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2013年07月17日 00:27未分類全体に公開

宝永山で会った犬

先日、宝永山に登頂した際、山頂で一匹の犬と遭遇しました。
少し時間が経過してしまいましたが、今日はこの時の事を整理しながら書いてみようと思います。

午前4時、薄明のなか山頂に着くと山座同定盤の脇に犬が横たわっていました。
当然同行する登山者がいるものと思いましたが、辺りを見渡しても誰もいません。
よく見ると首輪はなく、声をかけ近づこうとすると逃げ出してしまいます。

日の出とともに辺りが明るくなるにつれ犬の容姿がはっきりと確認できました。
栄養状態が悪く見るからにやせ細っていました。保護が必要だと感じました。
衰弱している感じではないのですが、元気がなく、なにかにおびえている様子でした。

おなかを空かせている様子だったので食べ物を与えようと呼びかけるのですが、どうしても近づけません。
仕方なく山座同定盤の上に食べ物と水を置いて離れると、恐る恐る近づいて一気に食べ始めました。
そうとうおなかを空かせていたのでしょう。
おにぎり、サンドイッチ、シュガートーストなど持っている食料はすべて与えたのですがまだ足りないようで山頂に留まっていました。

場所が場所ですし、近づくと逃げ出してしまうので困りました。
携帯電話を取り出すと電波がきていました。
山開き前で営業中の山小屋なども不明でしたので、まず消防に連絡してみました。
場所と状況を説明し、なんとか保護する方法がないものかと相談しました。
そこで、消防署のほうから近くの山小屋へ連絡してもらい、「山小屋で一時的に保護してもらえないか」お願いしました。
すぐに連絡があったのですが「山小屋では首輪もなく飼い主も不明の状態では預かることはできない」ということでした。
今の状況ではこの犬は「野犬としての扱いにせざるを得ない」ということでした。

さらに警察にも「富士山登山道周辺で迷子犬捜索の届けなどがないか」などを
電話で確認しましたが、それもないとの返事でした。

山頂でひとり試行錯誤していたのですが、しばらくすると二人の若者が来ました。
状況を話すと、持っていたおにぎりを快く差し出してくれました。
彼らも犬に声をかけ何とか近づこうとするのですが、やはり逃げ出してしまうのです。
御殿場市にはこうした犬の保護をボランティアでされている方もおられるようで、
連れて下山できれば保護できる可能性もあるのではと考えたりしたのですが…。
しばらくすると犬は自ら宝永馬の背のほうへ歩き出しました。
この頃には稜線もガスが濃くなってきており、すぐに姿は見えなくなりました。
山開き後に登山者が増えることで、そのあとを辿って麓へ下山できることを信じ、そして無事を願うばかりでした。

6合目雲海荘はこの日から営業していて、下山途中にご主人と直接話しができました。
ご主人は「富士山、しかも標高が高いところで野犬などという話はこのところ聞いたことがない。きっと雪解けが進んだ後、この一ヶ月位の間に何らかの形で迷い込んでしまったのだろう。自分で下へ降りてくれればいいが。」とおっしゃっていました。

連れて下りることも保護することもできず、下山の道のりは足取りが重くひじょうに疲れました。
すれ違う登山者の中には愛犬を連れ、微笑ましい表情で登ってくる人もいました。
元気いっぱい弾むように歩くワンコの姿。「遭難犬」とのあまりにも大きなギャップに愕然とするばかりでした。
いろいろと深く考えさせられた一日でした。

迷子犬を保護するボランティアから譲り受けた犬を飼っている知人に、この日の話をしました。
「悲しい話だが富士山に犬を置き去りにする心無い飼い主がいます。その犬もその可能性が高いのでは」と…
そんな言葉が返ってきました。信じられない話ですがそうした現実があるようなのです。
今こうして犬の表情をあらためて見ていると本当に優しい目をしていますね。

− 追記 −
7月29日、動物愛護団体の方々のご尽力により無事保護され下山できました。
http://blog.goo.ne.jp/rjav/e/a12e01695e4efbf7b05dee6fcde5c637
(社)RJAV被災動物ネットワーク Rescue Japanese Animal Victims
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コメント

RE: 宝永山で会った犬
はじめまして。

他の方のレコで富士山頂に犬が居たって記事を読みましたが深くは考えていませんでした。
ただ、その方の写真だとあばらが浮き出ている写真でしたので、かなり空腹だったのでしょう。

そして今日、biscuitさんの日記を読みました。
恐らく同じ犬だと思います。

冬季閉鎖が解除された後、5合目に連れていかれ首輪を外され置いていかれたのでしょう。
5合目に来る人は車で下るか、歩いて上を目指す人が大半だと思います。
きっとその人の流れと一緒に、5合目より上を行ったり来たりしているのか・・・・?

今はマイカー規制されているので、個人で5合目に車で行くことは出来ないと思います。
仮に5合目付近で保護出来ても、先ず間違いなくシャトルバスには乗せてもらえないでしょう。

考えても良い結果を思いつくことが出来ませんが、なんとか食べるものを見つけて生きのびてほしいです。

それにしても、自分が思うように本当に5合目に置いてきたとしたら、その飼い主はその先どうなると思っていたのでしょう。

人の住む地域に行けば野良として処分もあるだろう。
かといって富士の5合目で何をたべていけというのか・・・。

もし飼い主がいたのなら、同じように丸裸にして遠く離れた山奥に捨ててやりたい気分です。

お初で長文失礼しました。

今後も暫くは違う意味で富士山のレコをチェックします。
2013/7/17 22:12
RE: 宝永山で会った犬
87papasanさん はじめまして
コメントありがとうございました。

私が宝永山に行ったのは6月30日でした。
この時は残念な思いが強く、やせ細った犬の写真を掲載することにも抵抗があり、この日の山行記録には何も書けませんでした。
その後、時折ヤマレコ内の富士山、宝永山の記録をチェックしていたのですが犬の目撃情報は見つけることができずにいました。
やはりその後が気になっていて、悩んだ挙句、日記に書いてみたのですが…。

14日のnanamineさんのレコでしょうか。情報をありがとうございました。自分の見た犬だと思います。
宝永山では近づこうとすると崖の方へと逃げ出してしまい触れることができませんでした。人を信頼できず怯える様子から。87papasanさんがおっしゃるように富士山で首輪を外されてしまったのだろうと自分も思いました。

無知な自分はその場しのぎの食べ物を与えるだけで結局何もできず、行政の窓口や山小屋にヘルプをお願いしたのですが解決策を見いだせませんでした。
こうして日記に残しても状況が変わるはずもありません。そればかりかこの日記を見て悲しい思いをされた方もたくさんおられると思うと、記したことについて後悔の念にかられています。

現在は5合目から上でひっそりと岩陰に隠れるように、少し離れた所から人の流れを見ているのでしょうか。
空腹に耐えかねると登山者の前に現れる、そのような状況かもしれません。
富士山も本格的な夏山シーズンに入りました。厳しい状況に変わりありませんが、登山者が多くなるこの時期はなんとか食べつなげられる可能性は高いと思います。
早い時期にこうした犬をコントロールできる方に保護され、元気に歩ける日が来ることを信じ願うばかりです。
2013/7/18 7:14
RE: 宝永山で会った犬
返信ありがとうございます。

biscuitさんが日記に書かれて一気に何かが変わることはないかもしれませんが、少なくても一人はそのイヌの事を気に掛ける人間が現れました。

そして、この日記のやりとりを見てから富士登山に行き、そのワンコを気にしてくれる方がいることを願います。

自分が思いつき程度で行ける大山辺りなら自分で行くのですが、残念ながら私にとっての富士山頂は気軽に行ける場所ではないのです。
そんなワンコを気にしてくれる方の極々一部の方でも、家にワンコが居るならばザックの片隅に100gか200gのドッグフードも持参してあげて欲しいです。

それにしても山開きの日には既に居たであろうワンコ、マスコミや関係者の方の目には留まらなかったのか、それとも隠れてしまっていたのかな。
2013/7/18 12:24
RE: 宝永山で会った犬
87papasan ありがとうございます。

先週末くらいからヤマレコの記録の中にも何件か確認できますし
登山者でにぎわう山頂では多くの方の目に留まり、気にかけてくれる方も多いのではと思います。
今はとにかく無事で良かった、そう考えるようにしています。
良い結果がもたらされるよう願っています。
2013/7/18 18:32
RE: 宝永山で会った犬
こんにちは

かわいいけど少し淋しそうな表情が印象的な顔ですね

犬自身もどうしたらよいのかわからないのでしょうね

もし飼い主がそんな心無い置いてけぼりをしたなら
飼い主に今の状況を見て欲しい
すぐにでも連れ戻しに行って欲しいです
2013/7/19 10:39
RE: 宝永山で会った犬
huukaさん こんにちは

犬の表情、そうですね、遠くを見てるような少し淋しげな顔に見えますね。
真相はわかりませんが、本当に元の場所に帰れるといいのですが。

大きく写ってますが、なかなか近づくことができなくて、この写真も離れた場所から望遠で撮ったものなんです。
怯えているだけで本来はおとなしく優しいワンコだと思います。
2013/7/19 17:31
迷子犬の状況について-7月24日−
7月24日現在、残念ながら保護に至っていませんが、
ひじょうに多くの方々が何とかしたいと心配され、
実際に富士山頂にて保護に奔走されてくださっている方もおります。
厳しい環境下での大変なご尽力に深く敬意を表します。

http://blog.goo.ne.jp/rjav/e/d625899360f20c0159bb3382e0f40c8f
【RJAV被災動物ネットワーク】
こちらの動物愛護団体の方が行政と連携して7月24日、山頂に捕獲器を設置されました。
「保護したら飼い主へ返却するか里親へ譲渡します。」とタグが付いています。
無事に捕獲されたならばこの子の第二の人生は明るいものとなるはずです。

リンクに「富士山頂迷い犬、ご支援の皆様へ」と題しました
これまでの経緯や一般登山者へのお願いがありますのでご覧いただきたいと思います。

依然として警戒心が強く、近づくと逃げ出してしまうようです。
無理やり保護しようとして失敗した場合犬は、
さらに不信感を抱き警戒するため保護にも時間がかかってしまいます。
今後はやはりこうしたプロの方々にお任せするのが良いと思います。
うまく保護できることを願うばかりです。
2013/7/25 22:06
RE: 宝永山で会った犬
biscuitさん、はじめまして。heheといいます。

biscuitさんのこの日記を読んでから
ずっと心配し、かつ自分には何も出来ない無力感を味わってきました。
この日記を目にしなかったら良かったと思ったこともありました。

でも、今朝無事保護されてもう迎えに行かれているようです。
これまでの不幸は忘れて、この先幸せに生きて欲しい。
それだけを祈ります。
ともかく、良かった
2013/7/29 9:42
無事保護!元気!!!
heheさん はじめまして メッセージありがとうございます。

「小さなひとつの命をなんとしても守りたい」
そんなheheさんをはじめたくさんのみなさんの温かな心が届き実を結んだのですね。

保護に時間は掛かってしまったものの
結果として最善の方法で保護できたと思います。
fujio君にとっても見守ってきた皆さんにとっても
最も安心できる環境で第二の人生をスタートできますね。
【RJAV被災動物ネットワーク】
http://blog.goo.ne.jp/rjav/e/9de8994e51885359e84711cbf16816ed

fujioくん、生き抜いてくれて、元気でいてくれて本当にありがとう!これでやっと暖かいベッドでぐっすり眠れますね。
僕もやっと安眠できそうです
2013/7/29 15:24
RE: 宝永山で会った犬
biscuitさん お久しぶりです。
今朝、起き抜けのニュースで「無事に保護!」の朗報♪
「よかったぁ〜」と嬉し涙がでました

実はこの日記がアップされて、
コメントをしようにも言葉を失っておりまして…。
人が押し寄せている富士山だから、
たぶん何かしら対策が始まるであろうとは思ったりしていました。
私も何もすることができないひとりで、
もどかしい限りでした。

何はともあれフジオくん 飼い主さんの元に帰れればいいですね
2013/7/29 18:12
clioneさんへ
clioneさんもずっと心配してくださっていたのですね。
思いが大きな支援の輪となり保護につながりました。
本当に良かったです。

山頂付近に居ることがわかった後も、
現在の体調では富士山頂に向かうことは到底無理で、
ただ状況を見守るだけの辛い日々が続いてました。
朗報は自分自身も本当に救われました。

僕が宝永山で遭遇してからちょうど一か月。
すでにギリギリの状態に見えたので、その生命力・精神力の強さは本当に凄いです。よく頑張ってくれました。
やさしく守ってくれる飼い主さんの元で幸せな暮らしが始まることを祈っています
2013/7/30 0:52
RE: 宝永山で会った犬
今更ながら…

2013/7/22 富士山剣ヶ峰の馬の背を登り切った辺で、正にこの犬に会ってますッ!
台湾から来た57歳の義姉を、言葉も通じ無いまま、弾丸でガイドしてヘロヘロだった状態で会ったので、ほとんど何も感じませんでしたorz

こういう経緯、人々の想いがあったのですね…

本当に今更ながら…スミマセン…orz
2014/1/9 23:14
holomaniaさんへ
holomaniaさんもフジオ君に会っていたのですね
フジオ君、私が宝永山で遭遇したあと果敢にも山頂を目指してしまって…。
このころは本当に気をもみました。

無事下山後のフジオ君の表情、ホントに一変してました。
眼が輝いていましたね。良かった良かった
2014/1/10 20:23
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