9回目 確証バイアス 〜彼が言うなら間違いない〜
今回もバイアスのよくあるパターンを1つを見ていきたいと思います。
今回は、ハロー効果についてです。
ハロー効果とは、自分よりも実力や経験に優れる人の意見を優先してしまうことです。
ハロー(halo)とは「後光」のことです。
例えば、グループ山行時、何かの判断をするときにやはり経験豊富な人の意見に従ってしまうと思います。
その方が判断に誤りがないことが多いからです。経験値は判断に必要不可欠です。
これによって、判断を簡便に行っているのです。
しかし、今まで述べてきたように、人間は誰でも判断ミスを行います。
「上級者が判断をミスるなんて万が一の出来事だよ」という声が聞こえそうですが、その通りです。
でも、事故というのはその万が一の出来事なのです。
問題なのは、経験豊富だからといって、盲目的にその人の判断に従ってしまうことです。
あなたも上級者と一緒に考えて、上級者のみが違う考えのときは、なぜそう判断したかを聞きましょう。
それによって、あなたの判断能力も向上します。
加えて、ひょっとしたら上級者が状況を勘違いして、判断ミスをしているかもしれません。
上級者の考えに盲目的に従うのではなく、みんなで一緒に考えることで、下級者の判断能力も向上し、上級者のミスも未然に防ぐことができ、一石二鳥です。
ここから、ハロー効果とは違う話になっていしまうのですが・・・
上級者の方は、下級者の意見に聞く耳を持ってください。「黙って俺についてこい!」では、誰もあなたのミスを止められません。
下級者の意見具申には「ありがとう、でもね・・・」で答えましょう。
上下の風通しの良さがあなたのミス防止の第一歩です。
ナショナルジオグラフィックに面白い記事がありました。本文は下記のリンクです。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20130710001
以下、抜粋です
グラッドウェル氏のコメントは得られなかったが、2008年11月の「Fortune」誌のインタビューでは、グラッドウェル氏は当時の大韓航空の問題を、序列を重んじる韓国文化の“遺産”であったと語っている。現代の航空機は、クルーがチームとして対等に共同作業を行い、機長のミスを気兼ねなく指摘できる関係であることを前提に設計されているため、そこに序列意識を持ち込むのは危険なのだという。
グラッドウェル氏は、1997年に起きた大韓航空801便墜落事故の原因もここにあったと考えている。事故機はグアム国際空港への着陸に失敗して手前の丘に墜落、乗客乗員223人が死亡している。悪天候や計器着陸装置の運用停止などのさまざまな不運が重なったことに加え、機長の判断ミスに副操縦士が異論を挟めなかったことが決定打となったとグラッドウェル氏は書いている。
この話は、ハロー効果と違い、下級者は間違いには気付いているのですが、文化的に下級者が上級者に意見を言えないという風通し悪さが問題です。
しかし、下級者が上級者に意見できないような組織では、いずれ下級者は考えるだけ無駄なので、思考停止に陥り、上級者の考えに盲目的に従うようになり、ハロー効果を助長します。
ハロー効果によって、盲目的に上級者の判断に従ってしまうということを防ぐためには、チームの風通しの良さが不可欠なのです。
毎度勉強になっております。
今回の内容は、ちょうどアシアナ航空機の事故が起きたところで、なんとなく関連を感じてしまいますが、これはまた別の種類のバイアスなんでしょうね。
>tatsucaさん
アシアナ航空のは、事故調査が正式に出てないので、何とも言えないのですが、ヒューマンエラーの可能性が大きいと個人的に思います。
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