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呑川を河口まで行こうとすると、途中から左右両岸とも立ち入り禁止になるんだけど、懲りずに左岸の裏道を行くと、どん尻の大森一中から先は川沿いの細い道(海辺の散歩路)が通れることが判明。対岸の羽田空港を横目に、道なりに曲がって行くと、首都高沿いを呑川の旧河口のほうまで抜けられる。さらに北上すると、内川の河口部にできた人工の砂浜(大森ふるさとの浜辺公園)に出る。内川を遡ると、東海道線の下をくぐったあたりから暗渠化するが、途中まで桜のプロムナードという道になってるらしい。桜のプロムナードは途中の善照寺の角で二股に分かれ、内川の本流は北向きに向きを変え、立正大付属中高の敷地を通って北馬込のほうまで続いてるらしい。今回通ったもう一方の流れは荏原病院の裏を通って洗足池まで遡る。こっちは過去に通ったことがある。
#朝ラン #早朝ラン #ランニング
オーディブルは丸山宗利『昆虫学者、奇跡の図鑑を作る』が今朝でおしまい。
わずか1年ですべての昆虫写真を生体白バックで撮るという一見無謀な試みが虫好きの大人たちを本気にさせ、万難を排して希少な種、まだ写真が撮れていない種を探し求めて野山をめぐり、子どもたちのために少しでも多くの種を掲載しようと奮闘した結果、集まった写真は3万枚以上、種にして7000種以上もあったという。生きたまま運ぶのが困難な蝶や蛾(鱗粉や体毛が簡単に剥がれ落ち、翅が脆く傷つくと、撮影できなくなってしまう)については卵や幼虫、蛹の状態から飼育・羽化して撮影用の個体を得たり、ある特定の種をどうしても載せたいからと、北海道から南の島まで遠征隊を組んで撮影旅行に行ったりして、図鑑にある1枚1枚の写真にストーリーがあり、その途方もない作業量と熱量に圧倒されっぱなし。
紙面とコストの都合で全部を掲載することはできないが、締め切りギリギリまで未収録の昆虫を掲載したい、同じ種でもよりよい写真に差し替えたいという際限のない欲求と戦い、そのたびにレイアウトを調整し、最終的に2800種に絞り込んだというだけでも気が遠くなりそうなのに、それぞれ得意分野が違うため、総勢数百人にもなる撮影隊や採集協力者、執筆陣に別々の仕事を発注し、集まった原稿や写真をすべてチェックし、子どもにもわかるように平易な言葉に直し、写真の確度や色味を調整し、誤字や脱字をチェックし、ゲラを赤字にするという工程を想像すると、正直、どうやって着地させたのか、信じられないくらい。発狂してもおかしくないレベルだと思う。自分もかなり難易度の高い本を何冊も手掛けてきたが、図鑑という未知の領域のそれは次元が違っていて、よくもまあ、そんなことができたもんだと感心するしかない。とくに監修者のみなさんと担当編集者に心の底からのリスペクトを。
同じ書き手として、この部分にはとくに共感した。
「大人向けの文章より、子供向けの文章のほうが、目的にもよるが、ずっと難しいことが多い。難しい言葉を遠まわしにならないように簡単に言い換える必要があるし、文章の展開もわかりやすくする必要がある。また、大人よりも、子どもは本物を求めている。「子供だまし」などという言葉はうそで、大人よりも子供のほうが簡単にごまかしやうそを見抜く。もともと子供をだましたいとは思わないが、何よりも誠実に表現に向き合う必要があるのだ」
受験参考書をつくった経験もあるのですごくわかるが、子供は同じ図鑑や参考書を何度もくり返し読む。真剣そのものなので、うそやごまかしを見逃さないし、つまらなければ見向いてもらえないし、ミスがあれば文句を言う。「この誤植のせいで受験に落ちたら、どうしてくれるんですか?」という生徒と電話越しに向き合わなければならないのだ。子供向きの本だからといって手を抜くなんてもってのほか。むしろ、大人向けの本以上の真剣さと誠実さで本と向き合わなければ見透かされる。そういう経験をサラリーマン編集者時代に経験できたことは、すごくよかったと思っている。
「子供だまし」が通用しないというのも、自分の子供時代を思い返しても実感できる。この年齢の子供向けにしてはちょっと難しすぎるかなという大人の配慮なんてものともせずに、子供は貪欲に吸収する。知らない言葉が出てきても、何度もくり返し読むうちに、自然と身についているものだ。むしろ、子供だからこれくらい載せておけばいいだろうという安直な態度は見透かされ、何度もくり返し読むに値しない本だと認定されると、もう見向きもされなくなる。「わからない=つまらない」というのは大人の短絡的な思考で、子供にとってはたとえわからないことであっても、それがどうやら面白そうだとわかれば、わかりたくなるし、もっと知りたくなる。たとえ一回ではわからなくても、背伸びして、わかりたいと思うのが子供なのだ。だから、専門的すぎると過度に忖度したりせず、こんな細かい話について来れるかなという心配もほどほどに、バシッと書いておく。書く側が楽しんでいれば、それは子供にもきっと伝わる。いまはわからないけど、あっちにいけば、ワクワクする世界が待っていると思えば、子供はいくらでもついてくる。そうやって、かつての図鑑少年たちは長じてから図鑑おじさんとなって、次世代へとバトンを渡していくのだと思う。
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