二岐山&小白森山


- GPS
- 07:35
- 距離
- 17.0km
- 登り
- 1,660m
- 下り
- 1,660m
コースタイム
天候 | 曇り 気温:10〜15度(山頂付近は10度未満) 風:時おりやや強め |
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過去天気図(気象庁) | 2025年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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写真
装備
個人装備 |
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
計画書
GPS
ファーストエイドキット
常備薬
保険証
携帯
|
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感想
当日の朝、小白森山登山口の駐車場に着いたのはまだ薄暗い時間だった。一台も止まっていない駐車場に、少しだけ心細さを感じつつも、それ以上にこれから始まる冒険への期待が勝る。ザックを背負い、冷たい朝の空気を吸い込む。ひんやりとした空気が、眠っていた五感を研ぎ澄ましていくようだった。
登り始めると、まずは林道。深い森の中へと分け入った。カラマツ林が続く道は整備されていた。鳥のさえずりが響き渡り、時折、小動物がガサガサと音を立てて駆け抜ける。純粋な自然の中に身を置く感覚が、たまらなく心地よかった。
しばらくすると、汗が出始めた。しかし、立ち止まって休むのはもったいない。一定のリズムで登り続ける。やがて、木々の間から朝日が差し込み、足元に光の帯を落とす。その神々しい光景に、思わず足を止めて見入ってしまった。自然が織りなすアートワークに、ただただ感動するばかりだ。
標高が上がるにつれて、周囲の木々の種類が変化し、展望が開ける場所も現れ始めた。眼下に広がる奥会津の山並みは、どこまでも続く緑の絨毯のよう。自分の足でここまで登ってきたという達成感が、じわりと胸に広がる。
そして、いよいよ二岐山の山頂へ。木々に囲まれた山頂は、広くはないが、ひっそりとした佇まいが心を落ち着かせる。
下山は、二岐山男岳と女岳鞍部を経て、小白森山登山口へと戻る周回コース。上りとはまた異なる道のりが続く。急な下り坂では慎重に足を運び、時に沢のせせらぎに耳を傾ける。
やがて、遠くに車の音が聞こえ始め、小白森山登山口へと無事に戻ってきた。時間はまだ10時前。
車内で、自分で作ってきたお昼ご飯(お弁当,バナナ)を食べた。
二岐山周回コースを終え、充足感と程よい疲労感に包まれながらも、私の心はすでに次の目的地、小白森山へと向かっていた。同日中に二つの山を登るというやや強行な計画ではあったが、奥会津の懐深き自然に触れたいという渇望が、疲れた体に鞭を打つ。
小白森山は、二岐山とはまた趣の異なる山容を持つ。二岐山がどこか男性的な力強さを感じさせるのに対し、小白森山は、より穏やかで、懐深い女性的な印象を受ける。登山口に立つと、鬱蒼とした森の入り口が私を迎え入れた。二岐山で感じたカラマツ林の明るさとは異なり、こちらは広葉樹が主体で、一層深い緑が視界を覆う。
登り始めると、すぐにその森の息吹を感じた。湿潤な空気が肌を包み、土の匂い、朽ちた木の葉の匂い、そして様々な植物の青々とした匂いが混じり合う。鳥のさえずりが途切れることなく聞こえ、足元の苔生した岩や倒木が、時間の流れと自然の営みを物語っている。
登山道は、二岐山に比べると傾斜が緩やかで、足元も比較的安定している。しかし、決して単調ではない。沢沿いの道を歩いたり、木々の間を縫うようにジグザグに進んだり、変化に富んだ道のりが続く。沢のせせらぎが心地よく響き、その音に耳を傾けていると、心が洗われるような感覚に陥る。所々に設置された木道や階段は、登山者の安全に配慮されたものであり、同時に森の景観を損なわないよう工夫されている。
標高が上がるにつれて、木々の種類が少しずつ変化していくのがわかる。低木が減り、ブナやミズナラといった大木が目立つようになる。その幹は苔むし、長い年月を経てきたことを物語っている。見上げれば、木々の葉が織りなす緑の天井が広がり、木漏れ日がまるでスポットライトのように森の奥を照らし出す。その光景は、まるで絵画のようで、思わず足を止めて見入ってしまった。
途中、何度か休憩を挟んだ。森の音に耳を傾ける。風が木々の葉を揺らす音、鳥のさえずり、そして時折聞こえる小動物の気配。それらの音が、日常の喧騒を忘れさせ、心を深く落ち着かせてくれた。
頂上へ近づくにつれて、開けた場所が増え、視界が開けてきた。そして、ついに山頂に到着した。小白森山の山頂は、広く開けており、二岐山の山頂とはまた異なる開放感がある。二岐山からは会津盆地方面の眺望が印象的だったが、小白森山からは、より奥深い山々の連なりを間近に感じることができた。幾重にも重なる稜線が、紺碧の空の下にどこまでも続き、その壮大さに息をのむ。
山頂では、朝に登った二岐山が、遠く小さく見えた。あそこから、ここまで歩いてきたのだという達成感がこみ上げる。
しばらく山頂からの眺望を堪能した後、下山を開始した。往路と同じ道を下っていくのだが、上りとはまた異なる景色が目に飛び込んでくる。光の当たり方が変わり、木々の葉の色がより鮮やかに見えたり、見落としていた小さな花やキノコに気づいたり。下山は、上りよりも足元に注意を払う必要があるが、同時に、周囲の自然をよりじっくりと観察する時間でもある。
登山口へと戻ってきた時には、疲労はもちろんあったが、それ以上に、体中にみなぎる充実感と、奥会津の自然に深く触れた満足感が私を包み込んでいた。二つの山を登るという強行な計画ではあったが、それぞれの山が持つ個性と、その奥深い自然の魅力に触れることができ、この上ない一日となった。
二岐山で感じた雄大さと、小白森山で得た静謐さ。それぞれ異なる表情を持つ二つの山は、私に忘れかけていた感覚を思い出させてくれた。それは、自然と一体となり、己の五感を研ぎ澄ますことの喜びだ。またいつか、この奥会津の懐深き山々を訪れたい。その時は、きっと今日とは異なる季節、異なる表情を見せてくれることだろう。今日のこの感動と記憶を胸に、私は再び日常へと帰っていく。
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