久し振りの「最近読んだ本」。
前回以降に読んだのは内外のミステリーを数冊、辺見庸さんの著作が何冊か、早川書房の「<数理を楽しむ>シリーズ」も何冊かと、相変わらずの統一感の無さ。 今更ここに挙げても仕方ないので、最新の1冊のみを。
「悪魔の日記を追え FBI捜査官とローゼベルク日記」 ロバート・K・ウィットマン/デイヴィッド・キニー著 柏書房
副題から、ミステリーの要素があるノンフィクションを想像したが、著者が何を言いたいのか、よくわからなかった。
帯には「ヒトラーの思想をささえた、アルフレート・ローゼンベルク」「狂気の独裁者に従う凡庸な夢想家を裁くのは、故国を追われたひとりの男。」とある。 夢想家とはローゼンベルク、それに対するロバート・ケンプナー。 最終的には二人は被告と検察官として対峙する。 これはその通りで、要するにFBIを謳った書名が内容にそぐわないのだと思う。 そこに期待したら裏切られる。
また、ナチの反ユダヤに関する記述は興味深いのだが、ローゼンベルクとケンプナーのどちらも、その生き方、人間性に共感できず、なかなか読み進めなかった。 ナチが権力を握った時代のエピソードとして読むのなら価値があるかもしれないが、その時代のことならば、以前読んだ「ベルリン1933」(クラウス・コルドン)の方が、時代/社会の暗黒さがひしひしと感じられて、より考えさせられた。
数年前、アイヒマンの裁判を見つめたハンナ・アーレントの映画を観たが、そのキーワードが「悪の凡庸さ」だった。 ナチに関わる「凡庸」という言葉が共通することから、この本を手にとったのかもしれない。
ハンナ・アーレントといえば、Eテレの「100分de名著」で今回とりあげるのは、彼女の「全体主義の起原」。 どんな内容なのか、楽しみだ。
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