最近の本の購入はもっぱらAMAZONだけれど、昨日は久しぶりに本屋に行った。
いろいろと物色していると、文庫本の棚の傍らに「絶望小説フェア」と銘打った平積みのコーナーがあり、その中に中上健次の「枯木灘」と高橋和巳の「悲の器」が並んで置かれていた。
中上氏の生前、氏の著作を愛読した。 多分、新旧含めて手に入るものは全て読んだはず。 高橋氏の場合、最初に読んだ(読もうと思って買った)「孤立無援の思想」を手に取った時には、氏は既に物故されていた。 40年以上前のことだ。 「孤立無援の思想」は二十歳そこそこの理系の人間には難解で、読み通せなかった。 「小説なら少しは読みやすいかも」と思って読み始めたのがこの「悲の器」だった。 AMAZONにある河出文庫の内容紹介には
正木典膳は法学部教授。神経を病んだ妻をもつ彼は、
やがて家政婦と関係を持つ。 しかし妻の死後、彼は
知人の令嬢と婚約し、家政婦から婚約不履行で告訴さ
れる。 三九歳で早逝した天才作家のデビュー作と
なった第一回文藝賞受賞作。 戦後文学の金字塔!
あるいは
一九六二年、第1回文芸賞を受賞した若き著者の
デビュー作。 法学博士・大学教授の正木典膳は、
家政婦から婚約不履行により告訴される…スキャン
ダル、周囲からの孤立、 そして破滅。 戦中・戦後
の日本社会の変動と知識人の内的葛藤を重層的かつ
スリリングに描いた長篇傑作。
とある。 その内容もさることながら、重厚な文体に圧倒され、かつ魅了された。 そこで、当時出ていた文庫本や単行本を読んでいると、河出書房から全集が刊行されることを知った。
全20巻で1冊3500円、全部で70000円。 40年前の薄給の頃、いかにも高額だ。 現在であっても手を出しにくい。 確か毎月1冊か2冊ずつの刊行で、言ってみれば分割払いだから買えたのかもしれない。 で、読み通したかといえば、まだだ。 ただ、そうなることは最初から想定していて、定年後にゆっくり読めばいいという思いがあったのも事実だ。(ちょっと言い訳っぽいけれど)
同じような思いで購入した岩波講座「日本歴史」とか「文学」も読まれるのを待っている。 サラリーマンではなくなってしまったので定年は無いが、そろそろ読み始めないと、残された時間は限られている。 本当に久しぶりに行った本屋での再会は何かの啓示かもしれない。 少しずつでも手に取っていこう。
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