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暖かいお布団のなかで読書をするのがとても心地良い季節になりました。
日記初投稿になる今回は、山にまつわる本を少し紹介してみたいなと思います。
山岳小説といってもその中には様々なジャンルがありますので、
テーマを設定して、それに沿った作品を選んでみることにします。
今回のテーマは、
【女性が選ぶ、女性が活躍するストーリー】
山を舞台にした作品では男性が主人公のものが圧倒的に多いですが、中にはこんな魅力的な女性達が大活躍するお話もあります。
同じ女性からの目線で、そういった作品を取り上げてみたいと思います。
1.新田次郎「銀嶺の人」
対照的な性格の2人の女性クライマーの成長と挑戦を描いた長編です。
一流の女性登山家…と聞くと、男勝りで逞しい女性をつい想像してしまうのですが、これはそんな予想をとても良い意味で裏切ってくれることと思います。
新田次郎さんの作品に登場する女性たちは皆、男性に引けを取らない強さを持ちながらも、優しさやしなやかさといった女性らしい魅力に溢れています。
この本を手に取る女性はきっと、2人の主人公どちらかにご自身を重ね合わせて楽しめるのではないかなと思います。
2.新田次郎「芙蓉の人」
こちらは「明治時代に富士山頂の観測所で一冬を過ごす」という前代未聞の過酷な挑戦を決意した夫を支えるため、冬富士に単身登って夫の後を追った女性のお話です。
当時の服装の工夫などに(なるほどなあ)と感心してしまう部分も大きいです。
女性がズボンを履いて山登りをするなどとんでもないと言われていた時代です。
周囲の反対や偏見をもろともせず、夫のため、二人の信念のために突き進む強い女性に、思わず本を持つ手に力が入ります。
新田次郎さんは情景描写も本当に素晴らしいです。
まるでその場で自分も目にしているように、鮮明に光景が浮かびます。
3.唯川恵「淳子のてっぺん」
最後にご紹介するのは、田部井淳子さんの自伝的小説です。
物語のクライマックス、たった1人アタックメンバーに選ばれた田部井さんが1人のシェルパとともにエベレストの最終アタックをかけるシーンでは、涙が次から次へと溢れてタオル片手に読んだほどでした。
今でこそツアーで渋滞ができるエベレストですが、当時のその過酷さは凄まじいものがあります。
ヒラリーステップと呼ばれる岩場の難所を超える時に、その緊張と恐怖は最高点に達します。
あの柔和な表情のおばあちゃんの姿しか知らなかった私は、その時日本の、そして世界の女性達の希望を16キロのザックとともに背負って、世界の頂点へと登っていった田部井さんの心中はどんなだったろうと想像して心を震わせました。
また、私はこの唯川恵さんという作家に対し、過去の作品イメージ(陳腐な恋愛物ばかりだと思っていた)からあまり好印象をもっていなかったのですが、この作品でそれらが覆りました。
唯川さんはこの作品を執筆するにあたり、相当入念な取材と勉強をされたのだろうなと感じます。
魂が込められた作品というものは、読み手にまっすぐ伝わるものですね。
いかがでしたでしょうか。
ちなみに現在私が読んでいるのは
串田孫一さんの「山のパンセ」です。
詩的で品のある文章は、さすが東大哲学科出身の詩人である串田さん、という感じがします。
山と向き合っている時の、繊細で複雑な心の動きにとても共感しながら読んでいます。
機会があれば、別のテーマでまた本を紹介したいと思います。
ここまでお読みくださり、どうもありがとうございました。
では皆さん、素敵な本とともに有意義な秋の夜長をお過ごしください♪
ありがとうございます。
秋の夜長の読書タイム🤗楽しみたいと思います。
お役に立てて嬉しいです
どうぞ素敵な夜をお過ごしくださいね
おはようございます。初めまして
>私はこの唯川恵さんという作家さんに対し、過去の作品イメージ(陳腐な恋愛物ばかりだと思っていた)からあまり好印象をもっていなかったのですが、この作品でそれらが覆りました。
この一文に同感です
若い頃、田部井さんの講演を聞きに行って、
小柄なこの方がエベレストに行ったんだ〜とびっくりした記憶があります。
『タベイさん、頂上だよ』を読み返そうかな
こんにちは、はじめまして。
「タベイさん、頂上だよ」は私はまだ未読でした。
(その他の田部井さんの著書は何冊か読んでいるのですが)
その本の表紙の有名な写真(真っ赤なウェアに身を包み日の丸旗を持った、世界の頂に立つ田部井さん)を見ていたら、また感動が蘇ってきました。
今度こちらも読んでみようと思います。
素敵なきっかけをありがとうございました
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