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#朝ラン #早朝ラン #ランニング
オーディブルは神林長平『グッドラック 戦闘妖精・雪風』の続き。
「中将がその吉兆天使の名(天使ガブリエル→ギブリール)にふさわしい男かどうかは別にして、それでも彼は唯一絶対神を信仰している信者だと少佐から聞かされた零は、自分はそうではなくてよかった、と少佐に言ったものだ。
自分は、そういう絶対者と契約はしていない。だからその恩寵は受けられない。そのかわりそれを裏切ったときの天罰もない。するとブッカー少佐はあきれたように答えた。神は直接手は下さない。おまえは信者に殺されるかもしれないし、そこまでいかなくても反感を買うだろう、そんなことは信心深い者に言ってはならない、と。
むろん、わざわざ他人の信仰にけちをつける気などない零だったが、もし他人から『信じないと天罰を受けるぞ』と言われたならば腹が立つだろうと思った。そんなことは、信者であれ教祖であれ、人間から言われたくはない。人間というのは、思いどおりに操れない他人を支配するためにはどんな理屈でもこねるものだ。仲間に引き込めないとなれば、排除しようとする。絶対者が存在するか否かが問題なのではない。存在するならば、その力は人間など介さずに作用するだろう。天罰が下る、などと人間があえて宣言することはないし、だいたい天罰を下すべきかどうかなどという判断を人間が下すなどというのは僭越というものだ。絶対者の意思は、おそらく信者個人の思惑などに左右されたりはしない。ようするに個々の人間などには関心がない。だからこそ畏怖すべき対象になり得るのだ。そんなものはしかし実在性としまいと、信じようと信じまいと、どちらでもたいした違いはない。どのみちその意思は人間側でコントロールできないのだから、信じる者たちの集団が、人間次元での関係において利益を受けるかどうか、という問題でしかない。その仲間になって安心を得たいものはそうすればよく、それがわずらわしいと思う者は、近づかなければいい。それだけのことだ。」
FAFにすでにジャム製の人間のコピーが浸透しているとすれば、それをあぶり出すにはどうすればよいか。いまのところ雪風やコンピュータには人間とコピーの見分けがつかないようだ。だとすると、人間がうまく対処できなければ、コンピュータは区別することをあきらめ、人間全部を排除しにかかるかもしれない。ただでさえ脆弱な肉体と遅々とした処理能力しかもたない人間は用済みになりそうな瀬戸際にいるのに、見分けのつかないそのコピーが内側から破壊工作をするのを止められないなら、人間など百害あって一利なしの存在になりかねない。人間にまぎれ込んだコピー候補を内密に監視対象とするための秘密のトップ会合が開かれたが、それを狙ったかのように、ジャム戦隊が基地に攻撃をしかけてきた。会合が開かれると知っていたのはごく一部。その中にもジャムに通じた者がいることになる。対ジャム戦はいまは、人間同士の高度な諜報戦の様相を呈してきた。
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