立山黒部アルペンルートの大谷付近で先月30日、スキーヤーら男性会社員6人が巻き込まれた雪崩で、意識不明の重体だった会社員(33)が2日、搬送先の病院で死亡した。死因は窒息による低酸素脳症。この雪崩による死者は2人となった。
アルペンルートは11月末で冬期運休に入ったが、その直前の新雪時期に、ここでスキーをするのは、多少の無理があるのは知っている。私も11月19日にスキーした。ただその後積雪が急に増えて、事故の前日に50センチ以上の降雪があったらしい。数年前にも同じような状況で事故になっている。しかも雷鳥沢とか、山崎カールじゃなくて、国見岳周辺。雪崩傾斜35度の斜面になれば、何も有名ルートに限らない。この事故はどうやら登行中であって滑走中ではない。
どうせ室堂はすでに森林限界の上。樹林はないし、その環境で新雪を滑るというのは、新雪表層雪崩が起きない状況をスキーヤーが判断してこそのスキーで、春スキーに比べて、かなり判断が難しいのは承知の上だ。自己責任というのはたやすいが、事故を負えば自己責任を負ったことにはならないわけで、どう怪我負傷しても、責任は取りきらない。輪をかけて、アルペンルートはこの時期笑顔で「新雪パウダーをどうぞ滑りに来てください」と宣伝しているが、このノー天気ぶりの歓迎もいつまで続くか分らない。
表層雪崩回避にはいくつか注意ポイントもあるのだが、しかし、無理せず悪いと判断したら、途中であきらめてそこから滑る、何も頂上からの滑降にこだわらないという、聞きなれたセリフしかほかに要領がない。それとノートラックの新雪パウダーは魅力だが、この立山の場合だけは自分がそれになってしまうのは、リスクも大きい。だれかダミーで滑降した後ならば、安全性がかなり増す場合もある。登行だけに関してもその通り。
理屈上、滑走可能とは言えないのだ。パウダーが50センチも積るからいけないわけで、20センチなら表層雪崩も発生しないといえば、これも間違いではない。僕の滑った日で、ざっと300人。危険承知とはいえ、早すぎるくらいの撤退で、下の方でチョロチョロすべっているだけだとバカにされても、事故にならないならそれでいいとも思う。
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