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時折降る小雨の中を、呑川🌸→ガス橋🌸→桜坂🌸と巡ってきた。ガス橋の桜はまだ三分咲き? ここ数年、染井吉野がますます老齢化してきたせいか、一斉に満開というわけにはいかないらしく、明らかに往時の勢いを失ってきていて、ちと寂しい。色合いも淡く儚いピンクがどんどん抜け、死を連想させる白に近づいてる気がして、春だというのに晴れやかな気分になりにくい。いまある染井吉野をすべて別の品種に植え替えとなるとコストもバカにならないだろうけど、近隣住民に一株株主になってもらう代わりにネームプレートを掲げるなどの対策で、春桜🌸の華やかさをなんとか維持してほしいと願うのは、自分だけではないと思う。
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オーディブルは金重明『「複雑系」入門』を今朝から聞き始める。
第2章「カオス」より。
近代科学は「現象を各要素に分解し、撹乱要素を取り除いてより純粋なかたちで観察し、その本質を抉り出す」「現実を可能なかぎり小さく、そして単純な断片に切り刻んでいく」還元論に支えられていた。だから、気象学者のルイス・フライ・リチャードソンは、大気中の空気の動きを微分方程式で表現し、それを一箇所に集められた6万4000人の計算手がいっせいに手回し計算機で計算すれば、リアルタイムで天気予報ができると考えた。「リチャードソンの夢」と呼ばれる天気予報工場だ。だが、現実の天候は、どれだけ計算力を積み増したとしても、線形モデルの予測の先には現れない。初期条件のわずかな差が結果に大きな差をもたらす「バタフライ効果」があるからだ。このバタフライ効果を引き起こす力学系をカオスと呼ぶ。
「デカルトが生物を精密な機械であると考えたように、近代のパラダイムによる世界観は、いわば時計仕掛けの世界だった。宇宙はニュートンの法則にしたがって永遠に整然と運動し続ける。生物も、社会も、時計仕掛けのように整然とした法則にしたがっている。それらが突拍子もない運動をしたとしても、そう思うのは人類がまだその法則を知らないからであって、その本質を見極めればすべてを理解し、予測することができると考えていた。
時計仕掛けの宇宙に、バタフライ効果などがあっては困るのである。しかもローレンツが発見したのは、決定論的な法則に従う体系の中でのカオスであった。バタフライ効果を生むのは確率論的な現象ではない。微分方程式によって次の状態が完全に決定されているにもかかわらず、カオスが生まれるのである。カオスをつくり出すのに、神はさいころを振る必要さえないというのだ」
宇宙に太陽と地球だけしかなければ、万有引力の法則と運動方程式によって微分方程式をつくることで完璧な答えが得られる。だが、もう1つ増えたらどうか。太陽と地球と火星の関係について考える「三体問題」は解けない、といったのはポアンカレだ。三体問題はカオスを引き起こす。
第3章「フラクタル」より。
1本の線分を三等分する2点を底辺とする正三角形を描く+底辺を消す、という動作をくり返すと、「コッホ曲線」と呼ばれるフラクタル図形(あらゆる部分が全体と相似形である図形)が現れる。コッホ曲線はたしかに左右の端がある曲線だが、どれだけ拡大しても相似形が現れるため、長さは無限大となる。また、コッホ曲線の一端を0とし、曲線上の点の座標を求めようとすると、2点間の距離は無限大になるため、1つの座標で表現できない。だから1次元ではない。では2次元かというと、どう考えてもコッホ曲線は面積を持っていないから2次元でもない。1次元と2次元の中間の次元らしいが、そのままではわからないので、次元の定義を拡大してフラクタル次元(相似次元)を導入する。コッホ曲線は3倍に相似拡大したとき、それを埋めるためにもとの図形が4つ必要なので、4 = 3^d からd(フラクタル次元)を求めると、log4 = log3^d よりlog4 = dlog3 よりd = log4/log3 ≒ 1.262 となる。
「目の前にあるう有限の存在であるのに無限の長さを持ち、整数ではない次元を持つというコッホ曲線のようなフラクタル図形は、近代のパラダイムにとって実にやっかいな存在だった」「フラクタル図形は、どのような微小部分をとってきても、全体と相似になる。つまり、微分という方法ではまったく歯が立たないのだ」
前述のリチャードソンはイギリスの海岸線の長さを異なる単位で計測し、小さな単位で計測するほうが無限に長くなることを発見した。地形がユークリッド幾何学とは異なる振る舞いをするのは、それがフラクタル図形だからと結論付けたのはブノワ・マンデルブロ。(ただし、実際の海岸線や、現実に存在する物質は原子や分子という限界があるため、無限小の部分まで自己相似であるというフラクタルの定義を満足することはありえない。その場合はフラクタル的な構造を持っているという)
「生成文法で名高いノーム・チョムスキーは、よく言語を雪の結晶にたとえていた。(中略)雪の結晶と言語との共通点は、①双方とも完全な自然法則に従う、②双方ともフラクタル構造を持つ、③双方とも無限のバリエーションを持つ、だという。
人間の赤ちゃんの脳には言語を理解するプログラムがあらかじめ入力されている。それが生成文法だ。生成文法はきわめて単純な基本構造を持っており、赤ちゃんに入力されている法則はごくわずかに過ぎない。すべての言語はこの基本構造によってつくられている。そして、基本工房の要素となる句がまた同じ基本構造を持っている。さらにその要素となる句もまた同じ基本構造を持っているというように、まさにフラクタル構造になっているのだ。
このフラクタル構造によって、言語は有限の音素をもとに無限を、森羅万象を表現できるのだ、というのがチョムスキーの主張なのだ」
3リットルほどの器官である人間の肺が、その中にある肺胞を広げるとテニスコート大の表面積を持っているのも、フラクタル構造ゆえ。肺のフラクタル次元は約2.17で、フラクタル次元が大きいほど表面積が大きくなるが、同時に局面の凹凸が激しくなって空気の流れが妨げられるので、2.17という値に落ち着いたのではないか。
シェルピンスキーの三角形:三角形の各辺の中点を結ぶと、もとの三角形と相似(相似費2:1)の4つの三角形が現れるので、真ん中の三角形を取り除く。残された3つの三角形に対して同じ操作をくり返すと、Snの面積=(3/4)^nとなるが、n→∞のとき、面積は0になってしまう(矛盾)。Snの辺の長さ=(3/2)^n となり、n→∞のとき、長さは∞となってしまう(矛盾)。もとの三角形を2倍に相似拡大した図形を埋めるのに、もとの図形が3つ必要になることから、3 = 2^d よりフラクタル次元d≒1.58となる。
シェルピンスキーのカーペット:正方形の各辺を3等分して、向かい合う3等分点をむすびと、正方形は9つの小さな正方形に分割される。そのうち中央の正方形を除去し、残った正方形すべてに同じ操作をくり返すと、この図形も面積が0になってしまう(矛盾)。フラクタル次元は、8 = 3^d より、d= 1.89となる。
メンガーのスポンジ:シェルピンスキーのカーペットの立方体版。体積は0。フラクタル次元d ≒ 2.73となる。
バーンズリーのシダ:コッホ曲線と同じく数式を用いてコンピュータで描画する。
ジュリア集合、マンデルブロ集合。フラクタルの現代的な定義:「整数ではない次元を持つ図形」。現象を細かく分解していけばやがて単純な要素が残る。分析を進め、夾雑物を取り除き、本質を抉り出すという近代のパラダイムでは、いくら拡大しても複雑さが完璧に維持されるフラクタルを解明することはできない。
第4章「ライフゲーム」より。
ジョン・ホートン・コンウェイのライフゲーム:ルール①セルが黒の場合、それを取り囲む8つのセル(ムーア近傍とよぶ)のうち黒が2つか3つあれば黒のまま、それ以外は白になる。ルール②セルが白の場合、それを取り囲む8つのセルのうち黒が3つの場合だけ黒になり、それ以外は白のまま。
→4つの黒のセルが正方形に並ぶと、その4つは黒のまま永遠に変化しない「ブロック」となる
→3つの黒が横並び(または縦並び)になると、横並び→縦並び→横並び→……を永遠にくり返す「ブリンカー(点滅機)となる
「平面上に適当に黒のセルをばらまいてゲームをスタートすると、黒白の生成消滅が繰り返される華麗な饗宴がくりひろげられるが、しばらく時間がたつと大体の場合、ブロックのように固定された形か、ブリンカーのように周期的に同じ形にもどる形だけになって落ち着く」
セルの近傍の状態によって次のセルの状態が決定される離散力学系を「セル・オートマトン」といい、ライフゲームはの2次元(平面)セル・オートマトン。きわえて単純な規則から、予測不能なパターンが生成されるゲーム。
・永遠に変化しない個体物体には、ブロックのほかに、4つの黒による「タブ」、5つの黒による「小舟」、6つの黒による「船」「バージ(はしけ)」「へび」「航空運搬車」「蜂の巣」、7つの黒による「イーター」などがある。
・特定の動きを永遠にくり返す振動子には、ブリンカーのほかに、「ひきがえる」「ビーコン(無線標識)」「時計」、時刻2で時刻0に戻る「パルサー」などがある。
・アメーバのおゆに見をくねらせながら移動していく「グライダー」や「宇宙船」もある。グライダーはイーターにつかまると食べられてしまう。グライダー同士の衝突には73種類のパターンがあり、その中には、2つとも跡形もなく消えてしまう「消滅」、一方は消え、もう一方は進行方向を90度変えて進んでいく「キックバック」がある。
・グライダーを生み出し続ける銃「グライダー・ガン」もある。無限に続くグライダーの列を(1,1,1,……)という数列と考えると、グライダーがいない空白は(1,0,1,1,……)のように表記できる。グライダーの列は1と0の数列で表すことができる→0と1ですべてを表現するデジタルデータの役割を果たすことができる→グライダーの列をライフゲームの空間に投げ込むことによって、別の場所にいるゲームのプレイヤーにあらゆるデジタルデータ(文字、音声、画像など)を送信できる。→さらに、グライダー列による論理ゲート(NOTゲート、ANDゲート、ORゲート)を考案したことで、チューリング完全のライフゲームができあがり!
グライダーを衝突させることで任意のパターンを作り出せる。ライフゲームには任意のパターンをつくり出す万能建設機械が存在するだけでなく。ライフゲーム上で自己再生可能なパターンも存在し、そのパターンは自分自身よりも複雑なパターンを生成することも可能だという。ただし想像を絶する広さの空間(おそらく宇宙全体でも足りないくらいの空間)が必要だが。
「ライフゲームはきわめて単純な規則でつくられた、完全に決定論的な世界である。それにもかかわらず、それが生み出す複雑さはわたしたちの想像を超越する。そこには、「生命」ともいいうる自己再生パターンが生息し、それが進化していくことすら可能だというのだ」
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