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2022年07月12日 13:43未分類全体に公開

備忘録:冬季登山、山スキーにおける私的安全対策の検討

昨シーズンまでの冬季登山、山スキーの経験から、感じた所感などを個人的な備忘録、データベースとして記録する。

1. リスク:初めて登山する仲間、久々に登山する仲間、ブランクのある仲間などとの登山

いつも行動を共にしていない同行者との登山では、特に体力、耐寒面からの内在リスクに注意が必要。耐寒について注意すべきは、通常の低体温症だけでなく、寒さを感じなくとも体の一部のみの局所的な冷却で、指先が動かなくなったり、足が動かなくなったりするなど、局所的な筋肉収縮などで行動不能になることがある。

対策:体力面は仲間の状況を観察すれば把握は比較的容易だが、耐寒について、特に局所的な筋肉収縮などは難しい。このため、最近、行動をともにしていないメンバーがいる場合は、最近の登山履歴を確認し、内在リスクをチーム全員で把握する。その上で、リスク回避として全員で相談して防寒テムレスは個人で予備含め必須装備と気きめて追加する、コースを短縮・変更する、登山をやめるなどの対応が必要。リーダー的な者への盲信や他人へ頼ることを前提とした登山は禁忌とする。自分で考え、問題点を抽出し、それを皆で話し合うことが重用。正常性バイアスは絶対にやめ、仲間の正常性バイアスありきと思われる発言があった場合は、その根拠を確認し、意見を交わす(勇気がいるがとても重要)。行動中に仲間が見えなくなった場合は、一旦立ち止まり、迎えに行くことも必要。携帯圏外においては、ビーコン、ココヘリのスマホアプリや無線機などで、各人の位置を把握してから迎えに行くなどをした方が良いだろう。最低限、ココヘリは各自が持参する。

2. リスク:ホワイトアウトや携帯通信圏外において

視界が10m未満のようなホワイトアウト下で複数メンバーが行動する場合、仲間を見失ったり、知らず知らずのうちに別のコースへ迷い込んだり、至近距離でも仲間を見つけられずスライドしてしまうリスクが高い。強風下では10m以内の至近距離でも声が届かない場合もある。

対策:ビーコンやココヘリ機能を利用してスマホアプリで位置確認。ココヘリのスタンダートプラン以上なら、個人のスマホアプリでココヘリ所有者の位置と距離を確認できる。アイフォンならば200m、アンドロイドなら100m。携帯通信圏外においてメンバーが見えなくなった時なども応用できるだろう。

3. リスク:吹雪や雪煙下での角膜凍結(凍傷)

吹雪や雪煙下などで眼球に雪が当たり続けた場合、角膜表面が傷ついたり凍結したりして視界が徐々になくなり、最後には完全に見えなくなることがある。低温化で視界がなくなり歩行不可となれば短い時間で凍死する。また、初期症状ではホワイトアウトのような状況のため、角膜異常なのか実際にホワイトアウトしているのか自己認識が難しく、ソロでは角膜凍結による遭難リスクが各段に高くなる。

対策:サングラスでは、周囲から雪が舞い込み、意味をなさない場合が多い。周囲から雪が入り込まないゴーグルを装着する。ゴーグル装着だけでも、顔周りが予想以上に暖かくなり、視界もクリアになるため相当に精神的な余裕が生まれる。ただし、ゴーグル表面が凍結して見えなくなるケースもあるため、このような場合は電熱線付きゴーグルでゴーグル表面の凍結自体を防ぐ必要がある。そもそもそのような状況が想定される場所に遭遇すること自体が、事前の選択ミスととらえ、そのような環境が想定される場所は回避する。電熱線ゴーグルはあくまでも予期せぬ天候悪化時のお守りとして持参すべき。
また、雪洞やイグルーなどを作れるスコップを持参することで、悪天候下や角膜凍結含め行動不能時の一時避難が可能となる。日頃から雪洞、イグルー作成に慣れておくことで雪洞ならば1人で30分、イグルーならば1人で1時間程度で作成可能だが、いつの時点で作成を決断するか、そのタイミングを計ることが重要となるだろう。また、場合によっては、ツリーホールを利用した縦穴に入り込み、ツェルトで蓋をするなどの対応も有効か?
積雪が少ない初冬では、雪洞、イグルー、ツリーホールなどでの対応は不可能なので、事前に相当のリスク回避を検討する必要があるだろう。

4. リスク:低体温症

防寒着を持参していても、暴風下や雨天など、防寒着を着用できる環境ではないことも多い。そのような状況で歩き続け、いつの間にか蟻地獄のように徐々に体温が低下していくケースがある。

対策:強風が想定される稜線の前に念のため防寒着を着用するのがベスト。着用のタイミングを逸してしまった場合は、ツェルトをかぶって、その中で防寒着を着用する。ツェルトは風で飛ばないようにザックに紐で括り付けておき、そのままの状態で外ポケットやサイドポケットに収納しておくことで、強風下でもツェルトが飛ばされずに済む。ただし、この作業はそれなりの練習が必要なため、日頃からちょっとした時に試して、さらに自分なりの工夫を凝らす。
その他として、今後の試験的な対応となるが、最近はモバイルバッテリーで発熱する電熱線入りのベストなどが手ごろな価格で販売されている。多少の重量増となるが、寒い時期は出発時から着用し、体温が低下した場合にはスイッチオンにして、必要な時だけ保温するような対応はどうだろうか。今後の試験や実績など情報収集が望まれる。ただし、濡れるような状況下での使用が想定され、感電リスクもあることから、防水性能などが課題か?

5. リスク:急激な天候悪化

GWなど、1、2時間のうちに晴れから猛吹雪、ホワイトアウトへと天候が激変することがあり、通常の雲や気温変化などの感覚では対応が間に合わない場合がある。こういったことが頻発する時期の洗い出しや特徴的な気圧配置を確認・勉強し、可能な限りそのようなタイミングを避けることが一番大事。その上で、多少でも不安を感じる場合は、ある程度の対応が可能な装備を持参したり、近くに逃げ込める避難小屋のあるルートを選択したりする。また、基地としての避難小屋や雪洞を設定し、最悪の荒天下でも自分が行動可能な距離、時間を把握した上で、例えば、そこから10km以内の行動、片道2時間以内で戻れる場所まで・・・など、事前に基地からの行動制限を設ける(GWの乗鞍ではこれで助かった)。当然、そのようなことが想定される場合は、ナイフリッジや痩せ尾根、滑落箇所などの区域を荒天時に通過することがないように設定する。

この日記は、定期的に確認し、自己フィードバックし、PDCAを回すこと!!

以上
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コメント

ありがとうございます。良い学習が出来ました!
2022/7/12 18:09
kita_m-kitさん
私から見たら雲の上のようなご経験をされたkita-m-kitさんからのお言葉・・・(;^_^A。
恐縮致しますm(__)m。
自分自身も何があっているのか分からず暗中模索しながらですが、拙い経験からでも気づきや学びがあったことは反芻して、忘れないうちに記録しておこうと思っています。
もし、間違いやアドバイス、有益な周辺情報等ありましたら、ご教授いただけると嬉しく思います。
よろしくお願い致しますm(__)m。
2022/7/12 18:19
greenriverさん、とんでもない。私なんぞ、地面を這っております。いつも楽しく拝見しています。こんな山行はできたらなあと思いつつ、自分の力量を見つめ直して、こりゃだめだあって自重してます。
今回は、安全対策、特に吹雪や雪煙下での角膜凍結は興味深かったです。地獄のゴーグル、あればいいけど、その状態になる前に突っ込まないことが大切ですね。低体温症も気になる年頃ですので気をつけねばと思う次第です。 また、いろいろ教えて下さいね。
2022/7/14 19:17
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