弁慶山地 中野俣川本流遡行 小松ゾウ沢下降


- GPS
- 20:02
- 距離
- 28.2km
- 登り
- 1,409m
- 下り
- 1,393m
コースタイム
- 山行
- 8:50
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 8:50
天候 | 2日間晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
もう一台で中野俣川林道に向かい、最終ゲートからスタート。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
最上川水系 中野俣川本流遡行 日向川水系 白玉川小松ゾウ沢下降 ■体感3級上 水量少ない フェルト△ラバー△ 雪渓なし ■アプローチ 駐車地点から中野俣川沿いの林道を90分歩き中野俣川に入渓。 ■中野俣川本流遡行 入渓してからしばらくは難所はないが、V字地形のゴルジュが何ヶ所か出てくるので水量があるとそれなりに苦労しそう。 中沢と東沢の出会いを過ぎてしばらく行くとようやくF1の8m。右岸のバンドから登る。 この後も見事なV字の渓相の中にCSなどの小滝が続くようになり、450m付近についに30mの大滝登場。左岸巻きは悪い。 今回はこの上に幕。薪は豊富。 その後も小滝は続き、出たのは2段30m。そしてその上に2段60mの大滝が出現。この辺りがこの沢の見所。 その先の三俣を小滝で出合う左に入ると、渓相はより険しさを増し、なんとも言えない威圧感を感じながら進む。 710m二俣は、地形図で見ると進みたい左は壁の予感。まさにそこにはスラブ帯が広がっており、快適にフリーで登り切る。 その後はナメ滝等を交えながら次第に源頭の雰囲気になり、心配しては藪漕ぎも数分で稜線に出るが、稜線はもちろん藪だった。 東に数分藪を漕ぐと、弁慶山の三角点到達。 因みに、源流域に「ノノクラ沢」と言う名前があるのは知っているが、それが本流の沢なのか支流の沢なのか判別出来ない。どなたかご存知の方がいたらご教授願いたい。なんとなく猪ノ鼻岳に詰める沢がノノクラ沢な気がする。 ■小松ゾウ沢下降 一度下る方角を間違えるが、軌道修正して小松ゾウ沢の源頭部へ。 急斜面を灌木を頼りに降りて行くとどんどん枯滝の連続。巻いたりクライムダウンで降りる毎に滝は増えるが、全て水がない枯滝だ。 ようやく水が流れ始めてからも滝は続き、550m辺りまで降りてきてようやくゴーロになる。この辺りから下は幕場は豊富だが、めちゃくちゃデカい熊と遭遇したので注意が必要。 ミニゴルジュを2つ程クリアすると河原歩きになり、カメクラ沢出合いの橋で林道に上がり脱渓となる。 林道は藪が濃い場所、派手に崩落してる場所、道が寸断されてる場所などを通るが、釣り師の踏み跡やマシな道の方が多いので、白玉川の河原を歩くよりは早いと思う。それでも休憩含めてたっぷり2時間はかかった。 |
写真
装備
個人装備 |
登攀具一式
泊り装備一式
|
---|---|
共同装備 |
タープ 50ロープ
|
感想
弁慶山。前回は支流を行ったが今回は本流の中野俣川遡行。その長さに一泊での遡行としたが本当に長かった…。
ほぼ記録がないので何が出てくるのか全く分からない冒険心をくすぐる楽しい遡行になったが、暑さと疲労と虫との闘いでもあった。下界は35度は超えただろうなんて思うが1,000mに満たない弁慶山では山の中も下界と似たようなもの。そんな中で大発生してるアブに刺されまいと合羽が脱げず熱中症寸前。フラフラになりながらのこんなツアーに挑む三人は紛れもない物好きなのだろう。だが物好きだからこそのこの遡行は実現できたのだと思う。改めてこの素晴らしい体験をさせてもらった仲間には感謝したい。
三度、弁慶山地。
中野俣川本流から弁慶へ。
私は普段、沢登りの時はピークハントにはまったく興味がない。
沢登りをやらない人からすれば不思議に思うかもしれないが、目的はその道中であり、ピークではない。
だが、この弁慶山地に興味が湧いてからは、無性に弁慶山のピークに上り詰めたいと思った。
もちろん沢からである。
登山道のない弁慶山。数件の積雪期の記録は拝見したが、絶壁だらけのこの山を積雪期に登るのは骨が折れるだろう。
だがおそらく、この山は積雪期に登るのが1番容易いかもしれない。
そして藪。
稜線の藪の感じを見ると、オール藪漕ぎで登頂するのは至難の業だ。
そして沢から。
弁慶山には中野俣川本流から。そんな変な拘りがいつしか強くなった。
安楽城小国川を撤退した経緯もあり、今回はなんとしても弁慶山を落としたかった。
遡行は中野俣川本流からと心は決まっていたが、問題は下山をどうするかで頭を悩ませた。
色々パターンは考えたが、楽なルートは1つもない。
昨年の豪雨被害で、この辺りの林道は軒並み壊滅状態なのは身を持って知っている。
さらに中野俣から真室川町に抜ける道路は今だに通行止め。八森方面には降りられない。
どの沢を下降しても長い林道歩きが付いてくる訳だ。
もちろん尾根下降も考えたが、この炎天下での水なし藪漕ぎはセンスがなさ過ぎる。
今回下降に使った白玉川小松ゾウ沢。
昔、トマの風がこの沢に入った記録を拝読したが、次から次へと出る垂直の滝に撤退している。さらに、隣の沢もダメ、支尾根に上がり稜線には到達したが、弁慶の耳を間近で拝んで撤退している。
あの精鋭トマの風もが撤退するくらいだからヤバいかと思ったが、下降ならなんとかなるんじゃないか。そんな思いもあった。
遡行した中野俣川、下降した小松ゾウ沢、どちらにも共通して言えるのは、弁慶山が近付くにつれ険しさが増すと言う事。
特に小松ゾウ沢は今回水量が少なく、枯滝の連瀑になっていたが、これが水量があればとんでもない沢に変貌するだろう。
巻き下りに夢中で、写真に納められなかった滝も何個かあるくらいだ。
体感的には総合で3級上としたが、情報なし、長い林道歩き、2日間共にしたアブの大群、暑さ、巻きの悪さ、藪の弁慶山、熊との遭遇など、グレード以上の何かを感じる沢旅であった。
それはおそらく、秘境弁慶山地の奥地に入り込み、2日間身体いっぱいフルで感じた事による弁慶の歓迎心であろう。
そして何より、その時間を共に生きた仲間の存在は、この沢旅以上に、自分の財産である。
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