最近、携帯のGPSを利用して山に登っている人が目に付く。
GPSは大変便利だし利用することによって遭難防止に一役
買っている、まさに文明の利器である。
しかし、これを利用することによる落とし穴も認識しておこう。
以下、実際にあったケース
沢沿いを下山中に高山植物を写真に収めながら快適に下山。しかし
小さな滝に出て行き詰る。ルートから外れているかもしれないと思い、
GPSで現在地を確認。正規ルートまで登り返し、無事下山した。
”やっぱりGPSがあれば大丈夫じゃん”と思いがちだが問題の核心は
そこではありません。何故、正規ルートから大幅に反れたのか?
何故、現在地がまったく認識できていなかったのか?である。
本人によると”GPSがあるから道迷いしない”と思い込んでいたらしい。
紙の地図であればルートをよく観察するだろうから沢沿いに降りるルート
でないことは明白である。さらにGPSの動作は電源が必要である。
携帯の電池残量を気にして頻繁に現在地とルートを確認することを
避けようとしたことも原因の一つ。つまりGPSを所持している安心感が
怠慢を招き、逆に危険を呼び込んだことになる。
この事例の他にも、
機内モードにするのを忘れてバッテリー切れ。転んで液晶が破損。
突然の豪雨で水没。アプリの不具合で正常に動作しない。
低温による動作不能。などなど…GPSは万能ではないのだ。
水は低いところへ流れる…人間もラクな方へ流されがちである。
山に入るときには紙の地図とGPSを併用して”GPSは補助”程度に
考えておこう。
私は山の事故によって仲間を失ったことがある。二度とあんな思いは
したくないし、他の人にもして欲しくはない…
山は神でもあり魔物でもある。ヤツは我々登山者の油断と怠慢を見逃さない。
その爪から逃れるために日頃から自分の知識と技術を磨いておくのだ。
tsukubaneさん、はじめまして
GPSがなかった頃は、山行前に紙の地図でルートの予習をして、山行中も節目や何か疑問に思った時に地図で確認するのが一般的だったと思います。もちろん、標識だけに頼って歩けるハイキングコースの場合には地図を持たない人もいましたが。
GPSの普及で一番気になるのは、機械で故障する可能性があることもありますが、何と言っても紙の地図すら買わなくなること(GPSと地図を併用している人はちゃんと買っている人です)、それに伴って事前の予習もしなくなることです(携帯やGPSの画面の地図アプリを眺めての予習はしにくい)。カシミールのソフトやヤマレコの山行計画のツールを使うなりして事前に計画を立てて、しっかり把握しているならまだいいですけれど、準備の時間を取らずに他人のGPSログを機械に取り込んだだけで地図も持たずに出かけてしまうような安直な山行スタイルが蔓延しないように願いたいです。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する