さて、昔と今の登山技術や知識を一つずつ真面目にチェックしておりますが、浦島太郎の私がまだまだ分かりにくい言葉の一つが「レイヤリング」というものです。
ハードシェルとかソフトシェルとかいう言葉の「ソフトシェル」なんぞは数年前には訳が分かりませんでした。最初は中華料理のソフトシェル・クラブだと思ったぐらいです。
そのあたりの言葉の問題はだいぶ解決しましたが、「ベースレイヤー」についてはまだかなり頭を悩ませております。
昔の冬山では、あったかい下着というのは、「ラクダのシャツ」や「ラクダのももひき※」といったウール100%の物でした。(※私は”ももひき”を”モモシキ”と言っておりました。)
たいていの仲間たちはオヤジの古いラクダのシャツをもらっておりましたが、金持ちのお坊ちゃマン君なんぞはカシミヤの高級な下着を父親からもらってとても羨ましかったものです。(女の子は毛糸のパンツを本当にはいていた子もいました

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ともあれ、皆さんは実際のところ、冬山ではどういうレイヤリングをしていらっしゃるのでしょうか?
安いところではユニクロのヒートテックとか、有名どころではミズノのプレサーモとか、モンベルのジオラインとかスーパーメリノウールとか…。さらには、ファイントラックのドライレイヤーの機能性まで含めると、何を選んでいいのか迷います。
そこで少し調べたのですが、私たちが「ラクダのももひき」と呼んでいた本物の「ラクダのももひき」や「ヤクのももひき」が今でも通販で買える時代なのですね。昔のラクダの値段に比べて高いか安いのか分かりませんが、モンベルのスーパーメリノウールEXPとかミズノのプレサーモのヘビーウェイトも値段が高いので、逆にそういう「本物のウール」の物も値段的にも選択肢になってくるように思うのです。ヒマラヤのヤクのももひきは魅力を感じます。
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実は私はユニクロのヒートテックの「エキストラウォーム」という商品を昨年末からパジャマがわりに利用しているのですが、これが結構あ・っ・た・か・い!
ユニクロの宣伝では従来の製品より1.5倍あったかいということですが確かに私もそう思います。値段もお値打ちだし平地での日常生活なら問題ないように思います。
同じような「発熱繊維」を売りに出しているのがミズノの「プレサーモ」です。しかしながら、製品仕様を調べてみると「プレサーモ繊維」の含有率は9%〜16%と意外と少ないのですね。その他の含有率はポリエステルが多い感じです。
ただ、ミズノさんが強調する内容はともかく、「吸湿発熱」というのは全ての繊維がもっている現象です。ウールはその特性が強いので昔から「ウールは濡れても冷たくならない」ということでウールは冬山では必須のアイテムでした。とくに手袋なんぞは。
このあたりを考えてみると、汗をかく行動状態ならすでに体は暑いので水分を吸って発熱するという「吸湿発熱」という機能性は原理的には不要である訳です。つまり、行動着において発熱下着である必要性は必ずしもないように思えます。ポイントは汗冷えやシュラフに入っている間つまり寝ている間の”あったかさ”や”快適性”が問題であると思う訳です。
日常生活ではヒートテックの「エキストラウォーム」は安価で快適ですが、濡れた場合や冬山の寒い夜、本当に最適な製品はなんだろう?という素朴な疑問が湧いてきます。
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昔からウールの長所は、「濡れても冷たくならない」というものでした。そのことが私たちの信じる所だったので、ウール100%から外れた製品以外のモノは中々信じがたいのが今でも本当の気持ちです。
その点では、モンベルの「スーパーメリノウール<ミドルウエイト>」は、メリノウール100%です。不思議なことに、その上位のモンベルの<エクスペディション>のメリノウール含有率は79%です。
人間の体脂肪率のように、重さと含有率を掛けると含有量が分かりますが、計算してみると、メリノウールの含有量は値段とは逆転してしまいます。
つまり、モンベルの「スーパーメリノウール<ミドルウエイト>」の方が値段が安くてもメリノウールの含有量が高いことが分かりました。
実際、私はモンベルの「スーパーメリノウールMW」と「ジオラインMW」とユニクロの「ヒートテック」を買ってみて、それぞれの違いを山で体感しましたが、モンベルの「スーパーメリノウールMW」は良いと感じています。ミズノの「プレサーモ」やモンベルの「メリノウールEXP」は試しておりません。
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さらに浦島太郎が頭を痛めているのは、ファイントラックのレイヤーに対する考え方です。ファイントラックでは5レイヤーというレイヤリングを提案しております。
昔の山は、ウールの下着とウールの登山服があればその上はオーバヤッケ(ゴアやエントラント)で良かったのです。それで寒ければウールのセーターや羽毛服を持っていきました。
どちらにしても、ファイントラックの提案の下地は、「ドライレイヤー」というものです。ファイントラックの宣伝では、吸湿素材の下にドライレイヤーを着ることで、「汗冷え」を減らすことが出来るというものです。ほかにも冬山にも使える機能性が書かれております。
私もその宣伝文句にほだされてお金がないのに幾つかのドライレイヤーを買ってみましたが、正直な感想は伸縮性が少ないので着心地が悪いと思いました。長袖、半袖、タイツやブリーフまでも揃えましたが、正直な感想は夏山向きなのかなぁ〜と思っております。まだテストとしてはあまり使っておりませんが、ヨーロッパ遠征の30時間を超える長時間の行動時間で使ってみてもよく分からないのが実際の私の感想でした。とくにブリーフはいらないと強く思いました。製品では手袋までドライレイヤーがありますが、試してはおりませんが、昔のハンガロン手袋の下にはめたらどうなんだろう?と思ったりします。冬山で手がかじかんたときには股ぐらや口の中に手を入れておりましたが、そういう状態のとき、ドライレイヤーの手袋は必要なんだろうか?という素朴な疑問が湧いてきます。
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そんなこんなで、様々な会社の様々な製品がありますが、最初にもどって何を選んでいいのやらこんがらかっているのが実情です。
さしあたっては、夜間寝ているときの気温がそれほど低くなかったり深刻に濡れなければ別段なんでもいいのでしょうが、問題は、低温下や濡れたときにどうするのか?着乾かす方法がいいのか?薄い乾いた予備のウール製品を持参した方がいいのか?といった点がポイントになるように思っております。そのとき、ファイントラックのドライレイヤーがいいのか、ウールや発熱素材の製品を直接着た方ががいいのか?という点が難しいです。宣伝にほだされてしまい、今の私にはなかなか分かりにくい問題になっているように思います。
今の人たちは軽量化とあわせて合理的な考え方をしているのでしょうかね?
rrrrrrrrrrrr
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