三ノ沢岳、積雪期を試す。青空の下の敗退レポート。
- GPS
- 05:04
- 距離
- 2.5km
- 登り
- 372m
- 下り
- 367m
コースタイム
天候 | 晴れ (無風〜弱風、前日までに降雪あり) |
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過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
菅ノ台バスセンターにて、ロープウェイとセットの往復券を購入。3900円。 券販売開始時間:7:40頃 始発バス(臨時バス):8:00 ※本来の始発は8:15 7時頃から行列ができはじめていました。 しらび平駅〜千畳敷駅をロープウェイで7分間。一時間に一回の運行。混雑時は臨時便の可能性もあり。 三ノ沢岳の日帰りをめざす場合、ロープウェイ始発〜終発までのタイムトライアルとなります。そのため難易度が高くなってしまいます。 ※ホテル千畳敷に山行前後の宿泊をすれば、行動可能時間が長くなり、有利になるでしょう。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
冬季の三ノ沢岳には安易に入らないことを、まずはお勧めしておきます。 危険箇所、あります。 また、まず他の登山者が先行することも追随することもないでしょう。 これは推測にすぎませんが、前後一週間で誰か一名でもこちらの稜線に進む人がいたら、それは珍しいことではないでしょうか。 それぐらいのイメージをもって、自分以外に頼れる者はいないと考えておくぐらいで調度良いと思います。 以下、当日のコース状況を最低限お伝えします。 ●千畳敷駅〜極楽平(付近)まで● 最初の一歩から、トレースはまったくありません。以前あった痕跡も残されていません。 乗越浄土方面には大勢の登山者やスキーヤーが、木曽駒や宝剣岳に向かっていましたが、反対方向の極楽平に進む人は、私以外だれもいませんでした。 かつて厳冬期に乗越浄土へのカールを登った際は、特に労苦しませんでした。今回の極楽平方面へは、ラッセルで大変な思いをしました。 踏み固められた箇所もなく、雪質のよいサラサラのパウダー新雪があるので、体重の軽めな私でも、沈むところまで沈みます。 前半は膝近く。中盤は膝前後まで。後半は腰近くまで沈むことがあり、ラッセルかつ急登です。 アイゼンとピッケルだけでどうにか登りますが、まずルート選択に迷います。 即ち、夏道どおりにカールのスプーン形状の領域を上げるか。または、よりサギダルの頭に近い地点を目指してショートカット直登するかです。 私が視認した限りでは、メリット/デメリットを天秤にかけて五分五分の大変さかと感じました。結果、時間短縮の可能性もありうる後者のコースを選択しました。 時間をかけてジグザグにトラバースするように高度を上げることで、身体への負担を軽くしました。しかしながら、上部の腰ラッセルまで行くと、両足を移動させても20cmずつしか進行できない箇所もありました。 結果、想定外のタイムロスをしてしまい、1h50mほどで極楽平と宝剣岳の中間地点あたりに到着しました。(無雪期のCTは30mです) ●極楽平(付近)〜三ノ沢岳分岐点まで● この短いエリアは、中央アルプスの主稜線です。 ここだけラッセルから解放されます。 風でシュカブラが美しい場所ですが、なぜかクラストはそれほど目立ちません。 下山後に聞いた話だと、木曽駒方面のほうがクラストの印象が強かったようですが?個人的な主観の違い? 夏道のハイマツは埋もれていますので、かなり広くコース取りをできる区間です。 なるべくショートカットして、三ノ沢岳へのはぐれ稜線に到達するようにしました。 ●三ノ沢岳稜線(宝剣岳から三ノ沢岳まで2/5の撤退地点まで)● 無雪期は気持ちよいハイマツの稜線とのことですが、今回は鋭角に雪が積まれています。冬季は、ちょっとしたナイフリッジへと変貌するので、危険が増大します。 ナイフリッジ以外の箇所もふくめて、踏むと膝近くまでは沈みますので、順調に歩くことは難しいです。 とくにナイフリッジは低速で、慎重に歩かされます。 雪質が良くフラジャイルであるため、足場自体がまとめて崩れることを想像してしまいました。 トレイルの左右は、伊那側も木曽側も滑落したら止められる自信がなく、絶望的な印象でした。 このようなナイフリッジがこの先も複数視認され、合わせると結構な長さになると思われました。 これらを全て往復する時間、体力、集中力は私には無いと判断し、早めに敗退判断をするに至りました。 ●帰路(稜線とカール)● 三ノ沢岳稜線はアップダウンが多く、上り返しがあるので、往復ともにCTが同じぐらいになります。体力が消耗した状態では、ゆるやかな登り坂でもキツく感じてしまいました。また歩幅が異なりますので、新たな踏み場に沈み込みます。自分のトレース(深い)を頼りにしたところで大してスピードアップできませんでした。 カール下降については迷いましたが、往路の軌跡をそのままなぞることにしました。 乗越浄土方面とは異なりセードなどは出来ようもないので、慎重に爪を沈めます。 少し進んだところで、片足が沈み込むように足場が崩れ、もう片足を踏み込みましたがそちらも崩落しました。 やむなく滑落。 反射が不十分でピッケル静止を試みるまで間が空いてしまったこともあり、20〜30mほどで止まりました。 その後、中盤あたりになると、こんどはトレースが風とパウダーによってほぼ埋もれているという苦難が。 再び、ラッセルによって痕跡を捉えながら、のろのろと下山しました。 |
その他周辺情報 | ホテル千畳敷や駒ヶ根高原で食事ができます。 高原には温泉も複数。今回は「こまくさの湯」610円に入りました。 |
写真
装備
備考 | ワカンも背負ってはいたのですが、果たしてアイゼンと併用してみることでメリットがあったのかどうか。まだ分析しきれません。 |
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感想
三ノ沢岳という秀峰の存在を知ってもらいたい!
(日帰りの可能性がある雪山コースとして)
三ノ沢岳の積雪期には安易に立ち入らないでほしい!
(時間に余裕をもったとしても、危険箇所は危険箇所)
・・・この2つの矛盾するメッセージを伝えたくて、今回の登山を試み、今回のヤマレコを編集しました。
この雪山のレポート件数そのものが少ないようなので、また私自身がとても挑みたかったので、3ヶ月間ほど気象と雪質コンディションの情報を睨みつつ、チャンスを窺っていました。
試みた結果、敗退することになりました。
その先が解らない未完成のレポートとなってしまいましたが、それでも何かのアイデアやヒントになる部分があるようでしたら幸いです。
三ノ沢岳、新雪が積もるなかでの日帰りトライアル。
どなたかが、また試みることがあるのかもしれません。
私も、まずは初冬や春季残雪期からであっても、この秀峰に再チャレンジできたらと願っています。
★追記★
この日、木曽駒ケ岳に行っていたフォロワーさんのヤマレコです。
下山後のロープウェイ駅や温泉の湯船でいろいろと情報交換しました。
以下のリンク。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-826008.html
気象、雪質などの比較参照のために併読をおすすめさせていただきます。
★再追記(2016年12月)★
リベンジ達成しました。
ヤマレコユーザー限定での閲覧ですが、リンク貼っておきます!
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1020204.html
ありがとうございました!!
まずは生還おめでとうございます。カール上部の傾斜を考えると本当にご無事で良かったです。
今の三ノ沢の稜線、かなり怖いですね。
自分が行った時よりもリッジの距離が長いし雪も堆い。
3月になれば雪も締まってるものと思っていました。
自分もいつか再挑戦したいと思っていますので勉強になりました。
雪の三ノ沢岳は見るからに麗しく心惹かれます。数字の上では日帰りできそうだし条件さえ合えば行けることもあるのでしょうが、やはり生半可に踏み込んではいけないなと思いました。魔の山ですね。
コメントに気づけず、返信が遅くなりました。
暖冬および雪不足の今冬でしたが、この日は「残雪期」というよりも「積雪期」と呼ぶべきカテゴリーに巻き戻っていました。
その難しさの中で、行けるところまでは行ってみました。
おそらく時間の余裕がもっと必要ですし、リスキーな箇所を堅実に越えて行くには、単独はよろしくないでしょう。
アンザイレンで2、3名からのパーティーで挑むべき日でした。
翌日はさらに降雪があり、翌々日は陽射しのためか、カールにて雪崩(10人とも無事)もあったようです。
私が登った日は、ピッケルを強く深く刺してみた感じではずっとマシだったと思われますが、際どいタイミングでもあったかもしれません。
ヤマレコ内でもあまり成功例のない、雪の三ノ沢岳。それなりの調査と作戦が必要なようです。キビシイ!楽しかったけど!
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