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ブログまで来てくれる方は少ないだろうし、膨大な記事に埋もれていると思いますので。
山とは関係ないです。そして長くなりますことはじめにお詫びしておきます。
忘れもしない三年前の9/3日のこと。
わたしは職場にいて、職場の人に私が出勤してくるまでとってあったと言われたものを見ていた。
それは一つの商品、プラスチックの皿が何枚も重なっている商品で、エッヂの利いた皿に揺さぶられて袋の一部が破けていた。
その袋の中には一匹のやもりの死骸。そしておびただしい尿酸。
上司が言ったのは、そこに二つ卵が産みつけられていたということだった。
言われてみるけれど、卵は見当たらない。
どうしたことだろう、とよく見てみるとグレーのちょろちょろ動く物体がふたーつ。重なった薄いプラスチックの皿でできた壁面を這っていた。
( Д ) ゚ ゚ 生まれてるし・・・!
驚愕したと同時に、1匹の様子がおかしいことはすぐにわかった。
一枚目の写真は自分がもっていたペットボトルを切って彼らを保護した時のものだ。
片方の子の頭に、卵の殻がつきっぱなしになっている。
もう片方の子は大丈夫そうだけど、ちょっと顔に力がない気がした。
どうしてこんなことが起きたのか考えてみた。
憶測でしかないが、だいたい間違ってないだろうと思うのは、破けた袋のなかに入り込んだ親やもりが産卵をした後、袋の出口を見つけられずにそこで餓死したのだろうということ。実際死骸は腐敗せず干からびてミイラのようになっていた。
クーラーのない、40度を超える倉庫で夏を過ごした商品だ。
なんとむごいことだろう。
産み付けられた卵が孵化するのはだいたい30日〜50日と言われる。
気温が高ければ孵化は早いだろうから、おそらく一か月ぐらい前のことと思われる。
だとするとやっぱり真夏の炎天下の中じゃないか。親やもりのことを思うと胸が痛んだが、今は保護した生きている命を優先しなくてはならない。
問題なのはこの頭に殻のついたままの一匹だった。
やもりは孵化してから数時間でファーストシェッドという、脱皮を行う。
これができるかできないかで今後のやもりの人生が決まると言っても過言ではない。
自分で脱げれば生きる、脱げなければ死ぬ。脱皮するための力がなければ生きていくことができないからだ。最初に起きる淘汰と言える。
ワタシの目にはどうしても殻をかぶったままの一匹が心配でならなかった。
上司に許可をもらってその場で剥いた。
頭に殻がついている以外は元気に飛び跳ねて逃げるような子だった。
あらかた剥いたが結局、卵殻の内側にあったろう卵膜のようなものがこの子の頭部にだいぶ残った。2枚目の写真がそうだ。
とりあえず窒息死する危険性は回避されたので、あとは自宅に連れ帰って様子をみることにした。
保護から一日が経過した。
ファーストシェッドの気配が二頭にないのでかなり心配になる。
ふつうは数時間ではじまるという。孵化が異常だったから、はじまらないのか。
または予定より早く出てきてしまったのだろうか。
その日は一日自宅で観察する予定だったが、急用があって数時間外出をした。
卵殻をまとったままのかりめろ状態の子と、一見して健全そうに見えるもう片方の子。
外出から帰ってくるまでは、健全そうに見える子は当たり前のように生きるとおもっていたのだが、帰ってくるとその子がこてんとひっくり返って、絶命していた。
原因はなんだかわからなかった。保温も暑すぎない程度にしていたし、水分もあった。
脱皮のための湿度は充分にあった。
実際皮が浮き始めていたのを確認しているが、脱ぐ力がなかったのだろう。
小さな小さな体がひっくり返って固まってしまっていた。
外に出てその小さな体を土に埋めた。
いよいよ、かりめろ状態の一頭のことが心配になった。
体の皮は浮いている、浮いてきたなら自力でとれると思っていたが、それは見通しが甘いと思いなおした。
元気はあるのでもう一日様子を見た。
というより人の手で剥いてしまうことにためらいがあった。
全長3センチに満たない、とても小さな体。
クロ綿棒の先とたいして大きさが変わらないというのに、そこからめりめりとついている皮を外すのは、個体に絶大なストレスと負担をかけるに違いないからだ。
下手をすればそのストレスで死なせてしまうことになる。
でもやらなければ遅かれ早かれ死ぬと思い、およそ3時間かけて手の平に乗せ、湿らせた綿棒をつかって皮を浮かせながら、先を切ったつまようじや乾いた綿棒などを使ってなんとか剥いた。思ったより広範囲に薄皮が張り付いていて難儀したけど。
無残な姿だった子は、きれいでとても愛らしいあかちゃんやもりになった。(三枚目)
保護してすぐに取り寄せていたフライトレスのショウジョウバエを猛然と食べ始めた。
あっという間におなかがぽんぽこりんになって、動きはどんどん活発になり、気の強いやんちゃな子供のやもりになった。
通常は数か月しないとわからない性別も、規格外なことに生後ひと月でわかった。雄だった。流石は生後三日でメリメリ殻をとられる、という苦行に耐えた子なだけあると思った。
同時に二度目の脱皮は無事自力で終えることができた。
飼育下で立ち上がった個体は目に見えて強くなる、とは私が心の師と仰ぐ方からいただいた金言なのだけど、その言葉を裏打ちするかのように生命力にあふれた姿がとてもまぶしくていとおしかった。
今もその子は、かりめろと名付けて私の手元で元気に生きている。
やんちゃだった性格は落ち着いて、おとなのやもりらしい落ち着きも出てきた。
よく食べ、よく眠り、よく求愛している。
かりめろが天寿を全うするまで元気でいてもらいたいと願ってやまない。
さいごに、野性のヤモリが出てくる季節になりました。
ふいに保護してしまった、拾ってしまった。そんな方がいるかもしれません。
ご注意ください。
ニホンヤモリは難しい部類に入ります。基本的には丈夫ですが、ひとたびトラブルを起こすと立ち上げることが難しい種類です。
体が小さいため、体調が崩れれば一気に逝きます。
野性のヤモリを診てくれる動物病院はほとんどありません。
連れて行っても体が小さすぎて点滴も打てないと言われます。
飼い主がその責任で生きてもらうためにがんばるしかなくなります。
時にコオロギの首を取り、体液を絞り出し、ヨーグルトに混ぜ、ビタミン剤を与え、夕方の弱い紫外線を一緒にベランダに浴びに行き、薄くて小さな指先の指下板の皮をむく気骨がなければ、やっぱり飼育は難しい。
野生のものは野性のまま、そうできなかった私がせめて彼らにしてやれることはこのぐらいしかないとやってきました。
そのへんにいるから、簡単に飼えるに違いないという気持ちで飼育に臨まないようにどうかお願いします。
長い文章をお読みいただき、ありがとうございました。
pipotanさん、こんばんわ。
殻付き。。カリメロ。。。。かわいい。。
(歳がばれます(*´▽`*))
さすがに殻つきはみたことがないです。
20年前から我が家に住み着いた夫婦のやもり。
いつも暑くなると我が家の二階の窓に
張り付いている。。
去年みると、小さいのに変わっていたので
代替わりしたのでしょう。。
(というか、その前から代替わりしてるんだろうけど)
知識はないので、くる子を観察するだけですが。。
k-yamaneさんこんばんわ〜!
殻付きは私も初めて、というかこんなの見たことねぇ!って焦りました。
かりめろ状態、と最初は呼んでいて、殻剥いた後には自然とかりめろになってましたね。
ペットは名前があっても愛称がさらにつくことが多いと思いますが、例にもれずかりめろはめろめろ、めろちゃん。
などと呼ばれてワタクシに鼻の下を延ばさせてくれる小憎らしいあんちきしょうでございます。
もう一頭の子も、生きていたらオスでもメスでも、ぷりしらって名前にする予定でしたよ。
夫婦のやもりはきっと代替わりしてるに違いないですが、あまり広範囲ななわばりをもたない生き物なので血縁ではないでしょうか。
子供か孫かひ孫か。
だいたい長く生きても10年いくかいかないかの寿命と言われていますし、野性下だと事故死も多いので。
お、今年も顔見せに来てくれたな!と思って観察してあげてくださいまし〜〜!
こんばんは 初めまして ケダマと申します
とても興味深く拝読しました
我が家の庭にもご多聞に漏れずヤモリが暮らしていて
時折その姿やタマゴを見掛けたりします
ヤマレコ日記にも2度、書きました
https://www.yamareco.com/modules/diary/61158-detail-97986
https://www.yamareco.com/modules/diary/61158-detail-140507
飼育しようと思った事はないですが、
意外と長生きだったり、狭い縄張りで生きてたりと
知らない事が多くてとても新鮮な驚きです
この日記の文章の端々から感じるヤモリ愛に大変感銘を受けました
これからは僕も更にヤモリに対して愛を持って接したいと思います
>ケダマさん
はじめまして、こんばんわ!
ヤモリが暮らすお宅がうらやましいです。
豊かな環境が周りにあるから暮らしていけるんだと思います。
日記を拝読しました!三枚画像があるほうの記事に写っている子はメスですね!
抱卵しているようですよ。きっと卵を産んで新しい命をつなぐんでしょう(´∀`*)
二つ目の日記のほうはまだ子供なので確たることは言えませんが、ヤモリばっかり見てきた私にはわかる。これは雄だと・・・!生後2か月ぐらいってとこかなぁ。
オスとメスは生まれたときから体形がちょっと違うんですよねぇ。
お風呂場の窓に張り付いてることが多いっていうのは、たぶん水を飲みにきているんですね。
結露の露をぺろぺろとなめているんじゃないかな。明かりがついてるとそこに餌になる昆虫も集まってきますし。
野性下のヤモリを観察した本があって、「ニホンヤモリ夜な夜な観察記」っていう本です。
お好きでしたらぜひ!
初めまして
もっと長い日記でも構いませんよ。
3センチ足らずのちびっ子に、鋭く且つ優しい観察眼、感動しました。
出来れば、別の機会にちびっ子ちゃんのキモチも聞いてみたいです。是非、是非!
>tonkaraさん
はじめまして、こんばんわ!
ありがとうございます。
なにやら気恥ずかしいことも書いちゃった気がしますが、三年たっても色あせない強烈な出会いだったもので日記にしたためてみました(〃▽〃)
あと5頭ほかの個体がいますが、それぞれに思い出深い話(ほとんど看病ですが)があったりして、たまの合間にしたためてみようかな?
かりめろとのお話がもっともドラマチックですけどね。
ちびっこの気持ちですか!
元気な姿になったあとに黒綿棒を向けるとしばらくの間お口をぱっかーんと開けて「ぼくに近寄らないでよ!」と威嚇してましたよ(´∀`*)
親の仇のように憎んでいたようですが、なぜか黒綿棒の先端以外なら乗るんですね。そんなかわいらしい写真もあるんですが、3枚しか写真が乗せられないから厳選してしまいました。
1等かわいいのが三枚目です。
pipotanさん、はじめまして。
エピソード楽しく拝見させていただきました。うちにも6~7年前ほどから玄関、お風呂の窓にくっついている奴を見かけます。(ペットではありません)何度か家に入ってきたりしては外に出してます。蛇やカエルは好きじゃないですがヤモリだけは例外のようで愛嬌のある姿で勝手にヤモキチと呼んでます。個体も違うだろうし、もう何代目かとは思いますが今年も姿見せてくれるかも。
あのファンデルワールス力があれば滝登りも簡単なんだろうな〜。
>utayanさん
はじめまして、こんばんわ!
ヤモリが近くにいる環境は、生き物豊かな証拠ですね!玄関にいるのは明かりに集まってる虫を食べにきてるんでしょうね。お風呂はそれ半分、水分補給半分。
人の暮らしに密着した生き物なので本能的にどこにいけばお水があるかわかってるんでしょう。外壁についた水滴なんかも舐めてるはずですよ。
昔のおうちだと土塀だったりしたので、そこからミネラルも補給できたんですけど、今のおうちだと塗装されてるからどうかなってとこです。
飼育を見れば塩土を入れてやってるお宅もありますね。なめてミネラルととるといいってね。
わたしは餌に栄養をとらせたり、餌にカルシウムなんかをまぶして与えてるので入れていませんが。
わたしもヤモリの指下板が欲しいです〜〜!
あったら壁のぼりにチャレンジできるのに。
今年もまたヤモキチくんに会えるといいですね( ´>ω・)b〜☆
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