富士見平〜権現岳〜甲斐大泉
- GPS
- 13:51
- 距離
- 18.6km
- 登り
- 1,778m
- 下り
- 1,797m
コースタイム
- 山行
- 4:31
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 4:56
- 山行
- 5:38
- 休憩
- 2:18
- 合計
- 7:56
冬真っ只中の山中で一泊して、氷点下の世界に浸ってみたい。
翌日は条件がよければ権現岳へ。天気が良いと嬉しいのですが。
果たして、八ヶ岳の女神は微笑んでくれるのか?
過去天気図(気象庁) | 2011年01月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
感想
今回の八ヶ岳山行、予定のコースはこうだ。
一日目、名古屋を7:00発の朝一特急を乗り継げば、小淵沢に到着するが9時45分。
そこからタクシーを使って登山口の「観音平」へ。
10時過ぎには、登山道に足を踏み入れることができるはず。
途中昼食休憩をとり、のんびり展望を楽しんでも、幕営予定の青年小屋へは、午後4時前には着けるだろう。
二日目、天気が良ければ、権現岳・三ツ頭を経て、甲斐大泉まで下っていこう。
もしも天気が悪ければ、「また来るよ」と踵を返し、来た道を引き返そう。
登山前日に、駅の窓口で切符を買い、わくわくしながら眠りについたのだが・・・
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目が覚めた時、6時半をすでに回っていた。
・・・やっちまった。朝一番の特急には間に合わない・・・
仕方が無く、8:00発の特急で小淵沢まで向かうことに・・・
道中実に良い天気である。乗り継ぎ駅の塩尻では、穂高連峰を初め、北アルプスの山々まで良く見えた。
目指す八ヶ岳の上空には、雲はひとかけらさえありはしない。
10:40、秀麗な甲斐駒が見下ろす、小淵沢に到着する。
予定より一時間遅れ。でも、まだまだ慌てる時間じゃない。
駅前に止まっていたタクシーに目的地を告げる。
「観音平まで」
「ゲートが閉ってて、途中までしかいけません」
なんだってー!
八ヶ岳横断道路からの分岐でゲートが閉り、そこからは徒歩で、一時間あまり歩かねばならない。
また、遅れるのか・・・
幸い今日は上天気。絶好のウォーキング日和。
まだまだ慌てる時間じゃない・・・・・・かな?
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ゲート前で準備をしていると、麓から一人登山者が歩いてくる。(駅から歩いてきたのかな?)
コースを聞いてみると、僕と同じルートを歩くらしい。
(最悪、彼の後をついて行けば良いかな・・・)
雪の残る舗装路をテクテク・・・・・・
観音平から約700m手前、富士の眺めがよい地点、その名も「富士見平」に着いた。
そこには「登山口」の案内板が。よし、ここから歩くぞ。
時刻は12時20分。予定より2時間以上遅れて、ようやく登山は開始される。
この登山道、山の南斜面に面しており、落葉したカラマツ林の下は良く陽が入って明るい道だ。
眺めのよい地点にはベンチがあり、思わず休憩したくなるが・・・
2時間以上の遅れである。当然そんな余裕はない。
ペースを変えることなく、黙々と歩く。
ああ、青空が恨めしい・・・
13時22分、「雲海」と言う地点に着いた。
先ほどの登山者に追いついた。ここで休憩していたみたいだ。
僕も休憩しよう。その間に彼はまた先行する。
その後も何度か、彼に追いつき、また先行し、を繰り返す。
やがて、針葉樹林の中に入り、少々暗い道に変わった。
積雪も増えてきたが、人気の道なのだろう、トレースはしっかり踏み固められている。
岩の凸凹が埋まって、無積雪の時よりかえって歩きやすいぐらいだ。
ほら、ひとり下山者が、駈ける様に降りてゆく。
「押手川」まで来た。もしペースが上がらなければ、ここで野営しようかと思っていた地点だ。
時刻は14時15分。思っていたより、時間を取り戻しているようだ。(予定の到着時刻は13時ごろ)
トレースもしっかりしているし、なんとか青年小屋まで明るい時間に着けそうだ。
(先行者の姿も見えないし、彼も青年小屋を目指すのだろう)
押手川を過ぎると、徐々に傾斜がきつくなってくる。
やがて先行者にまた追いついた。ずいぶん休み休みに登っているみたい。
無理もない、駅から歩いてきたのだ(たぶん)バテテきたのだろう。
ここで、彼を初めてかわし、先に行く。
次第に樹林の背も低くなり、振り返ってみれば南アルプスの山々が。
小淵沢では頭の先しか見せなかった北岳も、ここで見れば威風堂々、盟主にふさわしい姿を現す。
15時41分、とうとう編笠山の山頂についた。(予定より1時間の遅れである)
ここから見る八ヶ岳主峰の姿はまた絶品である。
どれ、八ヶ岳の三姉妹(すいません、勝手に名付けました・・・「阿弥陀岳」「赤岳」「ギボシ(権現岳)」の事です)は元気にしてますか・・・
残念ながら、ガスに隠れ気味。さっきまでの青空はどこへ行ったー!
いや、それを言うなら寝坊さえしなければ・・・
この流れからいくと、明日の登山には悲観的な運命が待っているかも・・・
天候も良くないので、写真を数枚だけ撮り、青年小屋へさっさと向かおうとすると、
西のほうから、二人組の登山者がやって来る。彼らも青年小屋に泊まるという。
岩の間に溜まった雪に膝まで踏み抜きつつも、青年小屋へとラストスパート。
16時ちょうど、青年小屋へ辿りついた。なんとか明るいうちに来ることができた。
二人組は物置の様な暗い冬季小屋へ。
僕は広場の雪の吹き溜まりの上にツェルトを張る。
ツェルトを張り終える頃、例の単独行者がやってきて、広場の隅にテントを立てはじめた。
今夜、青年小屋にいるのはこの四人だけのようだ。
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ツェルトを張り終えると、値は急に暗くなる。寒い寒い、宿も出来たし腹ごしらえだ。
今日の晩御飯は「クリームシチュー」
具は豪勢に、鳥のもも肉・玉ねぎ・ジャガイモ・にんじん・ブロッコリー・エリンギ・・・、みんな生もの。
ロールパンはまだ凍ってないな。暖かいうちに召し上がれ。
食事と同時進行で明日のための水作り。
綺麗な雪を少しずつ、鍋の中へと掴みいれる。
出来たお湯は水筒につめて寝袋の中へ。ポカポカ湯たんぽの出来上がり。
残ったお湯はテルモスへ。また明日の朝、お茶にして暖めなおそう。
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夜も深まり、トイレのために外に出る。
風もなく、雲も無く、あるのは満天の星ばかり。
あれはオリオンで、北極星はどれだっけ?
ヘッドランプで地面を照らせば、冷たい雪の結晶が、光に反射しキラキラ輝く。
やさしいイルミネーションの様。
ツェルトに戻れば、周りには早くも霜が下りている。
冬の穏やかな風景に満足して寝袋にもぐりこんだ。
ツェルト内、ただいま気温13.5度。もちろんマイナス。
気温は低いが、寝袋の中は先ほどの湯たんぽの効果もあり暖かなもの。
この星空なら、明日の天気はよさそうだ。
今度は寝坊をさせないぞ。
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まだ夜も開けやらぬ、午前四時半、そっとツェルトのチャックを開けてみる。
親、予想に反して星が見えない。でも、雪が降っているわけでもないし、とりあえず起きようか。
昨日の昼に食べるはずだったインスタントラーメンに肉と野菜をたっぷり入れて、更に餅も追加。
スタミナを溜めよう。
六時過ぎにまた外を覗くが、まだガスっている。今日の日の出を見るのは無理っぽい。
天気が良ければ先に空荷で編笠山に登ろうかと思っていたけどやめておこう。
のんびりと撤収作業。
午前7時を出発時刻と定めて準備運動。二人組みも冬季小屋から出てきたぞ。
単独行者はテントを片付け始めている。
アイゼンを装着してピッケルを持つ。出発だー!
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「あ、富士山!」
すぐ近くに二人組が居たにもかかわらず、思わず声を出してしまった。
登り始め少し開けたところがあったので、何気に後を振り返ってみたら、端正な姿をした富士山が、
何者にも邪魔されること無く、そこに居たのだ。
周りのガスも消え、登るにつれて、すばらしい展望が広がり始める。
青年小屋より30分ほど進んだ「のろし場」では、雲が朝日にゆらいでいるのを見た。
鎖つきの岩場のトラバースが現れた。慎重に行こう。
富士山を見ながら、二箇所目のトラバースを越すと、目の前に八ヶ岳の主峰たちが姿を見せる。
その瞬間は、なかなかの感動もの。
もう権現岳の山頂は目の前だというのに、なかなかこの場を離れられない。
青年小屋を出発して1時間半。8時30分に権現岳山頂(正確には赤岳方面と三ツ頭方面との三叉路)についた。
ここでザックを下ろし、長らく展望を楽しむ事となる。
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正に360度の大展望。
鳳凰三山や北岳・甲斐駒・千丈といった南アルプスの山々、
恵那山から木曽駒まで続く、中央アルプスの山並み、
孤高の御嶽、
乗鞍は残念ながら雲がかかっているが、
穂高や更に北に続く北アルプスは長大。
蓼科から続く八ヶ岳連峰はぎゅっと濃縮した状態で、目の前に控えている。
今日この時間も、対峙する向こうの山頂で、こちらを見ながら同じ感想を思うのだろう。
東に見える奥秩父の山々は、累々としてどれも個性に乏しいが、
金峰山だけは五丈岩を天に突き出して、存在感を示している。
権現岳の山頂に行ってみた。
岩の重なる山頂には、山頂を示す標識と大きな鉄剣が刺さっているのみ。
狭いが、いい山頂だ。
やがて二人組みも追いつき、遅れて来た単独行者も、僕を追いこし、先へ進んでいく。
いつの間にか日も差しはじめ、八ヶ岳の山々に明るさが戻ってきた。
山頂出発、9時30分。
一時間もこの場にいたが、まだまだ後ろ髪を惹かれる気分。
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富士を見ながら下ります
二人組みは赤岳方面へ、単独行者は三ツ頭方面へ行ってしまった。
僕も三ツ頭、大泉方面へと歩を進める。
いったん大きく下り、一度樹林帯に入るが、基本三ツ頭までは森林限界上を歩く事となる。
そして、進行方向の先には、富士山の姿。
つまりは、富士を見ながらの下山である。
このあたりで数名ではあるが、権現岳日帰り組みとすれ違う。
三ツ頭に向かう途中でひとり、三ツ頭で休憩中にまた二人。その後もまたすれ違った。
この分なら、下りのルートもトレースはしっかりついている模様。安心して下山できる。
前三ツ頭周辺は、南斜面がざくざくしたスコリアで覆われ、荒涼とした風景を見せている。
眺めがいいのと、その後の急坂に備えて、ここでもまた休憩する。
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前三ツ頭から、樹林の中の急な坂をひたすら下る。
標高差は400mぐらいか。
なかなかしんどい。よし、この坂が終わったらお昼にしよう。
ひいひい言いながら坂を下り、平坦になったところで球形に適当なところはないかと歩き進める。
一見どこでも休憩できるが、トレースを外すとももまで雪に沈むので、あまりとレースを外したくない。
めんどくさい。ここでいいや。
トレース脇にシートを広げ、インスタントラーメンと生もの・野菜を片付ける。
お昼も終わり、パッキングしていると、日帰り組みが下りてきた。
道の邪魔して申し訳ないです。
休憩場所から25分ほど進むと「天の河原」と呼ばれる場所。
観音平方面への分岐があり、ベンチとテーブルも備え付けられている。
(ここで休憩すればよかった・・・)
ここから20分も進めば「天女山」、更に15分進めば「八ヶ岳横断道路」にでる。
小海線「甲斐大泉」駅には、ここから車道を40分ほど歩いたところ。
15時には甲斐大泉に着いた。
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山中一泊の八ヶ岳登山、初日のドタバタで、どうなる事かと思ったが、
終わってみれば、二日間とも山の女神は微笑んでくれたようで・・・
楽しい山歩きが出来ました。(おしまい)
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