白馬岳に登った際、山頂に置かれている方位盤がヘリコプターではなく、人が背負って運んだということを誰かに訊いて知ったのが読もうと思ったきっかけだ。
山頂の方位盤は、新田次郎著「強力伝」のモデルとなった巨石です。強力伝は実話を元にした小説で、主人公が50貫(約187kg)もある花崗岩2つを、白馬岳山頂まで担ぎ上げる挑戦が描かれています。この物語は新田次郎のデビュー作で、直木賞を受賞しました。(https://www.yamareco.com/modules/yamainfo/ptinfo.php?ptid=52)
以前からその存在は知っていたが、比較的綺麗な状態であり、何しろその大きさからして相当重いだろうから歩荷や強力といった人の手で背負われて設置されたという認識は私の頭には全くなかった。
強力が背負って設置したことを知ったときに、「本当かよ!」と驚く前に信じられなかったのだ。
読めばわかるが、地元の強力ではなく、富士山で歩荷を生業としている強力「小宮正作」が背負いあげたのだ。地元の強力たちは断っていた。
小宮は猿倉から続く白馬大雪渓の登山道を背負いあげている。
途中落石の事故に遭いながらも根性で達成している。
一つで五十貫、一貫は3.75キログラム、つまり187.5キログラムということだ。
二つで375キログラムになる。二つにわかれているとはいえ一つで約190キロの石を背負いあげるのは当然無理だという処から始まる。一つが190キロ近い桁違いの重さの石だからだ。
トップクラスの歩荷でも70キロを背負いあげるのがほぼ限界の世界というか人間の体力の常識の中で桁違いの重さの歩荷である。
白馬岳山頂で多くの登山者が記念写真を撮ったり、触れたり、山座同定をしたりする石の方位盤だ。真冬の白馬岳山頂にも微動だにせずに佇む石だ。
その石を背負いあげた小宮正作の名前を知る人は少ないだろう。
本名は、小見山正さんである。
http://www.fuji-oyama.jp/oyama/enjoy/hiking07.html
次回白馬岳山頂に私が立つときには、小見山正さん(小宮正作)のことに思いを馳せ、現代の金太郎としてその栄誉をたたえながら方位盤に触ってきたい。
私もこの本を読んだ時は衝撃を受けました。
ヘリコプターなど無い時代ですから人か馬等の動物の力で運びあげるしか無いのですが、
一人の強力さんが成し遂げた偉業、もっと多くの人に知って欲しいですね。
もう10年も前になりますが、私もこのことに関して日記を書いていました。
よろしかったら写真と共にご覧ください。
https://www.yamareco.com/modules/diary/1242-detail-36959
白馬岳は人気の一座、山頂の方位版のことを最も沢山の人に知ってもらいたいという点も同意見です。先人達の苦労をもっと我々は知るべきです。
強力伝は印象深い本です。
今日は白山に行っていましたが、山頂には白馬と同じような形の丸い方位盤が据えられており、強力伝を思い出していました。
sakusakuさんのコメントから、リンク先の日記の写真を拝見しました。本当のことなんだなとあらためて実感し驚きました。
本当に白馬は人気の山、みなさんに知って欲しいですね。
私も「強力伝」を読み、白馬岳の方位盤の存在は知っていましたが、実際に自分の目で見た時は驚きました。
これを人間が持ち上げたのかと。
また、小見山さんはこの時の無理が原因で、若くして亡くなられたとも聞きました。
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