雪の伊吹山
2013年1月3日、昨年と同じ日にカンちゃんと登る事にした。朝6時に自宅を出発。名神高速に乗り、カンちゃんと話しをしていて関ヶ原ICで降りるのをつい通り過ごし、米原まで行ってしまう。登山口の民宿の裏庭に車を停めると、ばあさんが出て来て誘導して呉れる。ばあさんの話しでは、年末に雨が降って雪が溶けてしまったとの事。8時、登山口の階段を登り始める。登山道には全く雪は見られない。ハードシェルを着ているので汗ばんで来る。40分程で1合目に到着。枯れ草のゲレンデが広がるのみで、ここでも全く雪は無い。ひと休みしてミドルウェアーを一枚脱ぎ、ザックに納める。2合目まで登るとチラホラと雪が見え始める。風も強くなり、3合目になるとさすが積雪があるが、枯れ草はまだ埋まっていない。その分、ガスの中ではあるが登山道もはっきり判り、迷う事は無い。なだらかなゲレンデを登り、リフト降り場から山道に入る。9時45分、5合目に到着。風を避け、建物の裏手に回り、ここでアイゼンを装着。立ってみると何だかおかしい。アイゼンが靴の長さに合っていない。この12本歯、古い冬靴に合わせたままで、昨年新調した冬靴には長すぎる。手袋をはめたまま調整しようとするが、微妙な作業が出来ず、アイゼンはあきらめ、つぼ足で登る事にする。夏道を通って6合目の避難小屋に到着。つぼ足でも何の問題も無い。小屋に入ろうとするも、土間で靴を履いている人や、立って食べている人がいて、しばらく外で待つ事にする。待っている時間がもどかしく、小屋には入らずそのまま登る。夏道をひと曲がりすると、踏み跡は真っ直ぐ上に伸びている。横殴りの雪が顔を叩く。この急登、つぼ足では滑り、これから先さらに急登になる事を考えるととても登ることは出来そうにない。ここで登るのを断念し避難小屋に戻る。11時25分、靴を脱いで小屋に入りひと息つく。味噌汁を作り、オムスビを頬張る。頑丈な小屋の中は、隙間風もなく手袋を脱いでも問題はない。アイゼンの長さを調整しピッタリ合うようになったが、もうこの時点では登る意欲は失せている。アイゼンを着けて12時10分、下山開始。猛烈な風が目を打ち、吹雪で視界が効かない。立ち止まって手を掲げ、雪を遮り行く手を見定める。5合目から林の中に入ると風も弱まりひと安心。3合目からもアイゼンを着けたまま下る。登る時には枯れ草だった1合目はすっかり雪に覆われ、白銀の世界に変わっていた。ここでアイゼンを外し、14時18分、無事登山口に降り立った。車は10cmほど雪を冠り、民宿のばあさんが、「あなた達より後から登った人が先に帰ってきたよ」。わたし達より軟弱な人が居たことを知り、慰められる。しかし、このままでは今年一年乗り切れない。近いうちに必ずリベンジするぞ。
天気予報では5日の土曜日が晴れるとの事。まだ2日しか経っていないが、リベンジする事にした。2013年1月5日、6時過ぎに自宅を出発し、今日は間違えずに関ヶ原ICで名神を降り、7時過ぎに民宿に到着すると、裏庭はすでに数台が停まっていて先日とは大違い。ばあさんに聞くと、昨日は全く良い天気で雪は降らなかったと云う。3日に降った雪はしっかり固められているだろうから、アイゼンだけで大丈夫だろう。7時31分、登山口の階段を上がる。登山道には雪が積もっているが、つぼ足で充分。8時5分、1合目に到着。ゲレンデは真っ白。青空の下、何人もの人が登っているのが見える。ミドルレイヤーを1枚脱いでザックに納め、ベンチに座ってアイゼンを装着する。この間にも何人も上がって来る。1合目のゲレンデ、しっかり踏みしめられたトレースを辿って登る。スノーシューや輪カンの若者が多く、男女混じって楽しげに声をあげ青春を謳歌している。9時15分、3合目のトイレの前でひと休み。ここでも若い男女が嬌声をあげている。この連中、果たして頂上まで登れるのだろうかと思いつつ、わたしはひとり気の向くままに自分のペースで登る。4合目から登山道に入り、9時45分、5合目に到着。ベンチに腰をおろしてひと休み。青空ではあるが山にはガスがかかり、登って行く人の姿を消す。ここから6合目まで、先日は夏道を通ったが今日は冬道。10時8分、6合目の避難小屋の横でひと休みし、これからの登りに備える。冬道の直登、一歩一歩ゆっくりと登る。ガスが掛り、先行する人の姿も見えない。一昨日登った場所は過ぎただろう。振り返っても真っ白で何にも見えない。30分程登るとガスが消え、琵琶湖が現れる。冬道の直登、徐々に勾配が増す。さらに30分程登ると低木帯となり、枯れ木ではあるが、もう芽が出始めた枝に掴まり這い上がる。低木帯を抜け、見上げると、9合目の凹んだ稜線が見え、そこまでは真っ白な雪を冠った急登。最後のひと踏ん張り、と思うがなかなか足が進まない。重い足を一歩づつ運びあげて11時34分、ついに9合目に登り着いた。ここまで来れば登頂したも同然。平らな雪道を歩いて11時43分、伊吹神社に到着。えびの尻尾を付けた閉鎖中の土産物屋が並ぶ裏手に回り、雪に覆われたベンチにザックを下ろし、ザックの上に腰を下ろす。霊仙を眺めながら、という訳にはいかない。ガスがかかって真っ白。でも、上空には青空、無風。毎年冬に登っているが、こんな穏やかな伊吹山のテッペンは始めての経験。味噌汁とコンビニ弁当を食べ終わり、食後のコーヒー。持参したお茶は280mlの小さなペットボトルのみであるが、これも飲み干す。雪原にはうさぎの足跡。えびの尻尾を纏ったヤマトタケルにご挨拶。揖斐の山々には薄っすらと雲が掛かり、琵琶湖には竹島が浮いている。しばし頂上で過ごし12時21分、下山開始。9合目までの道筋、多くの人と行き交う。9合目からの下山は夏道に入る。皆さん下山に使っているようで、しっかりした踏み跡が出来ている。冬道を見ると、ヒトヒトヒト。急坂を登るヒトが一列につながっている。途中から夏道を辿らず、新雪を蹴散らしながら真っ直ぐ下る。気っ持ちい〜い!下るにつれ、広い斜面には至る所に踏み跡が出来、それに混じってスキーやシリセードの跡。 喉が渇くが飲み物はもう無い。新雪の表面を払い、中の雪を掴んで食べる。これなら水は持参しなくても大丈夫。13時、5合目のベンチに座ってひと休み。山スキーで上手に滑って来る人、ボードで豪快に降りて来る人など、様々に楽しんでいる人たちを眺めていると、なんやかんや云っても世のなか平和だ。林間の登山道を下り、4合目へ。3合目では休まずそのまま下り、13時59分、1合目のトイレの前でアイゼンを外す。1合目からは雪が少なくなるが、日陰で凍りついた所もありスッテンコロリ。以後慎重に下り、13時25分、無事駐車場に帰り着いた。
高速道路の電光掲示板に、「羽島IC〜一宮IC 9km渋滞」の案内あり。まさに丁度、羽島ICから渋滞が始まり、わたしはこれをすり抜けて名神を降り、すいすいと帰宅した。今年1年、良い年になりそうだ。
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