鳳凰山(三山縦走) −初めての南アルプス親子登山―
子連れ登山
nao_soma
souma
体力度について
- GPS
- 29:44
- 距離
- 28.8km
- 登り
- 2,757m
- 下り
- 2,741m
アクセスを調べる
標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 5:29
- 休憩
- 2:01
- 合計
- 7:30
- 山行
- 6:30
- 休憩
- 1:39
- 合計
- 8:09
| 天候 | 1日目：晴 2日目：晴→曇（ガス） |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2015年05月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
◆子連れ登山の観点から ※6月上旬 ○コース状況 ・登山口〜夜叉神峠：整備された樹林帯の道を歩く。危険個所なし。 ・夜叉神峠〜杖立峠〜苺平：長い登りが続く。時折、急登もあるが、危険個所なし。山と高原の地図のコースタイムは長いと思われる。登山道に設置されている道標に標準タイムが書かれているので目安にすると良い。 ・苺平〜南御室小屋：やや下り。時折残雪あり。2015年は雪は明らかに少ないようでアイゼンは必要なかったが年によっては必要な場合もあるかもしれないので要注意。 ・南御室小屋〜砂払岳〜薬師岳小屋：砂払岳まで登り。危険個所なし。 ・薬師岳小屋〜薬師岳〜観音岳：稜線の登山道をしっかりと歩けば、ほとんど危険個所なし。アップダウンもそれほどきつくない。 ・観音岳〜地蔵岳：観音岳からの下りはきつく子供にはやや注意が必要。アップダウンあり。 ・地蔵岳（オベリスク）：子連れは挑戦しない方が良いと思う。年数回滑落者がいるとのこと。 ○山行計画 ・夜叉神峠からの縦走は気持ちの良い樹林帯を抜け、森林限界の展望の良い稜線を歩き、ハイライトとなる地蔵岳のオベリスクを目指すという魅力満点のコース。 ・マイカーの場合、広河原までのバスが開通していれば、夜叉神峠登山口から地蔵岳まで縦走して白鳳峠をくだって広河原におり、バスで夜叉神峠に戻ることが可能であり、夏季シーズンはそのコースが人気。 ・6月はまだバスが通じていないので、必然的に地蔵岳まで行ってピストンで戻る山行計画となる。なお、青木鉱泉からドンドコ沢などを使うコースもあるが、滑落の危険があるコースなので子連れには不向きではないかと考える。（ただ、登りに使うのはありかもしれない） ・夜叉神峠コースは途中、小屋泊するにも全体としては距離があるので、ある程度、歩きなれた子供でないとキツイと思う。 |
| その他周辺情報 | ◆登山バッジ ・薬師岳小屋・南御室小屋：500円（３種類あり） ◆温泉 ・韮崎旭温泉：大人６００円、子ども３００円 炭酸泉でかなり気持ち良い！おすすめの湯。ただし、脱衣場等狭く、混雑時は大変かも。 ◆子供のための社会見学 ・サントリー白州工場見学 南アルプス天然水工場見学（無料・新商品やウイスキーの試飲可。もちろんウイスキーはドライバーは試飲不可） |
写真
夜叉神峠登山口前。車は少ない。静か。誰もいない・・・。この日宿泊した小屋の御主人の話だと事前の天気予報が悪かったためではとのこと。
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この日宿泊した小屋の御主人の話だと事前の天気予報が悪かったためではとのこと。
白根三山のビュースポットですが、頭に雲がかかってます。
苺平まで140分！？一瞬びっくりしました。誰かの悪戯でしょうか。
薬師岳小屋には水場がないので、ここで南アルプスの天然水を汲んでおきます。
本当なら富士山も見えるはず。
宿泊受付をします。本日は我々ともう一組のご夫妻の2組だけの宿泊でした。
気温が高く、最近雨も降っていないので、霞んでいますが、八ヶ岳。
小屋に戻って、また読書を始める長男ですが、明日は早いので無理やり消灯！19時30分に就寝！早っ。でも、小屋自体、消灯は20時でした。
7
子宝祈願の風習で今でも奉納する方がいるそうです。
しかし、さっそく残雪で苦戦する長男。今回の登山で一番苦労した箇所かも。
小屋近くの残雪は前日に小屋の方がステップを作ってくださっていました。感謝です。
下山後の温泉、観光について情報をいただきます。
バッジ購入して、さぁ下山。
感想
【山行計画】
GWの3連続登山から土日は予定が埋まっていて山に行けなかった。
そんな中、長男の小学校の運動会が5月30日（土）にあり、その振替休日が月曜日となるとのこと。
一方、自分も仕事の都合で、振替休暇を取得する必要があったので、合わせて休暇申請した。
天気予報は日曜日の天候が悪いとの予報だったが、天気図を見る限り、まだまだ天気が変わりそうだったので、じっくり見てみると、金曜日に予報が変わり、日曜日も月曜日も晴れの可能性が高くなる。
しかも、日曜日と月曜日（世の中は平日）という珍しい休みが親子で合わせることができたので、思い切って小屋泊にしようと考える（土日で混雑している小屋には泊まりたくないので）。
小屋泊で、夏道が歩ける山を探したところ、八ヶ岳（赤岳）か鳳凰山が選択肢にあがってきた。赤岳は岩稜もあるのでまだ長男には難しいかなという思いと、南アルプスに親子ともに登っていないので良いチャンスだ、ということで鳳凰山に決定する。
夜叉神峠コース、青木鉱泉コースともにレコがあがっており、登山可能だと思われるものの、より危険度の少ない夜叉神峠コースとし、薬師岳直下の薬師岳小屋に宿泊することとした。
【アクセス】
岐阜から中央道を利用し、中部横断道へと進み白根ICで降りる。夜叉神峠登山口駐車場へと向かった。日曜日の朝であったが駐車場は空きが目立ち、誰もいなくてひっそりとしていた。薬師岳小屋の御主人に話をうかがったら事前の天気予報が悪かったことから土曜日に登った人が少なかったのではないかとのこと。
【登山記録】
●1日目 夜叉神峠登山口〜薬師岳小屋（泊）
山行前日は小学校の運動会。長男は応援団として喉がかれるまで一生懸命応援する姿が親ながら嬉しかった（親バカ）。
深夜2時過ぎ、寝ていた長男を車に乗せて、後部座席で寝させながら運転。
頑張ったご褒美として、日本1位富士山、2位北岳、3位間ノ岳の3つを同時に見ることのできる「絶景」を見せてあげたいなぁと思いながら登山口へと向かう。
6時30分ごろに登山口に到着。我が家の登山としては遅い方であるが、今夜は小屋泊なので、それほど慌てる必要もない。
静まり返った駐車場でゆっくり準備をして登山開始。
登山口から夜叉神峠までは結構な標高差があるが、登山道が直登ではなく、整備されていて歩きやすい。木々には広葉樹の緑の葉が生い茂り、セミのような鳴き声もあちこちで聞こえる。さながら夏のような光景だった。じわじわと汗がにじむ。
歩きやすいとはいえ、登りが続く、息も少し乱れつつ夜叉神峠に到着。視界が開け、目の前には白根三山。抜群の眺望だが、山頂部は雲で覆われていて少し残念。しかし、親子ともに初めて間近にみる北岳にテンションはあがる。夜叉神峠のベンチにはソロの男性が休憩していた。本日、初めて会う登山者だ。あいさつをする。
夜叉神峠からは一旦少し下って、それからは長い登りが続く。針葉樹の林を歩いていくと3組ほどの登山者とすれ違う。昨日、小屋かテントで泊まった人が大半だと思うが皆さん充実した良い顔をしている。
この登山道は本当に静かな気持ちの良い道である。丁度、さわやかな風も吹いていて心地よい。時折、樹木の間から白根三山が眺めることができ、気持ちも軽やかになる。
苺平から南御室小屋まではやや下りとなった。針葉樹の苔生す林の中を歩きながら、「奥秩父の登山道みたいだね」などと長男と話ながら歩いた。
南御室小屋に到着すると2組が休憩中だった。一組は下山、もう一組は登りのようだった。まだ、昼食には時間が早かったが、今日は小屋泊なので時間もある。ここで昼食にすることとした。事前に調べていた通り、この小屋には水場があるので水を汲み、湯を沸かす。インスタントのラーメンとトマトパスタを作り、朝食にと買ったおにぎりとサンドウィッチが残っていたので一緒に食べた。
薬師岳小屋には水場がないので、ここで2リットルの水を汲んでザックに入れた。
南御室小屋からは急登が続く。息が切れる。何歩か歩いて、呼吸を整えてというのを繰り返しながら登っていく。やがて大きな石があらわれて樹木がなくなると突然眺望が開けた。砂払岳であった。その名の通り、花崗岩の岩が削られて砂地となっている箇所が多い。
砂払岳からは、鳳凰三山のうち薬師岳が目の前に見える。そのほかにも眺望が広がり、登りでの疲れも吹っ飛ぶような景色であった。
砂払岳から少し下ると薬師岳小屋である。薬師岳小屋で宿泊の手続きを済ませると、まだ1時半前。小屋の御主人に「薬師岳登ったり、その辺散歩したりしておいで」と言われ、ザックを小屋に入れて薬師岳に向かう。
長男に疲れたかどうか聞くと「全然、疲れてない」とのこと。体力ついたなぁ。
青空のもと、薬師岳山頂からは白根三山、八ヶ岳、金峰山、甲府の街並みなどが見渡せる。富士山も頭の部分がちょっこりと顔を出していた。
長男に「頑張ったご褒美の”絶景”はどう？」と聞くと、「満足！」との返事。良かった良かった。「なんか燕岳に似てるね」と長男。確かに花崗岩の白い岩と砂が似ているなと感じた。
しばらく、山頂付近をウロウロして小屋に戻って本を読む。
日帰りではできない贅沢。本を読んだり、景色を眺めに行ったり、ゆったりと時間を過ごす。
本日、薬師岳小屋には我々親子ともう一組のご夫婦が宿泊。そのご夫婦は南御室小屋で挨拶を交わした方たちだった。
食堂で本を読んでいると、旦那さんがいらっしゃったので、話しかけさせていただいた。そこから山の話などをしていると夕食の時間となった。
夕食中もご夫婦と小屋の御主人と山の話や、最近の登山者の話など色々な話をさせていただき、楽しい時間を過ごさせていただいた。息子とも話を合わせてもらい、息子も楽しそうだった。息子がご夫妻に「今まで登った中で一番好きな山は何ですか？」という質問をすると、「最初に登った白馬岳」と「雪の九重山」とのこと。雪の九重山は綺麗だろうなぁ。そういう息子はというと「そりゃぁもう燕岳でしょ！」の一言。確かにあの燕岳から常念岳への縦走登山は最高に良かった。
「毎回、山を登って降りた後は、必ず長男のために社会見学をするんです」と話をしたら、小屋の御主人が白州にあるサントリーの南アルプス天然水工場の見学がいいんじゃないかと教えてくださった。甲斐駒の麓だし、下山したら行ってみようか。
息子が時計を見てソワソワしているので何かと思ったら、夕日の時間を気にしていただようだ。そろそろだということで外に出てみる。
小屋の御主人によると今は仙丈ヶ岳の方に日が沈むとのことだったが、生憎ガスが発生して、あまり綺麗な夕焼けは見ることはできなかった。ただ、それでも流れるガスの合間から差す夕日をみることができた。これも山で泊まった人だけが味わえる瞬間である。
小屋に戻ると息子は早速、本棚から本を取り出して読んでいる。
しかし、明日は観音岳からご来光を見るため早起きをする予定なので、「もう寝るよ」と布団へ連れて行き無理やり就寝。布団に入ると息子はぐっすり。
●2日目 薬師岳小屋〜鳳凰三山〜夜叉神峠登山口
4時に起床。寝ていた息子を起こし、布団を片付けて出発の準備をする。前日、小屋の御主人に地蔵岳をピストンする予定であることを伝え、ザックは戻ってくるまで置いておいて良いと仰っていただけたので、お言葉に甘えてカメラと飲み物、行動食だけを持っていくことにした。
小屋の外はガスで視界不良であった。ご来光は期待できないかなと思いつつ、4時15分ごろ出発、薬師岳まで登ってみる。薬師岳山頂もガスで覆われていたが、ガスが薄い場所では空が見える。ひょっとしたらという期待を持って、観音岳への縦走路を足早に進んだ。
すると、みるみるガスが無くなり、視界が開けてくる。目指す観音岳もしっかりと見える。気づくと周りは眼下に雲海が広がっていた。甲府盆地がすっぽりと雲海で包まれている。西側の広河原の谷も雲海となっており、白根三山のピークが雲海に浮かんでいる。
観音岳手前の小さなピークに差し掛かったところ、辺りがオレンジ色に包まれた。太陽の温もりを実感する瞬間だ。
太陽の方向にはガスがあり、ご来光を直接拝むということはできなかったが、親子二人で朝日を見ることができて良かった。
登ってきた方向を振り返ると、薬師岳のピークの向こうに雲海に浮かぶ富士山の山頂が見える。
標高日本一の富士山、二位の北岳、三位の間ノ岳（奥穂岳と同着）を一度に見ることができる。しかも、この縦走路には我々親子二人しかいない。絶景を二人占めである。
縦走路の先には地蔵岳のオベリスクが見える。観音岳から地蔵岳への稜線は西側から風に乗ってガスが昇っては消えていく。その奥には甲斐駒ヶ岳も見える。なんという絶景だろうか。今日、この時間、この場所にいられる幸せ。本当に来て良かった。
親子二人で絶景に夢中になり、写真を撮りまくりながら観音岳に登頂。
いつのまにか日は高くなり、青空が広がっていた。以前として甲府盆地は雲海に包まれたままであるが、地蔵岳へと向かう稜線のガスは消えていた。
観音岳からは地蔵岳へはいったん大きく下る。またいくつかの登り返しもあり、見た目以上に大変だった。
本日は地蔵岳から再び薬師岳まで戻ってこなければならない。下りながら長男も帰りの登りのことを考えて気力が萎えてしまっている。オベリスクは近くに見えるのに、実際にはなかなか近づかない。ため息交じりに「まだ登らなきゃいけないの」と言う息子を「折角、ここまで来たんだから、行かないでどうする！ガンバ！」と励ましながら歩いた。
息を切らしながら賽の河原へとたどり着いた。
こんな山の上に、こんなにたくさんのお地蔵さんが並んでいるのは不思議。子授けの風習というが、薬師岳小屋の御主人の話では今でも奉納する人がたくさんいるとのことであった。
賽の河原付近からオベリスクを見上げる。すごい大きさであった。
近づいてみるが、どんどんと険しい岩場である。オベリスク山頂部に人影が二つ。こちらに気づいて手を振ってくれる。息子が手を振り返す。大きな声で「おはようございまーす」と挨拶。今日、初めて会う登山者であった。
山頂部の二人も登頂は諦めて降りる様子。
我々親子には到底登頂は無理なので、写真を撮るだけにした。しかし、地蔵岳付近から見る甲斐駒ケ岳の大きさには圧倒される。近くから見てもカッコいい山だ。
賽の河原まで戻って、行動食を食べて少し休憩を取る。
さぁ、今日はここから鳳凰三山を逆縦走して、さらに夜叉神峠の登山口まで戻らなければならない。気合を入れなおして下山開始。
下山と言っても、地蔵岳から観音岳へは登り返しとなる。きついだろうなと思っていたが、意外にもすいすい登っていける。息子の調子も良い。息が切れたら、足を止めて白根三山や雲海の絶景を楽しめばよい。実に楽しい縦走路だ。
観音岳での登り返しの途中で、薬師岳小屋でご一緒したご夫婦にすれ違う。挨拶を交したところ、「ヤマレコ見るからね！これからも頑張ってね！」と息子に話しかけていただいた。息子も嬉しいようだった。
観音岳から薬師岳へと向かう道の間、青空で景色が楽しめたものの、薬師岳方向はガスが立ち込めていた。薬師岳山頂はガスに覆われており、景色は見られなかった。今日は、ガスが湧きやすく、景色が楽しめるのは朝のうちだけかもしれない。朝早く起きて良かったとしみじみと感じた。
薬師岳小屋に戻るとご主人が出迎えてくれた。
休憩しながら御主人とお話をする。昨日教えていただいた、サントリー白州工場への行き方や、途中にあるおすすめの温泉（韮崎旭温泉）を教えていただく。登山バッジを購入してお暇することとした。
親子で「お世話になりました」とお礼を申し上げたところ、息子に「高校生になったらバイトに来てね！」と声をかけていただきました。
小屋においていたザックを背負うと思いのほか重い。地蔵岳まで背負って行ったら、かなりきついピストンになったことだろうとほっとした。
砂払岳からは青空が見えたが、その先にはガスが立ち込めている。
「北岳、さようなら！またね！」と雲に覆われ始めた北岳に声をかけて樹林帯へと続く下山道を降りて行った。
砂払岳から南御室小屋まではきつい下り。息子も下りの方が苦手なため慎重に降りていった。
南御室小屋まで下ってくると、少しお腹が空いたため、お湯を沸かして卵スープとフリーズドライのカニ雑炊を食べることとした。
小屋前のベンチには二人の登山者が座っており、挨拶をすると、「いつも（親子）二人で登られているんですか」と声をかけられ、少しお話をした。このお二人は地蔵岳までのピストンを日帰りでされるとのこと。ヤマレコで日帰りされる方も多いのは知っていたが、この行程を日帰りというのはスゴイ。「頑張ってください」と声をかけた。
食事をとって、再出発。南御室小屋から苺平までは少し登り返し、その後は基本的に下りである。苺平からは常に息子が先頭を歩く。あえて歩かせているのではなく、単純に息子の方が早いからであった。
私の方が下山時に使う筋肉が疲れてしまいペースがあがらない。息子は少し先を歩いては立ち止まって後ろを振り返り、父親を気遣ってくれる。去年の甲武信岳でも最後の長い下りではそうしてくれたのを思い出す。もう持久力は私よりもついたのかもしれない。成長しているんだなという実感と、その気遣いがうれしかった。
疲労感はあるものの、樹林帯の道はそれほど暑くなく、気持ちよく歩くことができる。南アルプスは森歩きが多くてつまらない、などと思う人がいるかもしれないが、樹林帯を歩くのも気持ちが良いものだ。それに奥秩父を歩いた経験からすれば、この程度の樹林帯歩きは当たり前だ。
この区間でも数組の登山者とすれ違っただけ。二人きりの静かな山旅を楽しむ。
くだって、くだって、くだって、ようやく夜叉神峠に到着する。
ベンチによろめきながら座って、少しの休憩。ここから見えるはずの白根三山はもう雲の中だった。
小休止をし、重い腰をあげて登山口の駐車場へとくだる。夜叉神峠から駐車場までは標高差約400mをくだることとなるが、登山道は遊歩道のように整備されており、とても歩きやすい。疲れた足にはありがたい道であった。
広葉樹の木々が日光に照らされて眩しく光る。鳥や虫たちの大合唱が森を包む。もう既に夏を迎えたかのような森。自然の素晴らしさを感じながら登山口へと到着した。
私の足の筋肉と膝は限界が近づいていたが、心地よい縦走路を歩き、充実感がいっぱいであった。
一方、息子はというとまだ余裕の様子。「疲れは運動会と同じぐらいかな」という言葉にしばし絶句しつつも、親子で楽しめた良い山行の余韻に浸った。
下山後は小屋の御主人のおすすめにより韮崎旭温泉へと立ち寄る。ちょっとした路地に入り、こじんまりとした建物。なかなか見つけづらいところにあるから地元の人が入るだけなのかなと思いつつ、お風呂につかると、炭酸泉で気持ちの良いお湯であった。日本全国の温泉に入った方の著書で日本第三位に選ばれたことがあるらしい。情報を聞いておいて良かった。
その後、道の駅はくしゅうで、少し遅めの昼食をとり、サントリー白州工場へ。ガイドツアーは�．Ε�スキー��南アルプス天然水の2種類が選べるが、息子の手前、必然的に南アルプス天然水コースを選択せざるを得なかった。
しかし、このガイドツアーが非常にためになった。南アルプスの森林や花崗岩が軟水の良質な水を生み出していること。雨や雪が20年間濾過された水を汲み上げていることなど南アルプスの自然を知る良い機会となった。
南アルプスの名づけ親としてウェストンが紹介されているなど山登りをする自分にとっては楽しいツアーだった。
ツアーの最初に「南アルプスには3,000m級の山は10個以上あります」と紹介されると、長男は「北岳でしょー、間ノ岳にー、えーっと甲斐駒に仙丈、、、聖岳、光岳・・・」とすらすら10個答えてしまった。素晴らしい！
【感想】
初めての南アルプスは鳳凰三山縦走。
1日目は薬師岳まで登りましたが、北岳、間ノ岳、農鳥岳の白根三山、その隣の仙丈ヶ岳が間近に眺められました。反対側には八ヶ岳、金峰山なども見え、360°のパノラマは圧巻。
2日目は観音岳付近で甲府盆地の雲海に朝日が昇るのを見ることができ、北側には地蔵岳のオベリスク、その向こうには甲斐駒ケ岳、南側の縦走路の向こうには雲海に浮かぶ富士山の山頂、西側には白根三山。
なかなか見ることのできないであろう絶景に長男とふたり感激しました。
宿泊した薬師岳小屋では我々二人とご夫婦が1組の4人だけ。
天気もまずまず良かったにも関わらず、登山道ですれ違う人も数える程度と貸切のように静かで充実した山行となりました。
薬師岳小屋では同宿となったご夫婦と小屋の御主人を交えて山のお話や小屋のお話、温泉のお話などをさせていただき、親子ともども大変楽しい時間を過ごさせていただきました。
南アルプスの素晴らしさを堪能した本当に充実の2日間となりました。
百名山43座目、長男40座目。
運動会のあと、お父さんが絶景をプレゼントすると南アルプスにいきました。峠までは鳥がさえずっており新緑も鮮やかに輝いて、美しいと感じました。
夜叉神峠では白根三山が見え、その雄大さにさすがアルプスだと思いました。そして薬師岳では、絶景！白根三山・観音岳などが見えて下には甲府盆地が。山に来て良かったと思いました。
小屋では岡山から来られたご夫婦と話しました。絶景��1を尋ねたら、初めの方に登られたという白馬岳や雪の九重山・仲間と行った燕岳とたくさんの思い出を持っていらっしゃるとわかりました。
朝早くに縦走開始！ガスに覆われていましたが第一目標の観音岳は見えました。そして日の出。日に染まる雲海。この光景が神秘的と感じました。そして観音岳は最高！
白根三山・甲斐駒・仙丈ヶ岳。従える薬師岳・地蔵岳、そして広がる雲海・・・。絶景を見ながら地蔵岳へ。そして着いたときの目の上にはオベリスク。本当に山は素晴らしいし、こんどは白根三山を縦走したいです。
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遅コメ失礼します。
相変わらずの素晴らしい親子登山に感服しました。
知識も素晴らしいし、体力も、そして感想に書かれているように感性も素晴らしい。
色んな意味で将来有望ですね。
ずっと続けられるといいですね。
Sanchanさん、コメありがとうございます。
ホントに登山するたびに、子供から教わることが多いです。
素直で率直な気持ちが聞けるのも親としては嬉しいですね。
しかし、体力もついてきて、そのうち抜かされちゃうんだろうなぁって寂しい気持ちもあります（笑）
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