鳳凰三山、広河原から夜叉神へ。鳳凰小屋に寄道してのんびり1泊山行


- GPS
- 28:00
- 距離
- 17.4km
- 登り
- 1,980m
- 下り
- 2,118m
コースタイム
08:55広河原
09:10登山口
11:35白鳳峠11:50
13:00高嶺13:30
14:10アカヌケ沢の頭
14:20地蔵岳14:35
15:10鳳凰小屋
【2日目】
06:00鳳凰小屋
06:40鳳凰小屋分岐06:50
07:10観音岳07:30
07:50薬師岳07:55
08:00薬師小屋08:25
08:30砂払岳09:00
09:30南御室小屋09:50
10:15苺平
11:10杖立峠
12:00夜叉神峠12:20
12:55夜叉神登山口
1日目:歩行時間 5h15m 行動時間 6h15m
2日目:歩行時間 4h45m 行動時間 6h55m
合計:歩行時間 10h00m 行動時間 13h10m
天候 | 9/18午前晴れ、11時頃より曇り 9/19午前晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2010年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
7:00芦安駐車場 7:20夜叉神峠駐車場 8:40広河原 |
コース状況/ 危険箇所等 |
全般的に地図・ガイドブック・道標に記された時間がかなりのポイントで緩めに感じました。普段あまり運動しない僕でさえ。 1泊だし、たくさん休憩したので、その分早く歩けたのかもしれませんが。 【広河原登山口〜白鳳峠】 最初の2時間はけっこうな傾斜の樹林帯を登って行きます。 道自体はそれなりに歩きやすく、赤ペンキ・赤テープも大量にあるので迷うことはないでしょう。梯子が何箇所かあります。 シラビソ林を抜けて、ゴーロを30分ほど歩くと白鳳峠に到着。 【白鳳峠〜高嶺】 ハイマツ帯、その後岩場を抜けると高嶺です。 岩場といっても鎖が付くほどではありません。 【高嶺〜地蔵岳】 途中から花崗岩のザレ道になります。 1箇所だけ、あれっと思う箇所がありましたが特に問題はありません。 【地蔵岳〜鳳凰小屋】 前半は白砂の斜面でやや滑りやすいです。 後半は樹林帯。踏み跡くっきりです。 笑い声が聞こえてくるとすぐに鳳凰小屋です。 【鳳凰小屋〜鳳凰小屋分岐】 小屋前を流れる沢の脇の梯子を登って行きます。 けっこうな傾斜の樹林帯です。 ときおり木々の間から地蔵岳、雲海がチラ見できます。 【鳳凰小屋分岐〜観音岳〜薬師岳〜砂払岳】 花崗岩の白砂上を歩く気持ちのよい稜線歩きです。 砂払岳以降は樹林帯に入り展望がなくなるので、景色を楽しみましょう。 【砂払岳〜南御室小屋〜苺平〜杖立峠〜夜叉神峠〜登山口】 ひたすら樹林帯です。黙々と歩きます。 踏み跡がしっかりしているので道迷いはありません。 |
写真
感想
待ちに待った3連休。幸い(あいにく)予定はお酒のお誘いが1件のみ。
これは山が呼んでいるんだなと都合の良い解釈をして鳳凰三山へ山登り。
選んだルートはしゃきしゃき歩けば10〜11時間ほどか。
日帰りでも問題なさそうだけど、それに加えて往復の車の運転時間は8時間。
先月の甲斐駒日帰りは疲れたからなあ。
0.2秒悩んで1泊決定。
今回はのんびり行こう。
広河原→夜叉神ルートのちょうど真ん中くらい、薬師小屋に電話するが予約はいっぱいとのこと。
少しルートを外れるが鳳凰小屋へ連絡。こちらはあっさりオーケー。
一応、飲む約束をしている相手に連絡をする。帰りの中央道が渋滞してたらごめんね。
すると皮肉たっぷりの激励。
崖から落ちないように気を付けてね。
熊に襲われないようにね。
もちろん僕だってそんな目には合いたくない。
中央道を時速100kmで走り去り、夜叉神駐車場に到着。
ここまでは一般車両も通行できる。
車を降りしばらく待つとバスが到着。
広河原到着後、登山口へ向かう。
これから登る山の斜面と平行しながら南アルプス林道を歩く。
北沢峠まで続くこの林道を作るために、延べ30年の歳月、100人もの作業員の方が命を落としたそうだ。
しばし黙祷。
山の斜面はかなりの急勾配だ。鳳凰三山への登山口はいくつかあるみたいだけど、傾斜だけ考えたらここからが一番きついのではないか。
10分ほどで登山口が現れる。この急斜面を今から登っていくのか。
ちょっと心が折れそうになるが今更仕方がない。
犬は吠えるがキャラバンは進む。
たぶん使い方が間違ってるけど、とりあえず点火プラグに火は飛びエンジンがかかる。
ゆっくりと登り始めるが、10分ほどで息が上がる。
よくよく考えたら犬なんて吠えてないし、僕はキャラバンの一員でもない。
1分間自虐的な立ち休憩。
その後、10分登って1分立ち休憩のサイクルを3回ほど繰り返すと、ようやくエンジンが温まる。
さっきまで異常な速さでビートを刻んでいた鼓動は落ち着き、筋肉もほぐれてくる。
その後はシラビソ林を通過し、ゴーロ帯へと出る。
展望が開け、振り返れば北岳のはずが・・・
あれっ、北岳ってあんなに平べったい山だったっけ。
上半分は完全にガスに覆われている。時間的に仕方がないけどこれじゃただの修行だ。
登山口から2時間20分の修行を終えて白鳳峠に到着。
水を一口飲むと、やけに空腹なことに気が付く。そういえば朝ごはんはお握り1つしか食べていない。
ここから高嶺まではさらに1時間強かかる。
迷わずお握りを2つ食べる。展望の全くない峠で10分ほど休憩。
白鳳峠からハイマツ帯、岩を超えていくと高嶺に到着。
東西南北開かれたピークではあるが、ガスに覆われ視界はない。高度感だけはある。
地図を見てみると、これから通過する鳳凰三山の一翼、地蔵岳よりも高い。
さらに、ここから宿泊予定の鳳凰小屋までは80分ほどしかないことに気が付く。
もうのんびり行けばいいや。
座り込んでコーヒータイム。パンをかじりながら2杯目のコーヒーを飲んでいると、僕がこれから進むべき方角から男性が1人登ってくる。
挨拶を済ませ、男性は80リットルのリュックをどさっと下ろす。
僕の視線に気が付いたのだろう、男性は行程の説明を始める。
御座石〜鳳凰三山〜広河原〜北岳・間ノ岳〜広河原〜鳳凰を横切り御座石へ。
3泊4日の単独行だ。僕にはちょっと真似できない。
世の中にはいろんな考え方があり、いろんな生き方がある。
Different strokes for different folks.
しばらく話をしたあと、別れを告げてまた歩き出す。
高嶺とアカヌケ沢の頭の間の痩せ尾根上で、土壌の質が茶色から白へくっきりと変わる。
隣同士の山でどうしてこんなに違うんだろう。
僕が地質学者だったら1時間は滞在してあちこち地面を掘り返すのだけれど、幸か不幸か僕はただの会社員だ。
写真を数枚撮ってすぐに登り返す。
アカヌケ沢の頭に到着、そこから10分ほどで地蔵岳。
地蔵岳周辺はばっちりガスに覆われていて、まさに天外魔境。
賽の河原には小さなお地蔵さんたちが立ち並ぶ。
上を見上げるとオベリスク。
鳳凰三山で一二を争うスポットは完全なる視界不良だ。
白い斜面をトラバース気味に下っていく。その後は樹林帯に入り山小屋に到着。
鳳凰小屋は、味のあるご主人といい、感じの良い笑顔を浮かべる受付の女の子といい、とても素敵な山小屋でした。
翌朝は6時に出発。小屋前からは綺麗な朝焼け。
樹林帯を40分ほど登ると鳳凰小屋分岐だ。
鳳凰小屋分岐→観音岳→薬師岳→砂払岳までは白い稜線上を歩き、展望も抜群。
西に白峰三山、東は雲海、北には甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳、遠くに八ヶ岳が望める。
砂払岳の西側に静かな岩場があり、道を外れてコーヒータイム。
僕以外には誰もいない。こういうのを待っていたんですよ。
ごろんと横になりぼんやりと景色を眺める。
その後は、展望の全く利かない樹林帯を夜叉神峠登山口まで延々3時間下る。
帰りは金山沢温泉で汗を流し、一般道へと戻る。
鳳凰三山はなかなか素敵な山だったな。
もう少し人が少なければよかったんだけど。
信号待ちで目を閉じ、初冬の地蔵岳の景色を想像してみる。
辺り一面雪に覆われた景色の中では、誰一人動くものはいないし、動物の鳴き声さえも聞こえない。
賽の河原のお地蔵さんは雪に覆われ、オベリスクはただ静かにそびえ立っている。
ときおり凍てついた風が吹き抜けていく。
そんな景色をひとしきり想像してみる。
クラクションを鳴らされ慌てて目を開けると信号は青に変わっている。
やれやれ。
ゆっくりとアクセルを踏み込み、僕は現実の世界へと戻っていく。
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