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[b]もっとも大切なこと[/b]
さて、クライミングロープの知識として最も大切なことは“強度”についての知識です。難しいことは抜きにして、岩登りをする人もしない人も、一般的な登山の知識として最初に覚えておいて欲しいことがあります。世間では中々教えられていないように感じますがロープの知識として最も大切なことです。
それは、[b]「ロープは真っ直ぐに伸ばした状態が最も強い」[/b]ということです。
このことを知っていると色々なロープの結び方やビレイなどのロープワーク(ザイルワーク)の理解が進みます。
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[b]キンクは危険[/b]
左の写真Aを見て下さい。
これが10ミリのロープが真っ直ぐに垂れている状態です。この状態の強度が最も高い訳です。
左の写真のBを見てください。
これは「キンク」という「ねじれた状態」です。普通は「キンク」と呼びます。この状態だと、強度は真っ直ぐの状態に対して50%〜80%ぐらい落ちると言われています。
左の写真Cを見てください。
これも「キンク」です。これだけのことでもロープの強度は大きく落ちると言われています。登山知識として、キンクはロープの切断の大きな原因になるということを覚えておいてもらえればいいです。(※ただし、最近のロープは細くてもちょっとやそっとでは切断しません。ただし劣化したロープは危険です。)
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[b]ロープの結びの強度について[/b]
クライミングロープ(ザイル)を使って登攀する人もしない人も、何らかの形で「結ぶ」ことは登山では多用しますね。テントの張り綱とか荷造りとか、洗濯ロープを張る場合でも色々なロープの結び方を知っていると便利です。そうゆう「結びの強度」についての話です。
真ん中の写真のDを見て下さい。
これは「フューラー結び」という結びの基本です。誰でも生まれて初めて結んだのはこの結び方です。色々な別名が付いています。バカでも出来ることから「ばか結び」とも言いますが今ネットで検索すると検索できません。今の時代はこういう差別用語は使ってはいけないのかもしれません。素直に、フューラー結びとかフューラーノットと呼んだ方が無難なようです。
真ん中の写真Eを見てください。
これは「8の字結び」と呼ばれている結び方です。輪っかにして「二重8の字結び」として登山では最も多く利用される結び方です。数字の「8」の字に似ているからそう呼びます。
なぜこのような結び方を紹介したというと、「8の字結び」の方が直線距離が長くて「フューラー結び」よりも強度が高いと言われているからです。グニュっと曲がっている部分が少ないだけ強度的に強い訳です。今回の座学ではこのことが一番お伝えしたい内容です。
結びが作ってある状態でロープに強度をかけていくと必ず結びの所でロープは切断してしまいます。釣りのテグスでも同様です。どんな紐でもそうです。少しでも強度を上げる為に右の写真のようにロープで輪っかにする場合は少しでも直線的な「二重8の字結び」をよく使う訳です。
※二重8の字結びは、強度があるだけでなく”ほどけやすい”という長所もあります。ロープは結びに力が掛ってしまうと固まってしまって、なかなかほどけません。そのためにほどけやすい結び方を使っている訳です。(※ほどけやすい結び方はボーライン(ブーリン)が代表選手です。)
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[b]輪っか(ループ)の結び方[/b]
右の写真を見て下さい。
輪っか(ループ)にする結び方には、フューラー結び、二重8の字結び、ボーラインノット(ブーリン)、エバンス、二重結びなどがあります。この中でクライミングロープとしてはエバンスは初心者は使わない方がいいと私は思います。「エバンスは使うな」という表現をしたこともあります。エバンスは実用的には便利な結び方ですが、これはロープの端が反対だとすっぽ抜けてしまうからです。動画でも結び方が間違って紹介している場合がありますので十分に注意して欲しいと思います。
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今回の日記は「登山技術」のカテゴリーにしました。本来は登山知識のものですがロープワークは技術になりますので登山技術に含めてみました。あしからずご了承を!


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[b]追記[/b]:私なんぞの古い山男(浦島太郎)が偉そうにレクチャーするよりも本当は現役バリバリのヤマレコのクライマーさんに座学をやってもらった方がいいと思いますが、新しいザイルの感触を久々に味わったので、ほんの少しばかり浦島太郎が現実の世界になじんで来たような気がしています。本文中に間違った内容がありましたらご指摘いただければ幸いです




murrenさんこんばんは
いや〜興味深い座学ですね
自分の使用頻度の高い結びは下記です。
半固定(ムンター・プルージック・フレンチ)
固定(変形ボー・8の字)
自己確保(インクノット)
連結(8の字・二重テグス・リングベント)
最近は沢をプラプラ歩くだけですので殆どこれで
事足りちゃってます。
エバンスはループを締める際に重宝しますがあまり
使用頻度は高くないですね。
自分も古いタイプの山男ですのでギアの進化に
ついていけなくて困ってます
お互い年寄の冷水にならない程度にクライミングギア
を試して情報共有していきていですね!
次回は是非ナチュプロ講座をやって欲しいです。
楽しみにしてますね〜
souldoctorさん、こんばんは。
ほーんと、年寄の冷水ですよ。こういう技術的な座学自体をするのも年寄の冷水と思うようになってきました。ほどほどにした方がいいかも知れませんね。
ナチュプロっていうのはカムやナッツのことですね。ちょうど私たちが現役バリバリの終わり頃に出てきたものです。いわゆるヨセミテ派たちからもたらされましたね。
でも、私たちは純然としたアルパインクライマーでしたのでフラットソールとヘルメットを被らずにバンダナを巻いた彼らにはなじめないものがありました。アイゼンをはかないで冬の岩壁を登れるか!と意気込んでいた訳です。アンチヨセミテ派というように意固地になっていた感じでしたね。ですので、最初はナッツなどは利用しなかったです。というか、ちょうどその頃にチタン製のハーケンが出て軽さとともに値段にビックリ。ナッツやカムなどの道具も貧乏な私には高くて買えなかったですね。ですので狭いリスに打ちこめるハーケンばかりで勝負していました。その後は少し違いますが、本当に今頃になってほどほどにしないと怪我の元になりますね。
はい、注意します
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