山行記録: 雲母尾根から鎌ヶ岳

記録ID: 8126736

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ハイキング

御在所・鎌ヶ岳

雲母尾根から鎌ヶ岳

2025年05月05日(月) [日帰り]

akatombow

天候	北、風力3／快晴／13℃
過去天気図（気象庁）	2025年05月の天気図
アクセス	利用交通機関：自家用車

感想

akatombow

山行記録692 令和7年4月30日 (水)
　　　季節は駆け足　～雲母尾根から鎌ヶ岳
　　　　　　　　単独　地図：伊　船

　今年の連休は「急ぎの業務がない限り休みなさい」という指令が出たので、お言葉に甘えて11連休である。どこへ行っても人ばっかりの連休も、平日であればそれほど多くないだろう。折角なので、平日の山へ行ってみることにした。
　行先は、毎年春になると必ず行っていたが、しばらくご無沙汰していた雲母尾根に決めた。

　昨日（29日）は北日本で雪が積もるぐらいの寒気が流れ込み、一日中冷たい風が吹いていたから、当然山は冬に近い風が吹いていただろう。
　下界の今日の天気予報は、三重県滋賀県ともに降水確率0%。天気は好いみたい。山はどんな感じだろう。高層の予想天気図をのぞきに行く。
　まずは気温。30日午前9時、850hPaで7～8℃。その後気温は上昇傾向ではあるが、日向灘辺りに「C（クール）」が表示されているから上昇は緩やかと思われる。
　風はどうだろう。午前9時で北の風が10～15m/s。高気圧の渦の中心が周防灘の辺りにあって、これが紀伊半島まで進んで来る午後9時頃までは北寄りの風は変わらないだろう。少し風が強い気もするが、真冬でもないし、山は地上なので風もここまで強くは吹かないと思う。そう決めた！。なにより北から風が吹いている間は暖気の顕著な流れ込みはないだろう。まだ暑さでバテたくはない。

　明けの明星を背に宮妻に向かい、もみじ谷の駐車場に車を駐める。足ごしらえを済ませて5:09出発。
　雲母橋に向かって坂道を歩き始める。茶畑の扇風機が回っている。今朝は滋賀県に霜注意報が出ている。三重県はそれほどでもないが、茶摘みの一番大事な時期だからだろう。浄水場の西側の植林の向こうにオレンジ色の太陽が顔を出した。

　雲母橋を過ぎてさらに林道を登り、5:38雲母峰独標尾根登山口から入山。毎年のように登っている割には「独標尾根」と名がついているのに今まで気がつかなかった。この尾根で独標といえば、ジグザグとその先の急登を登り切った四峰735mなんだろう。
　植林の中のジグザグを登り始める。来る度に数えて見るが最後まで数え切ったことがないが、確か36曲りぐらいだったかな。勾配が一定なのでできるだけ力を使わないで機械的に登る。
　30分ほどでジグザグを抜ける。その上の急登は石車で足払いを食いやすいから、意識的にペースを落として行く。

　6:20、急登を抜けたところで小休止。北側の谷に朝陽が射し込んで、芽吹き始めた新緑が沸き立っている。小腹が減ってきたのでヨウカンを補給。
　雲母の南尾根に乗る。北寄りの冷たい風が吹いている。独標を越えて鞍部に下がって三峰へ。ソコソコ急登なので、鼻で息ができるペースを守る。Ⅱ峰への登りも同じペース。常緑の樹林帯から二次林に出ると傾斜も緩む。
　7:12Ⅱ峰を通過。鞍部を過ぎて植林の暗い道を登り、7:30、雲母峰三角点に到着。

　地図で馬の背尾根までのルートの状況を頭に入れようと1:25000を開く。「そうやった！」。伊船は多色刷りになった地図。1:20万のような陰影が描かれて、全体に緑っぽい。それを見て「オッ！」と思うのは、今日初めて地図を開くから。いくらお馴染みの道だと言っても、入山の時には開いて確認するものである。それにしても、この平成25年式図式は、陰影が邪魔で、どうにもなじめない。北を上にして見ることが多いので視覚的に起伏を見誤ることは少ないと思うが、コンパスを当てるときなどは回転させるので…。

　ハッキリした北風がヒンヤリと心地よい。新緑の季節。緑を楽しんでいたが、な～んとなく、アセビが多くないか？。見回せば、芽吹いた新芽はアセビばかりである。シカが増えて森の更新が進まない話は聞いているが、アセビには毒があって食べられないので、例えば入道ヶ岳の山頂部のようにアセビの単相林になる場合がある。裸地化するよりマシかも知れないが、多様性は失われ、住処を追われる住人たちも多いだろう。

　7:40、雲母尾根に踏み込む。ミツバツツジが終わり、ナントナント、アカヤシオが開き始めている。そして驚いたことに開花しそうなツボミを着けたシロヤシオも。サクラが山を駆け上るスピードも速かったから、ツツジは1週間～10日ぐらい早いペースで順番が回ってくるようになったらしい。
　それにしても、森の下生えがアセビばかりなことが、やはり気になる。年々空が広くなっていくような感じがするのは、森の更新が進まないからだろうか。

　軽いアップダウンを繰り返しながら尾根をなだらかに下り、791m独標の手前まで来た。巻き道との分岐にシッカリした道標が建っている。今まで気に留めていなかっただけなのか、何とはナシに道標を読んでみて「巻き道行ってみよか」…。途中に足場がかなり悪い場所があることは知っているから、偵察半分入ってみる。
　緩い下りが続く。「こんにも下っとったかな」。間違って谷へ下ってしまわないようにルートを確かめながら、悪場に到着。「相変わらずやん！」。足下がすくわれるようにザレ落ちてしまって、元々ルートの上だった樹の根元を踏んで抜ける。しかしその次は、完全にルートが抜け落ちて、その上を巻いているように見えるが…。「ヤメヤメ！」。ここを通らなければならないこともなし。イヤだったら無理に付き合う必要もない。クルッと回れ右。分岐まで引き返す。8:17、791m独標到着。ロスタイムは10分ぐらいかな。15分はないだろう。

　地図で馬の背尾根までのルートの状況を確認したら、水を飲んで出発。ピークからの下りが悪いので巻き道を取ろうという気にもなるが、久しぶりに下ってみると、ザレて掘れた尾根道の西面をジグザグに下るように道普請されている。これだったら、わざわざ神経を使って悪場をへつり抜けることもなかろう。
　ヤセ尾根の細かいアップダウンを辿る。稲森谷道分岐を過ぎて登り傾向のアップダウンにかかっていくと、尾根の雰囲気が稲森谷を挟んだ馬の背尾根に少し似てくる。水はけのいい花崗岩の尾根なので、松が多いからだろう。両脇はストンと落ちる急斜面。そこにはアセビではない幼木も見られる。シカが寄りつかないのかな？。そんなことを考えながら、砂ザレの登りが多いルートを辿っていくと、咲いたばかりのイワカガミがひとかたまり。「ご無沙汰してます」。少し道草。

　鎌の山頂が覆い被さるようになってきた。さらに歩いて行くと、その手前に馬の背尾根が立ちはだかる。最後の詰めは短いがキツいので焦らずに行こう。急登の基部は尾根の脇にジグザグを切る昔からのルート。歩きやすいが、今の季節はツバキ科の葉が積もって滑りやすい。中程からは所々木の根をつかんでよじ登るような急登になる。9:08、馬の背尾根に乗る。

　白ハゲの岩場に取り掛かる。まずは年々崩れていく岩の登り。少しばかり気を張らなければならない場所だけに、3点確保と唱えながら通過。その次は、岩から岩へジャンプ気味に通過する場所。昔は難しいのはここだけだったが、今は前後で崩壊が進んで難所が増えてきている。砂ザレを通過した上のガレ場の最上部も…。もっとスンナリ登れたのに…。ここも時間の問題か…？。

　難所は越えた。少しノン気に尾根を歩く。足下にはハルリンドウなども開いて、少しばかり、道草。
　9:34、カズラ谷道分岐に到着。少し強い風が吹き抜けている。ここまで来れば勝手知ったるカズラ谷道。ノン気に行こう。
　カズラ谷を登ってきたと見られる後続の何人かに先を譲る。みんな一様に息が荒く暑そうな顔をしている。尾根の南面は風が遮られて暑いのかな。下り、覚悟しておいた方がいいかもしれない。

　岳峠手前の乗越に着く。乗越から少し下ったところにアカヤシオが咲いていて、鎌をバックに撮れないかとトラバース道に入るが、高いところの花なので近寄れない。「まあええは」的な写真になるのはわかりきっていながら、一応ねらってみる。
　岳峠を通過。ヒザがさすがに少し疲れてきたようで、悲鳴を上げないように、頑張らないで、ガレ場をノソノソ。最後の岩場もノソノソ這い上がり、10:14鎌ヶ岳到着。

　まずは祠にあいさつ。「5時間か～」。少しかかりすぎ感もあるが、まあええやろ。雲母尾根を歩いている間、ずっと吹いていた北風が、山頂は不思議なほど静かである。
　山頂には10人ほど。昔の休みの日のような感じかな。例によって周囲の山を見渡して山頂を一回り。東側を見渡す場所に咲くアカヤシオが、少し盛りを過ぎたようではあるが、賑やかである。

　10:22下山開始。岩場を下りてルートの両脇の岩に咲くアカヤシオを見上げながら岳峠に下る。
　雲母尾根分岐のすぐ下で腹ごしらえを済ませ、カズラ谷道を下り始める。今日は少し長い山歩きになったのでヒザが泣き出している。壊れてしまうと一大事なので、いつも以上にペースを抑えて下ることにする。
　20分ほどで水場。そこからいつものチェックポイントをほぼいつものペースで通過。ペースを抑えても時間的には大して変わらないなら、シズシズと下るのがいいということになろうか。上條嘉門次の口癖「山は猫の如く歩け」という言葉を思い出した。

　12:25カズラ谷口に到着。今日はまだ、もみじ谷まで歩かないといけない。ボチボチ行こう。
　途中、いつも鎌尾根を振り返る場所は、樹が成長して鎌の頂上をのぞき見るようになっている。陽射しは強いが思ったより風が涼しいから心配していたような暑さは感じない。緑がまぶしい季節である。

　13:10、もみじ谷に帰還。気がつけば、8時間の行程。足が遅くなったのもあるが、久しぶりにたくさん歩いた。すでにオーバーワーク気味なので、明日は足を休めよう。