブをショート・カットする。
明王谷林道に入ると、林道脇の岩壁から湧き出す冷たい覚照水でペットボトルを満たす。林道ではカエデの青紅葉を見上げて、林道終点から白滝谷の登山道に入ると樹々の梢から落ちる新緑の透過光と苔むした岩が一面の緑の世界を形成している。
葛川越道は古道の取り付きが分かり難い。白滝谷の登山道が渡渉地点に向かって下降していく手前でガレ場に取り付く。ガレ場は浮石も多く落石の危険があるが、その左手の斜面を鹿道のような薄いトレースを追って九十九折りに登るとそこはかとない古道の踏み跡を見つけることが出来る。
しばらく植林と自然林の間をトラバース気味に進むと、次第に道の痕跡がはっきりとしてくる。気になるのは杉の樹には熊削ぎの跡が非常に頻繁に認められることだ。削がればばかりの樹皮の新鮮な色合いからはかなり真新しい印象だ。樹皮を削がれた樹幹にも熊の爪による細かい傷跡が多数見られる。家内が早速にも熊鈴を取り出すが、ここを歩く時には熊鈴をいくつか携行した方がいいだろう。
古道沿いには炭焼き窯の跡が次々と現れる。高度が上がると、谷側の自然林には新緑を纏うブナの樹が目立つようになる。モミの大樹が立ち並ぶ箇所を過ぎると、谷に合流する。
谷は三俣に分かれるが、葛川越の峠に至るには真ん中の谷を進む。谷には所々に道が残っている。上流には大きな岩が見えてくると、この岩は巨大な蛙のようにも見えるが、野坂の岩籠山のジョーズ岩を彷彿させる。岩を左手から巻くと楓の自然林が広がる斜面を緩やかに登って葛川越の峠に辿り着く。
葛川越の峠から烏谷山に向かうとすぐにも眺望の良い箇所があり、東側に琵琶湖の展望が大きく広がる。ユキグニミツバツツジの鮮やかな紅紫色の花が残っていた。烏谷山の山頂が近づくと、シロヤシオの株が多く見られるが、花は全く見られない。どうやら花期には遅かったようだ。
烏谷山の山頂に到着したのは既に12時半近く。山頂からは堂満岳へと続いていく縦走路と、その左手にはコヤマノ岳の奥に比良の盟主たる武奈ヶ岳の姿が見える。まずは保冷袋に入れて携行してきたノン・アルコールのビールで乾杯する。山の上ではノンアルも美味しく感じられ、350ml缶でなく500ml缶にしておけば良かったと後悔するのであった。
次いでヤンニョン・チキンを温める。調理をしている地面に妙に蟻が多いなと思うと、地面に落としたわずかばかりのソースに大量の蟻が群がっているのだった。後半は鍋で湯を沸かし、成城石井で入手してきたインスタントのパクチーのフォーを愉しむ。
ランチ休憩を終えると烏谷山の山頂を後に縦走路を北上する。登山道沿いには多くのシロヤシオがあるが、ここでも一向に花を見かけることはない。荒川越を過ぎて南比良峠に向かう稜線を進むと尾根上にはようやくシロヤシオの花が現れる。しかし、萎れている花や白い花弁に茶色い斑が浮いている花が多く、花期は明らかに終盤であった。それでもこの花に巡りあうことが出来たのはこの山を訪れて良かったという満足感を高めてくれる。
堂満岳のピークはバイパスして、その西側をトラバースする道を進む。金糞峠から奥ノ深谷の上流に下降すると、平坦な河岸では早速にも二つほどテントが張られている。
沢に掛けられた木橋を渡って、ヨキトウゲ谷を進む。谷の細い流れには真新しい木橋が掛けられていた。
時折現れる杉やブナの大樹を見上げながら、コヤマノ岳への尾根を進む。尾根の上部で斜度が緩やかになるとブナの純林が広がるようになる。ブナは若木が多いが、午後の柔らかな日差しが差し込む新緑のブナ林は気持ちが良いものだ。
コヤマノ岳の界隈には全く人の気配がなく、静かな山頂から東に広がる琵琶湖の展望を確認する。空にはいつしか薄い雲が広がっている。コヤマノ岳からはしばしの間、清々しい空気に満ちたブナ林が続く。この山頂一帯に広がるブナ林は比良山系の中でもとりわけ林相が美しいところであり、このルートの大きな魅力といえるだろう。
ブナの樹林を抜けて武奈ヶ岳との鞍部に至ると、その山頂には大勢の登山者が目に入る。この時間帯には登山者は少ないものと思っていたが、そうではなかったようだ。鞍部からいよいよ武奈ヶ岳の山頂への最後の登りを登り詰めると、降って来られる20名ほどの大パーティーとすれ違う。
武奈ヶ岳の山頂からはすっかり新緑の覆われた釣瓶岳の姿を確認すると、烏谷山から辿ってきた縦走路を眺めながら西南稜を緩やかに降る。さすがに午後の遅い時間のせいか御殿山を過ぎても登山者の気配がなかったが、p845を過ぎて尾根の西側の下降に入ると二組の登山者達に追いつく。終盤の植林の中の九十九折りの下降に入ると、以前は数年前の台風の被害による倒木が目立ったが、倒木の処理がかなり進んでいることに気が付く。
坊村の駐車場に帰り着くと当然ながら車はかなり減っている。コーヒーを売るテントを片付けいるところだった。駐車場の裏手の水神社で水を汲んで京都への帰路についた。
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