滑走部雪訓in立山


- GPS
- 09:18
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 1,022m
- 下り
- 932m
コースタイム
天候 | 11/22(金) 雪 11/23(土) ひたすら快晴 11/24(日) 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
11/23(土) 大走沢、雷鳥沢、山崎カールなどで雪崩発生 |
ファイル |
非公開
7287.xls
計画書
(更新時刻:2013/11/19 13:53) |
写真
感想
●11/21(金) 曇り・雪
アルペンルートを乗り継いで室堂へ。
人が多い。乗換えで写真を撮っていると出遅れて乗り切れず、次の便へまわされた。
冬山装備に滑走道具、酒、つまみで荷物はやたらと重い。
板をザックに装着して背負おうするも、膝から上に上がらない。
パウダーボードに買い換えて、長さ・重さ共に増したのが原因か…荷物が一発で背負えないというのは、初めての雪山以来。
なまった体には、雷鳥荘までの道のりが辛かった。
雷鳥荘に到着するとすぐ部屋に入れた。
同行のTさん、Oさんはさっそく滑走へ出かけるも我々はまず、座学から。
gocchinがわざわざ資料を作ってきてくれていた。
月初にビーコントレを実施、各自DVDで捜索の流れのおさらいもしてきている。
部屋で雪崩発生時の捜索シミュレーションを頭にたたきこんでから、雪質を確かめに外に出る。
雷鳥荘からちょっと離れたところでピットチェック。
間隔を空けてそれぞれ掘る。掘る。ひたすら掘る…。2m以上掘ってチェック。
東面の吹き溜まりを幾つか掘ったレポート。CLの記述より転載します。
--------------------------------------------------------
CTE手首3(SP瞬間的に飛び出る) down 30
CTM肘6(SP) down 50
CTM 10 (PC 破壊後徐々に圧縮) down 70
CTH 肩13 down(BRK不規則な破壊) down 100
30は当日の降雪。
ルーペを忘れたので雪質は詳しくチェックできなかったが
30と50はおそらく雲粒付のコロコロ霰まではいかない雪とのCLの見立て。
硬度は
0-50 フィスト
50-150 4F
150-200 1F
結構湿り気のある雪質で
50cm以下は圧力をかけると結合が強まる感じ。
評価は、
30cmまではPoor 特徴ある地形で自然発生雪崩が起きるレベル、
50cm以降はFair 特徴ある地形で小さな荷重で雪崩を誘発しうる。
雪質を考慮し30度程度であれば30cmの層をコントロールでき問題ないと判断したため、
ごく短い距離を4名滑走。雪崩は発生せず。
--------------------------------------------------------
雷鳥荘へ戻って、ご飯、風呂、酒を楽しんで寝る。
●11/22(土) 快晴
去年も滑った真砂岳へ。
この数日でかなり積雪が多く、さらに今日は快晴、気温も高い。
危ないという意識は全員持っていたと思う。前日にもその話はしていた。
なので、比較的安全と思われる東面へ向かう。
なまった体には、真砂岳までの道のりが辛かっ以下略。
ぜいぜい言いながら急登を登る。
運動不足というのもあるが、ボード組は板を背負っている分、さらにキツイ。パウダーボード重いよ。
他パーティにどんどん抜かれ、仲間のスキーヤーにもぐんぐん離される。
ここで抜かされたパーティ、会話を交わしたパーティを
後で必死になって思い出すことになる。
でも、振り返ればすばらしい晴天、景色。
去年もこの景色が拝めた。ラッキーだなぁ、相性いいのかなぁ…なんて調子にのってしまう。
山頂へ到着、どの斜面を滑走するか話し合う。
ターゲットの斜面を少し降りてピットチェック。
やや不安定ではあるが、滑走に問題はないとの判断。
大走沢が雪崩たのはおそらくこの頃(10:55)。
登ってきた尾根の左斜面(クライマーズレフト)、山頂から100mほど下の位置だった。全く気づかなかった。
板を履いて、順番に滑走する。
気持ちいい斜面だった。
パウダーボードの威力も実感できた。普通の板と全然違う。無理に踏まなくても浮くので、ラクに乗れる。
同行者のTさんに電話が入り、真砂岳で雪崩があったことを知る。
8人埋まった、と聞いた。
どの斜面が雪崩れたのか、詳細な情報はわからなかった。
山頂へと登り返す。ヘリがひっきりなしに飛んでいた。県警ヘリ、マスコミのヘリ。
雪が深くてプチラッセルになり、体力の消耗が激しいのでスノーシュー組はあえて急登を選び、スキーヤーとは一時別れる。
山頂で合流し、下山開始。
岩が露出しており、クラスト気味だったのでスキーヤー達は板を担いでアイゼンで下山することに。
シュー組は先に下りる。ほどなくすると雪崩の破断面に行き当たる。
あまりの規模に、、、びっくりした。
破断面の高さ、高いところは自分の身長と同じくらいある。
でかいブロックがごろごろ転がっている。
アイゼンに履き替えたスキーヤーたちも降りてきて、言葉を失っていた。
これは、かなり、怖かった。
あとで「その場でクランチ掘ればよかったのに」と言われたが、
普段から定点観測などに従事してる人でない限り、あそこでチェックしようと動く人は稀なんじゃないかな。
とにかく早く安全圏へ下りなければ、という意識の方が強かった。
発生からすでに5時間経過していたけども。
慎重に尾根を下る。
尾根の逆側の斜面にもクラックができていて、とにかく忠実に尾根をたどった。
歩いて下山するのは時間がかかり、特にスキーヤーはツボ足なので相当キツかったようだ。
雪が深くて頻繁に踏み抜き、さらに板がひっかかって歩きにくいみたいだった。
早く安全圏に到達することを優先すれば、滑走した方が早い。
が、誤って斜面に入ってしまうと危険なので、確実に板のコントロールができることが前提となる。
おのおのの滑走レベルに寄ってしまうので、意見が分かれた。
とにかく急いで、足で下山し、植生もあり安全と思われる斜面に出てから板を装着して滑走して下りた。
雪崩の走路下部では、まだ捜索が行われていたが、しばらくして打ち切っていた。(後日情報によれば、もう埋没者はいなかった)
部屋に戻ると、それぞれみんな安否を心配する連絡がきていて、バタバタと対応。
こういうとき家庭のある人は大変ですね。
ヒトリモノ達は気楽なもので、まったりしておりました。
ネットのニュースで情報収集。
我々が下山している映像がニュースに流れてる。
空撮で人が映っている映像だと、その雪崩の規模の大きさがよくわかった。
場合によっては下山に使用したかもしれない斜面だったので、
なんとも言えない雰囲気が漂う。。。
夕飯時に食堂でそのニュースが流れた時は、多くの人が画面に群がっていた。
ちなみに去年の雪崩講習で講師をしていただいたS山さんに出会い、無事を喜びあった。
●11/22(土) 曇り
出発時、山岳警備隊に行き先などを聞かれ、注意を促される。
記者にバシャバシャ写真を撮られて、CLがローカル記事に載るハメに。
同行2人はゲレンデを滑りに行くとのことでここで解散。
我々カモ組は周辺の斜面にてトレーニング。
ピットを掘りまくって雪の状態をチェックし、
さらに掘りまくってレオを埋めて埋没体験。苦しくないよう、ある程度空間作って埋めたからか?
閉塞感も恐怖感もあまりなかったみたいで、CLは不満げであった。
その後、アバラング効果を試すためにごっちんも埋没体験。遠慮なく埋めまくる。
アバラングは効果的だとの感想だった。30分くらいは息が持つらしい。
でも、滑走時にくわえていたとしても、雪崩に襲われたときに衝撃とかパニックになって口から離してしまわないかな?
斜面を登り返し、
「同パーティのホサ山くんがトップ滑走したら雪崩が発生、埋没した」という仮定で捜索シミュレーションを実施する。
リーダー役を仰せつかったので、
役割分担や指示出しを行う。
以下反省点
・再度雪崩が発生した際に避難する方向を決めていなかった
・ビーコン捜索の際の、メンバーの間隔が不適切だった
・プローブが正しく伸ばしきれておらず、プロービング中に縮んだ。。金具が固くて固定しきれていなかったことが原因。
思いのほか固い。渾身の力で伸ばすこと!
捜索の流れとか細かいことは、リーダーやってみないとわからないものだなと思った。
いい経験になった。
トレをやっていたら時間が迫ってきて、慌てて装備を片付けて帰路についた。
帰京後、メンバー全員で記憶を掘り返して現場の状態やパーティ目撃情報、撮影写真など情報を整理し、
大走沢の雪崩について調査機関に情報提供をした。
しかし、自分のことにいっぱいいっぱいで周囲を全然見れていなかったなと実感。
周りに気を配る余裕が必要だと思った。。
その後も雪の変質やビーコン性能について、メンバー間(ほぼCL・SL)にて熱い議論が続き、
雪崩についてもっともっと勉強しなくてはと痛感したのでした。
亡くなった方々のご冥福をお祈りします。
▼参考
日本雪氷学会のレポート
http://www.seppyo.org:8080/hse/Members/20_degawaazusa_2014.pdf
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人