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本来なら遠方で参加できない者にとっては大変ありがたい機会でした。
講習会の内容は、午前中にまず「雪崩発生のメカニズム」や「雪崩リスクマネジメント」などの理論的なことを学びます。
そして午後からは「積雪観察・積雪安定性評価(様々な弱層テストのやり方)」や、「雪崩サーチ&レスキュー」といった、より実践的なことを教わりました。
来シーズンに読み返すための備忘録として、今日復習したこと、そして新たに覚えたことをここに書き留めておきたいと思います。
・雪崩リスクマネジメントには3つの大事な要素がある
1.雪崩の危険を推測する(積雪の不安定性、地形の罠)
2.雪崩に遭わない行動をとる(コース取り、計画、人員)
3.雪崩に遭遇した際に被害を小さくする(装備、レスキュースキル)
【発生のメカニズムについて】
・弱層になりやすい主な雪
霜形弱層(コップ状のしもざらめやこしもざらめ、表面霜)
降雪結晶(結晶に雲粒が付いていないタイプで、通常の冬型の気圧配置ではなく低気圧の通過に伴い降ったりする。雲粒がないと結晶同士の結合が悪く隙間が出来やすい)
・不安定になる積雪量の目安
2.5cm/1h 、30cm/1day
・スラブとは、板状の上載積雪(つまり実際に雪崩れる表面の雪)
・風速7m以上で雪が移動し始める(ウインドスラブの形成につながる)ので注意
・樹木がアンカーになるのは、木々の間隔が5m(車一台分)以下。まばらな樹木は安全の目安にはならない。
・全層雪崩は、クラック下のコブ状隆起にタテの割れ目ができていたら、非常にリスクが高い
・全層雪崩は一度起こると同じ場所で起きやすい(癖になる)
【行動について】
・雪崩の走路になり得る場所を横切ったり滑るときは必ず1人ずつ。他のメンバーは必ず見届ける(雪崩に巻き込まれた時に場所を特定しやすくするため)
・危険箇所の通過ではスキーの流れ止めやストックの腕輪を外す(アンカーになってしまうから)
・斜面の凸状地形(ノール地形)をトラバースしない
・最後に滑る人は捜索スキルの高い人が良い
・撮影をするために滑走者の下に止まっていることはとても危険
・よくあるヒューマンエラー
山の先輩が言う「これまで雪崩を経験してないからこの斜面は大丈夫」は全然大丈夫ではない。これは認知バイアス(自分に都合の良い情報のみを参照している)という心理が働いている
【弱層テストについて】
・タップの種類や回数よりも、破断の特徴の方を重視する(叩き方や回数に関係なく、SPやSCの結果になったら雪崩リスクはとても高い)
【埋没者捜索の流れ】
1.サーチモードにしたらビーコンを耳に当てながら消失点(埋没者を最後に見た地点)に向かう。消失点までは走る!
(消失点不明な時→捜索者1人の時はジグザグに、複数なら間隔を空けて横一列に斜面下へと歩く)
2.ビーコンから音が出たら(埋没者の電波を捉えたら)、ビーコンは体から離して水平にたもちながら矢印の方へ進む
3. 10m〜3mまで接近したらスキーを脱いで歩く。
4.最小値になったら上下左右に動いてポイントを特定(ビーコンは膝の高さで保つ)
5.埋没位置を絞ったら、そこに目印を立てる(その後のの字に捜索する時に中心点がわかるように)
6.他のメンバーは、その地点より斜面下を掘り始める
7. 25センチ間隔で「の」の字を描くようにプロープを刺して捜索。刺すのは必ず斜面に対して直角に!
8.発見したら、とにかく全力で掘る!時間との勝負!斜面下方向に長く掘ること
・ビーコン画面だけを凝視せず、必ず目視で周囲を見渡すこと(道具や体の一部が雪から出ているかもしれないので)
雪崩リスクマネジメントは、1度講習を受講したから大丈夫、ビーコンを持っているから安心!とはなりません。
数年前に一度受けたきり…という人が、果たしていざという時素早く安全に埋没者を救出できるでしょうか?
積雪の不安定さや危険な地形を読み取り、逐一安全な行動をとれるでしょうか?
それが私だったら、とてもできる気がしません。
大切なのは学習を積み重ねること、そして日々の訓練です。
そんなわけで、私は毎年冬の始まりに必ず講習を受けます😌
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