丹沢の沢名を調べにあちこちへ訪問

沢歩き、特にマイナーな沢を歩くと、その沢名を知りたくなります。すでに既知の沢名は、レコや他人のブログ、地図、堰堤や橋の銘等を参考にしています。先日、寄の中津川水系の杉ノ沢からジダンゴ山へのマイナーな沢を上がった折、その沢が「ローマン沢」と言うことを知りました。沢や山名などは昔から、地元で呼ばれているのが普通なので、こんな外国語のような沢名があるのか？不思議でした。そこで、調べ方が分からず、秦野市役所、松田町役場、東京神奈川森林管理署、清川村役場、開成町合同庁舎の工務部などを訪問して調査しました。ある役所で、ゼンリンの住宅地図を見せていただき、そこに確かに「ローマン沢」という名前を見つけました。「ローマン」等と言う言葉が大昔にあったのか？という疑問もありましたが、詰め上げる山が「ジダンゴ山」です。従って、大昔に「ジダゴンと言う人物が仏教を広めに来た」という話がジダンゴ山頂にあるので、きっとその頃一緒にこの言葉がもたらされたのかな？と思っています。

ちなみに、ある役所にあった地図には次のような沢名の差がありました。
（玄倉川系）：竜が馬場沢→滝が馬場、小丸沢→コンツハ沢、オガラ沢→オガ沢、八代沢→代沢、アッチ沢→マッチ沢、女郎小屋沢→女郎子尾沢、茅ノ木棚沢→カヨキタナ沢
（寄、中津川水系）：滝郷沢→ヒノキダケ沢、山ノ神渡ノ沢→水乾沢
（皆瀬川水系）：柏山沢（オオタ沢）→栢沢、ヘイソ沢→浜ッ沢
（河内川水系）：篠大慈沢→深大沢
（大又沢系）：カワゴノ沢→花釣沢
などのように、かなり違いがありました。

また、堰堤などの銘はどのように命名するのかと言うと：自分は、県が業者に発注する時に、きちんとした仕様書や指示書（当然、地図や歴史や地元の話などを考慮したもの）があり、それに従って命名、製作するものと思っていましたが、役所の人の話から推測すると、実際にはそんな細かなものは無く、従ってそんな指示書も保存しては無く、結局、その銘の信ぴょう性はそれほど高くは無いことが分かりました。従って、完全に信用して良いものでもなさそうでした。

自分には現在、沢名について幾つか疑問があります：
（１）表丹沢に詰め上げる沢で、「堂屋敷沢」と言うのがありますが、この名前は地図などには書かれていますが、堰堤や橋などは全て「新田沢」です。地元の人に聞いても、堂屋敷沢と言う名前を知っている人は半々で、その周辺に堂屋敷を連想できるものは全くないということでした。どうしてこの沢名ができたのでしょうか？
（２）黒岩から唐沢川を遡行すると、唐沢川と物見沢へ分岐する手前の堰堤に「桑ノ木沢」と言う銘が刻まれています。右股が唐沢川ですが、左股（鍋嵐に詰め上げる本流）にはどの地図にもブログなどにも沢（川）の名前がありません。左股の右岸に落ちる支沢には、上流から、地獄沢、水無沢、吉野沢、一ノ宮沢、覗ノ沢があります。自分はその本流が「桑ノ木沢」だと思っていますが、どうでしょうか？
（３）世附の浅瀬から歩き、芦沢橋を過ぎると、「サルウツ沢」「峯坂沢」「山百合沢」「不動日影前沢」「湯ノ沢」「不動日影後沢」「広河原沢」と続きます。そしてサルウツ沢に架かる橋の名前が「湯ノ沢橋」ですが、これがしっくりきません。そのすぐ先にある峯坂沢は沢床が白くて、まるで湯の花があるような、つまり、この沢が湯ノ沢ではないかと思っています。さらに、「不動日影前沢」「湯ノ沢」「不動日影後沢」の順序が気に入りません。当然この順序だと、「不動日影前沢」「不動日影中沢」「不動日影後沢」となるはずです。つまり峰坂沢は湯ノ沢の間違いではないのか？と思っています。また、峰坂沢は湯船の稜線の反対側にあるので、同じ沢が二つあるのも、なんとなくしっくりきません（コシバ沢のような例もありますが）。

これ以外にも、山の名前や峠の名前など、たくさんわからないことがあります。

長くなりましたが、今回訪問した各役所の方々には、お忙しい所、大変ご丁寧に対応していただきました。改めて御礼申しあげます。

（後日談）神奈川県は堰堤／谷止を発注する際、その銘板に対する指示書などは無く、口頭で連絡する様な事を言っていましたが、実際に施工業者によると、入札から終了まで、きちんとした契約書や施工完了に伴う検査などがあるので、堰堤の銘板のデザインの指示書類は必ずあるという事でした。それなしでは、完了に伴う支払いなどはもらえないとのことでした。
（後日談）堰堤や橋などに刻まれる沢名は、流域名が記載されるようです。流域名は個々の沢の名前とは異なる場合があることも分かりました。