八幡平国立公園Part3(秋田駒〜岩手山)


- GPS
- 53:30
- 距離
- 41.2km
- 登り
- 2,689m
- 下り
- 3,233m
コースタイム
17日 滝の上温泉8:00-三ツ石山荘11:01-大地獄分岐13:58-不動平避難小屋16:14〜16:55-八合目避難小屋17:05〜17:15-不動平避難小屋17:30
18日 小屋6:30〜岩手山左回り〜小屋8:50〜9:00〜鬼ヶ城〜七滝コース分岐10:40-水場12:00〜12:20-網張分岐12:35-網張温泉13:30
天候 | 16日 雨のち曇り 17日 曇りのち雨 18日 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
滝の上温泉「滝観荘」1泊2食付き7,500円(日帰り入浴500円)露天風呂なし 休暇村岩手網張温泉日帰り入浴500円(最終受付14時、利用は15時迄)露天風呂あり 笊森山から乳頭山にかけて熊笹が凄いので、胸まで濡れる。 滝の上温泉までのルートは荒れている。 滝の上温泉から三ツ石山荘までのルートは上記と同じで草と笹などで難儀必至。 |
写真
感想
16日 今日も雨だ。八合目まではバスだから、楽チンするが暴風雨が凄い。小屋に入り売店の方と色々と話す。しかし、埒があかぬ。バスに同乗していた男性がストレッチをしている。そして、出て行った。軟弱なオイラは決心つかず、往生している。情けなかね。意を決し強行。凄い雨だ。視界もワル。阿弥陀池辺りからは横殴りの雨に曝される。男女岳頂上では吹き飛ばされそうになる。兎に角、最悪の天気だ。
それでも前進。いざとなれば、湯森山から乳頭温泉へエスケープすればいい。そう案じ先へ進む。運よく、雲が切れ始め、明るくなる。熊見平を過ぎると前方に笊森山が見えるようになった。雨は止んでくれた。お花畑を眺めながら快適に進む。途中から熊笹が覆いかぶさるよなところがあったが無事乳頭山登頂。滝の上温泉への下山コースは荒れており、雨あがりと言うこともあったが、白沼までは難儀した。やっとのこと、下山口到着。あぁチカレタビィ。
滝観荘へ向かう。すると、な、なんと、ウソぴょ〜ん。「本日の営業は終了しました。」マジっすか?どうしても今日はこの宿に泊ると勝手に決めていたのである。玄関に下がっている札を無視して、ドアを押すと、いとも簡単に開いてしまった。拍子抜けしてしまう。中に入ると主らしき人物がソファに横になって高校野球を観戦していた。
「すいませーん!!今晩泊めていただけませんでしょーか?」大きな声でストレート真っ向勝負。すると、あっけなくストライクで決まってしまった。「お部屋の用意がしておりませんので、先にお風呂に入っていただけますか?」
もちろんぜよ。
「他に、お客様も誰もいませんから、お荷物はそのまま、お風呂場までお持ちいただいても構いません。」
ありがたや。あぁありがたや。ありがたや。
風呂場へ直行する。「気持ちいーぃ!」北島康介状態。風呂上がりのビールはまさに金に匹敵する。本日、全館貸切状態である。他に誰もいないのである。風呂上がりのビールが直ぐに飲みたくて腰にタオルを巻いたまま広間の自販機まで往復し、脱衣所の椅子に腰かけプッシュ〜。至高の時間。チョー絶ウマ!
17日 朝食迄の間、朝風呂に入り、滝まで散歩する。蒸気がもうもうと上がっている。他の温泉街とは異なり、誰もいないからとても静かで気持ちがいい。
朝食を摂り、ゆっくりと支度をして出発した。
第1の水場近辺のブッシュには辟易うんざり。その後は、次の水場から三ツ石山荘までは木道があり、快適スイスイ。山荘も立派で広々としたデッキに先客が寛いでいた。お話をすると、お二人とも最短の網張温泉の林道コースから登ってきていた。マップで確認するとチョー近い。
少しばかりの登りを行くと大松倉山に着く。御夫婦が大汗状態で休憩していた。普段着にスニーカーだ。少しばかり会話すると、別れ際になぜか、柿の種を手渡される。素直に頂戴する。ありがたや。
大倉山付近ではおばちゃんの賑やかな声がこだまする。山頂は避けて先へ進む。姥倉山までの登りでは数組のパーティーとすれ違う。雨が降り始め、皆、雨具を着てる。
その中の一人のおばちゃん曰く。
「どこまで行くの?・・・・岩手山?・・・・。やめなさいよ。この天気で行ってもダメだから・・・・。リフトに間に合わなくなっちゃうよ。・・・年寄りの言うことは聞くものよ・・。」
御心配いただき、ありがとうございます。
雨足は緩むことなく徐々に激しさを増すばかりである。お花畑を過ぎてから登りが続き、とてもきつい。樹木がなくなると、今度は、もろに強風を浴びる。ガスっていて前がよく見えぬ。平になったので避難小屋はもうすぐだ。発見!不動平避難小屋だ。扉を開け、中へ入ると「コンニチワ」と挨拶される。シュラフに包まっている若者。ザックを下し一先ず休憩。
若者の名前はジョージ、アメリカ国籍のロシア人。現在、大学3年生。18きっぷで八戸、宮古、盛岡を巡り、昨日は、八幡平温泉に泊り、今日は、そこから登ってきたという。驚いたことに、雨が降ってきてからは、サンダルで登ってきたというではないか。(すげぇー)彼は、水を持っていなかった。一人分の水は十分に持ち合わせていたが、彼に分け与える程はなかった。八合目の小屋へ行けば水場があるから、そこへ移動しようと説明した。土砂降りの中、二人で八合目避難小屋へ向かった。小屋へ入ると管理人さんがおり、一泊1,700円と告げられる。それを聞いたジョージは外へ出て、500mlのペットボトルに水を入れて戻って行った。自分も水を補充して雨の中を引き返した。(ジョージはサンダルにも拘わらずもの凄く速い)
不動平避難小屋に再び戻ってきた。着替えて、夕飯の準備だ。本来ならば、八合目の水場でロング缶を冷やし最後の夜を迎えるところだった。しかし、成り行き上、仕方ない。取り敢えず、ロング缶を小屋の外へ出し、雨で冷やした。ジョージにお酒は飲めるのかと尋ねると彼の住んでいる州では21才から飲酒OKで一昨日が21才の誕生日だったという。パスポートを見せてくれ、そこには、15.Aug.1989と記載されていた。少しだけ冷えたビールで2日遅れのジョージの誕生日を祝って乾杯した。
18日 晴天である。朝食をとり、手ぶらで岩手山へ向かう。青空が眩しい。雲海にジョージは大喜びだ。左回り下山途中に御夫婦とすれ違いざまに交互に写真を撮りあう。お二人は昨日、八合目小屋に宿泊していたので、オイラ達の一件を知っていたのである。網張温泉に下山すると伝えると、なんと「お急ぎでなければですが、帰りが同じ方向ならば、よろしかったら、車に乗っていきませんか?」耳を疑いたくなるような有難いお言葉を戴く。ジョージに説明するとキョトンとしている。しかも、「お二人のほうが先に着くでしょうから下の温泉でお風呂に入って待っていて下さいませんか?」まぁなんて優しい方なんでしょう。携帯電話の番号を交換し合い、後で連絡出来るようにした。
心も天気も晴れ晴れ状態。鬼ヶ城をスイスイ行く。がしかし、スニーカーのジョージは岩場の下りで苦戦し始め、徐々に遅れた。七滝コースの分岐で暫く待った。ジョージの疲れは顔の表情でそれと分かった。あっ、そうだ、ジョージは水が切れていたのだ。もっと、早く気付いてあげればよかった。オイラは直ぐに水を差しだすとジョージは遠慮して、オイラの分を心配して受け取らない。だから、ザックの中の予備の水を見せて納得させ、水を飲ませた。ジョージに笑顔が戻った。
しかし、ジョージの膝は極限にきていた。何度も尻もちをつく。下りの踏ん張りが効かないのである。万が一の為、持参してきたストックをジョージに使うように促すが断固として断る。(こういう処がナイスガイ)遅れるに遅れるジョージをそのままにして先に進む。水場でジョージを待つ。泥だらけのお尻のジョージが苦痛の表情で到着。しかし、水場で蘇ったジョージは、突然走りだし、あっという間に消えた。そして、笑顔で網張温泉分岐で満面の笑顔でオイラを出迎えてくれた。
無事、網張温泉に着き、温泉に浸かる。露天風呂には沢山のツバメが飛び交っている。風呂上がりは待ちに待ったビールだ。ウマすぎぃー、寛いでいると携帯が鳴った。そうである、あの御夫婦からである。「第二リフトに乗りました。又、連絡します。」その後、御夫婦の車に乗り、仙台まで送って戴きました。誠に、有難う御座いました。
仙台駅に着いた。新幹線で帰ろうとしたら、ジョージはこのまま野宿するという。解った、ジョージよ、深夜バスにするから、夕飯を一緒にしよう。そして、仙台の繁華街に繰り出し、ジョージにホヤ、岩牡蠣、カツオを試させた。ジョージはホヤに特別な興味を抱いた。店員さんに協力してもらい、ホヤの写真のコピーを戴いて納得させる。
23時50分のバスに乗る為に、待合所へ行く。ジョージが付いてきた。出発まで見送ってくれた。ありがとうジョージ。さようならジョージ。また、会おう。そして、最後にジョージへ伝えた。「コンニチワ以外の日本語を学びなさい」と。
とても、とても、人との出会いは、とてつもなく素晴らしいものだと改めて痛感させられた旅であった。また、どこかで、素晴らしい出会いがあると信じ、次へ.......。
出会った全ての方々に感謝します。本当に有難う御座いました。
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