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#朝ラン #早朝ラン #ランニング
オーディブルはアイザック・アシモフ『銀河帝国興亡史Ⅲ 第二ファウンデーション』の続き。第2部「ファウンデーションによる探索」9「陰謀者たち」から15「格子を抜けて」まで。
ダレル博士の元共同研究者クライゼは脳写分析によってひそかに第二ファウンデーションによって脳波パターンを人為的に歪められた一連の人々を発見する。クライゼの死後、ダレルのもとを訪れた弟子のペレアス・アンソーアはその事実を伝えるが、ダレルにとって、アンソーア(とかつて袂を分かったクライゼ)は招かれざる客だった。第二ファウンデーションによる精神コントロールを調べていることが連中にバレると、今度は自分がそのターゲットになるかもしれないから。
「クライゼの闘いには分がなかったからだ。かれは強すぎる敵を相手にしていた。かれが発見するだろうと、われわれ−−かれとわたし−−が予期していたこと、つまり、われわれはわれわれ自身の主人ではないということを、かれは発見しかけていた。しかし、わたしはそんなことを知りたくはなかった!」
それで逃げたというのは口実で、クライゼのやり方ではいつか身バレして、第二ファウンデーションに取り込まれるとダレルは読んでいた。だからクライゼと喧嘩別れしたふうを装い、表舞台から姿を消して、独りきりで研究を進めてきたのだ。敵を欺くにはまず味方からを地で行くダレルの本心は誰にも打ち明けられない(これは『三体』の面壁者=ウォールフェイサーがとった行動の元ネタなのかもいしれない)。目立つことはできないから、実の娘アーカディアが窮地に陥っても、ダレルにはどうしようもなかった。
ダレルとアンソーアは、ミュール研究で知られる図書館員ホマー・マンを、スティッティン卿という将軍(第一市民)が支配するカルガンに派遣した。亡きミュールの呪いによって誰も足を踏み入れられなくなったミュールの宮殿の内部を調べるために。そこに第二ファウンデーションに関する秘密が隠されているはずだという。盗聴によってその事実を知ったアーカディアはマンの小型宇宙クルーザーに潜り込み、カルガンに赴く。なんとしてもミュールの宮殿に入りたいアーカディアは、スティッティンの愛人レイディ・カリアに嘘をつく。スティッティンが新帝国を作るのだと。それを聞いたスティッティンはのぼせて14際のアーカディアを、ファウンデーション人であり、あのベイタ・ダレルの孫であるアーカディアを娶り、自分の跡取りを産ませようと決意する。それを聞き知ったレイディ・カリアは善人を装ってアーカディアの脱出を手助けする。だが、アーカディアは見逃さなかった。レイディ・カリアの目に一瞬だけ浮かんだ非人間的な楽しみの表情を。そう、彼女こそ、第二ファウンデーションの女だった。スティッティンは彼女の繰り人形にすぎなかったのだ。そして、アーカディアは第二ファウンデーションの正確な位置を知る。アンタッチャブルなミュールの宮殿こそ、その場所だったのだ。
「彼女があんなにも抜け目なくふるまった、あのカリアとのお茶が問題だったのだ。利口で幼いアーカディア! アーカディアの内部の何かが窒息し、みずからを憎んだ。あのお茶は計略だった。そして、ステッティンもたぶん計略にかかって、結局ホマーに宮殿の中の調査を許してしまったのだ。彼女、あの馬鹿みたいなカリアが、それを望んでいたのだ。そして、利口で幼いアーカディアが絶対失敗なしの口実を提供するように、取りはからったのだ。犠牲者の心にはなんの疑惑も引きおこさず、しかも、彼女の側の感傷が最小限度ですむような、口実を。
では、なぜ彼女は解放されたのか? ホマーは捕虜だ、もちろん−−
もしも−−
もしも、自分がファウンデーションに囮として−−他の人たちを……かれらの手中に導くための囮として−−戻っていかなければ。
だから、彼女はファウンデーションに戻るわけにはいかなかった−−」
「そして、彼女はどうしても逃げなければならないと覚ったのだった。
それが何よりもたいせつだ。たとえファウンデーションのすべての陰謀者がつきとめられるとしても、たとえ自分の父親が捕まるとしても、彼女は危険を冒して、警告しにいくことはできなかったし、そのつもりもなかった。彼女は自分自身の命を賭けることはできなかった−−ほんの少しの危険も冒すわけにはいかなかった−−たとえターミナスの全領域のためであっても。なぜなら、彼女は銀河系でもっとも重要な人間だったから」
「なぜなら銀河系全体で、かれら自身は別として、彼女が、ただ一人彼女だけが、第二ファウンデーションの位置を知ったのだから」
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